はまち外伝   作:ふたなり2

13 / 20


依然、季節外れに書いた由比ヶ浜の場面ショートストーリーの
手直しで丁度、梅雨に入りいいかなと思います。

親戚の家へ法事の為、サブレを預けた結衣がサブレを
八幡の家に迎えに行く場面を連想してみました。

ゲームでもそんな場面がありましたね。

結衣と八幡の少しいい感じを楽しんでもらえたらと思います。




結衣を迎えに
ちょっと、おにーちゃん!結衣さんが大変だよ!


 

 

「ちょっと、おにーちゃん!結衣さんが大変だよ!」

 

休日がいよいよ過ぎようとしている4時過ぎに雨が降り出した。

小町がそろそろとお勝手に立ち始めた頃、小町の携帯にメールの

着信が。

 

「この匂いはミートソースの匂い?」

 

う〜ん、今夜のメニューはと考えているところへ小町の

慌ただしい声が響く。

 

「結衣さん、駅で雨宿りだって、おにーちゃん迎えに行って!」

 

「え〜おにいちゃん、ちょっと忙しいんだけど…

今から千葉テレビでプリキュアとミンキーモモ見てから

お買い物情報を見なくちゃあならないからダメだわ」

 

「何それ?ゴミぃーちゃん、お買物とかいつ行くの?

あたしが行ければと〜っくに出掛けてますぅ、だけど小町は

今から夕食を作らないといけないのです。」

 

「しか〜もゴミィーちゃんや、これからサブレを迎えに来る

結衣さんの分まで作っているから行きたくても行けないんです!

其れとも可愛い〜可愛い妹の友達でもある可愛い〜結衣さんを

雨の中1人、ボッチにさせとく気ぃ?今の小町的に超ポイント

低いんですけどぉ!」

 

あざと可愛い…小町は可愛いけど小町ほど、由比ヶ浜は別に…

 

「由比ヶ浜もウチでご飯食べてくの?何で?」

 

「はぁ〜、これだからゴミィーちゃんは…。結衣さんは

親戚の法事で疲れて帰って来てるのにサブレを迎えに来るんだよ?

遅くなっちゃうんだからご飯ぐらい一緒に食べてけばいいでしょ?」

 

「何で?普通早く帰るんじゃーないの?」

 

「おにぃーちゃん、小町のやる事にケチ付けるの?」

 

「うぅっ…」

 

小町が怒っている…小町がひとたび怒り出すと

暫くガン無視を決められおにいちゃん死にそうなるから

やめて!

 

「由比ヶ浜の奴、何処にいんだぁ?教えてくれ」

 

「今、千葉駅のターミナル何だって、速く行ってあげてね!」

 

「フッフッフ〜フ♪、チ〜バぁ〜チバ、チバ、チィ〜バ、千葉〜♪」

 

何処かで聞いたフレーズだなぁ、おにぃちゃん雨の中行って来るよ。

遭難しないよう神様にお願いしてね、小町ちゃん?

 

「はいはい……」とジト目で傘を俺に渡す

 

「行ってらっしゃい〜♪」

 

何でそんなに機嫌良くなるわけ?

由比ヶ浜分の傘を持って千葉駅に俺は迎えに出掛けた。

 

「そう言えば、昔小町が小学校低学年の時学校から帰る時分に

雨が降ってきて同じような事があったな…」

 

其れはある日、学校帰りに雨が降出し小町を迎えに小町の教室に

行ったら小町と仲の良い友達が教室で待っていた。

傘は1本しかなく最初3人で入ろうとしたんだけど無理で

最後は2人に傘を押し付けて俺だけ走って帰ったっけ…

 

「小町はケロっとしてたけど、友達は何故かモジモジしてたな」

 

あの時は小町が濡れるの気にすると友達が濡れるし、友達を

濡れない様にすると小町がビチョビチョになるから

おにぃちゃん的に困って無理矢理渡したっけ。

 

後から小町と友達の追いかける様な声が聞こえたけど

家まで走ってすぐにタオルで拭いたかな。

帰ってきた小町がギャーギャー言ってたの覚えてる。

 

そんな事を思い出しながらターミナルに着いて由比ヶ浜を

探してって………あれ?

 

確かに由比ヶ浜を見つけた、が、相変わらず由比ヶ浜は

ラフな服装で由比ヶ浜によく似合ったオシャレをしている。

でも今はそんな事はどうでも良い、一緒にいるもう1人が問題だ。

 

「何で雪ノ下と一緒なんだ?」

 

雪ノ下は大人っぽい意外とシックなワンピースを

着こなしている、あ〜似合ってるけど…。

 

雪ノ下と由比ヶ浜は不安そうに辺りをキョロキョロと

見ている。どうしたもんかと思っているとこへ

由比ヶ浜レーダーに感知された。

 

「あ〜っ!やっぱりヒッキーだ!ヤッハロー!

ようやく来てくれたんだ!」

 

由比ヶ浜お前その挨拶、アタマ悪そうに見えるから

頼むからやめて!由比ヶ浜は嬉しそうに犬コロの様に

跳ねる。あ〜もう、鬱陶しい。

 

雪ノ下は同じく恥ずかしいのか俯き加減で少し顔が紅い。

 

「今晩は、かしら?随分ユックリなのね遅刻谷くん」

 

「2人で何してんの?」

 

「ヒッキーを待ってたんだよ、もぉ〜遅いし。」

 

「あたしも親戚の法事やっと終って急いで来たら雨が

降り出しちゃって、そんな時小町ちゃんからメールで

駅に迎えに行くから待ってて言ってくれたの。

それで何気に待ってたら偶然、ゆきのんとバッタリ会ったの」

 

「もうすぐ小町ちゃん迎えに来てくれるってメールで

連絡くれたし時間まで話してたんだよね!」

 

「ところで小町さんは?」

 

雪ノ下が俺に聞いてきた、

何処かにまだ小町が隠れているんじゃないかと

まだ周りを見ている。

 

「あ〜小町、夕飯作ってて手が離せないんだと」

 

また小町の要らん世話が始まった。

まんまとハメられた訳だ。

 

「え〜と由比ヶ浜、じゃ、また明日な」

 

「ナチュラルにさよならされたぁ〜!?」

 

「何だよ、分かってるよお前も帰るんだよな、

傘が無いから待ってたのか?」

 

「すぐに帰らないし!うっ、…だってこれからヒッキーの

処へサブレを迎えに行かなきゃあいけないし…もしかしたら

ヒッキーも来るかなって思ったから…そしたらヒッキーが

来てくれたね!」

 

何だか微妙な言い回しだな?俺が来ちゃあダメなの?

ガハマさん!

 

「ほれ、雪ノ下持ってけよ」

 

「えっ?傘…私の分あるの?」

 

「無いけどお前も困ってるんだろ?」

 

「何故、私が傘を持ってないと言うの?」

 

「じゃあ、持ってるのか?」

 

「別に持ってなくてもキヨスクかコンビニ行けば買えるし

貴方に心配される覚えはないのだけれど」

 

「勿体無いだろ、いいから持ってけよ明日返して

くれればいいから」

 

「そぅ…… ありがとう」

 

「それで貴方達はどうするの?まさか相合い傘では?」

 

「バッカお前、恥ずかしい事言うんじゃね〜よ

一応、俺ん家に行くんだし由比ヶ浜とはそんなんじゃ

ないから、それから小町とは何度か傘に入れてるから大丈夫だ」

 

「うん…、あっ、小町ちゃん、羨まし……、

はぇっ?あ〜いやいや、助かったかなって」

 

由比ヶ浜が何故か雪ノ下の方をチラチラと

見ている。視線を感じるのか雪ノ下も落ち着きがない。

 

「あまり話しても遅くなると悪いからここで失礼するわね。

由比ヶ浜さん、比企谷くん、また明日…さよなら」

 

「あっ、ゆきのん、ありがとう!また、明日ね!」

 

「あ〜悪い、じゃ〜またな」

 

「ええ、さよなら」

 

雪ノ下はターミナルの路線バスの方へ何故か寂しそうに

行ってしまった。

 

「ゆきのんに悪い事しちゃったね」

 

「いいんだ、雪ノ下の分は聞いてないし仕方ない」

 

「ゆきのん、ヒッキーに送ってもらいたかった

のかなぁ〜」

 

「そんなんじゃ〜ね〜よ」

 

「あたしは、あたしは……迎えに来てもらって凄く嬉しいかも…」

 

「バッカお前、勘違いしちゃうだろ。遅くなるし

急いで帰るぞ!」

 

「あっ、いじわるしないで…急に速くならないで濡れちゃうよ。

少しだけなら遅くなってもいい、雨もゆるくなったし」

 

「小町が夕飯作って待ってっから急ぐぞ」

 

「え〜っ?そんな悪いよ〜!小町ちゃんに迷惑かけ過ぎ

ちゃってるし厚かましい過ぎるし〜」

 

「俺には迷惑かけ過ぎじゃ〜ないの?」

 

俺はいいのかよ

 

「ヒッキーにも悪いよぉ、甘え過ぎだし」

 

「小町がいいって言ってるから大丈夫だ。それに

みんなで食べた方がうまいしな」

 

「ヒッキーもその方がいい?嬉しい?」

 

「あぁ、まぁ〜いいんじゃないの」

 

「じゃ〜お言葉に甘えて、ご馳走になろ〜っと

サブレにも早く会いたいし楽しみ!」

 

そんな話をしながら日がくれた小雨の中、

由比ヶ浜と相合い傘で歩くのはなんだろ…

俺の中で由比ヶ浜が凄く特別な存在になってる感じがした。

 

だけど、いつもいつも自分を戒めていないとミスをする。

そう…勘違いをしてはいけないのだ。

 

小町の策略で俺は罠にハマっているんだ!

 

由比ヶ浜が雨に濡れたくないからワザとさっきから

くっついて来るんだ。甘い香りが堪らないからもっと、

離れろよ!

 

「おい、ガハマさん、少し近い…近いから」

 

「だ〜って濡れるもん!いいじゃん!」

 

二の腕に掴まってくるし、それにさっきから柔らかい物が

当たってるって、もう当ててるし!

 

「あ〜近いし、ビッチって言うぞ!」

 

「ビッチじゃないし!嫌なの?濡れるし!」

 

「分かったから、もうすぐだからな」

 

「やんっ!冷たい!」

 

「もうちょっとだけ、近くによってもいいから」

 

「ありがと・・・・」

 

「夕飯楽しみだね〜♪」

 

「お口に合えばいいけどな」

 

「え〜小町ちゃんの料理美味しそうだから

心配してないよ」

 

「そりゃそうだ、ガハマさんが作るんじゃないから」

 

「酷いくない〜?そうだ、今度あたしの家で

あたしの料理食べてくれない?」

 

「えっ?由比ヶ浜の?………」

 

「ダメかな…?」

 

「う…あ〜いや、機会があればな」

 

「あ…うん、機会があればね!」

 

やれやれ助かった食べて倒れたらシャレにならん。

うっかり約束はしないよう気を付けないと。

 

「その前にちゃんと練習しとけよ」

 

「酷い、で何時にする?」

 

「だから、いつか機会があればな。おっ、やっと

我が家だ!帰ったぞぉー!」

 

「誤魔化された〜!」

 

 

 

………………

 

 

雨の日もたまにはいいかもしれない。

由比ヶ浜がもうちょっと離れてくれたら…

 

翌日の雪ノ下の視線が何時になくキツく

機嫌が悪かったのは気のせいだろうか。

 

 

 


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。