風の聖痕~和麻のチート伝説~   作:木林森

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かなーり遅くなって申し訳ありません。
相変わらず対して上手くない文章ですが、久しぶりなので、一応気合い入れました。そんなの良ければ見てください。

やっと煉と綾乃を書けました。


綾乃levelup!!

結城慎治は今かなり緊張している。何故なら今目の前には神凪家に二人しかいない神炎使いにして神凪家の当主である神凪重悟がいるからだ。

更には、神凪のもう一人の神炎使いで神凪最強と言われている男、神凪厳馬もいる。

この二人と一緒の部屋にいるだけでプレッシャーがヤバい。他にも何人か人はいるが、正直気にならなかった。

 

(うわー!やべぇ、やべぇよ。絶対今日の仕事の事だ。ミスしちまって神凪の名前に泥塗ったからそれについての処分が下されるんだ。しかもあの和麻に持ってかれたってなると...。当主はともかく厳馬様がこえーよ。あの人常に仏頂面だし。なに考えてんのかわかんねーんだよな)

 

そんな事を思いながら、当主からの言葉を待つ慎治。

 

「慎治よ」

 

来た!

当主の呼び掛けにビクッと肩を震わせる慎治。

 

「今日の仕事、依頼をこなせなかったと聞いた。何があったのだ?」

 

ゆっくりと優しく重悟は話しかける。重悟自身は相手が緊張を解きほぐすつもりでこういった話し方をしたのだが、もちろんそれは逆効果だった。慎治からしてみれば、静がに怒っているようにしか感じなかった。

 

「い、いいいいいややや、そそ、そそそそ、そ、のの、のののののの、ででですね?あ、あああ、のの、のののの」

 

だから噛みまくるのは仕方のない事だった。

 

「落ち着かぬか。何をいっておるのかさっぱりだぞ」

 

重悟が呆れたように話す。

そして、何とか落ち着いた慎治が改めて今日の仕事について話始めた。

依頼人が自分以外にもう一人退魔師を呼んでいたこと。そして、それが和麻だったこと。和麻が風術を使っていたこと。そして、和麻が依頼人の執事と依頼人を殺したこと。

それら全てを話した。そして、話しながら慎治は思い出していた。別れる時に和麻と話したことを。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい、死んだ振りしてんじゃねぇよ」

 

タバコを吸いながら和麻は床に転がっている慎治の腹に蹴りを入れた。

 

「ぐほっ!」

 

和麻の蹴りがキレイに鳩尾に入って苦しむ慎治。

 

「えほっ!げほっ!ッテメェ、急に蹴り入れるやつがあるかっ!」

 

若干涙目になりながら慎治は和麻に文句を言う。

 

「あ?何?男の象徴潰してほしかったって?なんだよ~、それ先に言えよ~」

 

そう言って未だに床に転がっている慎治の下半身目掛けて踵落としをかまそうとする和麻。というか、かました。

 

「うおおおおおお!?」

 

和麻の踵落としから逃げるべく慎治は素早く立ち上がった。和麻の身体能力がキチガイ染みてる事を知っている慎治はもしさっきの踵落としが当たったらと想像し、ぶわっと全身に冷や汗を掻いた。

 

「お、おおおおおお、お前っ!!!ふざけんなよっ!マジふざけんなよっ!!お前の力で踵落としなんざされたら死ぬわ!!ボケ!カス!タコ!って、うおおおおおお!?」

 

慎治が勢いで和麻を罵倒すると、和麻がライダーキックばりの飛び蹴りをかましてきた。慎治はなんとか避けてまた文句を言おうとしたが

 

「次、舐めた事言ったら殺す」

 

睨まれながら、本気トーンでそう言われ

 

「マジすんませんでした」

 

速攻で土下座した。

 

そんな慎治を見て軽くため息を吐いて、そのまま部屋を出ていこうとする和麻。

 

「じゃーな。もう会うことはねーだろ」

 

そして、和麻と慎治は別れた。

 

「いや、何サラッとどっか行こうとしてるの?」

 

という訳にはいかなかった。

 

「あんだよ。俺腹減ったんだから早くしろよ」

「いやいや。目の前で殺人犯しといて何言ってんの?俺正直ドン引きだぞ?」

 

慎治の目はどういう事か説明しろと言っていた。

 

「で?」

 

和麻は、慎治からの無言の訴えをまるっと無視して続きを促す。

 

「で?じゃねーよ。説明しろって。何があってこんな事になってんだよ」

 

少し苛立ち気味に言う慎治に対し、和麻は光の無い目で見据える。

 

「知ってどうする?」

「あ?」

「知ってどうするんだよ。お前に説明したところで何も意味は無い。なぜなら、これは既に終わった事だからな」

 

だから、お前に説明する事なんて何も無い。

 

キッパリと、そう断言して踵を返し、また部屋を出ていこうとする和麻。

しかし、慎治は納得いかず

 

「人の仕事奪っといて、しかも依頼主まで殺されて、説明無しとか。ふざけてんじゃねえええええええええ!!!」

 

ズオッ!!

 

慎治の過去最高の炎が手から生み出された。

 

「うらああああああああ!!」

 

そして、そのまま和麻に炎を打ち出す。が、無意味だった。

 

「ガハッ!?」

 

慎治はいつの間にか壁に押し付けられていた。

見ると、和麻が慎治の首を掴み壁に押し付けていた。

 

「聞きたいことがあるからって実力行使とか、小学生じゃねぇんだからよ。少し落ち着けや。あと、仕事に関してはお前がお粗末だっただけだし、依頼主は自業自得で殺された。それだけだ」

 

淡々と感情の乗らない声で言われ、慎治は背筋が凍りついた。

 

「あのクソデブの被害者がクソデブに復讐した。ただそれだけだ。それ以上もそれ以下もねえ」

 

そして、慎治の首から手を放した。慎治は咳き込みながら和麻を見上げる。和麻は恐ろしく冷たい瞳で慎治を見下ろしていた。

慎治は自分は死ぬんだと悟った。

しかし、和麻はもうどうでもいいという雰囲気で部屋から出ていく。

 

「今度こそじゃーな。もう二度と会わないだろーぜ」

 

そのまま消えていった和麻を慎治は呆然と見送った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「い、以上で御座います」

 

慎治はなんとか今日起こったことを話終えていた。

 

「ふーむ...成る程。そのような事があったとは...。しかも和麻か。また、懐かしい名前が出てきおったな」

 

のう、厳馬。

 

と、当主である重悟は厳馬に話しかける。しかし、厳馬は、

 

「あの馬鹿がどうしようと私には関係ありませんな」

 

いつもの仏頂面で返答した。

 

「頼まれたからと言って、人を殺すような輩の事に興味は持ちたくありませんし、しかも風術という下術を身につけているなど言語道断です」

 

さらに、和麻と風術を貶めていく厳馬。

その時、奥にいる初老の男が歯を食い縛ったが、誰も気づく事は無かった。

 

「それに私はアレとはもう縁を切りました。なので、アレがどうしようとも知ったことではありません」

 

厳馬はキッパリと断言した。

 

(まーたこやつはそんな事言いおって。和麻が正当に評価されない事を誰よりも怒っておったくせに)

 

重悟は厳馬がどれ程和麻を気にかけていたかを知っているため、厳馬の態度に呆れた目を向ける。

そしてため息を一つ。

 

「まあよい、慎治から話は聞けたし今日はこれでお開きとしよう」

 

重悟の一言により、今日の話し合いは終了した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

突然だが、神凪の屋敷はかなりデカい。宗家と分家の両方の神凪の術者が暮らしているためだ。

そして、神凪は力が全ての家系。だから、もちろん修練場というのがいくつか存在する。

その修練場の一つで特訓をしている少女がいた。名前は神凪綾乃。神凪の現当主である神凪重悟の娘である。そして、過去に和麻に敗北した少女でもある。

そんな彼女は、和麻に敗北した日から更に修行に励み、この四年でかなりの力を身につけた。

そして、今は木刀を振り回していた。型にはまった動きではなく、変幻自在の我流だった。

綾乃は、妖魔相手に人間の型にはまった動きをしても意味は無いと考え、ならば自分のやり易いような動きをした方がまだマシだと思い、彼女は我流を極めようとしていた。

彼女が木刀を使っている理由は、綾乃があの負けた次の日に次期当主と共に受け継いだ神器、炎雷覇を使うからだ。炎雷覇は見た目は木刀に近いが、炎術師が使うとかなりの効果を発揮する、正に神凪に相応しい代物だ。

故に木刀を使った修行をしている。もちろん、炎雷覇が使えなくなった時の事も考え、体術の修行も欠かさない。

全身に玉のような汗を掻きながら、全身の力を抜く。

そして、

 

「シッ!!」

 

鋭い風切り音と共に、これまた鋭い蹴りを放つ。そして、足を下ろしてその場に寝転がった。

 

「っはあ!疲れた~」

 

大の字になってゆっくりと深呼吸する。そこに、一人の少年がやって来た。

 

「やっぱりここにいたんですね。姉様」

 

キング・オブ・ショタ。と、言わんばかりのショタショタしい少年が大の字になっている綾乃を苦笑する。

 

「あら、どうしたのよ煉。こっちに来るなんて珍しいわね」

 

煉と呼ばれた少年。姓は神凪であり、神凪厳馬の息子で、和麻の弟にあたる。

彼には和麻と違い、炎術の才能がある。まだ開花しきっていないが、それでも分家の者達では歯が立たない。

というのも、父である厳馬は神凪最強の神炎使い。兄である和麻は炎術使いでは無いが、他を圧倒する程な力を持っている。そんな二人の強さに憧れ、修行を積んできたし、更に厳馬に稽古を付けてもらっている。それで弱いはずもない。

 

「いえ、姉様に話しておきたい事があって」

「話しておきたい事?」

「はい。実はですね?僕もさっき父様から聞いたんですが、なんと兄様が日本に帰ってきてるそうです」

 

煉が嬉しそうに言うと、綾乃はさっきまで疲れが全て吹っ飛んだかのように、煉に詰め寄った。

 

「その話、嘘じゃ無いわよね!?真実よね!?」

 

煉の肩を掴みガクガクと揺らす。

 

「ほ、本当です~。ですから、落ち着いて下さい~」

 

一昔前のように目を回しながら煉は綾乃を宥める。綾乃はハッとなり、軽く煉に謝って肩を放した。しかし、今度は花も恥じらう女子高生とは思えない程好戦的な笑顔をした。

 

「ふ、ふふふふ。成る程。和麻さんが帰ってきてるんだ。今こそリベンジの時よね」

 

ふふふふ。と笑いながら、別の意味で和麻に想いを馳せる綾乃。

 

「でも、姉様。いくら強くなったと言っても兄様に勝てるんですか?」

 

かなり失礼な事を言う煉。しかし、和麻の強さを知っている煉はいくら綾乃が強いといっても和麻に勝てるとは思わなかった。

 

「そうね。正直言って、私も和麻さんに勝てるビジョンが思い浮かばないわ」

 

そして、綾乃もまた和麻に勝てるとは思っていなかった。綾乃は和麻の強さを身に染みて知っているため、例え天地がひっくり返っても勝てないと思っている。

 

「だから、リベンジというよりかは、自分が今どれだけ和麻さんに追いつけているかを試すって感じね。それに、奥の手も実戦でどれだけ使えるかを試してみたいし」

 

そう言って、綾乃は手に炎を生み出す。だが、それは普通の炎とは違い、朱金に輝いていた。

 

「やっぱりいつ見ても綺麗ですね。神炎...」

 

煉は、綾乃の手で燃えている朱金の炎に目を奪われていた。

そう、綾乃は神炎に目覚めていた。しかし、父親の重悟や他の神凪には秘密にしていた。理由は、まだ十全に扱えないからである。

因みに何故煉が知っているのかというと、ただ単に偶然見られただけである。

 

「まあ、精々出せて五分だけどね。それにしても早く会いたいわぁ。私がどれだけ強くなったか見てもらわないと」

 

瞳孔が開いてるかのように目を見開き、口は三日月のような笑みを浮かべていた。

 

 

 

 

ゾクッ!!

和麻は泊まっているホテルの一室で妙な寒気を感じていた。

 




どうでしたしょうか?綾乃をかなり強化して、好戦的な性格にしたみました。
煉君も描写していませんが、結構強くなっています。
次回はまだ未定です。

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