とある幻想の異世界物語   作:キノ0421

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待たせたな!


…はい、申し訳有りません
私こと作者さんは深くお詫びと謝罪をここにいたします

今後はこのように遅くならないよう頑張ります


20話

 

 

一夜明け"アンダーウッド"収穫祭本陣営に上条達は足を運んでいた。

集まったコミュニティは以下の4つ。

"一本角"の党首にして"龍角を持つ鷲獅子"連盟の代表・サラ=ドルトレイク。

"六本傷"の党首代行・キャロロ=ガンダック。

"ウィル・オ・ウィスプ"の参謀代行・フェイス・レス。

"ノーネーム"のリーダー・ジン=ラッセルと逆廻十六夜、久遠飛鳥、上条当麻、オティヌス。

黒ウサギは会議の進行役として前に立ち、バサッと委任状を長机に置いて話を切り出す。

 

「えーそれではこれより、ギフトゲーム"SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING"の攻略作戦の会議を行うのです!他コミュニティからは今後の方針の委任状という形で受け取っておりますので、委任されたサラ様とキャロロ様は責任ある発言を心がけてくださいな」

 

それぞれ誠実な声音で応答するサラと、鉤尻尾を振って応答するキャロロ。

後ろに控えていた上条は、キャロロの尻尾を見つめ頭をかいては思い出しだす。

 

「もしかして何だけど、いつも俺たちが行っている喫茶店のウェイトレスさんか?」

 

「そうですよー常連さん。いつもご贔屓にありがとうございます♫」

 

「彼女は"六本傷"の党首・ガロロ=ガンダック殿の二十四番目の娘でな。ガロロ殿に命じられて東に支店を開いているらしい」

 

「ふふ、ちょっとした諜報活動です。常連さんのいい噂を父にちゃんと流されてますよ!」

 

3人は感心したかのように相槌を打つ。十六夜は悪戯を思いついたとばかり顔を飛鳥と上条に向ける。飛鳥はニヤリと笑い、上条は呆れたように顔を引きつる。

 

「なるほど。一店員の筈のアンタが、南の収穫祭に招待されていたのはそういう理由か。………しかしそんな秘密を聞くと、今後はあの店に入れなくなるよなぁ、お嬢様?」

 

「そうよねぇ、あのカフェテラスで作戦立てていたことも、全部筒抜だったんでしょう?怖くて今後は使えないわよねぇ、上条君」

 

「そ、そうだなぁ。確かに他人に聞かれたくも無い話を報告されていたと考えると次からは他の店にかえるしかないよなぁ」

 

「そうだ、ここは一つ二一五三八〇外門の"地域支配者"として、ここは呼びかけておくかね」

 

「だとしてもどんな風にするよ?」

 

「『"六本傷"の旗下に、間諜の影あり!』とかチラシでもはったりとか」

 

十六夜と飛鳥はノリノリで、上条も呆れてはいたがノリノリで話を進める。

一方のキャロロは猫耳と鉤尻尾を跳ねさせて焦る。

 

「ちょ、ちょ、ちょっと待ってくださいよ⁉︎そんなことされたらうちの店がやっていけなくなりますよ!」

 

「それを見逃して欲しいっていうなら…相応の態度って物があるだろ?」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべる問題児達がキャロロを追い詰める。

キャロロは半泣きになり指をクルクル回し断腸の思いで提案をする。

 

「こ、これからは皆さんに限り!当店のメニューを格安のサービス1割引きに」

 

「「3割だ」」

 

「うにゃぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

キャロロの叫びが聞こえる中、その一連の流れを見ていたフェイス・レスはゆっくりと手を挙げる。

 

「話を進めていただけますか?」

 

「…ぁ、りょ、了解なのです!」

 

あまりの事に呆然としていた黒ウサギは仕切り直すため、せき込んで進行を開始する。

 

「それではゲームの方針を決める前にサラ様からお話があるそうです」

 

サラはその場で立ち上がり、周囲を見回す。

沈鬱そうな顔を浮かべ、深い吐息を漏らす。

 

「今から話すことは、この場だけの秘匿として聞いて欲しい。決して口外しないように」

 

「…はい、わかりました」

 

ジンが皆の代表として代わりに答える。

同席した全員が頷いたが、サラの言葉に不審そうに眉を顰めている者もいる。

 

「まずは1つ目。"黄金の竪琴"が奪い返された際に、"バロールの死眼"も同時に盗み出されたようなのだ」

 

「あぁ。凡百の巨人には扱えないが…これで奴らの戦力が大きくなった。死眼に対してはまた別の対策を練らないといけない」

 

サラはさらにと続け、より一層に沈鬱な顔になる。

 

「そしてもう1つ。ゲーム休戦前に北と南から緊急の連絡が入ったんだが…それによると、魔王が出たのは"此処"だけではないらしい」

 

「………まさか」

 

「そのまさかだ。北の"階層支配者"である"サラマンドラ"と"鬼姫"連盟。そしてお前たちもよく知る、東の"階層支配者"である"サウザンドアイズ"幹部の白夜叉様。以上3つのコミュニティが同時に魔王の強襲にあっている」

 

皆が静まりかえる。進行役の黒ウサギも半口を開いて絶句している。

そんな中で上条は1人悪態をついていた。

 

何も知らされていない飛鳥や十六夜でさえ、それが異常だと理解していた。

上条が一言呟く。

 

「偶然じゃない…な」

 

「だな。…だがこれで納得した点がある」

 

十六夜の納得した。という点に疑問をもったサラが問いただす。

 

「…それはどういうことだ?」

 

「詳しい話は後でにするが…"サラマンドラ"の誕生祭に魔王が来たのを知ってるよな?」

 

「当たり前だ。出て行ったとはいえ故郷のコミュニティが襲われたんだぞ」

 

サラは馬鹿にされたと思ったのか、眉を顰める。

十六夜はより一層に顔を緊迫させる。

 

「…そもそも思い出してみろよ。誕生祭を襲ったペストの目的はサンドラだったか?」

 

上条もそこで十六夜の言いたいことに気付く、言われてみれば確かにそうだった。

ペストが欲したのは太陽の主権と復讐で、ましてや太陽の星霊を封印するという稀有な"主催者権限"を持っていた。白夜叉を倒すのに打ってつけの人選だったに違いない。

 

「誕生祭のメインホストはサンドラ。ゲストは白夜叉扱いで"サウザンドアイズ"の主力も連れてきていない状態で…だ」

 

上条も続くように声を上げる。

 

「つまり…南の"階層支配者"が討たれた時と、"サラマンドラ"…いや白夜叉が襲われた時が同時期。さらには今回は南に東に北に魔王に襲撃されている、となったら偶然じゃなくて計画されているってことか?」

 

「そう、つまり…仮称"魔王連盟"というべき敵は"階層支配者"を各個撃破できるように同時攻撃を仕掛けているんだろう。そしてそれを手引きしている組織もいる」

 

十六夜の鋭い視線がサラを貫く。さらにフェイス・レスがつげる。

 

「サラ様。現"階層支配者"は"サラマンドラ"・"鬼姫"連盟・"サウザンドアイズ"の白夜叉。これに加えて休眠中の"ラプラスの悪魔"の4つでよろしいのですか?」

 

「あぁ、そうなるかな」

 

「もし前者の3つが壊滅すれば、全ての"階層支配者"が活動不能になり、上位権限である"全権階層支配者"を決める必要があります。敵の狙いはそれでは?」

 

上条以外から何?と声が上がる。

サラも、ジンも、黒ウサギでさえ知らない様子で首を傾げている。

上条は何かを思い出したか、フェイス・レスに話しかける。

 

「そうか…それもあったな。確か"階層支配者"が全滅か、1人になった時に、4桁の地位と相応のギフト。それに太陽の主権の1つを与えられるんだっけか?でもそれがどうし」

 

「た、太陽の主権の1つと、暫定4桁の地位だと⁉︎」

 

「そ、そんな制度があるんですか⁉︎」

 

声を荒げる黒ウサギとサラ。

太陽の主権とは黄道の十二宮に、赤道の十二辰

 

「…黒ウサギは知らないのか?」

 

「く、黒ウサギは一族的にぶっちぎりで若輩なので…昔の話は…。というか何故に上条さんはそんなのを知っているんですか⁉︎」

 

ウサ耳をへにょらせながらも上条に食い気味に聞き出そうとする。

 

「俺か?俺は白夜叉とお茶してる時に過去の話とか聞かせてもらっているからな。確か初代"全権階層支配者"が白夜叉だった、てことくらいしか知らないけどな」

 

「なるほど…ということはレティシア・ドレイクも"全権階層支配者"だったという事も知らないんですね」

 

「レ、レティシア様が"全権階層支配者"⁉︎」

 

さらに声を荒げて驚く黒ウサギの反応に、フェイス・レスの方が驚いた。

上条は動揺せずにただ落ち着いて話を聞いていた。

 

「…"箱庭の貴族"ともあろう者が知らないのですか?」

 

フェイス・レスの言葉がトドメとなり、ハンカチを取り出して汗を拭きながらそっぽを向く黒ウサギ。

十六夜がやれやれと首を振りながら助け舟を出そうとしたが、上条の肩で沈黙してたオティヌスが遮る。

 

「そんな昔話はどうでもいいだろう?今は私達がやるべき事は城に乗り込む部隊を組むのと、"アンダーウッド"を守る部隊を編成することが先だ」

 

言い終わるとオティヌスは肘で上条の首を突き、続きの言葉を言うように催促する。

 

「あー…それに攫われた人達も気になる。確か"六本傷"のガロロさんだっけか、その人も攫われたんだろ。ならその人達を助けてから話し合いをしてもいいんじゃねぇか?」

 

ぎごちなくも耀を助けに行く流れを作り、サラとしても否定することなく快諾の意思を示す。

2日後の夜に部隊を編成し、送るという事になった。

さらには"ノーネーム"の客室として主賓室を用意してあり、そこに向かう途中に十六夜があるきながら、振り返りもせず呟く。

 

「おい、上条」

と、上条を呼びかけようとするも返事は返ってこず、飛鳥が気まずそうにしながらも代わりに答える。

 

「上条君なら居ないけど…?」

 

「……………は?」

 

後ろを振り向くと、確かにそこには飛鳥しか居らず、通りで歩くときも静かだったと思いながら、十六夜は軽く舌打ちをし前に向き直すと再び歩き始める。

 

「…?どうかしたのかしら」

 

「いや、何でもねぇよ」

 

それだけ言い放つと黙り込み、主賓室へと向かうのであった。

 

 

 

 

 

「それで人間、なんであんな嘘をつきながら私に遠回しに話を変えさせるようなことをさせた?」

 

上条とオティヌスが居るのは、"アンダーウッド"本陣営から少し離れ、テラスだった場所に居た。

 

「あのままレティシアの昔話をして、余計乱 混乱させたくなかったってのもある。けど…」

 

それ以上に、周りの人達に不信感を抱かせたくなかった。といいかけた上条だったが。

 

「あれー?不幸そうなお兄ちゃんだ、生きてたんだね」

 

突然、気配もなく声を掛けられ咄嗟に後ろを振り向く上条と、話の邪魔をされて不機嫌なのか睨みつけるように少女を見つめるオティヌス。

 

「…確か…襲撃の時に居た…」

 

「うん、覚えててくれてねありがとうね!…あれれー、でも確か君…避難したんじゃないの?ここは避難してきた人がいるような所じゃないと思うけど」

 

ジッと、隙を見せず上条を見つめ…いや、観察する少女は、黒髪にワンピース、短刀を腰に巻く、"アンダーウッド"襲撃の際に、楽しそうに見物していた普通ではない少女。

 

「…たまたまだよ、"偶々"。そういうお前だってそうだろ?」

 

「まぁね、私も"偶々"だよ、不幸なお兄ちゃん。あっ、そういえば名前聞いてなかったね。よかったら抑えてくれないかな?」

 

「…上条当麻だ、お前の名前は?」

 

ここで黙ってても、メリットはないと考えた上条は、警戒を解かないまま、名前を言い、逆に黒髪の少女の名前を探ろうとする。

 

「私?私は…うーん、まぁいいか。リンだよ、よろしくね、上条くん」

 

頬に手を当て悩む仕草をするが、すぐに止めて笑顔で名乗る。

しかし、これらの行動に隙はない。

前に現れた時もそうだが、気配が無いところに急に現れるリンに上条は躊躇なくある事を聞いた。

 

「よろしくな、リン。しっかし急に現れたけど…ギフトか?」

 

「…急に現れたって、何でそう言えるのかな。"偶々"後ろから声を掛けた、それが2回続いただけかもよ?」

 

「"偶々"が2回も続いたら…それはもう、"偶々"だなんて言えないかとしれないぞ」

 

黙り込むリン、互いに視線をそらさず静かに数秒ほどの時が流れる。

口を開いたのはリンからだった。

 

「それでも"偶々"だよ。あっ、そうだ君は今回のゲームどうするの?魔王ドラキュラを殺さないとクリア出来ないんだよね?」

 

それは期待と、何か面白い答えを待つ子供のような目を上条に向ける。

上条はそんな質問に表情を特に変えずに言い放つ。

 

「そんなのは決まってる。レティシアを助けて、そんでゲームもクリアする。どんなゲームにだろうとな、その為なら諦めないし、体や頭を使い尽くしてでも助ける」

 

「なにそれ、つまらない」

 

リンの顔からは笑みが消え、後ろに振り向くとそのまま歩き出す。

 

「まぁいいや。上条くんも精々足掻いてね、バイバーイ」

 

そう言うとリンは走り去るが上条は追おうとはせずに見送った。

 

「いいのか、追わなくて。アレは間違いなく敵だと思うが?」

 

肩の上で呆れた目をしながら一応理由を聞くオティヌス。

 

「俺の前に出てくるってことは逃げる事も簡単にできるって話だろ?…見た感じは春日部よりも強いかも」

長年の経験則、それこそオティヌスとの戦いで、記憶が摩耗し、トラウマを植え付けられるほど過ごした、上条にとっては曖昧な感覚でもわかるものがある。

 

「…怪しすぎる。次会うときも油断するなよ?」

 

「わかってるって。あっ…そろそろ十六夜達の所に戻るか」

 

むしろ、あんな質問をしてくるという事はリンという少女も今回のギフトゲームを仕掛けた側、前に十六夜が言っていた魔王連合の1人かもしれないと考えていた。

考えすぎだとしても可能性の1つとして頭の中に入れておいては上条は十六夜と作戦会議でもする為に足を動かすが途中で止まり汗を流しながら、油をさしてないロボットがぎこちなく首を動かすような動きをしながら、肩に乗るオティヌスの方を向き。

 

「………そもそも十六夜達って何処に居るんだっけ」

 

呆れ、オティヌスからくる視線にはそれが充分に含まれており、上条は項垂れては息を一度ゆっくりと吐いては思い切り息を吸い。

 

「不幸だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ‼︎‼︎‼︎」

 

上条の叫びが"アンダーウッド"に響き渡る。

その後、"アンダーウッド"を彷徨ってた上条は偶然にもサラに拾われては黒ウサギに送り届けられた。

翌朝、上条を待っていたのは

ペストと組んで、飛鳥とディーンの模擬戦だった。

 

何故そうなったのか…理由としては十六夜が飛鳥を遠回しに実力不足といい、耀の救出部隊から遠ざけて、巨人との戦闘部隊に回した。飛鳥のギフト的にも攻めより守りが相性がいいのは本人も自覚しているらしいが、友達である耀を助けたい為に十六夜に直談判するも、軽く蹴られ参加したいのなら十六夜が出した条件にクリアするというものだった。

それが上条とペストの2人組みに勝つ事だった。

 

"アンダーウッド地下大空洞"大樹の地下水門

 

「DEEEEEEeeeEEEEN!!!!!!」

 

地響きを鳴らしながら巨大な鉄腕が走り回る小さな影に向かっては、地面に突き刺さり岩が砕け砂埃が軽く舞う。

ディーンの肩に乗る飛鳥は砂埃を見つめては、一瞬だけ揺らめく影を見つけては叫ぶ。

 

「今度こそ…潰しなさい、ディーン!」

 

赤い鉄人形のディーンも、それに呼応するように雄叫びをあげながら鉄腕を振るう。

 

「DEEEEeeeEEEEEN‼︎!‼︎」

 

伸縮する鋼、神珍鉄と呼ばれる鉄腕が突き刺さる。炸裂するような音だけが鳴り響く。

そこに手応えと呼べるような物はなかった。

飛鳥は外れたとわかるとすぐに警戒するが、もう遅かった。

ディーンの腕から駆け上がるウニ頭の生物が1人。

焦る飛鳥は振り払うように命令するため言葉を発しようとするが、口を開けようとした…その時、一瞬と言っていいほどの速度で上条が急加速しながら飛鳥に突進してきた。

ペストの死の風を背中に受けて加速し、右手で自分の体に触れては"死"を無効化。上条だから出来る荒技だった。

 

「なっ⁉︎」

 

突然の事に反応できなかったのか、避けることも出来ずに衝突し、そのまま地面に落下していくが途中でペストが2人を掴んでは着地させる。

そして飛鳥に向かい、見下してはつまらなさそうにしながら指摘する。

 

「上条の動きすらまともに捉えられない。あんな直線的な突撃も避けられない、これじゃ話にならないわ」

 

「……っ…!」

 

「それで、どうするの?まだ続ける?このままやっても上条すら倒せない。これじゃ苛めてるみたいになるわよ」

 

顔をうな垂れては悔しそうに唇を噛む、しかし何も言い返せない飛鳥はゆっくりと立ち上がりディーンをギフトカードに戻す。

 

「…いいえ。もう自分の実力は把握したわ」

 

「あっそ」

 

笑顔のままそっけなく言い捨てて、上条の元へと近づくペスト。

 

「上条も相手が飛鳥だったから、あんな馬鹿みたいな突撃がうまくいったけど。普通なら避けられて貴方だけが落ちて追撃されておしまい」

 

「そもそも突撃させたのはペストだよな⁉︎いきなり後ろから突風が吹いては急加速するんだもの!」

 

「あれは…ッ、上条があのままだと振り落とされると思って手助けしたのよ‼︎」

 

「急に、何も言わずに、あんなの出されても、合わせるなんて無理に決まってるだろうが⁉︎」

 

「言わせておけば…!大体ね上条は色々と雑すぎるのよ、あの鉄人形に触れないのは仕方ないにしても、全部ただ避けてるだかじゃない‼︎私が居なかったは勝ててなかったわよ⁉︎」

 

「上条さんには上条さんなりの作戦があるにきまってるだろ⁉︎」

 

さらにデッドヒートする上条とペストの言い合いに呆れたのか、ジンが仲裁しようとする。

 

「お、御2人とも落ち着いくだ」

 

「「ジンは黙ってて(ろ)‼︎」」

 

「は、はいっ」

 

ジンを言葉を遮りながらも、口論を続ける2人。

2人の剣幕に押されたのか、ジンは仲裁するのを諦めては飛鳥に近寄っては労うように声を掛ける。

 

「飛鳥さん、お疲れ様です。仕方ないと…いいますか…えっと…」

 

「……えぇ、ありがとう」

 

沈黙、ジンは何てフォローしたらいいのかわからず視線を観戦していた黒ウサギとサラに向ける。

しかし黒ウサギも困ってるのか、軽く微笑んではそっぽ向いてしまう。

サラはというと何かを考えているのかジンの視線に気付いてすらいなかった。

困り果てたジンは1度黒ウサギの元へと駆け寄ろうとするが、視界の端に両手にバケツを持っては川辺を歩く問題児を捉える。

問題児十六夜はバケツに水を汲むと、未だ言い合いを続ける上条とペストに近寄り。

 

「手が滑ったァァァァァァァッッ‼︎‼︎」

 

十六夜は思い切り水を上条とペストのいる方向に水を掛ける。ついでに黒ウサギにも。

口論で気づかなかった2人はもろに水を受けては吹っ飛んでしまう。飛鳥も巻き添えにして。

 

こんな事をする輩は1人しかいないと、2人仲良く立ち上がっては文句を言おうとする。

しかし十六夜が有無を言わさないように口だけ笑いながら親指を立てて。

 

「手が滑った!」

 

笑顔のままいうが、目が笑っておらず。

2人は睨まれた蛇のようにたじろいでしまう。

その隙を狙うかのようにペストを担いでは、上条に向かいながら言葉を掛ける。

 

「風呂に来い」

 

来い。その一言だけを言い残しては飛鳥も抱えながら風呂に入らせようとする十六夜。

2人で仲良く入らないなら服を剥いでは身体を洗うと言われたベストと飛鳥の2人は大人しくなったという。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

小ネタ

このお話は本編とは全く関係のない、季節?

箱庭にそんなのあったけ?

いいえ、知りません

 

ただ作者の妄想です

 

お正月

 

大晦日

一年の終わりを迎える日

"ノーネーム"一同は屋敷の外でパーティを開いていた。

 

子供達が用意してくれた椅子に座っては、年越し蕎麦を啜る上条と、その肩に乗るオティヌス。ゆっくりとした時間が流れる。

 

「いやぁ、あと数時間で一年の終わりかぁ」

 

「…そうだな。ここにきてからいろんなことがあったが、半年以上を過ごして…とても…楽しい日々だ」

 

照れているのか、帽子で顔を隠すオティヌスをみては微笑む。

他のメンツはというと

十六夜はジンを振り回しながら馬鹿騒ぎをしていた。飛鳥はそれを眺めては笑いながら十六夜を止めようとし。

耀は何かを気にしつつも料理を頬張っていた。

 

いつもの光景なのだが、何故か今日は普段よりも騒いでた、だけど皆が楽しそうにしてるのを見てると、止めようとも思え無くなってしまい上条はただリリが作った年越し蕎麦を啜る。

 

「あぁ…この一杯か身体にしみる」

 

「当麻…台詞がおじさんくさいぞ」

 

蕎麦を堪能してる上条の前に座ってきたのは、何故かメイド姿ではなく着物姿のレティシアだった。

着物は黒を基調とし、色鮮やかな花が散りばめられていて、とてもよく似合っていた。

 

「そういうレティシアさんは何故着物姿なのでせうか…」

 

「ん?ニホンでは祭事にはこう言ったものを着ると十六夜がいっていてな。服自体は白夜叉から借りた」

 

「…十六夜が犯人か」

 

心の中で十六夜にエールを送りつつも、レティシアの着物姿を観察しつつたわいもない話をする。

すると大きな器を持った耀がレティシアの隣に座る。

因みに飛鳥は十六夜の餌食になっていた。

 

「……こういうのが好きなの?」

 

レティシアの着物を見ては上条の方へ視線を向ける。

 

「いや、まぁ好きではあるけど…」

 

「…そう」

 

一言だけ言っては蕎麦を食い始める耀。

何かを察したのかレティシアは勝ち誇るような笑みを浮かべる。

オティヌスは呆れ果て、上条は状況についていけなかった。

 

そして刻は0時を回る。

それを告げる鐘の音が鳴り響くと、騒いでた十六夜も動きを止め"ノーネーム"一同は挨拶を交わす。

 

「新年明けましておめでとうございます」

 

 

この作品もよろしくお願いします

 




投稿しない間に上条さんが人間やめてて助かったよ()

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