3歳から始めるめざせポケモンマスター!   作:たっさそ

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第19話 3歳児は博物館へ赴く

“ポケモンは通信交換によって進化する者もいる”

 

 

 という授業をレンジが生徒たちに教えていたことがある。

 たとえばゴーリキー。奴はカイリキーに進化をする。

 たとえばゴースト。奴はゲンガーに進化をする。

 

 しかし、今回俺が言いたいのは、こいつだ。

 

 

「ねえ、キミはなんでフーディンに進化したの?」

「フー………」

「いや、『フー………』じゃわからないのよ」

「ディ………」

「なるほど、わかんない。」

 

 

 そう、通信交換をしたわけでもないのに、ユンゲラーがフーディンに進化しちゃってるんだわ。

 まだ覚えている技は“ねんりき”と“テレポート”だけだ。レベルも17である。

 

 今はオレンちゃんのポケモンや新しく手に入れたポケモンの育成に力を入れていたため、ユンゲラーの育成がおろそかになっていたのだ。

 

 ミニリュウがナツメさんとの戦いの後、レベルが上がってようやく攻撃技である“たつまき”を覚えたのはよかったものの、オレンちゃんのポケモンはまだまだ弱い。

 これから勝てるかわからない。

 そのため、そろそろレベルも近くなってきたユンゲラーをレンジの手持ちからオレンちゃんの手持ちに移そうと思って、レンジのボールホルダーからオレンちゃんのボールホルダーにモンスターボールを移したら、進化しちゃったんだ。

 

 きっとフーディン自身も何が起こったのかわかっていないと思う。

 

 

「まぁいいや。キミが居ると移動が楽だから、これからも頼りにしているわ」

「ディン♪」

「さて、ねえピジョット。落ち込んでないで空の旅に連れてってよ。わたし(・・・)はピジョットの背中の上も大好きなんだからさ」

「ピジョ! ピジョットー!」

 

 

 かわいいピジョットも、移動手段を新参者のフーディンに取られてしまい、少々落ち込み気味だったが、それに気づかないわたし(・・・)ではないのです。

 みんなの心のケアはわたしにおまかせあれ。

 

 

 フゥとランは無事にトレーナーの資格を取得することが出来た。

 トレーナーズスクールの方も順調である。

 

 フゥとランが飛び級で資格を手に入れたことにより、他の子供たちも勉強する意欲が上がっているのだ

 

 お試し期間ということで、フゥとランには、レンジのポケモンを貸し与えた。

 

 授業でも大活躍の“キュウコン”と“ペルシアン”である。

 

 フゥがペルシアンを預かり、ランがキュウコンを預かって、お世話を任せている。

 

 

 今俺が持っているポケモンの中で、一番お世話が簡単な子達を渡したのだ。

 だってほら。ベトベターとか渡してもお世話の仕方なんかわかんないじゃん。

 

 わたしだってわかんないもん。ちなみに、ベトベターはお世話をしている内に次第に周りを汚さなくなってきて、むしろ勝手にゴミを綺麗にまとめてくれるので少し重宝しています。

 歩くたびにそこから草は生えなくなるという図鑑の説明だったのだが、トレーナーが誠意をもって接すれば、きちんとポケモンは答えてくれるのだ。

 今はむしろベトベターが通った跡はワックスがけしたみたいに綺麗になっている。

 

 しかし、どうしてもベトベターのお世話の仕方はわからない。

 ポケモンフーズは食わないけど、水だけで生きていけるらしい。

 高い天然水を掛けたら嫌がるし、むしろ泥水をかぶるとべちゃべちゃの顔を“ニチャア”と笑顔に変えるのだ。

 だから主食は泥水で………

 あとはきっとその辺のゴミを食ってるんだと思う。

 

 ってベトベターの話はいいんだよ。

 

 フゥとランには、どちらもレベルを32にしてから渡した。

 

 過保護………なのかもしれないな。

 そのくらいにしておけばその辺のトレーナーには負けないし、キュウコンだけでエリカ様を突破できるもん

 

 キュウコンってすごいよね。なんと言ってもあのふつくしい九尾!

 レンジが触らせて! って言ってもツンとそっぽを向いて触らせてくれない。

 

 痺れを切らしたレンジがキュウコンの尻尾に頭を突っ込んでモフモフを堪能したら

『きゅぅん!?』

 というかわいらしい悲鳴を上げてレンジから距離を取り、火炎放射を容赦なくぶっ放してきやがりましたよ。

 必死に謝ったら許してくれました。

 

 まぁレンジのアホは放っておきましょう。あいつは不死身ですからね。

 

 キュウコンの特性はもらいびで

 技構成は“ほのおのうず”“かえんほうしゃ”“じんつうりき”“あやしいひかり”

 相手が混乱しても、炎の渦で逃がさない。じわじわ舐り殺す性格の悪いキュウコンに仕上がってしまった。

 

 ペルシアンの方も、特性はテクニシャンで、

 覚えている技は“ねこだまし”“パワージェム”“スピードスター”“10まんボルト”

 

 といった、こちらも割と何でもアリのペルシアンになっている。

 “スピードスター”を“つばめがえし”にしてもいいかもしれないな。格闘対策にさ。

 

 ねむいびき型ペルシアンと迷った末、普通にフルアタックになりました。

 

 

 そんな彼らを、フゥとランにあずけ、お世話を任せることにしたのだ。

 

 キュウコンは難しい性格だけれど、ちゃんと心の優しいお姉さんだよ。

 

 虫系や粘体系のような意味不明な生物ではなく、元が動物の子達ならば、他のポケモンに比べてお世話が比較的に楽なのだ。

 

「ピジョット。ニビシティまで、よろしくね」

「ピジョットー!」

 

 

 フゥとランはトレーナーの資格を手に入れても、トレーナーズスクールにちゃんと出席している。

 

 キュウコンとペルシアンを連れてやってくるため、彼らはタマムシトレーナーズスクールのちょっとしたヒーローになっている。

 トレーナーの資格も手に入れたしね。

 

 そのおかげで、生徒たちにもいい刺激になって、前よりもレンジの授業をよく聞いてくれる。

 

 これなら、タマムシトレーナーズスクールが飛び級を量産する日も近いかもね

 ジムだってすぐ近くにあるしさ。

 

 

「ありがと、ピジョット」

「ピジョ!」

「またよろしくね」

「ピジョ! ピジョットー!」

 

 さて、そうこうしている内にニビシティに到着だ。

 

 なぜニビシティに来たのかって?

 わかるでしょ。ジム戦だよ。

 

 

 オレンちゃんのジム戦だ。ナツメさんからバッジを貰ってしまったオレンちゃん。

 ここまで来たらオレンちゃんで行けるとこまで行っちゃうよ。

 

 

 正直なところ、ハナダの洞窟でレベル上げをしたい。

 トレーナーと戦ってレベル上げをしたい。

 

 でも、こっちは3歳児。ハナダの洞窟に入れさせてもらえないし、レンジやオレンちゃんをトレーナーだと気付いてくれる人が居ないのだ。

 

 だから、ジム戦をしに来たってわけ。

 

 

「ま、その前に………ニビシティに来たら博物館に寄らないとだね」

「ブイー!」

「ピカッチュ!」

「みゅー♪」

 

 というわけで、博物館にやってきました!

 連れているのはイーブイとピカチュウ。それに、バッグの中からチラッと顔をのぞかせるミニリュウ。

 

 

 

「うっひゃー! プテラだ! プテラの化石があるよイーブイ! すっごーい!」

「ブイィ………」

「ピッカァ……‥」

「みゅー!」

 

 大迫力の化石達にイーブイも驚きを隠せないらしい。

 これが大昔のポケモンの化石なんだよね

 

「あ、ほらあっちにはカブトプスの化石があるよ!」

「ブーイ!」

「ピカー!」

「みゅー♪」

 

 うひょー! たのしい!

 たのしいねレンジ!

 

>そうだな。

 

 だよね! やっぱりそうだよね!

 

 

「あれ? オレンちゃん?」

「ふに?」

 

 突然かけられた声に間抜けな声を出して振り返ると

 

「あ、くりむちゃん!」

 

 そこに居たのはくりむちゃんだった。

 くりむちゃんはポーチを腰につけてビバ観光! と言わんばかりの恰好でわたしに手を振っていた

 

「くりむちゃんも博物館に来てたんだ!」

「オレンちゃんもね!」

 

 両手を上げてくりむちゃんの方に行ってみれば、わたしの両手に指をからませてハイタッチのようななにかをする

 

「くりむちゃん、調子はどう?」

「うん。ちょっとトキワの森でトラブルがあったけど、おおむね順調だよ! 本当ならもうちょっとトキワシティに居るつもりだったんだけど、思いのほか早くニビシティに着いたから、今はここを拠点にしているの」

「そうなんだ」

「えへへ、見て、ニビジムのバッジを手に入れちゃった!」

 

 そして、そのからませた指を離して、バッジケースを開いて見せる

 

 そこにあったのは紛れもなくグレーバッジだ。

 

「すごい! すごいよくりむちゃん!」

「えへへ、ありがとう。コレがきっとオレンちゃんじゃなくてもう一人の方の3歳児だったら、そのくらいで舞い上がるなって言うんだろうな」

 

 そうなの、レンジ?

 

>そんなわけあるか。俺だって普通にうれしいぞ。よくやっているじゃないか

 

 というか、なんで普通に会話してるの、わたしたち。

 

>いつの間にか本当に思考が分離しているらしいな。思考回路は同じなのに、不思議なことだ。

 

 ほんとうにふしぎだね。それもこれも、全部エリカお姉さまのせいなんだけどね。

 せっかく思考が二つに分かれても、どっちも心が男なのは何とも皮肉なことわ。

 

>まぁ、なんだ。それは置いといてオレンちゃんも手に入れたバッジを見せてやればいいじゃないか。オレンちゃんだって本当は自慢したいんだろう?

 

 そうだった。わたしもナツメさんからバッジを貰ったんだった。猫仕掛けとは、い、え

 

>どうした?

 

 やっぱりこれは見せられないや。わたしのプライドが許さないから。

 

>そうか。その気持ちもわかるから俺はオレンちゃんの意見を尊重しよう。

 

 ありがとね、レンジ

 さて、と。

 

「わたしもこれからニビジムに挑戦しようと思うよ! くりむちゃんは?」

「私はねぇ、もうすこしニビシティで修業を積んでからオツキミやまに行こうと思うんだ」

「オツキミ山かぁ。その近くではロケット団が出てるみたいだから、気を付けてね」

「ロケット団?」

 

 あれ? くりむちゃんはニュースには疎い子なのかな。

 

>なんでロケット団の存在を知らないんだよこの小娘は………

 

 黙ってなさいレンジ。思ったことを口に出すな。ゲームじゃ情報収集して手に入った情報だろ。だから田舎から出てきたくりむちゃんが知らなくても不自然はないよ。ゲーム知識だけで語るなニワカ野郎

 

>おま、自分が同一人物だって忘れてないか!?

 

「ロケット団ってのは、人のポケモンを盗んだり売りさばいたりする悪い奴らのことだよ。一応わたしも珍しいポケモンを連れているから、心配なんだよね」

 

 そう。たとえレベルの高いイーブイが居たとしても、ウインディが居たとしても。

 

 油断というものは何処にでも潜んでいる。

 その意識の隙間を狙ったようにレンジのポケモンやわたしのミニリュウが連れ去られてしまえば、もう戻ってくる可能性は限りなく低くなる。

 

 しかもミニリュウは色違いなのだ。

 もし見つかってしまえば粘着ストーカーのように狙われてしまうだろう。

 

 守ってくれる? イーブイ。

「ブイ。」

 ありがとう。

 

「うへぇ~、そんな人たちがいるんだぁ」

他人(ひと)事じゃないんだよ? くりむちゃんのフシギダネだって十分珍しいポケモンなんだから、ロケット団に狙われるかもしれないんだよ?」

「え、うそ! やだ、フッシーと別れたくない!」

「わたしだってそんなくりむちゃんをみたくないよ。だから、警戒するに越したことは無いんだよ。」

「わかった………」

 

 くりむちゃんがコクリと頷いたのを確認して

 

「それじゃ、わたしは今からニビジムに行くよ。じゃあね」

「あ、私もオレンちゃんのジムバトルを観戦したい!」

 

「え………いいけど」

 

 

 

 大丈夫かな。勝てるかな………

 かっこ悪い所を見せちゃいそうで怖い

 タケシに勝つ方法を考えていたら、さらに後ろから声を掛けてくる人物が居た

 

 

「おもしろそうだね。オレンちゃんのバトル。俺も見てみたいな」

 

 バトルジャンキーその2であるレッドが現れた

 

「お兄ちゃん!」

「レッドさん………」

 

「やあ、久しぶり。俺もそのジム戦を観戦してもいいかな。」

 

「いいけど、なんで観戦?」

 

「俺はまだジムバッジをゲットしていないから、参考にしたいんだ。一度負けちゃったしね」

 

 

 ああ、やっぱりヒトカゲじゃ辛かったんだ

 

 

 





 おし★らせ

 なろうの方での活動を再開するので、しばらく更新が不定期かつ時間が開いたりします。
 もうしわけない。もともと二次創作に手を出したのは小説描く意欲を活性化させるためのリハビリ的執筆だったので、本腰を入れている方に本気でとりかかるので、こちらの更新は不定期になっちゃいます。
 なにとぞ、なにとぞご了承ください。
 なにとぞーっ! なにとぞってなんなんだろうね。

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