魔法少女リリカルなのは 召喚せし者の軌跡   作:月宮如月

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第11話 管理局が異世界から来たそうですよ?

「こっちだ。かあさ……。艦長がお待ちだ」

 

クロノが先導して歩いていくので、なのはとともにその後ろについていく。

 

「ああ、君たちはバリアジャケット、変身魔法を解除するといい」

 

なのははバリアジャケットを解除し、ユーノが光って人間になった。やっぱりこいつ化けてたか。

 

「ふええぇぇぇぇ!! ユーノ君って男の子だったの!?」

 

「え? でも、初めて会ったときは人間の姿だったよね」

 

「違うよ! 最初っからフェレットの姿だったよ!!」

 

ユーノは人間の姿を見せたと思い込んでいたようだ。というか男の子ってわかってたら一緒に温泉に入ろうなんて、なのはが言うわけないだろ。なのはとユーノが騒がしいがとりあえず。

 

「クロノさん、そいつ小動物に化けて女湯に突撃していました」

 

「ちょっ! 聖!?」

 

「なに? 管理外世界で魔法を覗きに使うとは、これは見過ごせないな……。 後でそちらの話を聞く必要があるな」

 

二人してユーノに軽蔑の意を込めて視線を向けると、こちらに焦ったように割り込もうとする。

 

「二人とも、僕は別にそういうつもりは」

 

「「黙れ淫獣」」

 

「酷いよっ!」

 

「さて、この話は後にして、艦長を待たせているのでできれば早めに話を聞きたいんだ。 艦長室はこっちだ。 ついてきてくれ」

 

再度咳払いしたクロノについて歩くこと数分。一室の前でクロノが足を止めたので、同じく立ち止まる。

 

「艦長、来ていただきました」

 

クロノの言葉と共に自動で扉が開いた。室内の光景があらわになって、

 

「「は?」」

 

中の光景を見た僕となのはの目が点になった。棚には多数の盆栽が置かれて、一段高くなっている畳の上には茶器一式。畳の傍には鹿威しまである。こうゆう場所って趣味でここまで改装していいものなのかな。ここが艦長室? いや、畳の上にさっきモニター越しに会った艦長さんが正座しているけど……。

 

「お疲れ様。まあ、御三人ともどうぞ楽にして♪」

 

にこやかに言う艦長さんの薦めに応じて、畳に正座する僕達。

 

「どうぞ」

 

「あ、どうも」

 

「ありがとうございます」

 

差し出された抹茶と羊羹を受け取る。しかしこいつ砂糖を入れ始めたよ。抹茶の良さがわかってないな。

 

「それで、早速だけど貴方達が事件に関わった経緯を教えてくれるかしら?」

 

会話の口火を切ったのはリンディさんだった。僕はユーノに視線を移す。気がついたユーノは一度頷き口を開いた。

 

「それについては僕から。僕が語るべきことですから」

 

「えっと、ジュエルシードは僕達スクライア一族が発見して、管理局に渡しに行く途中に事故があって、この地球の日本、特に海鳴市にジュエルシードが落下してしまったんです。何とか僕だけで回収しようと思ったんですけど、ジュエルシードが現地生物に取り憑いて、僕だけでは回収が不可能になりました。そこでこちらの高町なのはと、十六夜聖に協力してもらって、何とか回収している状態です」

 

「そう、貴方の判断はとても素晴らしいわ」

 

「だが、同時に無謀でもある」

 

「無謀ね。つまり危険だからという理由で管理局が来るまでなにもするなと? ユーノが動いたからこそ被害が少なかったというのに貴様はなにをいっているんだ。 ジュエルシードの危険性は貴様らが一番よく知っているだろ。 さすが管理外というだけにこの世界が滅んでもどうでもいいと」

 

僕は静かに怒りながらそういった。

 

「なっ! そんなことは」

 

「クロノ、やめなさい。 ごめんなさいね、頭の固い子で」

 

「いえ」

 

「後のことは、私達管理局が何とかします。 ですので、もうジュエルシードを探す必要はありません」

 

「君たちは今回のことは忘れて、それぞれの世界に戻って元通り暮らすといい」

 

「えっ でも!」

 

納得できないとなのはが口を出す。

 

「次元干渉に関わる事件だ、民間人に介入してもらうレベルの話じゃない」

 

「戦力は足りているのか? あの場に出たのは君ひとりとなると人手不足なのでは?」

 

あの場に一人で来たということは対処できるほどの人材が少ないとだろうから、こちらに協力を求めると思ったが違うのだろうか。

 

「でも、急に言われても気持ちの整理がつかないでしょう? 一度戻って、三人でゆっくり考えて。後日、改めてお話しましょう?」

 

あぁ、そういうことか。

 

「こいつ、こっちから協力を申しださせていいように扱うつもりだよ。 人として最低だな。 子供の良心に付け込むとか……」

 

「っ!」

 

僕が思ったことを口に出すと艦長さんが驚いた。この様子だとあたっていたようだな。

 

「反論はなしか。 沈黙は肯定と受け取るよ」

 

「艦長! なぜ黙っているんですか!? 民間人を巻き込むつもりだったなんて、そんなはずは」

 

「すみませんでした」

 

「艦長!?」

 

謝罪を口にした艦長さんに愕然とした目を向けるクロノ。

 

「彼の言った通りこの艦にはジュエルシードに対応できるような人はあまりいません。 お願いします! 私達に力を貸してくれませんか!」

 

全く最初からそういっておけばいいものの。

 

「わ、私はいいと思う! だって、放っておいたら大変なことになっちゃうんだろうし、ジュエルシードを集めるって自分に誓ったから!」

 

張り切るなのは。ユーノも否はないらしく首を縦に振る。結果、場の視線がこちらに向いた。

 

「最初からそう頼めよ。 僕も手伝ってもいいが、無償はいやだね。 なのでこちらの要求を呑んでくれればいいよ」

 

「分かりました。 それでその要求とは」

 

「デバイスがほしいので、作り方を教えて実際に作らせてください」

 

「「は?」」

 

「そのくらいいいよね。 今後、君たちの世界に行ってみたいとも思ってるから魔導に関わることもあると思うしね」

 

「え~っと デバイスをつくるには資格が必要なのだけど……。 こちらが要望のものを提供するというのは駄目なのかしら?」

 

「駄目です。 資格は取るので材料や設備を無償で提供してくれればいいです」

 

「わかりました。 では、事件が終わり次第そのようなサポートができるようにします」

 

よし、これでいろいろ研究をして魔導とキセキの融合デバイスを創ってやる!

 

「とりあえず詳しい話は後にしませんか? 貴方たちに協力するということで僕はしばらくここにいようと思うので、一度帰らせてくれませんか?」

 

「わかった。 なら送っていこう。 元の場所にある公園でいいね」

 

「僕は明日の早朝にまたそこに来るので回収してください」

 

アースラから公園に転送されると僕は家に帰り明日からアースラに乗り込むため学校に適当な理由をつけてしばらく休学すると連絡をした。なのははどうするんだろ? 魔法のこととか家族に話すのかな。

 

Side out

 

 

リンディside

 

彼らをクロノに頼んで地上に送ってもらい、深いため息をついた。たかが九歳という意識はなかったとはいえ、私の考えを簡単に見破り、あそこまで言われるだなんて・・・。

 

「艦長、少し宜しいですか?」

 

通信主任のエイミィ・リミエッタが部屋へ入ってきた。今日撮れた彼らの戦闘データの解析が終わったのだろう。

 

「今日のデータの解析が終わりました。 高町なのはちゃんは魔力量AAAクラスはあります。 魔力だけに限るとクロノより上です 分類的には砲撃魔導師ですね それでもう一人なんですが……」

 

「十六夜聖さんがどうかしましたか?」

 

「魔力量は測定不能でした。 それにリンカーコアが存在していないみたいなのでどうやって魔法を使っているのかも一切不明です。 なんらかのレアスキルを持っていると思われます」

 

「リンカーコアが存在しないですって!?」

 

私はその事実に驚愕した。ジュエルシードの暴走を抑えるほどだ。相当な魔力を持っていることは分かっていたが測定不能とは。それにリンカーコアが存在しないのに魔法を使っていた彼は何者なのだろうか。

 

「少し話を必要があるみたいね」

 

 




ユーノが淫獣扱いされるのはこの世の心理?

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