魔法少女リリカルなのは 召喚せし者の軌跡   作:月宮如月

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体調不良と卒論でかなり遅れたな…。


第15話 究極魔法

 

 

「へぇ、あなたこれが何かわかるなんてあの組織の関係者かしら? 召喚せし者(マホウツカイ)さん」

 

「僕が召喚せし者ってわかっていたのか。そうだよ、僕の母親は貴様と同じ魔法使い(ユグドラシル)だったからね。 だが蘇生なんてできるのか? 究極魔法はあくまで力のさらに上位の奇跡を起こすものだ。それも魔法使い(ユグドラシル)である貴様の力でできるのか?」

 

「えぇ、私の力なら蘇生することが可能よ。もっとも魔法使い(ユグドラシル)の身でできる可能性については賭けになるけどね」

 

アースラのみんなが内容が理解できないまま、僕はプレシアと話していると艦長さんが僕に聞いてきた。

 

「聖君、どういうことなの? 究極魔法っていったいなんなのですか?」

 

「究極魔法とは甚大なる魔力を一気に戦略破壊魔術兵器(マホウ)へと流し込み、戦略破壊魔術兵器(マホウ)の持つ能力を瞬間的にオーバーロードさせることによって、本来備え持つ能力のさらに上位の奇跡を生み出すという、禁断の秘術です」

 

「つまり、プレシアは君と同じ召喚せし者(マホウツカイ)なのか!?」

 

「違うよ、クロノさん。 プレシアはおそらく戦略破壊魔術兵器(マホウ)に適合しなかった。 だからあいつは戦略破壊魔術兵器(マホウ)の力を自身と融合しない状態でも引き出せるように研究したんだ。 あいつは僕が持っているような戦略破壊魔術兵器(マホウ)の能力、人智を超えた力を戦略破壊魔術兵器(マホウ)と融合せずに扱うことができる超常存在。それが魔法使い(ユグドラシル)だ」

 

「私はもう一度取り戻してみせるわ アリシアの笑顔を! その可能性が僅かでもあるのなら私はなんだってする!! そしてアリシアを蘇らせるまでの間、私が慰みに使うだけのお人形。アナタはもういらないわ。何処へなりと消えなさい!」

 

フェイトは聞きたくないといった感じに耳を塞いでいるが、

 

「いい事を教えてあげるわ、フェイト……アナタを造りだしてからずっとね、私はアナタが……大嫌いだったのよ!」

 

その言葉を聞いた瞬間、フェイトの目には光が無くなり、力無く崩れ落ち、なのはが慌てて抱き止めた。

 

「フェイトちゃん!」

 

「フェイト!」

 

 なのはとアルフの呼びかけに全く反応しない。

 

「ハハハハハハ……!ハハ、ハハハハハハ……!」

 

気持ち悪い笑い方だな。しかし蘇生を行うための究極魔法か…。

 

「なぁ、プレシア・テスタロッサ。 僕とゲームをしないか?」

 

「ゲームですって?」

 

「そうだ。 僕が一人で貴様の所にジュエルシードを持って乗り込む。 僕を撃退できれば貴様の勝ち。 ジュエルシードが手に入って蘇生の確率が上がる。なんなら僕が究極魔法を行ってもいい。魔法使い(ユグドラシル)が究極魔法を行えるかは賭けなんだろ? 僕の力なら確実に蘇生できるよ」

 

「なっ! 聖! 君は何を言っているんだ!?」

 

プレシアは数秒ほど考え込んでいたが、

 

「いいわ。そのゲーム乗ってあげる。なんなら残りの戦力全員でかかってきてもいいわよ。 私には決して敵わないのだから」

 

そう言いプレシアとの通信は切れた。

 

「聖! なぜあんなことをいったんだ!!」

 

「究極魔法を使わせないための時間稼ぎだ。 あのくらい言わないと儀式を待ってくれそうにないからね。 さっきも言った通り究極魔法とはマホウの能力のさらに上位の奇跡を起こす禁術だ。 あいつの能力次第で世界が滅ぶ」

 

「なっ!」

 

「どういうことですか!?」

 

「あいつの目的はアリシアの蘇生といった。蘇生となるとそれの影響で歴史が変化する可能性がある。たとえば究極魔法でアリシアが死ななかった世界を引き寄せようとすると、フェイトが存在しない世界に代わる。よって、フェイトの干渉した世界にはなんらかの変化が起き、その変化によっては他の事象に影響していくことになる。なにも起きないかもしれないが、最悪世界が滅ぶこともある」

 

僕は例えを上げて説明した。プレシアの目的は究極魔法による蘇生。蘇生を行うなら時間操作、平行世界へのアクセス、歴史改変、魂の創造のいずれかだろう。高確率で歴史に影響が及ぶ可能性が高い。

 

「つまりプレシアに究極魔法を使わせるわけにはいかなんだよ。 例え僕が負けても僕が究極魔法を行えば歴史への影響を抑えることも可能だ。 だから艦長さん、僕はあいつの所に乗り込む」

 

そういい転送ポートに向かおうとした時。

 

「待つんだ、聖。 プレシアは何人でもいいといったんだ。僕も行く」

 

「やめた方がいいですよ、クロノさん。 相手は召喚せし者よりも高みにいる最強の人間です。 死ぬかもしれませんよ」

 

「あぁ、覚悟はしているさ。 協力者ばかりに頼るわけにもいかないからね」

 

「私もいくの!」

 

「僕も!」

 

クロノに続きなのは、ユーノまでもついてこようとする。

 

「……自分の身くらいは自分で守れよ」

 

あいつとの戦いの前に引き離せばいいかと思い、仕方なく3人とも連れて行くことにした。

 

 

 

 

 

僕たちは転送ポートに向かい時の庭園に向かう。時の庭園で出迎えたのは、

 

「なんだ、この鎧の大群は?」

 

「傀儡兵だ。魔力を動力とする人形だよ。それに、大群なんて言うのはまだ早い。ここはまだ入り口だ。中にはもっといるはずだ」

 

「人形か。 なら手加減する必要はないね」

 

そういいマホウを具現化させるが、クロノがそれを制した。

 

「クロノさん?」

 

「君はプレシアと戦うために少しでも魔力を温蔵させるんだ。この程度の相手、僕一人で十分だ。ハアッ!!」

 

そういいクロノは聖の前に出て、突撃してくる傀儡兵に杖を振るう。

 

<Stinger Snipe>

 

クロノのデバイス、S2Uが放った魔力弾が一気に二体貫いた。

 

「僕が道をつくる! 君たちは先に行け!!」

 

そういいクロノは追加の詠唱を行い、先の魔力弾が加速を伴って急降下した。魔力弾は一気に四体の傀儡兵を貫通し爆発させる。

 

「行くぞ! なのは、ユーノ!!」

 

「えっ、でも!?」

 

「クロノさんなら大丈夫だ! あの人がこの程度の人形相手に後れを取るわけがない!!」

 

聖たちはクロノが作ってくれた道を駆け抜け内部に入る。

 

内部に入りしばらく進むと開けた場所についた。そこから通さないと言わんばかりに先ほど以上の数の人形がいた。空中用か羽を持つものが多く見受けられる。

 

「今度は私たちが道をつくるの! ユーノ君! サポートお願い!!」

 

「分かったよ、なのは!」

 

ユーノがバインドで敵の動きを止めてなのはが砲撃で破壊していく。二人に連携で人形は少しづつ数が減り奥に進めそうになり、駆けだそうとした瞬間、

 

「なのは!」

 

ユーノの声で振り向くとユーノがバインドで抑えていた人形が、バインドを破りなのはに迫り、手に持った斧を振り上げた。

しかし、人形に雷が落ち、その斧が降り下げられることはなかった。

 

「あっ」

 

 なのはがなにかに気づき上を見上げる。そこには

 

「フェイトちゃん!?」

 

フェイトはなのはの元に降りてきた。

 

「私は、母さんに言いたいことがある。だから私は母さんのところへいく」

 

「フェイトちゃん! 私も協力するの!」

 

次の瞬間、壁が壊されてさらに多くの人形と巨大な人形が現れた。

 

「凄い数だけど、二人でなら」

 

 フェイトの言葉になのはは顔を輝かせる。

「うんっ、うん!」

 

「行くよ、バルディッシュ」

 

「こっちもだよ、レイジングハート!」

 

 それぞれの相棒に声をかけデバイスが形を変える。

 

「サンダーバスター!!」

 

「ディヴァインバスター!!」

 

 二人の砲撃が数十体もの人形をに放たれ、

 

「「せーの!」」

 

 二人の掛け声とともに魔力が一気に膨れ上がる。

 

―ドオオォォオン!

 

 そして人形ごと城の壁を破壊した。しかし人形は再び出てきて道を塞ごうとした。

 

「行って! フェイトちゃん! 聖君!」

 

「僕たちは人形をくい止める!」

 

そういい残りの人形を相手に魔法を放つユーノとなのは。聖はフェイトの案内でプレシアのいる部屋に向かう。しかし、プレシアの部屋の前には大小さまざまな人形が十数体ほどいた。だが、

 

「邪魔を…するなあああぁぁぁ!!」

 

聖は魔力魔術兵装をつかい加速した。魔導師なら苦戦を強いられるであろう人形も数体いるが、召喚せし者(マホウツカイ)である聖にとっては大した相手ではない。壁や天井を蹴って縦横無尽に人形を破壊しながら駆け抜けた。そして、

 

「薙ぎ払うッ! 十六夜流槍術――絶影円月!!」

 

片足を軸にして体を回転させての薙ぎ払い、一薙ぎで周囲の人形は切り裂かれ、離れていた敵はその旋風により吹き飛ばされた。そして扉を壊してプレシアがいる部屋に入った。

 

「来てやったぞ、プレシア・テスタロッサ! 貴様の野望もここまでだ!!」

 

「母さん!!」

 

聖とフェイトが部屋に入ると、プレシアが杖を持って立ち上がった。

 

「ようやくここまでこれた…あなた達を倒し、全てのジュエルシードをこの手に収め私は究極魔法に至るわ!! 」

 

 




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