CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
最近ギルド入りしたエステルたちガルバンゾ国メンバーによると、コンフェイト大森林の
この現象にさくらカードが絡んでいるかもしれない。
その可能性に思い至ったホーニャンは、採掘跡地へ調査へ行くエステルに同行を願い出た。
二度目のコンフェイト大森林を、歩く。
エステルの他に、フィリアとリッドが同行者としてアンジュに選定されていた。
「ここもずいぶん動物が減ったなあ。狩りにはちょうどいい森だったのに」
「そういえば、魔物は多いけれど、動物はあまり見かけませんでした」
そんな話をするリッドとエステルの後ろを、少し離れてホーニャンは歩く。ケルベロスはホーニャンの肩に乗っている。
「ホーニャンさん。緊張してらっしゃるんですか」
「っ、フィリアさん。ど、どうして?」
「ずっと難しい顔をして俯いていましたから。あまり気を張らなくても、何かあれば私たちみんなで対処するから、大丈夫ですよ」
フィリアは整った笑みをホーニャンに向けてから、前を行くエステルとリッドの輪に加わった。
(緊張は、してる。でもそれは魔物とかに対してじゃなくて、さくらカードがこの世界の人たちに害を加えてたらどうしようっていう、不安。もしそうなら、責任は、あの夜、封印を解いたあたしたちにあるから)
「ホーニャン!」
エステルに突然呼ばれてホーニャンは飛び上がった。
「そこの紫の蔓草は毒草です。気をつけてください」
ちょうどホーニャンの頭上にエステルの言う蔓草はあった。このまま歩いていれば額に引っかかっていただろう。
「ありがとう、エステルさん。気をつける」
「本当によく知ってるなあ。お姫様ってのは、そういうのも普通に勉強してるもんなのか?」
「いえ、そういうわけじゃ。ただ、わたしは本を読むのが好きなだけで」
「お姫さんは照れてもかわええな~」
「ケロちゃん、セクハラ」
「いわれなき疑惑!?」
言いつつも、ケルベロスはきっと自分のために場を賑やかしてくれたのだろうと、ホーニャンにも理解できていた。
さらに森を奥へ進むと、ぶよんぶよんと跳ねている、巨大なオタマジャクシに似た魔物に遭遇した。
「デカオタ……にしても、大きすぎね?」
リッドは口の端を引き攣らせた。何せそのデカオタは、エステルによれば通常の5倍の体積があるというのだから。
「これが採掘終了に向けて起きた『変化』の現象、ですか?」
「わ、わかりません。それに、採掘地跡まではまだ距離があるはずなんですが」
ホーニャンだけは彼らとは違った点に注意を致した。
「これって――ケロちゃんっ」
「こりゃ
「触ったものを大きくするさくらカードだね。この辺にはいないみたいだけど」
「ホーニャン。ケルベロス。心当たりがあるのか?」
「うん。4分の1はあたしのせいだから」
首を傾げるリッドたちに対し、ホーニャンは苦笑して、前に出た。
「星の力を秘めし羽よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、
ホーニャンは星のロッドを振り、巨大化したデカオタと対峙した。
「どいてもらうからね」
「待てって。戦うならおれたちもやる」
リッドとフィリアがそれぞれに剣を抜いた。
「言ったでしょう? 何かあればみんなで、と」
「……すみません」
「謝らなくていいんですよ。ホーニャンさんがしたことじゃないんですから」
胸が、ちくりと痛んだ。
「ケロちゃん、エステルさんをお願い。――行きます!」