では、どうぞ。
「……成果はどうかね?」
男が、薄暗い研究室にて画面を睨み付けながらキーボードを叩く研究員に訪ねた。研究員は疲れを押し殺した表情で、問題ないと人差し指と親指を合わせてOKサインを作る。それに満足した男は何も言わずにその場を離れ、もう一人の同志の元へと行く。
「どうでした、ショーさん?」
同志はキーボードを打っていた手を休め、振り返る。男は先程の研究員と同じようにOKサインを送る。ニヤリと笑った同志の男は再び画面に向き直り、キーボードをゆっくり叩きながら口を開いた。
「これで、研究の第二段階に移れますね。仮実験の結果は成功していますから」
「ああ、しかしまだまだ小規模だ。これから大規模なものにしなくてはならない」
「そうですね……では、試しに……」
同志の男は再び画面から目を離して振り返り、その後醜悪な笑みを浮かべてゆっくりと吐き出した。
「ここで実験してみましょうか……」
ここ、を示す意味を瞬時に男は悟った。もしこれが他の、それも一般人ならばすぐに首を横に振るだろう。絶対にやってはいけないことなのだから、それが当然の選択だ。
だが、男はもう人としての道を外れている。これまでの人生において蓄積された恨みや屈辱によって歪んできた心に、もう人としての良心や道理などは、欠片も残っていなかった。
隣の同志も同じだ。天才にすべてを奪われ、尊厳を傷つけれられた。彼にももう、良心や道理などない。
そんな彼らに、この実験を断る道など、あるはずもなかった。男は同じく醜悪に顔を歪ませて頭を降ったのだった。
「では、始めましょうか。収集をかけますね……」
同志の男はマイクを手にとって、研究員を収集した。研究員たちは、二人のこれからする実験内容を知らないであろう。最も、高時給に釣られて18時間労働させられている研究員の思考回路はもはや働いていないに等しいので、察することすらままならないであろうが。
研究員たちは健気に彼等のところに来た。男は満面の笑みを浮かべてゆっくりと言った。
「これから、この研究の第二段階へと移る。人類至上未だかつてたどり着いたことのない境地への新たな一歩を踏み出した。そこでだ、単刀直入に言おう……」
研究員たちは息を呑んでその先の言葉を待つ。男は顔色一つ変えずに、彼らの”仕事”を告げた。
「君たちに、生け贄になってもらう」
一瞬沈黙した。研究員たちの疲労困憊した顔に疑問の表情が募る。
でもそれは、瞬時に恐怖の色へと塗り替えられた。
「ーーーッ!?」
研究員たちのひきつった悲鳴が聞こえる。その原因は、彼らを突然包み込んだ透明な青のバリアだった。半円状のそれは研究員たちを閉じ込め、バチバチとスパークを放っている。研究員たちが出してくれとバリアを叩いているが、衝撃はすべて吸収されてしまい、脱出は叶わない。声も曇っているため、良く聞こえない。
怒りと困惑と恐怖が混ざりあった複雑な表情を、二人の男たちはじっと眺めていた。彼らの目に移る人々はもはや、人の形をしたモルモット以外、何者でもなかった。
男は、彼らから視線を離して側にある赤いボタンに手を触れた。瞬間、バリアに閉じ込められた研究員たちの顔が絶望に染まる。彼らがこれから何をされるのか、全てを察したのだ。
それからはもうパニック状態だった。目に涙を浮かべ、バリアを叩き、神に祈り、憎悪の言葉らしきものを放つなど様々だったが、二人の男たちには響きもしなかった。彼らの胸中にあるのは、新たな境界へと踏み出す喜びだけだった。彼らに対する哀れみや、罪悪感など邪魔なだけなのである。
そして、同志の男が哀れな人形の実験体を眺めながら、細い指で赤いボタンを強く押した。
「では、ご機嫌よう。モルモットたち」
悪夢への、大きな一歩を密かに踏み込まれたのだった……。
***
美少女コンテストの結果は準優勝と、あと一歩のところで勝利を逃した。しかし、準優勝者には、賞金10万コルが贈呈されたので、資金は確保できた。これで当分は飢えとは無縁である。俺達は歓喜のあまり、夜にパーティーを開いた。ご馳走がならび、酒を浴びるように飲みーーーこの世界で飲んでも現実の体にはアルコールは一ミリリットルも入っていないーーー鬱憤を吹き飛ばすように騒いだ。
そして、その翌日の今日は、いつも通りの日常が、訪れた。皆で朝食を食べ、それぞれ別々の行動をとって一日を過ごすという、変則的なもので不変な日程をこなす。ダルはフェイリスが新しくオープンした、“メイクイーンニャン×2 inSAO”に直行し、フェイリスもそちらへと移動していた。ルカ子は昨日よく眠れなかったといって今も寝ており、指圧師は腕輪の製作に精を出していた。まゆりはというと、ギルドホームにてせっせと裁縫に取り組んでいた。まゆりも小さくあくびを漏らし、眠たそうに針を動かしている。きっと、昨日よく眠れなかったのだろう。そして俺は今、自室のベッドに座り、思索に耽っていた。
そういえば実は俺も昨日はよく眠れなかった。昨日の夜、俺は奇妙な現象にあったせいでだ。ルカ子が外に出て、一人ポツンと座っていたところを見かけて、俺は声をかけた。その後ルカ子は呪縛を受けていたかのように負の感情を爆発させて、自虐的な言葉を吐いていたのだが、なぜかルカ子はそれを忘れてしまい、気づいたら俺はベッドにいた、という始末だ。これは普通に考えたら夢だ。夢以外あり得ない。でもなぜ俺はそれを現象と呼んでいるのか。何かが夢だと断定してはいけないと声高に叫んでいるためだ。
夢というのは、前にも言ったと思うが、記憶や願望などから脳内で生成される幻だ。しかも、再現度は意外と高く、色や感覚、臨場感なども見事に現れてくる。だから頬を引っ張って痛ければ夢じゃないというのは真っ赤な嘘であるし、朝起きたはずなのに実は寝ていたという錯覚現象だって起こる。
だが、そういった夢ならば、後々納得が行くものだ。よく考えればあり得ないものだと。感覚も完全に再現できていないのだから、違和感を感じてもいいはずだ。しかし、今回の件ではーーーリアリティーがありすぎるのである。ルカ子の悩みもこれ以上にないほど明瞭だった。表情も自然で、言葉がスッと入ってきたりしていた。何が言いたいか。夢にしては、はっきりとしすぎているのだ。現実と同じように、いや、全く同じように認識できてしまうのだ。
でも、この現象は間違いなく俺のベッドの上で起こったものだ。ルカ子に朝食の時に尋ねたが、外にはでておらず、ふつうに寝ていたという。途中で起きてしまったらしいが。いずれにせよ、一体なんだったのだろうか……?
「全く分からない……どうしたものだ……」
俺は四肢を投げ出してベッドに体を預けた。息を吐き、重たい頭に詰まっていた何かを吐き出す。朝御飯を食べているときも、ずっと考えていたが、何も浮かばない。
天井を眺めているうちにだんだんと眠くなってきた。ぼうっと意識が霞始め、眠気が強引に俺を闇へと引きずり出そうとする。最初は抗おうとしたが、ダメだった。瞼は閉じていき、閉ざされた世界へと堕ちていくーーー。
わけはなかった。
「岡部?」
がチャッと小さな音が響く。続いて一人の人間が部屋に入り込み、静かに入り込む。誰か来たと思った俺はうっすらと目を開けて起き上がる。すると、見覚えのある紅の長髪が目に入った。眠気を圧し殺すような声を出して俺は呼び掛ける。
「どうしたのだ……クリスティーナ」
「……あんた、相当不機嫌だったから、何かあったんじゃないかって思ったのよ」
「不機嫌? 俺がか? 気のせいだろう」
俺は即座に否定する。確かにイラついてはいたが、本当に少しだ。それに、紅莉栖たちを巻き込むわけにはいかない。
ただ、流石は天才少女だ。俺の言葉に納得せず、疑いの目線を送りつける。
「気のせいじゃない。大体、あんた今日まゆりに話しかけられても曖昧に返すだけだったじゃない。それですぐに部屋に引きこもったでしょう? ……何かあったの?」
紅莉栖の追及に俺は手も足も出なかった。朝は確かにずっと考え事をしていて、まゆりに話しかけられたことなんて忘れてしまっていた。そして早く一人になりたくて、部屋へとさっさと戻ってしまったことも、忘れていた。
俺は迷う。この不可解な現象を解決してくれる可能性を紅莉栖は持っている。でも、この不可解な現象によって何か良からぬ事が起こりかねない可能性が無きにしもあらずだ。そう、未来ガジェット8号機の謎のゲル化現象を追い求めたから、皆を巻き込み、運命に翻弄された。こういったものに目を詰むって、無かったことにしてもいいのだ。でもーーーそれは無理そうだった。紅莉栖は好意で俺のためにこうして訪ねに来てくれるのだ。だから、それを無下にしてはならない。俺は観念することにした。俺は口を開き、すべてを話した。
「……昨夜のことだーーー」
「ふーん……そんなことがあったのね。ただの夢、って可能性もなくはないけど」
「俺もそう思いたいが……あまりに生々しすぎるのだ。まるで自分がそこにいるような感覚になったんだ」
一部始終を聞き終えた紅莉栖の感想を聞いた俺は、溜め息を吐いた。どう考えても、夢にしか思えない現象だ。誰もが夢なんじゃない? と言うに決まっていた。いや、紅莉栖は全面的に『夢です、本当にありがとうございました』とは言っていないだけまだましだろう。
ただ、今回の紅莉栖はさほど関心を持っていなかった。というよりもお手上げだった。
「でもそれを証明する手段がない以上、夢だと思われても仕方がないわね。確かに夢には不明瞭な側面もあるし鮮明なはずはないけれど……それはあんたの主観よ。残念だけど、気のせいとしか言えないわね」
八方塞がりだ。
紅莉栖ですら分からない。だったらもう諦めるしかないだろう。
それに紅莉栖の話を聞いていると、夢だったかもしれないとだんだん思ってきた。そう考えるとふと胸のつかえが消えた気がした。そうだ、何もなかったんだ。何も。俺は詰めていた息を吐くと、紅莉栖に向き直って言った。
「そうか……。分かった。この事は忘れることにしよう」
それを聞いた紅莉栖は、ふっと笑った。忘れていいんだ。そんなことを考えている暇があったら、このゲームから一刻も早く出るために攻略について何かしたほうが賢明だろう。一つ落ち着いた俺はベッドに座り込む。途端に腹が減ってきた。恐らく緊張がほぐれたからだろう。俺は腹を押さえて苦笑した。紅莉栖もその仕草を理解し、同じく苦笑する。
「お腹すいたのね」
「朝飯をろくに食べていないからな……さて、外で適当に食べにでもいくか」
「私も行っていいかしら? ちょっと小腹がすいたのよ」
「いいだろう。俺の行き付けの店があるからそこに行こうではないか」
「それってどこなのかしら?」
「……それは、戦士たちの休息の地だ。故郷の味を懐かしみ、束の間の安息を得る男たちの巣窟ーーー」
「くだらない前置き要らないからさっさと言いなさいよ」
おのれ……助手め……!
俺は内心で、自分のイカシタ説明を潰した紅莉栖にイラッとするも、これはもはや日常茶飯事だ。この鳳凰院凶真の崇高なる思考にたどり着かない愚か者の言葉など、どうでもいい。俺は高らかに叫びながら紅莉栖に店の名前を言った。
「では告げよう……。ジハードを勝ち抜いた戦士たちだけが集うその場の名前はーーー"せっかくだから俺はこの牛丼屋を選ぶぜ"だ!!」
俺は両腕を大きく頭上に広げながら高らかに叫んだ。我ながらかなり決まったと思う。ニヤッとほくそえみ、俺を見上げているであろう紅莉栖へと視線を下した。おそらく紅莉栖の目には、神々しい俺の姿が映っている。ならば当然、紅莉栖の視線は羨望にあふれているはず……!!
……そんなわけはなかった。俺が頂いたのは、なんともかわいそうな子を見る視線とあきれられたような溜め息だった。紅莉栖はだるそうな表情を浮かべて口を開いた。
「さっきまで萎えていて、回復したと思ったらこれですか……。つか、そのネーミングセンス、もしかしてあんたが考えたの?」
「ち、違うっ!! 俺じゃない! 本当にこういう名前なんだよ」
ふーんと、興味なさげに鼻を鳴らす。
「でだ、よければ一緒に行かないか?」
俺は普通に彼女を誘った。しかし、紅莉栖の耳にそれが届いた瞬間。
肩を異常なほど跳ね上げて急に熟れたリンゴのように顔を赤くした。あたふたと体を動かせて、落ち着きがなくなっていた。
「お、おいどうしたんだ?」
俺は目を見開いて紅莉栖に近寄る。しかしーーー紅莉栖は敏感に俺の接近に反応して口をせわしなく動かしてまくしたてた。
「な、ななななんであんたなんかと一緒に行かなくちゃいけないのよ!? そ、そもそも牛丼屋でしょ!? そんなのなんで行かなきゃいけないのよ!? つ、つーかそんなデスクリムズンの迷言をつけるような店に行ったら、あ、あんたの中二病が移っちゃうし!! べ、別にあんたと一緒に行きたいとかそんなんじゃないんだからね!! 一緒に行きたくなんてないから!! だ、だ大事なことなのでに、二回言いましたっ!」
どうして紅莉栖というのはここまで必死になるのだろうか? @ちゃんねらーなのだから、冷静さを欠いてはいけないことくらい知っているはずなのに。というか、そんなに俺と行くのが嫌なのか? それともツンデレのテンプレ発言なのか?
「お、お前はそんなに俺と行きたくないのか? 行きたくないなら別にいいのだが?」
とりあえずふつうの返答をする。探る気はないが、いったいどっちなのかはまるで分からない。こういう時、ダルのようなコミュニケーション能力があればいいなと思う。というか、あいつはどうやってコミュニケーション能力を得たのだろうか?
俺の質問を聞いた紅莉栖はまたも動揺した。先ほどよりかはましになったが、少なくとも論を並べているときの紅莉栖に比べれば、全然落ち着いていない。
「あ、い、いやその……まあ、あんたがどうしても行きたいっていうのであれば行ってあげなくも……ないかな?」
上から目線だなおい。
そう突っ込んでやりたいが、この慌てふため様を見るといえなくなる。必死な人間に対して茶々は入れたくない。たとえそれがくだらないことだとしても、だ。
もうすこし紅莉栖をからかうこともできそうだが、きりがないし、腹も減ってきた。俺はドアのほうへと向き、背中越しに紅莉栖に声をかけた。
「だったら来るか? どっちでもいいが、俺は先に行っているぞ」
まあこれでついてこなければ来ない、ついてくれば来る。それでいい。まあ、紅莉栖の事だ、きっと来るであろう。俺はドアノブに手をかけようと、腕を伸ばした。
だが。
「……?」
違和感を感じた。ドアノブにではない。腕を伸ばそうにも思うように動かない。まるでワンテンポ動きが遅れているような、そんな感じだ。ナーヴギアの調子が悪いのか? 神経伝達に遅れが生じているのか?
いや、それだけじゃない。目の前のドアがなぜか波打っている。ドアはちゃんとした長方形のはずだ。しかし徐々にS字を描くように歪み始めてきた。目がおかしいのか? 俺は目をつむり、いったん視界を閉ざす。
だが、目を開けても変わらなかった。それどころか、頭が重くなった気がする。嫌な予感がして、俺は額に手を当てた。
熱い。どうしてだ? まさか風邪でもひいたのか? でも、この世界において病気を患うことなんてないはずだ。背筋が寒くなる。一体俺の仮想の体はどうなっているんだ?
思考している間にも気持ち悪さとダルさは変わらない。どころか増すばかりだ。立つのも苦しい。節々が痛くなってきている。寒気もしてきた。これは本格的に風邪を拗らせたかもしれない。
「……岡部? 大丈夫?」
いつまでもドアの前で突っ立っている俺に紅莉栖は苛立つように声をかけた。俺は紅莉栖に顔を向けようと首を捻り、口を開いた。
「……ああ、どうにかな」
口ではそういうも、紅莉栖は疑いの目を向け続けた。俺はそれを無視し、ドアノブに手を伸ばしてこの部屋から出ようとした。とてもそんなことができる状態じゃないのではと内なる声が上がったが、ムキになっていたようで重い体を無理矢理に動かす。
だが、それは叶わなかった。
「ーーーっ、ぅ……ぐぅぅううううぁぁああああああっ!!!!??」
刹那のことだった。電気ショックを喰らったかのように、ピクッと体が反応した。
俺の頭が、凄まじい痛みを訴え始めた。どくん、どくんと頭が鳴り響き、頭蓋骨が破裂しそうな勢いで脳が暴れている。脳を掻き毟りたいほどに脳がどうしようもなく膨張するように感じる。
余りの痛さに俺は絶叫し、涙さえ流す。頭が痛い。いや、全身が痛すぎる。何も見えない。視界が赤くなっていく。傷もない、血もないはずなのに……全身を切り刻まれ、思いきり鈍器で殴られたレベルの痛みを感じている。中鉢博士にナイフを刺されたとき以上の痛みだ。でも……何故だ……!?
突然大声を出した俺に驚愕して体を支える紅莉栖の顔が見えたが、やがて意識から閉め出された。もはやこの痛み以外に知覚できるものはなくなっていた。何故痛覚のないSAOで、痛みだすのか? その疑問の答えを必死に見つけようと激痛の中、脳を動かして考えた。でも、それは無理だった。激痛の炎は疑問すら焦がしていき、もう何も考えられなくなった。
ーーー痛い……痛い痛い痛い痛いイタイイタイイタイイタイイタイ…………!!
俺は本能に任せて、頭を必死に抑えて痛みを和らげようとするも、いっこうに状況はよくならない。まるで脳の中を棘つきの虫が暴れまわっているような、狂いたくなるような痛みが、延々と俺の体を襲い続ける。熱のだるさなど強烈な痛みの前では感じることなどなかった。
「ああっ…ああ、ぁぁぁあああああああああっっーーーー!!」
紅莉栖は俺の肩を抑えて必死に声をかけるも、何を言っているかまるで分からなかった。助けてほしいと、救いの手を差しのべようとする言葉も、行動も思いつかない。この痛みしか、俺にはなかった。助けてくれ…ああ、この痛みをどうにかしてくれ……。
「あっ……ぅ……ぅぁぁああ……!」
もはや叫び尽くしたようで俺の喉からは掠れた声しかでない。喉もイタイ。でも、叫べと本能が命令している。助けを求めようと、無様に喘ぎ続けている。しかし、もはや俺の意思など、通用しない。ああ、頭が灼けていく。消えていく。視界がぼやけていく。
意識が、消えていく。
「岡部っ!!」
ようやくはっきりと聞こえた紅莉栖の声を最後に、俺は、心地いい暗闇へと身を任せた。
用語解説です。
・せっかくだから、俺はこの牛丼屋を選ぶぜ。
ネットスラング。
伝説のクソゲーとされる”デスクリムズン”の登場人物が発した迷言『せっかくだから俺はこの赤い扉を選ぶぜ』をもじったものである。
元ネタは”デスクリムゾン”の主人公、コンバット越前の発した上記と同じ台詞から。因みに作中に於いて扉は一つしかなく、ちっとも赤くない。
では、感想、お気に入りお待ちしております。