戦闘描写に悪戦苦闘しながら、プロットを全部壊しては作り壊して、上条さんの解釈がおかしくならない様にするのはほんと、もうね??
今年中に後2、3話くらい投稿できたらなぁ…仕事辞めるし多分いける?筈?です?
誤字はないといいなぁ!
追記
現在22話がプロローグに変更されるというミスが起きています、なんとか探してみます…
轟く龍の声。
それは本来聞こえない、聞こえてはいけないはずの叫びだった。しかし上条とレティシアの耳には確かに今もなお叫び続ける龍の声が聞こえていた。
それは2人の頭を混乱させるに充分な咆哮だった。いや2人だけではない、外で"アンダーウッド"で待機してた皆が突如として現れた龍に困惑してるに違いない。
「なんで…ありえない、そんな筈が」
レティシアからそんなつ呟きが漏れた。
次にした行動といえば自らの身体を見つめる事だった。
驚き固まってたのは上条も同じようで暫く2人がなにも言えず、事実を受け止める時間が過ぎていく。
いつまでもそうする訳にもいかず、上条は今のこの現実を把握するしかなかった。
「…なんだって急にドラゴンが現れたんだ」
頭を掻きむしりながら悪態をついていれば、レティシアも苦虫を噛み潰したような表情で上条の方を向く。
「恐らくだが、何らかの原因であの龍の中にある私のパスが途絶えたか。何者かが強引に捻じ曲げてゲームそのものが変質したとしか。私も長いこと生きてはいるが初めて見る」
自分の中にある1つの仮定を言い出さなかった。
もし仮に上条が触れた時に可笑しくなったとしたら、それは此の箱庭において由々しき事態に陥る。
神々が決めたギフトゲームのルールが壊され意味もなく休戦が終わりを迎えたとしたら
そんな事があり得てしまったら、どんな処罰が下されるか想像もつかなかった。その中で良くて追放が限界だろう。神々のルールすらいとも簡単に壊してしまう彼のギフトは箱庭に存在してはいけないのだから。
しかし私が疑問に感じてた事はそうではない。
そんな強力な右手を待ってながらも役割が打ち消すだけの役割に特化してるという事に疑問を抱いていた。
春日部は友達となって自分でその力を行使できる。飛鳥は他者だけでなく物にも力を与える事ができる。十六夜のギフトも不明だが万能に力を扱っている、だがそれ以上に上条の右手は全容が見えなかった。
ギフトを打ち消す、ありとあらゆるギフトが彼の前では意味をなさない。本そんな力を持ってながら本当にギフトだけなのか、自分の頭の中でレティシアは考えては上条の小言に耳を貸さずに相槌を打っていた。
そんな時である、正面扉を誰かが勢いよく開けたと思ったら駆けてくる。足取りは軽いものだが聞こえてくる音が此方へと近寄ってくる。
上条は警戒するように駆けてくる人へと視線を向けて目と目が合えばお互いの声が重なった。
「上条!」
「春日部⁉︎」
上条が乗り込んだもう1つの目的である春日部耀その人だった。
ずっと探してた人物が見つかったお陰もありこの状況下でもほっと安堵の息を漏らす。
それは春日部も同じようでレティシアと上条を交互に見ると嬉しそうに口元を緩めるも再び聞こえる咆哮に悠長にはしてられないと気を引き締めなければならない。
「聞きたい事はあるけど、まずはゲームが再開した原因を探らねぇと」
「ううん、原因を探すよりもゲームをクリアする方が先決だと思う。原因がわかっても止められる保証はないし、既に始まったのなら尚更このゲームをクリアしないと被害が増すばかりだよ」
「…しかし肝心のゲームのクリア条件がわからないんじゃ手詰まりになるんじゃないか?」
「その事なんだけど…多分解けた。それで必要な物も皆が集めてくれた」
大扉が開いていたせいか徐々にバタバタと足音が大きくなると捕らえられたとされる子供達が姿を見せた。
中には老人と思われる重たい足取りもあるが、一番目を引いたのは大きなカボチャ頭をしランタンを携えた知り合いだった。
「ジャック!お前も捕まってたのか」
「ヤホホ♪上条さんも此処にいらしたんですね。これはもう私達は安全と言っても過言ではないですねぇ」
友と再会のお陰かゆらゆらと揺れており握手などはすることはなくともお互いに再会できた喜びを表していた。
「和むのも悪くないが今は一刻を争うんだ。なぁ、耀お嬢ちゃん」
「うん。解けたのは第三勝利条件だけれど」
それだけを告げるとレティシアを中心として周囲を探る。床を探り終えたのか、今度は壁を念入りに調べ直した。暫くすると窪みを押すような音が聞こえた。
「あった…!ジャック、これの方角は?」
「ええと、其方は処女宮があった方向かと」
「ありがとここに処女宮の欠片を置いて、後はここから基準に12等分すれば…」
ガコン、と何かが塡まる音。
こんな仕掛けが自分の住んでいた居城にあったなど知らされてなかったのか目を丸くして驚いていた。
「よ、耀。それは私たちの神殿に安置されていたものじゃないか。一体何を…」
「…ぇ。レティシアはゲームの内容を知ってるんじゃないの?」
今は囚われの身とはいえ元は主催者のレティシアの発言に今度は耀が目を丸くしていた。
「実はこのゲームだが、他人に任せたものでな。本来の“主催者権限”のゲーム内容とは大幅にかけ離れてるんだ」
「そっか。じゃあやっぱり、この部屋の仕掛けはゲームとは無関係のものなんだね」
そう言い次の欠片を填める。ここで又手を止めて振り返り話を続けた。
「レティシア。この空飛ぶお城って、元々は衛星……ぁ。えっと、世界の周りをぐるぐる回るお城だった?」
「あ、あぁ。我々吸血鬼は世界の系統樹が乱れないように監視する種族だったからな。吸血行為による種族変化もその名残だ」
「そう。なら監視衛星だったんだ。…うん、そこは分からなかった」
3つ目の欠片を填めた所で上条が先程から何故欠片を填めてるのか気になり口を開いた。
「なぁ、春日部。さっきはゲームが解けたって言ってたが…その石を填める事がゲームクリアに繋がるのか?」
「…えっと。そうなるかな、私が今填め込んでいるのがこの城が正しく飛ぶ為に使っていたと思うの。そして“砕かれた星空”の2つ目の解答。それがこの天球儀の欠片なの」
今もなお外では龍が暴れてる、悠長にはしてられないが無駄に焦る事はもっと必要ない為か耀は自分で確認するように頭の中で紐解いた内容を話していく。
「このゲームの第3勝利条件に、砕かれた星空を集め獣の帯を玉座に捧げよ。ってあったけれど…簡単に言うと獣の帯は黄道の十二宮ってなるの。砕かれた星空は…形ある何かだと思って探してもらったの。そして捧げる事ができるのが此処にある天球儀って解答になる」
耀は10個目の欠片を填め込み、少し自慢げに小さな胸を張った。
「な、なんと」
レティシアは感嘆した声を上げた。ゲーム開始前に悩んでいた彼女がギフトゲームを攻略していくと考えもしなかったからだ。
「俺なんてちっともわかんなかったのに…やっぱり春日部はスゲーな」
上条も同様に感嘆としてた。レティシアの話を聞きながらもゲームを攻略するために考えたいたのに解けずにいた、だが自分と歳も変わらない女の子が解いたのだから。
「こ…れは皆のお陰だよ。上条もレティシアも、ガロロさんもジャック、他のみんながいたから私は出来た事だから。それに今までゲームを解いてた十六夜の様子を見てたからだもの」
「何を謙遜する必要がある!同志から学び、己の戦果とする!これぞコミュニティの理想的な高め合いではないか!」
熱のこもった声で陽を褒める。
レティシアからみて何処か日陰があり、何時も寂しそうにしてた耀が誰かと協力してゲームを攻略しようとしてるのだ、それもコミュニティや他の皆が居たからだと言ったのだ。
年長者である身からしてこれほど嬉しいことは無いだろう。
「此れが、最後の欠片」
「これで龍も大人しく…!」
そして壁の仕掛けに最後の欠片を埋め込む。今起きている惨事を止める為に耀は自然と安堵の息が漏れてしまっていた。
10秒、30秒。短い間の時間が過ぎたがあの轟きが方向が止むことがなかった。
そんな中でこの悲劇を止められると思った耀は驚きの中で体が固まったのか小さく震えていた。
「な..んで。そんな確かにこれで」
頭を抱え再び思考に巡る。なにが間違ってたのか、何処か見落としはないのか。今尚"アンダーウッド"にいる皆が守ろうと戦ってるという焦りが思考を鈍らせる。戦に慣れていない耀に襲う仲間達の危機。
落ち着こうとするものの簡単にそんな事が出来るわけもなく唇を噛み締める。焦りだけが先を行く中で上条が声を掛ける。
「………きっと春日部がしてる事はあってるはずだろ?じゃなきゃ何の為にこんな装置を用意する必要がないはずだし、何より他に方法がないなら、何かが抜け落ちてるのかもしれない」
「….うん」
憶測だけの言葉、根拠も何もないはずなのに何故か落ち着いた。
一つ息を吐く。焦りでぐちゃぐちゃになっていた思考が紐解かれ一つになる。すると耀の思考にある可能性が見えて来た。
「あ っもしかして 」
そう続けようとした時。
感じた、上条と耀は同時にその方向へと振り向いた。
敵意 それもかなり強く 強大な殺意を感じた。
そして その強大な敵は玉座の間にある窓をぶち破りながら敵は入ってきた。
「其処までだ、小娘ッ‼︎」
側に控えていたジャックは即座に構え、ランタンから業火を放出した。
「油断した……!春日部嬢!下がりなさい!」
こんなにも近くになるまで気付かなかった自分に悔いながら、3つのランタンから業火を再び放出させる。其処にいつもの戯けた姿はなく、あるのは敵への警戒心だけだった。
油断はなかった、今ある業火を全て浴びせたのだ、ダメージは与えただろうと考えようとした。
しかし
「ヌルいわッ、木っ端悪魔がァ!」
敵は身体を1つ払っただけでその業火を払いのけ、猛々しい雄叫びをあげた。
「な、なんと⁉︎」
仰天して声をあげるジャック。敵は巨大な腕でカボチャ頭を鉤爪で鷲掴み、回廊へと続く階段に叩きつけては下へと転がり落ちていった。
姿を現した敵は全身が黒く塗りつぶされたような鷲獅子だった。
鷲の頭も、獅子の胴体も、全てが黒い。しかしその中でも目を引いたのは、その頭上にある聳える巨大な龍角と胸元に刻まれた“生命の目録”だろう。
それをみた上条は1度目を見開く。なんで彼奴にと思った。けれどそんな事は悠長に考えてられない。目の前にいる敵をどうにかして止めなければならないのだから。
上条の後ろで耀は動きを止めていた。
本能が逃げろと頭の中で警戒音を鳴らし続ける。
今すぐ逃げろ でないと死んでしまうと。
アイツには勝てない、と。
しかしそんなことは叶うはずもない、叶えてくれるはずがない。その事を理解すれば1つ息を吐き戦闘態勢を整える耀に対し妨げるように上条は腕を横に伸ばす。
「わかったんだろ、このゲームのクリア条件が。なら足止めをするのが俺の役目だ。春日部は一刻も早くこのゲームを終わらせる為に行ってくれ」
私も戦うと反論しようとするも言葉がでなかった。
上条を囮にゲームをクリアする、それが最善で最速だと結論を出してしまう。
だから何だ、此処で上条だけに任せていたら何も変わらない、なにも進めない 十六夜や上条みたいに強くなることができなくなる。そんな予感がしたのだ。
「ううん。上条1人じゃ勝てない、だから私も戦う。1人で勝てなくても2人なら勝てると思う…から」
強く 絶対引かないという意思を持って。もう上条を1人で戦わせたりしないと。
目の前にいる敵は1人でどうこうなる相手ではないなんて見ればわかってしまう。
黒い鷲獅子は嬉々とした目で耀をみつめた。
「嬉しいぞ、コウメイの娘。よもやこんなにも早く解答に近づく者がいるとはな!しかもどうやったかは知らないが龍も暴走させたとはな。色々聞きたい事はあるが、今はこの宿命に、星の廻りに感謝せねばなるまい!」
コウメイの娘と言われた途端 耀の表情に一瞬動揺が走る。
しかし考える暇もなく黒い鷲獅子は高らかに雄叫びを上げる。
「我が名はグライア=グライフ!兄ドラコ=グライフを打ち破った血筋よ!今一度、血族の誇りに決着をつけようぞ‼︎‼︎」
上条には目もくれず耀へと襲いかかるグライアと名乗る黒い鷲獅子だが、豪腕を振り上げたところで横に吹き飛んでしまった。
理由は簡単だ、上条の拳がグライアへと突き刺さったからだ。一度、二度と転がり壁に打ち付けられ亀裂がはしる。
耀はその時間を無駄にしないとばかりに後ろに振り向いては叫んだ。
「みんな、蠍座と射手座の間にある星座を探して!もしも城下街が天球儀を示してるなら、その中間地点に最後の星座があるから‼︎」
キリノ達や子供達が頷くと一斉に廻廊へと走り去った。このゲームをクリアするために あの龍を止めるために。
「 やってくれる 人間だからと甘くみていたが、ペストを倒したのは本当の様だな。だが所詮は人間。私の前に立ち塞がると言うのなら死んでもらうぞ」
その威圧感、殺気に耀は後ろに一歩下がってしまう。しかし上条は臆する事なく前へと一歩歩みを進めた。
「テメェが春日部に何の因縁があるのかはわからねぇけど。こんなふざけたゲームを仕掛けて、みんなが楽しみにしていた収穫祭を台無しにして、それでもまだ足りなくて壊すって言うのなら。そんな馬鹿げた幻想は俺が壊してやる」
「 面白い ならばやって見せろ」
グライアは常人なら反応する余裕もなく潰されてしまうでろう突進を仕掛けるも上条は右に滑り込む形で避ける。するとすぐさま体制を整えて振り向くがグライアは既に次の攻撃へと移っていた。
龍角から焔が1つの業火が現れる、それはジャックの地獄の炎よりも熱く燃え盛る、まるで全てを灰にするような獄炎。
しかしそんな攻撃は上条に効くはずもなかった。
右手を振り払うそれだけで何かが砕ける音がすると焔は霧散し消え去った。
反応はできた、目で追うこともできた しかし刹那の攻防に手を出そうにも出せなかった。耀は唾を飲み込む、これが命を賭けた戦い。
「…ほぅ。コレがリンの言っていた不思議なギフトか。なるほど面白い、面白いがつまらん」
またも同じ様に突進を仕掛ける がまた先程同様に避けようとした上条だが、このグライアは甘い筈もなかった。
足を地面に引っ掛ける形で速度を急激に落としたと思えば反動で回転し上条の脇腹に蹴りを放ったのだ。
咄嗟に自らのお腹を守ろうとするも速度が追いつかず、ミシミシッと骨が軋む音が響く。痛みで表情が歪む。次の時には身体は壁へと押し付けられていた。
「ガッ……は…ぁ⁉︎」
肺にあった空気を全て吐きだし、意識が飛びそうになるほどの激痛。ここで眠ろうと思えば目を閉じて楽になることも出来た。だがそんな事を上条当麻はしない、壁から落ち倒れそうになるも足で 腕で何とか立ち上がる。一撃を受けた、たったそれだけなのに。
改めて相手の強さというのを認識できた。
此奴は箱庭で出会った今までのどの敵よりも強く、レベルが違うのだと。