CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
「あなたがそのカードを使う瞬間を待っていた」
アリーシャが懐からさくらカードを出して投げた。「
槍の穂先が「
鏡の壁は「
(そうか! 『
「なっ……ああああああああっっ!」
「コタロー」に無数に矢が刺さった。自分のことではないとはいえ、自分の姿をしたモノが傷つくのを見るのはいい気分ではなかった。
石畳を後ろへ滑って倒れた「コタロー」が、視界から消えた。幻術が解けて純粋な天族の姿に戻ったからだろう。
幻術が解けたことで、さくらカードたちがコタローの手元へ戻ってきた。今が戦いの最中でなければ涙していたかもしれない。
「おかえり」
それだけ告げて、コタローはいつもと逆の内ポケットにさくらカードを入れた。
「もうやめましょう、サイモン
アリーシャが前へと進み、膝を突いた。
サイモンは一体どんなことをアリーシャと話そうとしているのか、コタローには知れない。
すると、肩に手が置かれる感触がした。スレイだった。
視えた。サイモンの姿。前に見たエドナとそう変わらない年頃の、濃紫で全身を包んだツインテールの少女だった。
「抗えばそれだけ苦しむ。なぜ、苦しみから解放されありのまま生きるという、我が主の目指す世界を否定する。忘れたわけではあるまい? その業ゆえに命を落とした風の天族の存在を」
サイモンが短杖をアリーシャに振り下ろした。アリーシャは避けなかったため、短杖が彼女の肩を叩いた。だがアリーシャは笑って短杖の先を掴んで下ろさせた。
「わかります。私も一度、現実の全てから逃げ出しました。けれど、そんな私を受け入れてくれたんです。スレイは。コタローは。ミクリオ様たちは」
アリーシャはコタローらをふり返り、キレイに笑った。それからまたサイモンと向き直った。
「サイモン様。抗えばいつだって優しい世界が待ってるなんて言いません。抗うこと、そのものが、生きるということなのではないでしょうか」
それはいつだって正しく在ったのに嘲笑を受け続けたアリーシャだからこそ、重みのある言葉だった。
「何だそれは……そんなもの、空虚な自己満足ではないか!」
「いいじゃねえの、自己満足で」
「結果は重要だが、かといってそれは経過が不用には繋がらない」
ザビーダもミクリオも、アリーシャの主張を肯定した。
「サイモン様。今は我々も急いでおります。ですから、またゆっくりお話しましょう。全てが終わってから」
アリーシャが立ち上がり、肯いた。スレイが肯き返してから、コタローの肩から手をどけた。
もう壁の幻影はなかった。その道を彼らは進み始める。
幼い少女の啜り泣きが聴こえた気がした。
先に言っておきます。
作者はアリーシャDLCを知りません。プレイしてませんし、プレイ動画も観ておりません。
なぜなら、拙作のアリーシャはDLCのアフターアリーシャには繋がらないからです。