星の扉目指して   作:膝にモバコイン

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第五話 生まれたての勇気 後編統合版

 

お招きに預かったお茶会も幾つかの薪をくべて滑り出しは上々、あれから劇的変化こそないが盛り上がりは尻上がりであった。現に談笑が絶えず、沈黙は彼方なお陰でカップは湿り気を帯びていても中身は空で西洋の急須もそれは同じである。離席した神崎さんは喧しさで気を告げるケトルからティーポットに湯を注いでいた。その様は甲斐甲斐しく、黙って饗されるべきが最善だと思わせる。白蝋が店仕舞いして……仄かに上気した素肌を垣間見れば、水を差すのも憚られるものだろう。

 

「此度の種はあるがままを受け入れるより、白き豊穣の恵みを融合させればより一層の深みが顕現するが故に堪能するがいい!共に楽しもうぞ」

 

「芳醇な香りからしてアッサムですねこれは……ストレートも嫌いじゃないですけど、アッサムならやっぱりミルクがないと物足りませんからね。頂きます」

 

乾きは無事解消、非礼にならぬための積み重ねも基準値超えしたと下知を行い、本丸に切り込むためのジャブを放つ。

 

「―――そう言えば気になったのですが、入り口に掛けられたU字状の金属って確か……馬にとっての靴みたいなものでしたよね?占い番組で見かけた覚えがありますから、魔除けか何かですよね。きっと?」

 

「そう!あれなるは魔城の門に同化させることにより……勇敢にも内に入りし者へ等しく祝福を授ける呪具よ。同胞よ聖なる光りに包まれ幸運になるがいい!」

 

「ならご利益覿面です。既に私に幸が舞い降りちゃってますもん」

 

朗々と謳い上げる姿勢の彼女に切り込み、きょとんとした意外そうな感情を引き出すのに成功する。

 

「軌跡となった幸運?我も把握せぬ間にことを運ぶとは……げに頼もしき魔を圧殺せし不浄の狩人と賞せるわ。ところで興を惹かれたのだけれど、湯島の身に訪れし祝福とは一体なんぞや?差し支えなければ教授して貰えるかしら」

 

「生活の転機、大きな節目の日にお隣さんと思いがけず急接近できたことです。累計4千億近い世界一のベストセラーにもお隣さんと仲良くしなさいって記されていますから、これは文句なくラッキーですよ。間違いありません」

少女は面映ゆいのかむず痒そうに身じろぎする。一頻り座る位置の調整等で安寧を多少は取り繕えたのか、太鼓判を押すものの一つ疑問を投げかけてくるのだった。

 

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

シンデレラガールズ『星の扉目指して』 第五話 生まれたての勇気 後編

 

◇ ◇ ◇ ◇ ◇

 

 

「我と同志の間柄なら今でなくとも早々に相まみえていたわ……お、自ずと変わらぬ友誼を結び、漆黒の翼をはためかせる顛末が近場に訪れたはず。聖なる光の導きと称すには……些か満ち足りていないのではなかろうか?」

 

「見解の相違ってヤツでしょうけど、私はそうは思いません。充ち満ちてます―――だって、この時を逃せば神崎さんと同じ距離まで親交を深めるのが、少なくとも明日以降に持ち越しになっていたでしょうから」

 

「シビュラに間断なく己の道筋が描かれていたのか?」

 

「はい、夕餉を迎えると皆さんと歓迎会ですし、その後は先輩方主催の映画の鑑賞会に参加する予定なので、諸々が終わる頃には消灯超えは確実です。歓迎会は多人数故、個々人の結びつきは浅いものに終始しがちで……規模は違えど鑑賞会もそれは同じかと。どちらにしろ歩み寄りが足らず、目新しい言の葉に惑わされて、素の素朴で素直な愛らしさを見抜けなかったろうから収穫充分なのです」

 

「………………………………」

 

飾らず率直な思いの丈が届くと、応急処置の甘かった部分から間欠泉の如く噴出し、少女の頬はうっとりと弛緩するものの、なんとか立て直そうと不慣れながら藻掻いていた。こうも自分の台詞に一喜一憂されると……こっちまで赤面してしまいそうである。

 

「それにバタフライ効果ってありますよね?」

 

「ん?うむ、極彩の遣いが齎す羽ばたきが、異国にて風神の怒りを招くと提唱したかの魔術体系のことであろう」

 

「そう、バタフライエフェクト。些細な行動の違いが大きなズレを生むというあれです。遠回しになってしまいましたが、言いたいことは一貫しています。一日でも早く仲良くなれたのは祝福足り得るってことです」

 

イマイチ納得が及ばなかった内容が更に煙に巻かれて、こんがらがってしまったようだったが話が進むにつれておぉっ!と感嘆したり瞳を輝かせて追いつき語り出してくれた。

 

 

「視点を移せば造作なきこと、ただの一日であれど、されど一日ということか!?一刻も早い闇の力の開放が導かれるのだな!」

 

「分かって貰えて嬉しいです。今日仲良く成れれば明日は更にお互いを知り合えます……逆なら可能性は足踏みしたまま。なので、神崎さんの人となりたくさん教えてください―――もっと仲良くなるためにも」

 

「ふふっ、よかろう。詩篇に紡がれし我が身の上を明かそう……存分に尋ねるがいい!」

 

本人印の裁可を頂いたので前哨戦の幕を引き、いよいよ本丸もとい本題を投げかける。これ如何では対応ががらりとはいかないものの、それなりには変わるものである……独りでに喉がなり、スカートの裾を握りしめていた。

 

「ならお言葉に甘えて一つ、あまり回りで着こなしている人がいなかったもので、先程から気にはなっていたのですけど……ゴシックロリィタ系の装いですよね。神崎さんは普段からこの手の衣装なんでしょうか?」

 

「然り、知慧の塔に魂魄の依代が封ぜられし刻限を除き……現世に住まいし時は常堕天を継ぎし正装である。因みに今の装束を紐解くと、変則的あるが第一形態に分類されるわ。差異は爪牙に施せし高貴、門出を祝う表れね」

 

第一……形態?え?え??大凡服の話題を論ずるのに関係のない死角からの奇襲に脳がフリーズしかける。何時の間に議題がゲームやアニメにすり替わったのだろうか?第一というからには……倒したとでも思ったのか?馬鹿め!私は後二回変身を残している。この意味が分かるか?ってなのをやるのかと混乱の極みに達しつつあった。表は凪のない水面でも水面下は大しけである。

 

「理の内を明かそう。前述した通り湯島の眼前にある出で立ちが第一形態、祝祭においては第二形態、真なる魔王への覚醒を遂げれば最終形態を採るわ」

 

「つまりは切っても切れない関係で、最早ゴスロリは体の一部みたいに馴染んだものなんですね」

 

「うむ、我を語るにあたって神聖不可侵な要素の一つである」

 

得意分野を自慢気且つ饒舌に喋るのを微笑ましく感じる……がしかし冷や汗が伝う。幾つかの凝り性度合いから半ば察してはいたけれど、紛うことなき筋金入りだった。個性、長所もここまで先鋭化すると意識して使い分けられない場合、凶器にも成りかねない。良くも悪くも器用さとは縁遠そうな娘だろう。言い方は悪いが誰かが手綱を引く必要ある……関係ないと目を逸らし放置していては、彼女だけに収まらぬ病を孕むかもしれないのだから……

 

「私が好むタイプのデザインは古巣よりちょっと遠出した……数駅離れた県庁所在地にあるデパート等で揃えられましたが、ゴシック系列のは専門店頼みにしないと難しそうですね。参考までにお気に入りのショップってどこにあったりします?都内ですか?」

 

「堕天の正装に惹かれるか!?我と魂を同じくする者が、真の意味で共鳴するというのなら光栄に思うわ。今こそ創世の時!」

 

懸念事項についてはこの後、二者協議が控えているので二度手間を防ぐためにも脇に置く。気を抜いたルーチンワークで対処可能な相手でもなし、余剰は残さず会話に意識を傾けなければならない。

 

「東の京にある異界の法則蠢く23の特区が一つ。忠義を尽くした誉れ高き猟犬を模した像が著名よ。その区の中で更に分け隔てられし地方、未だ成長を遂げし者たちが、己が魔力を磨き上げるべくこぞって集う要所であり……我が契約せし龍脈が複数あるわ」

 

「東京23区で犬の像……ハチ公ですか、となると渋谷でしょうか?全体的に若者が一杯ですけどその中でも多い上にファッション専門店が立ち並ぶのであれば09周辺か表参道。どっちにしろ学生からすると高嶺の花ですね」

 

「流麗華美なるものは相応の対価が付き物。我自身有限なる金貨の蓄えでは……階段を一歩一歩進む速度でしか手にすることが出来ぬ」

 

「―――でもそういった限られたお小遣いからやり繰りして手に入れたものこそ、愛着が湧いて大切にしちゃったりしますよね」

 

こちらの言に彼女は慧眼ね、それこそ真理!と興奮気味で手を鳴らし賛同の意を示す。おいそれとは手が出ないものの一着であれば、許容範囲の出費と口火を切る。

 

「あの……図々しいのは承知の上ですが、実物を見たら俄然一度召してみたくなりました。よければ行きつけのお店紹介して貰えないでしょうか?」

 

「か、構わぬ!輪が拡がるのであれば願ってもなきこと。あないの日の所用は半時もせず一掃されるわ……もし帰還の徒を凍結するのなら……同行するのも吝かではないぞ?」

 

食い気味ながら伺うような、物欲しげな視線を投げ掛けてきて少し驚く。額面とはまるで正反対の対応である……乞う立場が逆転しているのかと感じるほどだ。腹芸が不得手すぎて不安を覚えるぞこれは……やはり性に合わんが積極策を取らざるを得ない。

 

「なら、話は速いですね。頼んだ手前、神崎さんを置いて帰宅するつもりなんて毛頭ありませんでしたし」

 

「やった……じまちゃんと……もの」

 

上機嫌なのを顧みるに種蒔きも完了しただろう。後ろめたいが……仕込みの片方を発動させる潮時であった。デジタルの集合体が告げる数字は左から順に15と39で、突貫が14時ちょいである。都合一時間を超えて話し込んでいたので、満腹とまではいかずとも蜻蛉返りにはあたらない。

 

「さて、質問してばっかでは恐縮ですので、気になることがあればですけどドシドシお便りどうぞ―――っと、ごめんなさい」

 

部屋には二人が織りなす音以外なかった中、スマホの着信がそれを打ち破る。出ても構わないかとゴスコロネさんに問いかけ承諾を取り付けて、通話に入るのだった。

 

「あぁ、母さんこっちは順調です。楽しくやってますよ……ただ今、お隣さんと親睦を深めている真っ最中ですので申し訳ないですけど、一端切っちゃいますね。折り返し電話しますから、えぇ大丈夫です。じゃあまた」

 

ちぐはぐな発音調の機械ではないものの、肉声でも予め定められた台本みたいな相手と、さも対話が自然に成り立っているよう見せかけ返答を送る。

 

「ふふっ、己が敷いた条理に囚われる必要はないわ。元よりミサの幕が上がる前の契約にてこの事象は先刻承知。幾ばくか名残惜しくはあるが暫しの別れを齎さん。なに、我もちょうど現し世の受肉を形どった協力者たちに、渡りをつけよという託宣がくだされた。故かんばせを曇らせる必要は毛筋もない……笑って宴を終わりにしよう。再開はすぐそこぞ!」

 

「尾を引くのは厳禁ですもんね。では歓迎会の時にまた」

 

「うむ、闇に飲まれよ!」

 

玄関どころか廊下、果ては部屋に戻るまで続く暖かい見送りに、屈託のない笑顔で放つ相変わらず物騒な台詞を受け部屋へと帰還する。独りになるなり頭を掻き毟りたい衝動に駆られるが……髪をセットする時間が馬鹿にならんと無視して、キルトカバーに倒れこむようにしてうつ伏せになる。

 

嘘も方便というし、ダミーを用いた利点なんざそれこそ、がっかりさせずに弾ませるための手札の残数確保に、中断の余剰で編み出す彼女と彼女の衝突回避の着地点。挙げたら切りないが、開き直る気にもなれなかった。上っ面じゃなく本心から神崎蘭子は湯島悠陽を求めていたのに……自分が返したのは誠実だったろうか?いや不誠実そのものである。己の器量の限界が歯痒く、後悔ばかりが募ってしまうのだった。

 

 

まだ体臭の残り香すらなく卸したてのシーツは、日干しした名残かお日様の匂いが香る。正座で抑圧された鬱憤を晴らすかの如く、膝を曲げては下げる振り子で足をぷらぷらと

させながら血の巡りを正して携帯のタッチパネルを弄っていた。懊悩するのは勝手だが、うじうじと浪費するのは本末転倒極まりない。切り離して成すべきを成す……ただでさえ二つ目の仕込みで待たせている先輩がいるのだから。

 

特定間のみで行うSNS、今回でいうとマンツーマンで余人が介入も覗き見も出来ないルームにログインすると既にセクシーキャットさんが待ち構えていた。

 

「おっそい!呼び出しておいて遅れるとかどういう了見にゃっ!みくは待たすのも待たされるのも嫌いなの」

 

「お伝えしたかった件が少々長引いてしまいました。すみません」

 

「まっ、悠陽チャンのことだから理由があるとは思ってたよ。さっきの台詞、事前行動標準な娘が珍しく遅刻したからからかってみただけだし」

 

「―――それより、メールで態々ここを指定するからには十中八九……厄介事だよね?同じ屋根の下に居るのに直に会うどころか電話すら避けたんだもん」

 

「バレバレですか、前置きも省いちゃって良さそうですね。お耳に入れたかったのは、私のお隣さんで今日まで逢えず仕舞いだったメンバー……神崎さんのことです」

 

皆険悪を忌避して健やかな未来を描くのは同じなのに、人の数だけ擦れ違い反発する。譲れないものがそこにあるから……

 

―――あの人も譲れないものがあるから、自分たちには伝えなかったのだろうか?

 

 

指先を照らす橙色、夕焼けが間近に迫った季節外れの寒空が遍く近隣を覆う中、信用っていうか一方的な思い込みだったのかもだけれどさと、溜まっていたものを零すように……液晶に綴られている吐露を追いかけていた。

 

「オーディションに応募して……同じラインで競い合って合格を皆掴みとったでしょ?

決して平坦じゃない険しいアイドルへの道を志したからには、最低のラインは弁えてると思ってたの」

 

「だって、そうでしょ?遊びで済ますならネットに動画アップロードしたり、生放送なら直に他人の声が聞ける環境が整ってるじゃん。失敗したとしても炎上範囲は身内で済むのに、敢えて進んだわけだよ。覚悟が皆はあると無自覚に思い込んでた……」

 

制限された文字数一杯が連綿と連なる。緩衝材でいくら和らげようと、軽減されようが煙に撒くことは出来るはずもない。星は雲隠れしようとそこにあり続ける……レールに干しっぱなしにした外套が陽射しを遮り、胸より上は薄暗いまま。

 

「悠陽チャンは濁したけど、危惧通りならあまりいい顔できないかも……一個人としての間柄だったら、又聞きでもいい娘なのは伝わってくるし、お友達にだってなれそう……でも、アイドルとして一緒にやってくなら話は別だもん。幾らプロジェクトの標語が個性を最大限尊重し発掘するでも限度ってものがあるから」

 

「これからデヴューするにあたって基礎練は勿論、下積みを重ねる訳ですが……その段で火傷を負うかもしれませんね」

 

「下積みってようは身内から回される使いっ走りみたいなもんじゃん。覚えを良くしてもらうのにも有効だけど……家事手伝いならぬ火事手伝いで逆撫で炎上しちゃったら、アウトどころかスリーアウトで二重の意味でチェンジだよ」

 

母屋をキャンプファイヤーにリフォームするようなのを所属させている事業所に、斡旋の方が指名を送ろうとはしまい。懇ろな仲でもなきゃ名誉挽回のチャンスなぞ与えられないのだ。外はおろか内にも変わりは転がっているのだから……

 

「同じプロジェクトの一員な上、大人の方々の意向で私が恐らく同伴する便宜を図られるでしょうから、なるたけサポートします。差配するのはプロデューサーさんたちですし、無茶ぶりは避けて適材適所な振り分けも見込めますので」

 

「そりゃプロ入りのゴーサイン出したのも社員さんたちだし……納得もできなくないけどツケが他に押し付けられちゃうだけだよ。全員が全員ちゃんとデビュー出来る確証もないのに……みくはそんなの嫌、好敵手におんぶで抱っこな甘えた間柄は」

 

「―――だってみんな頑張ってるにゃ。美波チャン、きらりチャンにかな子チャン、智絵里チャンやみりあチャン、ロックかどうかは怪しい事この上ないけど、李衣菜ちゃんにぶつくさ云うちびっ娘も前を向いて努力してる」

 

「特に悠陽チャンは画面越しだからむずむずせず明かせるけど、アイドルになりたいって一途な直向きさはみくだって認めざるを得ないほどにゃ。レッスンで会う度、前に注意されてたのが修正されて着々と上達してる。規定の量だけじゃこうは上手く行かないにゃ……相当な自主練を課さない限りはね」

 

自分もうかうかしてはいられない。良い刺激になっているとの締めくくりであった。不謹慎ながらエルダーキャットのレアい直球の賞賛に微かににやけてしまう。きっとあっちも顔を突き合わせてる訳でもないのに、そっぽを向いて気恥ずかしさと戦っているに違いない。まっこと素直じゃない人である……そこがまた乙なのだが

 

「敗者も勝者も意識の外でしたが、土を付けたからには背中で語れるよう努力しないと気が済まない質なんです。マグレで棚ぼたに勝ったような人相手に負けたらお嫌でしょうしね」

 

「ふーん、嘘はないけど本音も出しきってない感じがする優等生っぷりだにゃ。悠陽チャン見た目温和で物腰も柔らかいものの根っこは負けず嫌いっぽいし、裏を返せば腑抜けと見做されて舐められるのは許せないってことだったり?」

 

「さぁ?どうでしょう……ご想像にお任せします」

 

「まぁ、みくがそうだから案外そうなんじゃって、当たりをつけただけなんだけどね」

 

やはり湯島悠陽ほどじゃないが抱えている……彼女と己は少し似ているところがあるのかもしれなかった。爆発を防ぐベく折をみて聞き役になりガス抜きが必要だろう。

 

 

「はぁーというか気付いちゃいたけどさ……元を辿れば元凶プロデューサーだよね。その娘を合格させたのはいいとしても、入寮の前に一言あってしかるべきだったの。把握しといて忠告なしとかどういう了見にゃ……」

 

「期間的にも伝達ミスって考えるのは困難ですので、意図的に私達への通達を省いたと捉えて良さそうなのがまた……神崎さんを除いた寮生一行の資質の見極めとかですかね?或いは色眼鏡で見て欲しくなかった……とか?」

 

「ないない、投げっぱなしすぎ。第一ここで実験するとか利点米粒並じゃん。得体知れないし、あの人の考え全然わかんないよ」

 

「シンデレラプロジェクトの立ち上げで忙殺されてのは汲みますが、私たちともコミュニケーションを取って貰いたいですよね。雑談はおろか職絡みのお話も数えるレベルですもん」

 

お仕事も決定事項ばっか、展望についてはノータッチで暖簾に腕押しだにゃとの書き込みが新着する。胡乱げで、あの若さで大任を任せられるからには優秀なのは疑いないものの……信用できるかはイマイチだった。なにせ一番フォローが必要な最年少の無邪気の星にすら表立って近づこうとした節が綺麗さっぱりでいっそ清々しい。

 

ステージで黒子は当然でも、舞台裏含めて黒子であろうとするのは歯車、舞台装置でも目指しているのだろうか?メンタルケアも立派な業務の一環なのに……何故?手掛かりもなくわからないことだらけだった。

 




次話で長らく続いた寮編を終わらせる為というのと
五話の引きが弱いかなと思ったので今回の加筆と相成りました。
ようやくではありますが悠陽加入の影響みたいなのも書いていけそうです。

感想評価をいただけると励みになりますのでよければよろしくお願いします。
―――それでは次の話でまた。

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