CCさくら×テイルズ ~カードを求めて異世界へ~ 作:あんだるしあ(活動終了)
「カノンノはあたしが本当にディセンダーだと思う?」
「うーん、どうだろ。予言じゃディセンダーは何の記憶も持たないっていうよね。ホーニャンにはちゃんと、自分が誰かとか、家族とか、そういう記憶はあるじゃない。だから、何とも言えないというか」
仲間入りして数日も経てば、食事時などにそういった話題に発展することもある。
「そっか。うん、それ聞いて安心した。あたしなんかがディセンダーのわけないよね」
気が楽になって笑い声が零れた。
そうとも。救世などホーニャンの柄ではない。ホーニャンはあくまで魔法使い見習いで、ただのカードキャプターだ。
「二人とも、止まりや!」
ケルベロスが鋭く言った。
行く手にちょうど子狐くらいの大きさの生き物がいた。額に緑の宝石が埋まっていなければ、本当に子狐だと勘違いしていただろう。
その生き物は、数匹のコウモリ型魔物のバットにつつかれて蹲っている。
「いじめられてる、のかな。魔物同士なのに」
「ケロちゃん、あれ」
「間違いない。
ホーニャンは薄羽の髪留めを外した。
「星の力を秘めし羽よ。真の姿を我の前に示せ。契約の下、
展開した星のロッドを握り、
「どないする?」
「火神や雷帝の符は使えない。外したら
ホーニャンはレッグホルダーから
「我に眠りの花を与えよ。
星のロッドで
現れた巻き毛の踊り子――
魔物も
ホーニャンは歩いて行って、バットを払いのけて、眠る
「よしよし。もう大丈夫だよ」
愛らしい
「汝のあるべき姿に戻れ。さくらカード」
星のロッドの先にカードの形が作られる。
やがて図柄が描かれた桜色のカードがホーニャンの手に舞い降りた。
「ようやったで、ホーニャン。初めてにしては上出来や」
ケルベロスが小さな前足でホーニャンの頭をなでなで。なんだか体中がくすぐったかった。
「ホーニャン……今の」
カノンノの声で、はたと我に返った。
「これがあたしの、お父さんとお母さんから任されたお仕事。最初に会った時に見せたカードを、こうやって見つけて封印するのがあたしの役目なの」
「普通の生き物と全然違いがなかった。ホーニャンにはわかるの?」
「あたしもこれが初めての封印だから、カードの気配はこれから覚えてかなきゃね」
「アドリビトムに入ったのも、そのカードの封印のため?」
「うん。ルミナシアで一番情報が集まる場所っていったらギルドでしょ。利用する形になっちゃって、ごめんね」
すると意外なことに、カノンノは首を横に振った。
「アドリビトムは自由のギルド。ホーニャンが何のためにギルドに入ったかなんて、自由でいいの。でも。同じギルドにいるからには、もうわたしたちは仲間なんだからね。無理してケガしたりする前に、わたしでもみんなでもいいから、教えてね」
ホーニャンはケルベロスを見やった。
「ええんやないか。受け入れてくれるもんを自分から拒否することはあらへん。ホーニャンの心一つや」
「ありがと……ケロちゃん」
歩いて行ってカノンノのすぐ前に立った。カノンノは笑顔だ。
「これからもよろしくね、ホーニャン」
「こちらこそよろしくだよ。カノンノ」
少女たちは互いに照れ笑いで手を握り合った。