CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
ある日。ホールに出ると、エステルが緊張した様子でしゃがみ込み、水色の毛並みの生き物に話しかけていた。
「えっと、こ、こんにちは。自己紹介がまだでしたね」
「クィ?」
「わたしは、エステリーゼと申します。趣味は読書をすることで……あ」
水色の生き物はエステルが全てを言い終える前に走って行った。その先にはメルディがいて、その生き物はメルディの肩に登った。
「もしかしてクィッキーと仲良くなりたいんですか?」
エステルは明らかな照れを浮かべ、肯いた。
「ならメルディ、いい方法知ってるよ。クィッキーな、歌好きだよ。だから歌聴かせるといいな」
「歌……ですか」
エステルがしょぼんとしたのがホーニャンにもわかった。
「歌の魔法、あたし、持ってますよ」
「本当ですか!? ぜひお願いします!」
ホーニャンは星のロッドを
「奏でよ、歓喜の調べ。
音符の髪留めをした女が、魔力によって形成された。
「わあ…っ」
「ワイール! 美人さんだよ~」
“~♪ ~~♪”
クィッキーが耳をぴくぴくと動かし、メルディから離れた。成功だ。これでクィッキーはエステルのもとへ行く――と思わせて、クィッキーが向かったのは
「……
エステルを見やる。クィッキーを取られてさぞ嫌な気分にさせただろう……と、思いきや。
「わたし、諦めません。『
エステルは拳を握って宣言したかと思うと、船倉に走って行った。
「ここに来てからよう思うんやけど、ここの奴ら、カード不気味がる奴おらんな」
「確かに、少ないね。みんな最初はびっくりするけど。人が好い人ばっか、ってことかな」
「ええことやんけ。ホーニャン、これからはクエストでもばんばん魔法使うたり。わいもばんばん真の姿に戻って『キャーステキー!』とか言われたる!」
「ユージーンさんには勝てないと思うよ」
「わいかて真の姿やったら張り合えるわい!」
「仮の姿での負けは認めるんだね……」
仮の姿であっても「わいはかっこええ」路線のケルベロスにしては珍しくて、ホーニャンは苦笑を抑えられなかった。
「ロックスとわいやったらわいのほうがええやろ!?」
「それはない。かっこよさならロックスのが、あたしはいいな」
ケルベロスが暗い影を背負って肩を落とした。