ピクニック隊長と血みどろ特殊部隊   作:ウンバボ族の強襲

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 誤字報告いつも大変ありがとうございますです……ど、努力してます……!!



  ついに……本日…‥・!!



  18時30分よりTOKYO MX
  19時00分よりBS11にてGEA最終回群『メテオライト編』放送!!


 何だかんだで半年待ちました!! 待ちました!! 
 きじーまんのショタ声! きじーまんのショタ声!!きじーまんのショタ声!!!
 

 この小説を読んでいる(と思われる)すべての皆様もGEAを応援していることを願いつつ……。

 








 



 

 



phase31 「ごめんなさい」

 

 

 

 

 極彩色の色合い――翡翠色と橙色の羽毛を全身にまとった美女の姿を視界に入れる。

 『誘引フェロモン』に乗せられてきたらしい――感応種にも効くんだ、とここで新しい発見。

 

 

「CP。こちらブラッドー04。こちらの動きは把握してるとは思いますけどオリガちゃんと合流しました……今、イェン・ツィーの真後ろを取っています」

『CP了解――――シエルさんバイタル危険です下がって下さい!』

 

 

 うわぁ……同時進行……。流石のフランさんでも、混線を禁じ得ないっぽい……。

 

 と、思いながら一度深呼吸。改めて決意。

 

 

「これより交戦を開始します。オペレートお願いします」

『ちょ……!? 正気ですか副隊長……!?』

「すいません、もう決めたのでー……というか今のこの距離からだと今からトンズラしたところでもう絶対捕捉されるので背後撃たれて死にます。その位だったら真正面から戦ったマシなんですぅ! 分かって下さいこの断崖絶壁絶体絶命を!」

「何ビビってんですか神威さん! がんばりましょー!」

 

 フランさんは数秒間だけ、信じられない……遂に狂ったんですか……イカれてる……とのボヤキを繰り返しながらも、他の戦闘域のオペレートをこなしている。そして、ついに。フランさんは……キレた。

 

 

 

『分かりました……もう分かりましたよ……。……どうせ、みんな、いなくなる……ふ……フフフフフ……』

 

 

 

 

 

「ふ、フランさーん……!?」

 

『地獄の宴の開幕じゃぁああああああああ!! 総員に通達! ブラッド副隊長これより感応種と交戦開始!

ジュリウス隊長中型種乱入! エミールさんヘルマンさんウコンバサラ追加!! せいぜい足掻きなさいな……聞かせて下さいよ断末魔を! 一心不乱の断末魔を!』

 

「フランさぁああああん!?」

『01了解。総員、完膚無きまでに叩き潰せ!! 奴らが存在した痕跡をこの世に残すな!!』

『ふっ……! 相手にとって不足はない! 騎士の魂は折れはしない!! チェストォオオオオオオオ!』

 

 

 

 ……。

 

 

 

 状況やべぇ……。

 

 

 

 

 

「神威さん行きましょう……先制はこっちにありますよ!」

「……そ、そうだねー……」

 

 神機を銃形態に変形。

 シユウ種共通の弱点――頭部に狙いを定めてロックする。

 ……チャンスは一回。

 

「当たって……!」

 

 炎属性のバレッドが銃口から射出。(オリガちゃん命名)鳥女の顔面にヒット。

 美姫の顔が……ゆっくりこっちを向く。

 顔の部分は見えない――だが、口元はハッキリと見えた。形の良い唇が、弧を描く。

 ……嗤っていた。

 

「行くよ!!」

 

 地面を蹴る――真正面から殴り込んでくる妖鳥の真上に跳んで回避。

 すれ違い様に捕食。着地と同時には真後ろを取る。再び銃形態に戻し、アラガミバレッドを装填する。

  

 

 このアラガミは気づいて居ないだろう――今、自分が立っている場所が『綺麗な地面』であることに。

 

「これでーー!!」

 

 一回だけバックステップショット。距離をかせぐ――イェン・ツィーをロックに入れたままで。

 

『偏食場パルスの大きな乱れを確認! 周囲のオラクルが集まっています! 注意して――』

 

 フランさんの声が届く。

 だけど、今更色々遅い……動作は変えられない。装填したバレッドに沿って、神機の中のオラクルが構成されて、放つ。

 薄く輝く白い閃光弾が銃口から飛び出た。一瞬羽根の様なものが見えないでもない。

 かなり綺麗なオラクルバレッドが――イェン・ツィーの手前の地面を抉る。衝撃や爆風で細かい傷をいくつも作る。

 

 と、同時に。

 

 その地面一帯が爆破した。

 

 

 

 アラガミ弾を利用した誘爆――これが直撃したなら、たとえ中型種と言えども無傷という訳にはいかないだろう。……上半身だか下半身だかが吹き飛んでくれれば……と思う。

 

 

 

「……っ!?」

 

 

 だが……イェン・ツィーは……。

 下半身――羽毛に覆われた長い脚部を損傷してはいるものの――それ以外のコアを傷付けるまでには到らなかった……という結果になる。

 

「なんで……!?」

 

 オウガテイルを一撃と仕留める位破壊力のある地雷――そんなものを踏みつけて、何発も直撃して……なんでまだ立っていられるのか? 何か情報を探ろうにも全部消し炭に帰した今は何も残っていない。

 直前で回避したのか、何かが盾になって直撃できなかったのか……。

 

 いずれにせよ。使える武器がまたひとつ減った。そのことが重くのしかかる。

 

 

「神威さん!!」

「な……!」

 

 今ので完全にブチ切れたらしい鳥女が、奇声を上げた。

 耳ざわりな高音をはり上げて虚空へ吠える。空気がガラリ、と一変する。

 

 何かが来る……でも、何が起こるのかが分からない……!

 

『警告! 大気中のオラクル濃度上昇……アラガミが形成されます!!』

「ど、どこからぁ!?」

『大気中だっつてんだろ』

「は、はいっ!」

 

 本当に大気中のオラクル濃度が凝集し、地面が割れ、小型アラガミが何処からともなくあらわれた。

 

「な、何ですかこれ!?」

『アラガミです』

「見れば分かりますぅ!」

『じゃあ聞くんじゃねぇよ…………。……シエルさん戦闘不能! 誰か助けに行って下さい!』

 

 見た目はオウガテイルに似てる……。だけど問題は一気に4体も出てきたことだ。

 でも……一体ずつなら……!

 そう思って神機を握り込む。

 

 

 

 

『ブラッドー04! 危険です狙われてます!!』

「はいぃ!?」

 

 

 そのオウガテイルモドキ、4匹が……一斉にこっちにかかってきた。

 

 

「えぇええええ!? き、聞いてないよ!!」

『言ってません』

「結構応答してくれますねフランさぁん!」

 

 こうなったら奥の手……!

 

 神機を近接形態に戻して、ゼロスタンスに構えなおす。

 そして、前方へと斬り込んでブラッドアーツを……と、思った瞬間。

 

 何故か、発砲音が響き前方オウガテイルモドキが沈んでいく。

 

 

「……沈みましたよ神威さん! ……捕食しちゃってくださーい!」

「オリガちゃん!? い、今……! 今……私ごと……私ごと……!?」

「………………まっさか~……信じてましたよ神威さん!」

「……」

 

 オリガちゃん……味方ごとぶっ殺すスタイル……やめよう?

 と思いつつも体は正直なもので勝手に腕が捕食機構を起こし、勝手に神機を捕食形態に変形させていた。

 

 んなことをやってるうちに。

 

 

 イェン・ツィーが低空飛行で突っ込んできた。

 回避――が間に合わない。すぐに装甲を展開。円形のバックラーが噛み合い、赤い火花が散る。

 上手く受け流せたことに安堵した瞬間――右肩から背中にかけて焼けるような痛みが疾走った。

 

「っ……!」

 

 痛い熱い、痛い……負傷で頭がパニック状態になる。

 何が起こったかまるで分からない。

 アラガミの攻撃? 背後から……? だから……何かが後ろに居たことに……。

 

「――8時方向! コクーンメイデン!!」

「このっーー!!」

 

 恐怖を打ち消すように怒声を張り上げて銃を乱射した。放たれたオラクル弾が50メートルほど離れていたコクーンメイデン2体を、穴だらけにしていく。不意打ちされた怒りに任せて――背筋が凍りつく。

 ……無駄弾を撃ちすぎた。弾倉が残り10パーセントしかないことを告げる――。

 

「しまっ――」

「神威さん上っ!!」

 

 上――?

 

 一瞬何を言われたのか分からなくなる…‥。

 だが、その解答はすぐに得られた。太陽が翳っている。

 

「嘘……だってシユウが……あんな高く飛べるはず……」

 

 こんなの全然聞いてない――! だが……何を考えても遅かった。予想外の能力、予想外の攻撃パターン……感応種を甘く見ていたとしか言いようがなかった。

 回避も防御も間に合わない……。

 

 

 

 次の瞬間、視界が――真っ白になり、そして……黒く染まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

   ▼▼▼

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ブラッドー04!? 生きてますか!? 応答してください……副隊長!?』

「…………フランさん……?」

『良かった……バイタル危険値です、早く回復を!』

 

 

 数十秒だけ意識を失っていたらしい……全身がズキズキして、うまく力が入らない。

 回復錠を……と探るがそんなものどこにもなかった。ぶっ倒れた時の衝撃でいくらかぶっ飛ばされた……と思った。霞む目で見ると、泥の中にそれっぽいものが転がっていた。

 ……手を伸ばして掴む。ソレをそのまま口に投げ込む。

 じゃりじゃり、とした音――かなり嫌な味が広がる。

 でもコレで、何とか立てる。

 

「オリガちゃん……?」

「……んー……はい……生きてますー……」

 

 少し離れた場所からの音声応答。その声はかなり弱弱しい……。

 こっち、とオリガちゃんが軽く手を振った。

 そして……その傷が決して浅くないことを悟る。

 同時に、もう、『あれ』しかない――ということも。

 

 オリガちゃん、ともう一度だけ名前を呼んだ。

 

 

「……ごめんね」

「……もーこうなっちゃ仕方ないでしょー……あとは……信じて下さい……。もし……駄目だったらさっさと逃げちゃってくださいですー」

「……分かった」

 

 腰のポーチに挿していた――スタングレネード……の、隣。

 

 

 

 

 

 

 P-66偏食因子投与アンプルをオリガちゃんへと投げる。

 

 

 

 

 ソレは『あのアラガミ』に会ってから、心の何処かで不安が消えなくて……必ず1個気休め程度のお守りで持ち歩く様にしていたものだった『私たち』の偏食因子。

 ブラッドが感応種の影響下であっても神機を使える理由。それは偏食因子の違いが引き起こすものだとされている。そう――感応種が感応波で支配できるのは――P-53の神機だけなのだ。

 

 

 だから、私は賭けることにした。

 

 

 そのハイリスクすぎる、賭けに。

 

 

 

 

 

 ここを戦場にした理由――わざわざここまで、イェン・ツィーを誘導した理由はいくつかある。

 一つ目は地中にまだ埋まっている(らしい)地雷を全部有効活用するため。より開けた場所での戦闘を行う為。

 そして……ここには彼女の神機がある。

 デコイ以外にも……一応使い道はある。

 

 ガタガタと恐怖以外の感情で揺れる膝で立ち上がり、妖女に向かって神機を構える。

 

 ――私が、時間を稼がないといけないから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『――ちょっと待て……なにするつもりだよお前ら?』

 

 

 突然の回線乱入。

 声で判断する――コレは……。

 

「あ、アーサーさん……アーサーさんっスかー……? 今忙しいんで手短にお願いしますって……」

「……」

 

『おい……あんた……まさか……!?』

「……まーいいや……うん、繋がったことだし……言っちゃいましょー……丁度好いし」

 

 

 オリガちゃんの表情は分からない……ここから見ることはできないし、見ている余裕もない。

 でも、何となくで予想はついた。

 

 いつものあっけらかん、とした無理やりにでも笑っていようとする様な……明るさが声から消えた。

 今にも泣き出しそうな――まるで小さな女の子のような声がスピーカーに響く。

 

 

 

 

 

 

 

「最後まで……迷惑かけてごめんなさい……」

 

 

 

 

 そして、オリガちゃんは、自分の神機へと突き立てる。

 

 P-66偏食因子を。

 

 

 

   

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 







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