だれか俺に小説を書く時間を!
では続きをどうぞ。短くてすみません
第3話
「なるほどね、大体理解したわ。つまり"魔王"というのはこの世界で特権階級を振り回す神様等を指し、ジン君のコミュニティは彼らのおもちゃとして潰された。そういう事?」
噴水広場のテラスで説明を聞いた上条達は出されたカップ片手に反復する。
オティヌスのカップは上条が用意してもらった人形用のカップに紅茶を淹れてもらっている。
「そうですレディ。神仏というのは古来から生意気な人間が大好きですから。愛しすぎて使い物にならなくなるのはよくあることですよ」
ガルドは両手を大きく広げ皮肉げに笑う。
「名も、旗印も、主力陣の全てを失い。残ったのは居住区画の土地だけです。もしもこの時にコミュニティを建て直していたなら、今までの名誉も誇りも失墜して名無しになるなんてことは無かったはずです。それに比べ私のコミュニティは何度も両者合意の上でコミュニティを賭けてギフトゲームを行い、それに勝ち続けています」
ピチピチに張っているタキシードを破きそうな品の無い顔で笑い、ジンとコミュニティをあざ笑う。
それをジンは顔を真っ赤にして両手を握り締めながら俯くことしか出来なかった。
「単刀直入にいいます。もしよろしければ私のコミュニティに来ませんか?」
突然の問いに俯いていたジンがテーブルを叩いて抗議する。
「な、何を言い出すんですガルド=ガスパー!?」
それをガルドは獰猛な瞳で睨み返す。
「黙れ、ジン=ラッセル。そもそもテメェがちゃんと新しくコミュニティを建てていれば最低限の人材はコミュニティに残っていただろうが。それを我が儘で追い込んでおいて、よくもまぁ異世界から強引に人材を呼び出したもんだな」
「そ……それは…、でも強引ではありません!ちゃんと本人の承諾を得て召喚してます!」
そう手紙には"その才能を試すことを望むのなら"と書いてある。つまり飛鳥と十六夜、耀はいずれもそれを望んだのだから強引ではない。
「チッ、だが強引ではないにしろ何も知らない相手なら騙すのは容易いとでも思ったのか?その結果、黒ウサギと同じ苦労を背負わせるってんなら…こっちも箱庭の住人として考えがあるぜ」
先程見せた獣の瞳で、またジンを睨み僅かに怯む。
「で、どうですか?誇りも旗も何もない"ノーネーム"と栄誉ある私のコミュニティ、どっちに入りたいですか?」
「結構よ。ジン君のコミュニティで私は間に合ってるもの」
その言葉にガルドは目を丸くする、飛鳥は何事もなかったかのように紅茶をのみ耀と上条達に話し掛ける。
「春日部さんはどう思う?」
「別に、どっちでも。私はその世界に友達を作りに来ただけだから」
「あら意外。じゃあ私が友達1号に立候補していいかしら?それと上条君とオティヌスちゃんはどうするの?」
飛鳥は髪を指で回しながら問う。口にしたのが恥ずかしかったのだろう。
「…俺は知り合いにある事を頼まれてるから、今ここでジンのコミュニティに入ることは出来ないかなぁ」
「私はコイツに着いて行くだけだ、それ以外ないからな。それとちゃんはやめろ、オティヌスでいい」
上条にはある知り合いからの頼みごとがある。それは彼としては絶対に守りたいもの、今の上条にとって2番目に高いの優先順位だった。
オティヌスは上条と共に居るのが彼女に与えられた罰なのだから、それ以外はあるはずもない。
「そう…残念ね。もしその頼まれ事が終わったら私達の所にきてみない?」
飛鳥は残念そうに顔を沈めるが、すぐに別の案を提示する。
「もちろん、それと春日部の友達第2号は上条さんって事でいいか?」
上条は笑顔で返事をした、それを聞き飛鳥は口元が笑った。耀はというと無言のまま考えた後、小さく笑い頷く。
「…うん。飛鳥と上条は私の知る女の子や男の子と違うから大丈夫」
耀の膝の上で泣いているように見える三毛猫。そしてジン達をそっちのけで盛り上がる4人。ガルドは相手にされてないのが堪えたのか顔を引きつらせたが、それでも取り繕い問う。
「し、失礼ですが理由を教えてもらっても?そこのウニ坊主みたいな理由があるのですかね?」
「だから、間に合ってるのよ。春日部さんも私もどちらでも構わない。そうよね?」
「うん」
飛鳥達の答えに眉間に皺を寄せて我慢するガルド、今ここで怒り狂いでもしたら完全に交渉が終わってしまうから。
「私は裕福な家庭も、約束された将来も全て支払って箱庭に来たのよ?それを小さな地域を支配してるだけの組織の末端として迎え入れてやる、なんて自身の身の丈を知らないようなエセ虎紳士に何か言われたところで、私は入ります!なんて言うと思うのかしら?」
「お……お言葉ですがレディ」
「黙りなさい」
飛鳥の発言に何か言おうとしたが、ガルドの口に不自然な形で勢いよく閉じて黙りこむ。
「……‼︎?……‼︎?」
ガルドは混乱し、口を開けようともがくが、全く声が出ない。
「私の話はまだ終わってないわ。貴方から聞かなければいけないことがあるのだもの。そこに座って、私の質問に答え続けなさい」
飛鳥の言葉に力が宿り、今度は椅子に勢いよく座り込む。テーブルに座っていた上条達は驚くも静観していた。
しかし、今のガルドは手足の自由がなく抵抗すら出来なくなっていた。
その様子を見て驚いた店員が急いで駆け寄る。
「お、お客さん!店内での喧嘩は」
「ちょうどいいわ。猫の店員さんも聞いててって欲しいの」
店員は訳も分からず首を傾げるが、飛鳥は気にせずそのまま続ける。
「貴方は両者合意の上でギフトゲームを行い勝ったらしいけども、コミュニティを賭けにすることなんてあるのかしら?ねぇジン君」
「やむを得ない場合の時は稀に。でもコミュニティの存続をかけてゲームをするということはほとんどありません」
これには猫耳の店員も隣で頷いていた。
「そうよね、そんな事ここに来たばかりの私ですらわかるわ。ねぇ、なんで貴方はそんな事ができるのか教えてくださる?」
ガルドは飛鳥の言葉に何とか反抗しようするが、その抵抗虚しく悲鳴を上げそうな顔をしながら言葉を紡ぐ。そして周りの人達も異変に気付き始める。久遠飛鳥の言葉には絶対遵守なのだと。
「強制させる方法は色々あるが、簡単なのは相手のコミュニティの女子供を攫って脅迫させること」
ピクリと飛鳥の眉が動くが表情や言葉に出さない。だが彼女からは嫌悪感が滲み出てた。今までの事には無関心だった耀でさえ不快そうに目を細める。
「…‼︎」
そして上条は今に飛びかかろうと立ち上がりガルドに敵意を向ける。
「上条君、怒るのはわかるけど少し待っててくれない?今は私が質問をしているの」
飛鳥はそれを冷静に受け止め流す、しかしそれだけでは上条の納得がいかない。
「だけど…!」
「人間、まだ静かにしていろ」
暴走しそうな上条をオティヌスが制し、悪態をつきながらも椅子に座る。
「小物らしい堅実な手ですね。けどそんな手使っても裏切られないのかしら?」
「子供を人質にとってある」
「…そう。ますます外道ね。そらでその子供たちは何処に幽閉されてるのかしら?」
「もう殺した」
その言葉に空気が凍りついた。
ジンも、店員も、耀も、飛鳥も、上条も耳を疑った、オティヌスただ一人静かにガルドをみつめる。
「なん…だと」
上条は目を見開き固まった。
ガルドは命令されたまま言葉を紡ぎ続ける。
「初めて拉致した時は泣き声が五月蝿くて思わず殺した。それ以降はやめようとしたが泣き声がやはり五月蝿くて殺した。だからもう連れてこられたガキは全部まとめて食った」
「テメェ…、ふざけん」
予想だにしていない事に上条は今度こそ殴ろうとする。
「だから落ち着け人間、こんな奴に何か言ったて何も変わらない。私も今すぐに消しとばしたい、我慢してくれ」
オティヌスはまた止める。上条は彼女の言葉に頭を冷やし座る。
「…わかったよ」
「といっても、もう聞くことなんてないんだけどね。ここまでの外道とはそうそう出会えなくてよ。それと今の発言で箱庭の法でこの外道を裁くことはできないのかしら?」
飛鳥の冷ややかな視線に慌ててジンは否定する。
「彼のような悪党は箱庭ですら珍しいです。が厳しいです。これらの行為はもちろん違法ですが、裁かれる前に彼が箱庭の外に逃げれば、それまでです」
それは裁きとも言える、逃げたとしてもリーダーを失った烏合の衆のコミュニティは瓦解するのは目に見えてる。
しかし飛鳥はそれでは満足できない。
「そう、なら仕方ないわ」
苛立したしげに指を鳴らす。それが合図なのかガルドを縛っていた力はなくなり、体に自由が戻る。それに気付いたガルドは怒り狂いテーブルを砕く。
「この小娘共ガァァァァァァァァァ‼︎」
雄叫びと共に体を激変させた。タキシードは膨張する背中で弾け飛ぶ、体毛は変色して黒と黄色のストライプ模様が浮かぶ。
「俺の上に誰がいるのかわかってんだろうなァ?箱庭の第六六六外門を守る魔王だぞ‼︎俺に喧嘩を売るってことはその魔王にもけん」
「黙りなさい。私の話はまだ終わってないわ」
そしてまたガルドの口は勢いよく閉じ黙る。しかし身体の自由は奪われていない、怒り狂うガルドは太い豪腕を振り上げ飛鳥に襲いかかる。
「……ッ‼︎」
「させるかよ」
しかし2人の横に入る、上条は飛鳥の前に立ち盾になろうとする。
「喧嘩はダメ」
前に出ていた耀はガルドの腕を掴み押さえつけた。
「ギッ…!」
「マジかよ…」
少女の細腕には似合わない力に驚く上条とガルド。しかし飛鳥だけは楽しそうに笑う。
「さてガルドさん。私は貴方の上に誰が居ようが知りません。それはジン君も同じでしょう。彼の最終目標はコミュニティを潰した"打倒魔王"だもの」
その言葉にジンは息を呑む。魔王という名前が出た時は怖くなったジンだが、自分達の目標を飛鳥に問われ我に帰る。そして確固とした意思をもった瞳でガルドをみつめる。
「…はい。僕の最終目標は魔王を倒し誇りと仲間達を取り戻すこと。そんな脅しには屈しません」
「そういうこと。貴方には破滅しかないのよ?」
耀に組み伏せられたガルドは身動きができず地に伏せている。
それを飛鳥は足先でガルドの顎を上げ悪戯っぽい笑顔で話をきりだす。
「だけど私はそれだけじゃ満足できない。貴方のような外道はズタボロになって後悔することね。そこで皆に提案なのだけど。もちろん上条君も含んでるわよ」
足先を離し、今度は綺麗な指でガルドの顎を掴み。
「私達とギフトゲームをしましょう。貴方の"フォレス・ガロ"存続と私達"ノーネーム"の誇りと魂を賭けて、ね」
日が暮れた頃に噴水広場にて黒ウサギ達と上条達は合流し、話を聞いた黒ウサギは案の定ウサ耳を逆手てて怒り、嵐のような説教と質問があった。
「ですから…、ってきいているんですか!?」
「「「「ムシャクシャしてやった、反省をするつもりはない」」」」
まるで口裏を合わせたかのように言う。もちろん上条もガルドの事に関して反省なんてする気はなかった。
「黙っらっしゃい‼︎‼︎」
それに怒ったのか黒ウサギは大声で叫ぶ。それをニヤニヤと笑いながら見てた十六夜が止めに入る。
「別にいいじゃねぇか。見境なくやったわけじゃないんだから許してやれよ」
「い、十六夜さんは面白ければいいと思っているかもしれませんけど、これで得られるのはただの自己満足ですよ?」
黒ウサギが見せてきたのは"契約書類≪ギアスロール≫"そこには参加者≪プレイヤー≫が勝利した時は、主催者は参加者の言及する全ての罪を認め、箱庭の法の下で正しい裁きを受けた後コミュニティを解散するというものだった。これは時間を掛ければ必ず立証できるものだった。
「まぁ確かに勝ったとしても箱庭の法の下で裁かれるだけで、それ以上のメリットもない。負けたとしたらガルドの罪を黙秘する、つまりは俺たちはこれ以上奴の事に首は出せなくなる。デメリットの方が大きいなこりゃ」
それでも、と上条は十六夜の言葉に食ってかかる。
「黒ウサギには悪いけど、これは一刻も早くどうにかしたい。それが自己満足だとしてもだよ。それに今取り逃したら、いつか狙ってくるかもしれないからな」
「それにね、私は道徳云々よりも、あの外道が私の活動範囲内で野放しされる事が許せないの」
2人の同調する姿勢をみて、黒ウサギは諦めたかのように頷いた。
「はぁ~…。仕方のない人達です。腹立たしいのは黒ウサギも同じですし。それにガルド程度なら十六夜さんが1人いれば楽勝でしょう」
十六夜だけで充分というのは正当な評価で彼等は"世界の果て"で蛇神を薙ぎ倒したからだ、しかしとうの本人達はと言えば。
「何言ってんだよ。俺は参加しねぇよ?」
「当たり前よ。貴方なんて参加させないわ」
フン、と鼻を鳴らす2人。
「上条さん的には女の子にでてほしくないんだけどなぁ」
「嫌だ」
「即答かよ!」
上条の発言に即答で拒否する耀。
「だ、駄目ですよ!ちゃんとコミュニティの仲間なんですから協力しないと」
そんなカオスな空間に黒ウサギは慌てて止めに入る。
「それは違うぞ、黒ウサギ。これは俺が売った喧嘩だ。そしてアイツはそれを買ったんだ。なのに他の人に手を借りるってのはな」
「俺じゃなくて、私達でしょ?それと女性だから出させないのは差別じゃなくて?」
「…。あぁ、もう好きにしてくださぁい!」
丸一日振り回され疲れきった黒ウサギにはもうツッコミを返す気力はなくなっていた。
得るものも無ければ、失うものもないゲーム。どうにでもなれと黒ウサギは空を見上げる。
さてここで問題だ。
次の話だが全くもってアイディアが出てこない…。おてぃちゃん助けて…。まぁ原因もオティヌスちゃんなんだけどさ笑
相変わらずの駄文ですみません!
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