忙しさと無気力で完全に読み専となっていた如月です
さて、ラスボスとオーディンが登場で物語も終盤
少しずつ次話も書き始めてるのでしばらくおまちください
では30話目どうぞ!
「膨大な魔力を感じ来てみればやはりお前だったか、聖。」
突然現れたのはかつて聖の両親が決死の思いで倒したはずの最強のマホウツカイ。オーディンだった。
「本当に生きていたのか。あのまま永遠に眠ってくれていれば良かったのにな」
聖は目の前に現れた絶対強者に対して動揺していた。
まさかこんなタイミングに現れるなんて。
「確かに私はあの時死を覚悟した。だが、
オーディンは2年という年月を得て母、雅の絶対零度の牢獄から抜け出し、マホウを修復して復活した。だが、その魔力は完全には回復していないようで2年前ほどの威圧感は感じられない。
「わずか2年と言えど随分と力をつけたようだな。聖よ」
「それはどうも。それで、復活を果たした最高神様は僕の魔力を奪いにきたと?」
「いや、私はまだ目覚めたばかりでな。一度、仮死状態になったせいで舞台が消滅してしまった。ゆえに舞台を整えるために時間が必要になる。それに私はまだ目覚めたばかりでな。魔力も体力も万全とは言えぬ。それに」
オーディンはユーリとディアーテェを見た後、上空を見上げた。
「異世界の魔法、
「そうか」
「3日後だ。舞台が整い、魔力が回復し次第、貴様の魔力をもらおう。無論、逃げられると思うなよ。何処に逃げようと貴様を見つけ出し我が宿願を叶えて見せよう」
そう言い、オーディンは姿を消した。先の戦闘の疲れで聖は気を失い倒れた。
「ここは……。アースラの医務室か」
聖は目をさまし先ほどのことを思い出した。オーディンがもう復活している。
オーディンを前にした時の恐怖を思い出して震えた。
確かに僕はマホウツカイとしてかなり成長した。
だが、あいつの圧倒的な魔力。そして能力。正直勝てる気がしない。
奴を打倒するとしたら、思いつく方法は二つ。
僕のマホウの神話魔術、概念殺しの主神の一撃を最大出力で放つ。
しかし、魔術を練る時間が問題だ。魔術を練りながらオーディンの攻撃を捌くのはかなり困難だろう。
二つ目は相手がこちらを攻撃する瞬間、すなわちオーディンが創造する無限の空間という絶対の壁を一時的に消すであろう瞬間を狙い攻撃し
「どちらにせよ勝率はかなり低いが、やるしかないか」
聖はベッドから起き上がり近くに置いてあった上着を着て部屋から出る。
「さて、皆はどこかな?」
聖がアースラの艦内を歩き回っているとユーノとクロノに会った。
「聖、もう起きて大丈夫なのか?ユーリとの戦いでかなり消耗したのではないか?」
「あぁ、大丈夫ですよクロノさん。寝たらほとんど回復しました。ところでユーリって?」
「ほんとマホウツカイの回復速度には驚かされるね。ユーリはシステムU-Dのことだよ。覚えてないの?ディアーテェが言ってたじゃないか。ユーリ・エーベルヴァイン。それが人として生まれた時のお前の名だって」
「あぁ、そういえば。その後の方が衝撃的で忘れてたよ」
「こちらとしては、あの時現れた人物について詳しく聞きたいが、まずは食堂に行こうか。みんなそこに集まっている」
食堂が近づくと何やら騒がしい声が聞こえてくる。中に入ると、なのは、フェイト、はやてがそれぞれのレプリカ、レプリカじゃあ失礼か、マテリアルの3人と仲よく話を……。はやてとディアーテェはそんな感じでもなさそうだな。
「あっ、聖君!もう大丈夫なの?」
「なのは、お疲れ。体はもう大丈夫だよ。マホウツカイとの戦いはあまり経験したことがないから精神的にはかなり疲れたけどね」
「あの!」
突然U-D、いやユーリが声を上げるが、なかなか続きを言おうとしない。ユーリが言葉を紡ぐのを待つと、ユーリは聖の目をしっかり見て。
「わ、わたし、ユーリ・エーベルヴァインです。私を止めてくれてありがとうございます!」
そういい、頭を下げてくる。
聖は笑顔を浮かべ、ユーリの頭に手を置く。
「あぁ、どういたしまして。僕は聖だ。十六夜 聖。よろしくな、ユーリ」
「はい!聖!」
聖はユーリの頭から手を放し、真剣な表情でいった。
「さて、砕けえぬ闇事件は終わったが話すべきことが二つある」
「マテリアルたちとの事、それと最後に現れた男のことか?」
「そうです。クロノさん。マテリアル3名、そしてユーリのことは僕に任せてくれませんか?」
「ユーリがマホウツカイだからか?」
「そうです。僕としてはマホウツカイに関することはできるだけ隠しておきたい。それにユーリの能力である
前にクロノやリンディさんから聞いたことがあるが管理局の上層部の一部では黒い噂が絶えないとの事。そりゃ時空を管理するほどの巨大な組織なら黒い面も当然あるだろう。
「僕の保護者のような人が孤児院をやっているのですが彼はマホウに関しても理解があります。なにかあったときにも対処できるでしょ」
聖はユーリを聖者の教誨に預かってもらおうと考えていた。
そこの職員に一部には
クロノさんにそのことを話したが直ぐには結論を出せそうにないので保留となった。
「それで、聖。もう一つの話というのはあの時現れたマホウツカイのことですか?貴方はオーディンといっていましたが彼は一体……」
「「「マホウツカイ!?」」」
ユーリの言葉に全員が驚愕する。
「ユーリは気づいていたか。そうだ。彼、芳野創世はマホウツカイだ。北欧神話の主神、オーディンの名を冠する最強のマホウツカイ。彼の目的はただ一つ。魔力を集めて究極魔法に至ることだ」
「究極魔法って母さんがやろうとしていた儀式のこと?でもあれってジュエルシード10個分位の魔力が必要じゃなかった?」
「そうだ、フェイト。儀式には膨大な魔力が必要となる。あいつはその魔力を集めるために最悪の決断をした。」
聖は2年前に起きた出来事を語りだした。
マホウツカイ同士の戦争、
「そうだったんだ。聖君の両親はその時に」
「あぁ、殺された。みんなそうだ。あいつの強力な能力のせいで戦うことから逃れられず、殺し合い死んでいった。中には強力な力を持ったマホウツカイもいた。概念を操る、クロノカイロス。平行世界に干渉し、光速で動く魔術拳士。オーディンに近い膨大な魔力を持ち、時間を戻すことのできるマホウツカイ。みんなオーディンに消された」
「ちょっと待ってくれ聖。マホウツカイというのはみんな常識はずれの力を持っているのか?概念、平行世界、そして時間だと?」
クロノさんが頭を痛そうに抑えながら聞いてきた。
僕はとりあえずユーリにマホウツカイのことを聞いてみることにした。
「ユーリ。マホウツカイって大体こんな感じの能力もっているよね」
「いえ、そんなことはありませんよ。なんですか?貴方の見てきたマホウツカイのレベルが高すぎるだけじゃないですか?私が見たことのあるマホウツカイは五感に干渉したり、分子の運動を停止させたりとそんなもんですよ」
ユーリも過去にマホウツカイと戦ったことがあるのかいくつか能力を上げていく。そいつらもめんどくさそうな能力もっているな。なんだよ分子運動の停止って。
「話を戻そうか。とにかくあいつは究極魔法に至るために僕を殺してその魔力を奪おうとしている」
「究極魔法ですか。それでオーディンでしたっけ。彼はそんな禁忌に手を出してまで何をしようとしているのですか?」
「命の創造だよ」
オーディンの目的にみんなが驚愕する。それはプレシアが
「命の創造!?いくらマホウツカイといえど消えた命を復活させるなんてことは不可能です!」
「そうだな、ユーリ。いくら
そう、死者を完全に生き変えさせることなんて本来は不可能だ。プレシアは歴史を変えることでアリシアの蘇生を行おうとしたが、たとえ蘇生させたとしても歴史の修正力が働いて何らかの形で命を落とすだろう。
歴史を書き換えるには本来、宇宙の誕生から消失までが記されているアカシックレコードにアクセスし、その対象の本質を理解しなければならない。
聖のスキルの一つである
まがい物ではない完全な命の回帰など本来あり得ないのだから。
「だが、だからこその究極魔法だ。マホウにできないのならそれを超える能力を使うだけだ。オーディ
「
「
オーディンの能力にみんな声を失っている。
「だが、安心しろ。プレシアのときと違って究極魔法で世界に影響が出ることはない。命を創造するだけだからな。後、君たちはこの件に関わるな。これは僕の戦いだ。決して戦闘に参加しないように」
「まて、聖!それだけの相手に一人で挑むつもりなのか!」
「そうだよ聖君!みんなで力を合わせれば」
「クロノさん、なのは。無謀なことは理解している。だが貴方たちがいたところで何もできない。マホウツカイを相手するにはマホウツカイでなければ意味がない。マホウを破壊できるのはマホウだけだからね」
いくら魔導師が集まってもマホウツカイには勝てない。マホウはマホウでしか破壊できないという原則があるからだ。
それに魔導が扱えるといっても人間という点はかわらない。人間が神に抗うなんて自殺行為だ。
「たとえ勝率が限りなくゼロに近くてもやるしかないんだ」
聖は右手に自身のマホウ「
「母はマホウの研究者だった。母の研究していた発掘された超金属に不用意に触ってしまった結果、僕はマホウツカイとなった」
今度は左手にキセキ「極光の雷槍」を生み出す。
「父はキセキツカイだった。いくつもの戦場を駆け抜ける蒼い稲妻。全てを射抜く槍の達人。槍術と魔術の扱い方を教えてもらった」
父と母から授かったマホウとキセキ、二つの力。
これがなければ戦争に巻き込まれることもなく、二人が死ぬこともなかっただろう。
だが、この力のおかげで救えたものもある。
「両親の敵、オーディンは必ず僕が打倒して見せる。魔力を全て使い尽くすまで足掻いてやる。必ずお前を殺してやる」
どうも書いた後に寝ようと思うとなかなか寝れなくて寝不足になる