宇宙戦艦YAM@TO完結編(ディンギル・アクエリアス戦役)   作:Brahma

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6500万年前の地球....
キュウウウウウウウウウ...
ユカタン半島付近に高速で小惑星が落下していく。
地上に激突すると閃光...
グオオオオオオオオオーーーーーンンン
激しい爆煙...
すさまじい爆音が響きわたった。
そして地球の気候は激変し、爆煙が成層圏を覆い、黒雲に覆われた。
そしてイリジウムが地表にふりそそぐ。
それから地球に襲いかかったのは小惑星の主星である水惑星からの巨大な水柱だった。
水柱は、地球の引力によって引っ張られ地球に怒涛のごとくふりそそぐ。
落雷、激しい水の激流が地球の地表を覆って荒れ狂う。
恐竜たちは濁流に飲み込まれ阿鼻叫喚の叫びをあげて渦にのみこまれた。
すべてを飲み込むとなぎのように静まり、水惑星が離れ去るとなにもなかったように雲がはれ、日光がさした。

そして1万5千年前、地球は、偉大なる族長カインの子孫族長レメク、豪奢な極彩色の衣装をまとう妻アダ、そして竪琴と笛を奏でる才に恵まれたその子ユバル、揺れる美しいアクセサリーをまとう妻チラ、チラの子で鍛冶屋で軍事技術者のトバルカインの一族によって支配され、中心部には黒々としたコウモリのような翼をもち細面だが頭に角を生やし、あぐらをかいて長大な斧を持ついかめしい神像が祭られた神殿を中心に壮麗な都市が築かれ、繁栄を誇っていた。しかし、地上に人の悪が増し、常に悪いことばかりを心に思い計り、堕落し不法に満ちていた。

「(神は)地上に人を造ったことを後悔し、心を痛められた。」(創世記6:6)
「神は地をご覧になった。見よ、それは堕落し、すべて肉なるものはこの地で堕落の道を歩んでいた。」(創世記6:12)
「見よ、わたしは地上に洪水をもたらし、命の霊を持つ、すべての肉なるものを天の下から滅ぼす。」(創世記6:17)

そして、再び水惑星は地球を襲った。1万年前のことだった。40日40夜雨は降り注いだが、当時地球、すなわちテアマトに住んでいた者の一部は救われて、3000光年先の星ディンギルに保護された。それは世界各地に洪水伝説として伝わっている。やがて地球から救われた原テアマト人は、自分たちを救った原ディンギル人を滅ぼしてディンギルを支配することになる。

それから1万2200年後、銀河系に前代未聞の異変が起こっていた。



第1話 銀河系の異変

銀河系の異変は次元断層によって異次元からの赤色銀河と水惑星が出現したことによって引き起こされた。いきなり銀河系にのめりこむようにして現れた赤色銀河の星々は銀河系の星々と衝突を繰りかえす。交差角度があったため、オリオン腕は直接の被害は免れたが小規模な異変は起こっていた。火球、隕石、隕鉄の数がかってないほど地球にふりそそぎ、オーロラが極地方でないのに見られ、流星雨が頻繁にみられるようになった。

そして、この異変に対し、地球連邦政府は...

キイィィ...

「お呼びでしょうか。」

長官室に、頭に赤い一対のリボン、黒い「閣下服」に赤いチェックのスカートをはいた若い女性が姿を見せる。

「ああ...春香、じゃなくて天海中将、よくきたわ。」

春香はうなづく。着ているものがピンクのカーディガンとか白いジージャンに青スカートのような普段着で街中であったならどこにでもいそうなただのかわいい女の子でしかないが、数々の武勲と功績により若くして将官にのぼりつめていた歴戦の優秀な指揮官なのである。

「この度の異変のことはよくわかってるわね。状況視察のため、いて座核恒星系方面へ出動して。」

「ヴァ..じゃなかった、はい、天海春香、ご命令をお受けし、ただちにヤマトで出動します。」

こうして状況視察のため、宇宙戦艦ヤマトが銀河系いて座方向、核恒星系に派遣された。

 

「右15°反転。面舵いっぱい。」

「雪歩。ガルマン・ガミラス本星は?」

「11時の方向、3.5光年に位置するはずですぅ。」

返事をしつつ、雪歩は機器ににむかい必死に呼びかける。

「ガルマン・ガミラス本星、ベオバレラス受信局、聞こえますか?ベオバレラス受信局?こちらオリオン腕地球連邦所属宇宙戦艦ヤマト。応答願いますぅ。」

「応答はないようね。」

「...。」

「今なら隕石群の流れはおだやかになっている。小ワープなら可能よ。」

「では、千早ちゃん、小ワープ用意。」

「了解。」

ヤマトの姿は宇宙空間から消えた。

「機関、船体ともに異常なし。」

「ガルマン・ガミラス本星まで10宇宙キロ。」

第一艦橋から見えるのは隕石の落下によって破壊され、見るも無残に荒れ果てた都市だった。

デスラー総統府が中央部から折れ曲がって傾いている。

「デスラー総統の命運はつきていたのかしらね。」

律子がぼそっとつぶやく。

 

「春香。」

「?」

「恒星が衝突しようとしているわ。非常に危険よ。」

律子が警告を春香に伝える。

「うん。わかった。」

「なるほど。赤色銀河のバルジと銀河系のバルジがもろにぶつかり合っているから異常に星の密度が大きいのね。普通だったらありえない現象が起きている。」

「4光年四方に恒星が10個~20個あたりまえにあるわね。爆発してもおかしくない年老いた星も珍しくない。」

「千早ちゃん。爆発の勢いが激しい。このままだと飲み込まれちゃう。」

「春香。ワープ計算ができないのよ。どこにワープするかわからない。」

「だけど千早ちゃん。ここにいても助からないよ。とにかくワープしよう。」

千早はうなずくと

「無差別ワープ。」

と宣する。

 

「ワープ終了。」

「波動エンジン異常なし。」

「どうやら助かったみたいですぅ。」

雪歩が皆に話しかけるように話す。

「みたいね。」

律子がつぶやくように返事をする。クルーは安堵の表情で、ふうっ...と呼気を吐き、額を腕でなでる。

「現在位置、太陽系から銀河系中心方向に3000光年。」

「!!」

「前方、10宇宙キロに惑星。直径地球の0.97倍。」

「探査衛星を飛ばして。」

「了解。」

 

1時間後...

「探査衛星から観測結果受信しました。」

「!!」

そこには打ち寄せる津波のような激しい激流が惑星表面をおおっている様子が映し出された。続いて激流に都市が飲み込まれる画像も映しだされる。

「す、すごい洪水ですぅ。」

「地球じゃ考えられないスケールね。」

「千早ちゃん。前方の惑星に降下しよう。」

「春香。あの洪水のなかに降下するのは非常に危険よ。」

「コスモハウンド、発進準...。」

左舷が開き、コスモハウンドが発進しようとするが激流に飲み込まれる。

「!!」

「春香。無理よ。これじゃあ二重遭難になってしまう。」

「春香。ヤマトを発進させるわ。」

「千早ちゃん。」

「船の制御は限界だわ。艦の内部に浸水してしまう。内部をさらすことになるからある意味宇宙気流を通過するよりも危険だわ。」

「...。」

「ヤマト地球へ向けて発進。」

 

「こちら全天球レーダー室。」

「回遊惑星らしきものを確認。」

「データ分析をお願いします。」

「了解。」

 

「解析結果デマシタ。回遊惑星ラシキモノハ地球ノ直径ノ二倍弱。表面ハ多量ノ水デ覆ワレテイル巨大ナ水惑星デス。軌道計算ニヨルト例ノ洪水ニナッタ惑星付近ヲ2日前ニ通過。異常接近シタタメ、惑星ノ引力デオヨソ600兆トンノ水ガ惑星ニフリソソギ洪水ニナッタモヨウ。光速ノ二分ノ一デ太陽系方面ヘ移動中。」

「恐ろしい星ですぅ。」

「雪歩。至急防衛軍司令部へ打電して。」

「了解。」

 

「この水惑星が地球に異常接近した場合、地球は水没を免れませんが6000年後のことですので地球の文明が進んで何らかの対策がとられると推測されますので心配はないと考えます。」

「春香に伝えて。任務お疲れ様。直ちに帰還せよと。」

「了解。」

 

防衛軍司令部から受信するとヤマトはただちにワープし、帰還した。そのヤマトに対し数宇宙キロからひややかに視線を注ぐ者がいたが、クルーには思いもよらなかった。

 

地球から銀河系中心方向3000光年の宇宙空間には壮大な都市要塞が浮かんでいた。

都市要塞の下部はごつごつした岩盤になっており、上面は道路が走り、一種の巨大な空母のように見える。

「アンティパス・ド・ザールよ。わが母星の最後はみとどけたか。」

「コ・ヤース大神官大総統。われらが母星ディンギルは、特殊な組成に大量な水が浸透した結果大爆発を起こして消失した模様。母や弟もおそらく...。」

「やむをえんだろう。この世は強い者が栄えるためにのみある。弱い老人や女子供など滅びて同然。」

「諸君。われわれはあのアクエリアスによって宇宙の放浪者たる運命を課せられた。しかもこの都市要塞ウルクのエネルギーには限界がある。速やかに移住先をみつけなければならない。」

「諸君。見たまえ。」

画面に太陽系が映し出される。太陽は画面上アプスと表示されている。太陽に近い順からムンム(水星)、ラハム(金星)、テアマト(地球)、テアマトの衛星キング(月)、ラーム(火星)、キシャル(木星)、アンシャル(土星)、アヌ(天王星)、エア(海王星)、ガガ(不明。土星の衛星のように見えるからタイタンかまたはエリス、セドナ、クワオワーなどカイパーベルト天体のいずれかか?)が描かれていた。

「これは、銀河系外周方向、3000光年先にあるスペクトルG型のアプス星(太陽)系だ。三番目にテアマト(地球)がある。われわれは、そのテアマトに移住するのだ。」

画面に地球が大写しになる。

「テアマト....なんと美しい星だ。」

ディンギルの男たちはため息をいて、口をついて出た言葉がそうであった。

「だがテアマトにも戦う力はあるだろう。われわれは、異次元からの赤色銀河の衝突によってアクエリアスの軌道が変わったこの状況を生かすことにする。次元空間質量移送光線でアクエリアスをワープさせ、テアマトを水没させ、テアマト人どもを絶滅させる、そして水が引いた後に移住する。それまでテアマト人をテアマトに封じ込めなければならない。」

「アンティパス・ド・ザールよ。」

「はつ。」

「お前にアプス星系制圧艦隊司令長官を命ずる。テアマト人どもを宇宙へ避難させてはならぬ。」

「御意。」

 

「我がウルクの岩盤が生む曲線反重力波を次元空間質量移送光線、いわゆるワープ光線に変換増幅し、アクエリアスに共鳴振動を起こさせて一気にワープさせます。」

「ただし、あれだけの質量をもった星ですから一回のワープは150光年が限度です。ワープさせた後は、エネルギー充填に23時間、照射に1時間かかりますからテアマトまで20日かかる計算になります。」

「うむ。テアマト人を封じ込め、20日後にはテアマトを必ず水没させるのだ。早速一回目のワープに取り掛かれ。」

「御意。」

 

「第一次岩盤エネルギー抽出率100%。エネルギー変換増幅装置作動。」

「エネルギー増幅率70%....80%....100%」

「次元空間質量転移機への転送完了。」

「ワープ光線照射。」

一対の次元空間質量移送機から光線が照射される。

アクエリアスが見かけ上橙色に変化していく。そしてやがて宇宙空間から消失した。

「アクエリアス、質量移送完了。ウルクワープ準備。」

「ワープ。」

やがて都市要塞ウルクも宇宙空間から姿を消した。




次元断層によって異次元から出現した水惑星で地球を水没させようと画策する者どもが蠢動をはじめる。

春香が命令を受ける場面追加(2/22,17:38)

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