はまち外伝   作:ふたなり2

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ほのかの片思いの相談を奉仕部で受けることに
なったのだが相手の情報が入手しにくい。
困った留美は八幡に相談をするために…


留美と八幡 ( 雨降りのバス停)

 

「一色、にこれだけは最初から言っておくが、

告白が残念な結果に終わる可能性もある。

例えどんな結果が出ても後悔しないな?」

 

八幡は、ほのかちゃんと真正面に向き合い

真剣な表情で聞いていた。

 

「はい!」

 

ほのかちゃんのポニーテールが小さく立てに揺れた。

 

「んじゃー、一色も頑張ってるし、やってみるか。」

 

「まず、浜田は彼女いないんだろうな?」

 

八幡が念押しの様な感じで私達に聞いて来る。

当然、いたらこの話無しだよ八幡…。

 

「さあ?聞いた事ないし多分、いないんじゃないかな?」

 

ほのかちゃんは下を向いて黙ってしまった。八幡はヤレヤレと

頭を掻いてボソボソ何か言ってる。

 

「望…望に聞いたら少し分かるかも。」

 

そうだった、彼女に聞いてみよう。

 

「望?誰それ?留美達のクラスメイトか。」

 

「そう、野球部のマネージャーをやってる野田 望。」

 

「クラスでもよく、浜田君達のメンバーで話してるよ。」

 

そう話してる裏で私はある事が引っ掛かった。

それは、望が何となく浜田君に気があるんじゃないかと

いう懸念だ。実はそんな噂話を少し耳にした事が

あるからた。

 

だから、聞き方によっては当然望は教えてくれないだろうし、

嫌がられる。それに、ほのかっちがイジメの対象になる可能性が

ある。ほのかは私より友達が少ないし多分、この噂話は

知らないだろう。

 

ほのかちゃんの前では言いにくいしなぁ、ライバルが短に

いる様な話聞きたくないだろうし今回の件とは少し趣旨が

外れるかも、困ったな。どうしよう?顎に人指し指を持って行き、

考えてたら思い出したかの様に閃いた。

 

「八幡、メアド教えて。それと携番もね。」

 

「あ?何だよ、ほれ。」

 

スマホをポンっと私に投げる。

 

「ちょっと、ビックリしたよ!教えるだけでいいのに。」

 

「何か分かった時すぐ連絡出来るようにする為よ。」

 

「あ、そう。」

 

「ほんと、無愛想ね。」

 

「うっせ、お互い様だ。」

 

「女の子にちょっと、失礼ね。そりゃあ…昔は少し…

今は変わったのよ!」

 

「そっか、良かったな。」

 

もう、気が利かないんだから!

アドレス見ちゃっていいのかな?見ちゃうよどれ、少なっ…

11件ってそれも半分以上女の人ばっか、雪ノ下先輩と由比ヶ浜先輩、

一色先輩……あったけど、小町…誰?

 

「アドレスとか入れていいの?」

 

「あぁ、構わねえよ。」

 

「じゃあ、入れとく……」

 

当然、私の着信表示は「ルミルミ」にしてやった、てへっ!

 

これで、望みの件も八幡に後で話せる。

 

その日、浜田君の件は望に聞き出し検討する事にして

解散する事にした。ほのかちゃんは気が楽になったのか

帰りがけには元気に笑顔が出るようになってた。

明日また打ち合わせをしようと約束をして自転車置き場で

さよならをした。

 

帰り際、また雨が降りだした。ほのかちゃんもレインコートを

着て帰ったけど、今日は降らないって天気予報で言っていたのに

駄目ね。

 

バス待ちで1人待ってたら八幡が走って追いついて来た。

だけど、傘持ってないらしく濡れちゃってる。

 

「職員室で借りて来なかったの?濡れちゃってるじゃない。」

 

「え、留美か?いや、そんなに降ってないからいいかなと。」

 

「あの…入れば。」

 

「え、何を。」

 

「傘に入ればって言ってんの!」

 

「お前の傘にか?」

 

「誰の傘に入るのよ!」

 

「バス待ってる間だけ入れたげる。」

 

「いいのか?」

 

「良いって言ってるのに濡れちゃうでしょ!」

 

「いや、生徒の傘に入るのはマズいしょ…」

 

「私がいいって言ってるんだからいいでしょ、嫌なの?」

 

「あ~分かったよ、入るから。」

 

嫌だ、八幡照れるからこっちまで恥ずかしくなる…

でもなんか……

あっ、八幡の肩濡れてるみたい。もうちょい、そっちいかなきゃ。

 

「あんまし、くっつくなよ…。」

 

「だって濡れるし、いいじゃない…。」

 

「あっ・・・ありがとな。」

 

「バスが来るまでよ、バカ…。」

 

「はい、はい。」

 

バスが来るまでの時間、八幡と相合傘になっちゃった。

偶然なんだからこっちから頼んだ訳じゃないから…

バスでも一緒だし、駅までちよっと楽しいな。

 

バスの中隣同士なんだけど八幡は 、そっぽ向いて喋んない。

いいんだけどさ、少しは相手してよね。

 

仕方ないか、あの話しないと…

 

「あのさ、いいかな?」

 

「んー、なに?」

 

「愛想ない、もっと嬉しそうにして!」

 

「てか、何で?」

 

「私から話し掛けられたから。」

 

「なに、その物凄い上から目線…?」

 

「ちゃんと聞いて!」

 

「はいはい、で何?」

 

「さっき話した野球部のマネージャーの子の件なんだけど

ひよっとしたら、その子も浜田君が好きかも。」

 

「んー、じゃ聞くの無理かもな。」

 

「うん、他を調べてみる…ごめん。」

 

「留美が謝る事はない、言ってて気が付いたんだろ?」

 

よく見てるな…。

 

「そんな感じ…。」

 

「しかし、迂闊に聞きまくると勘付かれるぞ。」

 

「うん、気を付けてみるよ。」

 

「そっか…。」

 

「うん。」

 

バスはゴトゴト揺れながら小雨の降る中を走り抜けて行った。

 

 

 


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