「やるか……。
聖は強襲を仕掛けるべく身体能力を強化し、
「ぐッ!」
闇の書は咄嗟に防御したようだ。膨大な魔力を持っているせいかその防御魔法はかなり強固のようだ。だがその衝撃は完全に防げずに、闇の書は吹き飛ばされた。
「まだまだ!
聖はさらに加速をした。魔力操作をひたすら練習していた聖の魔力操作はを自在に行えるほどになっていた。その圧倒的な速度を利用した神話魔術を繰り出した。
「
「なっ!?」
闇の書には聖の姿が消えると同時に自身の周囲に九人の聖が現れたように見えただろう。
聖は一瞬のうちに九つの槍撃をほぼ同時に繰り出した。闇の書はその攻撃に対応できず、全てをくらい地面に叩きこまれた。
「がっ!」
「これで、終わりだ!!」
聖は闇の書に止めを刺すべく
闇の書は先の攻撃で相当のダメージを折ったせいで回復に専念しているのか動けない。
聖は闇の書に終止符を打つべく
「聖君ダメー!!」
そこで、なのはとフェイトがどこからか飛んできた。
「聖君!ちょっと待って!!」
「闇の書を消滅させちゃうと中にいるはやてまでが……」
「……悪いが待つことはできない。闇の書の主に構う必要はない。このままでは世界が滅ぶ。早急に対処するべきだ」
聖は闇の書を見据えながら、
聖はすでに決断している。闇の書の主の死を以て、闇の書の宿命に終止符を打つと。
「でも、きっと助ける方法があるよ! ユーノ君もそれを調べてくれてるんだから!」
「とにかく私たちは一度話をしてみるよ」
そういって二人は闇の書の方に飛んで行った。
あれは話を聞くような相手ではない。ただ破壊を繰り返す魔導兵器だ。
「あいつ等!そんな考えで取り返しのつかないことになったらどうする! 今なら一人の犠牲で済むんだ! 助けるなんてできるかもわかならい方法が見つかるのを待っているわけにはいかないのがわからないのか!!」
「マスター!落ち着いてください!!」
「っ!カメリア…」
「確かにマスターの言うとおり一人の犠牲で世界を救えるのならそうするべきです。ですがまだ主を救うことをあきらめていな人たちもいます。ユーノ・スクライアもまたそれを調べてくれています。自身の友人たちを信じて賭けてみてはいかがでしょうか」
「だが!」
「…たとえ絶望を突きつけられても、敗北って現実を見せつけられても全部乗り越えてみせる。くだらない常識なんて超えてやる」
「っ!? その言葉は……」
「えぇ、あなたの父、祐司がオーディンと戦った時に言った言葉です。彼は最後まで諦めませんでした。わずかな希望を信じて戦い見事にオーディンを倒しました。だから、諦めないで戦いましょう!マスター!そして闇の書も、その主も救いましょう!」
(カメリアの言うとおりだ。僕の両親はオーディンという決して敵わない絶望を前にしても諦めず戦い、勝利した。なら!)
カメリアの言葉で聖は冷静さを取り戻して
「そうだったな。忘れていたよ。父さんに教えてもらったこの世で最も強い力っていうのを!僕もこの程度の困難を乗り越えて見せる!なんせ僕は人類を超越した召喚せし者なのだからね!!」
魔導器ブリューナクをその手に、聖は宣言した。
「救ってやるさ! 闇の書も、その主も! 闇の書の破壊という運命を僕がこの手で断ち切ってやる!」
聖side out
なのは Side
聖と別れたなのはとフェイトは闇の書に近づき、なのはが話しかけた。
「あの、闇の書さん! 私たち、はやてちゃんとヴィータちゃんと……」
「わが騎士はお前たちを討ち、ナハトの呪いを解き、主を救うと誓った。そして我が主は目の前の絶望が悪い夢だと願った。我はただそれを叶えるのみ。主には穏やかな眠りの内で永遠の眠りを―」
「ッ!!」
闇の書の足元にベルカの魔方陣が展開された。
「そして、我らにあだなす者たちには永遠の闇を!!」
闇の書の魔力が解き放たれ地面から無数の火柱のようなものが打ち上げてくる。
2人はそれを避けながら散開していく。
しかし、なのはの直ぐ上に闇の書が現れ、左手のパイルバンカーを突き立てた。なのははレイジングハートで防ぐが、杭が付き出ると防御を貫通していきで打ち落とされた。
「なのは!!」
フェイトはなのはが一瞬で落とされたのをみて気を引き締め、カートリッジをロードした。
「クレッセントセイバー」
鎌状にしたバルディッシュから魔力刃を飛ばしてそれを闇の書が左手で防ぐ。その瞬間に背後に回り込み斬りかかろうとしたが闇の書は受け止めていた魔力刃をフェイトの方へ返した。
「なッ!!」
フェイトはデバイスで受け止めるが、その間に闇の書が左手を突出し魔力弾を放ちフェイトを吹き飛ばした。だが、
「コンビネーション2、バスターシフト!!」
「ロック!!」
バインドで動きを止めさせ、2方向からの同時砲撃!
なのはとフェイトはカートリッジをロードしてチャージを始める。
「「シュートーッ!!!」」
二つの砲撃が闇の書に放たれた。しかし、闇の書はバインドを破り、瞬時に左右に張った防御魔法でその砲撃を難なく防いで見せた。そして、
「貫け」
闇の書の周囲に無数の赤いナイフが出現して二人に直撃。そしてバインドで二人の動きを封じた。
「これって!?」
「私たちの魔法!?」
「我が騎士たちが身命をとして集めた魔法だ。お前たちに咎がないことは分かっている。だがお前たちがいなければ主と騎士は心静かに聖夜を過ごすことができた。のこり僅かな時間を暖かな気持ちで過ごすことができた」
闇の書は涙を流しながら話しかけた。
「はやてはまだ生きてる!それにシグナム達だって―」
「もう遅い。闇の書の宿命は始まった時が終わりのときだ」
「まだ終わりじゃない! 終わらせたりしない!!」
なのはとフェイトは諦めずに語りかけるが闇の書は無言で左手を構えて。魔力弾を放ってきた。
「「ッ!!」」
「まったく、危なっかしくて見てられないね」
その時、雷鳴がすると同時に一筋の閃光が駆け抜け、その魔力弾を切り裂いた。
そこには蒼く光り輝く雷光の魔術を身にまとった。聖の姿があった。
「聖君!」
「聖!」
「お前は……」
「悪いな二人とも、遅くなった。僕は決めたよ、闇の書を救うって!その可能性が限りなくゼロに近くてもいい!最後まで足掻いてやるさ!!」
「聖君……。うん!一緒に助けよう!闇の書さんを!」
「……無駄だということがなぜわからない。闇の書が完成した今、私を止めることなど誰もできない」
「そんなこと知るか! 行くぞ、闇の書! その運命、僕が斬り拓いてみせる!!
「ッ! 速い!!」
「はあああああぁっ!!」
聖は
その速さに闇の書は反応できず、攻撃をくらってしまう。
「ぐあぁっ!!」
聖は追撃を仕掛けるわけ度もなく、槍の構えをかえて、魔術を練り始める。
「ひとつ教えてやる。闇の書、この世で最も強い力を知っているか?」
「何?」
聖は槍に魔術を込めながら、イメージする。鋭く、より強い一撃を。
そしてブリューナクの穂先に魔力でできた刃が生成される。その刃は雷光の魔術を得て眩い輝きをみせている。
「それは断じて君の闇の力ではない!」
魔術を込めた槍を目の前で凄まじい速度で旋回させる。
「この世で最も強い力。それは、ただまっすぐに希望を見据える人の心だということをなーっ!!」
聖は闇の書に向かって高速で回転させたブリューナクをその勢いを殺さないまま雷光の刃を叩きつけた。
「十六夜流槍術奥義―銀狼風神閃ッ!!」
聖の持てる最高の槍術を使い、闇の書を吹き飛ばした。その隙に二人のバインドを解いた。
「聖君、闇の書さん大丈夫かな?」
「安心しろちゃんと非殺傷だ。あのくらいやらないと話を聞いてくれないだろ。それにほら」
聖が視線を向けると、ボロボロになりながらも立ち上がる闇の書の姿があった。
「闇の書さん。お願い!私たちの話を聞いて!!」
「助けたいんだ。あなたのことも、はやてのことも!」
「……私はもうじき意識を無くす。そうすればすぐにナハトが暴走を始める。意識があるうちに主と騎士たちの望みをかなえよう」
なのはとフェイトの声に全く耳を傾けようとしない闇の書は、書を開き槍のような無数の魔力を放ってきた。
「この駄々っ子!!」
フェイトがバリアジャケットを変化させソニックムーブを使い槍を躱しながら近づく。
「あの馬鹿ッ!」
それを見た聖は直ぐにフェイトを追いかける。フェイトは鎌状にしたデバイスで斬りかかるが盾に防がれる。そして開かれている闇の書から不吉な魔力が放たれる。
「お前にも心の闇があるだろう」
「ッ! フェイト!!」
咄嗟にフェイトを後ろに引き戻す聖だがその魔力を浴びてしまった。闇の書に吸い込まれるような感覚になり、すこしずつ意識がなくなっていく。
「聖!?」
「安らかに眠れ」
薄れていく意識の中で闇の書のさびしげな声が聞こえた。
この世で最も強い力。イルムフリートさんのセリフを引用しました。カデンツァやっていてこのセリフが一番頭に残ったような気がする。
イルムさんカッコいいよね。神話輝術の総てを守りし全霊の拳 ハイデルベルクなんて単純にして最強!って感じで
次話は早ければ明日にはあげられそうかも