魔法少女リリカルなのは 召喚せし者の軌跡   作:月宮如月

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PC版のカデンツァが再び発売延期か……。
絶望したよ、チクショー!!


第26話 偽物

荒れた大地。太陽の光が届かないほど厚い雲。

荒廃しきった世界でただ二人、同じ顔をもつ二人の人間、いや、マホウツカイが死闘を繰り広げていた。

 

「はああああぁぁっ!」

 

黄金色の魔力を身に纏い、目にもとまらぬ速さで動き、空気を裂くように鋭い槍撃を放つ聖。

 

「喰らい尽くせ。パンドラ!」

 

もう一人は漆黒の魔力を身にまとい、その周りに不気味な黒い瘴気を纏っているレプリカ。

 

お互い魔術で強化した驚異的な身体能力で攻撃を躱し、突き、捌く。槍を何度も打ち合うが、両者の力量は互角だ。

しかし、レプリカの武器は戦略創造技術兵装―パンドラ。打ち合うたびに魔力が削られていくのを感じ、あきらかに長期戦になると聖は圧倒的に不利だ。

しかし聖はレプリカを打倒する方法よりもなぜ、自分のレプリカがこのような姿なのかを考えていた。

 

(奴は闇の書の負の意思が創りだした偽物。過去の人間や心の底にある負の感情を実体化させたようなものって言ってたが、こんなレプリカが現れるということは僕は究極魔法をあきらめきれてないのか)

 

「お前はなぜ、究極魔法をそんなにも求める!!」

 

「お前も俺なら分かるだろ!あんな現実は受け入れてたまるか!こんな世界、俺は認めない!書き換えるんだ、俺が究極魔法に至って、この世界を!現実を!」

 

「ふざけるな!人を傷つけ、魔力を奪い、究極魔法に至るまで何十人、いや何百人犠牲になると思っている!!そんな犠牲の上に成り立つ幸福なんて僕は欲しくない!!」

 

「そんなきれいごとが通用する世界じゃないだろ!この世界は弱いものから失い、淘汰される理不尽ばかりの世界だ!俺は世界を書き換える!俺がこの世界の究極魔法使い(神)になる!!」

 

「レプリカごときが!偽物が本物にかなうと思うなあぁぁっ!!」

 

「お前こそ、偽物が本物にかなわないなんて思うなあぁぁっ!! 全てを喰らえ!来い闇の眷属たちッ!!」

 

パンドラから発せられる黒い負のオーラが爆発して、先ほどよりも多くの蛇が聖を目掛けて飛んできた。

 

「クソッ!十六夜流槍術―螺旋円舞ッ!!」

 

聖は槍を高速で振り回して蛇たちを打ち落としていくが、その数か多い。

全てを捌くのは無理だと判断した聖は瞬間魔力換装で後ろに飛んで距離をとった。

 

(神話魔術で一掃する!)

 

マホウに魔術を込め、槍が黄金色に輝く。

 

「魔術を十分に込められないが、この程度の蛇ならこれで十分だ。神討つ閃光の神槍ッ!!」

 

聖の放った神話魔術は全ての蛇を消滅させた。しかし、レプリカの姿がいつの間にかに消えていた。

 

「十六夜流槍術―狼牙ッ!」

 

「がぁっ!」

 

いつの間にかに聖の後ろを取っていたレプリカは聖の死角から神速の突きを放つ。

「狼牙」は速さを重視した突き。聖は全く反応できずに攻撃を喰らうが体には「書き換える我が世界」を発動していたため傷はない。だが

 

「おいおいどうした?オリジナル。大分魔力を消耗してるようだな」

 

先ほどのレプリカの持つパンドラの攻撃でかなりの魔力を奪われた。「来い闇の眷属」も蛇が聖のマホウに触れても魔力を吸われるようで聖自身、消耗してきた。

 

「これで終わりだ!オリジナル!!」

 

レプリカは「狼牙」の構えを取り、突撃してきた。それを払おうとしたが、聖の槍は空をきった。レプリカが出したのは「狼牙」ではない。

 

「十六夜流槍術―朧」

 

フェイントを出した後に本命の一撃を与える「十六夜流槍術―朧」。本命の2撃目が無防備となった聖に放たれようとしている。

 

「終わりだ」

 

しかし、聖はまだ奥の手を隠していた。

左手を虚空に伸ばして聖の持つ方一つの武器を呼び出し、その能力を行使する。

 

「まだだ!疾光迅雷(タービュランス)!!」

 

雷鳴が轟き、聖は雷速となって後方へ回避し、攻撃を避けた。

聖の手には蒼い稲妻のような魔術で輝いている一振りの槍

 

「極光の雷槍(ブリューナク)だと!?」

 

右手に戦略破壊魔術兵器―世界樹の槍(グングニール)、左手に戦略創造技術兵装―極光の雷槍(ブリューナク)を携えた聖がいた。

 

「悪いな、偽物だからと言って侮っていたよ。それほど、僕の心の奥底にあった感情が強いってことなのかな。だから」

 

マホウとキセキ。二つの槍が黄金色と蒼色に光り輝き、魔術が込められていく。

 

「僕の強さを持って自分の弱さ、過去への未練を断ち切る!」

 

「ふざけるなああぁぁー!!」

 

レプリカが叫ぶとパンドラから発せられる黒いオーラがより一層強くなった。オーラは何百、いや何千匹もの蛇となり、槍に纏わりつき、巨大なランスのようなものとなった。

 

「喰らい尽くせ!パンドラ!! 世界を呑み込む大蛇の魔槍(ミドガルズオルム)」

 

「過去を断ち切り、未来を切り拓く!これがキセキとマホウの融合だ!勝利をもたらす双光の神槍(アスガルドヴォルフ)!!」

 

レプリカが放ったのは雷神トールの命を奪うほどの毒をもつ巨大な蛇の名を持つ神話輝術。

あらゆる生命の魔力を喰らい尽くす毒毒しい漆黒の魔力の奔流が聖を目掛けて放たれた。

対する聖が放ったのは神話魔術にして神話輝術。二つの力をあわせた複合魔術。

両者の渾身の魔術がぶつかり合い、大爆発が起きた。

 

 

 

 

「くそっ!納得のいかない決着のつき方だな」

 

「だが、僕の勝ちだ」

 

両者の神話魔術は互角だった。が、レプリカの方は少しずつ体が消滅していった。

パンドラはあらゆる魔力を奪う槍。それは所有者も例外ではなかいため、だが、神話輝術に全魔力を使い果たして自身を維持できなくなっていた。

 

「この夢はもう終わりか。ははっ、結局理想には敵わなかったか。こんな理不尽な世界を書き換えたかった。もっと優しい世界に……」

 

レプリカは光となって消えていき、ガラスが割れるような音がするとともに、元の世界に戻るとともに浮遊感が襲い、直ぐに魔力で足場を創り空中に留まった。

 

「やばい、魔力を使い過ぎた……」

 

魔力も体力も消耗して魔術を使うのもかなりしんどい。

レプリカとの戦いで消耗した聖は直ぐにアースラと連絡を取り、回収してもらった。

戦っている間にいくつか進展があったようだが疲れていたのであまり聞いてなかった。

とりあえずヤバそうだったら起こしてと伝えて仮眠を取ることにした。

 

 

システムU-Dとの戦いに備えて少しでも魔力を回復させなければいけない。

無限と呼ばれるほどの能力を持ったマホウツカイ。あの時感じた彼女の魔力。

あれは僕と同じ、いや、それ以上の魔力を持っている。

そしてあの紅い魔力。オーディンによく似た感じがした不吉な魔力。オーディンのように「死」そのものとまではいかないが、それに込められているであろう破壊の力を感じた。

 

(彼女は僕が相手をしないと、皆が死ぬ。いや、星ごと。もしかしたら世界まで壊されてしまう)

 

 




多機能フォームがなぜかいかない。まぁいいか。

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