とある幻想の異世界物語   作:キノ0421

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たいッッッッッへんお待たせしました!

いやぁ〜ダメですね、艦これとクトゥルフをしていると時間を忘れてしまいます…
クトゥルフのシナリオなんてすぐに出来るやろ!なんて考えが甘かった…
そして季節はクリスマス…パティシエの自分にとっては地獄の季節となります…強く生きないと…締め切りも決めたほうがいいかな?


19話

 

突然出現した龍、周りは騒然とし何が起こったのかわからない状況だった。

さらに魔王とのギフトゲームときた。

混乱せずにはいられない中で上条は地面に拳を突き立てる。

 

「クソッ‼︎何で…何でレティシアが…‼︎」

 

上条としてもレティシアから聞いた話の中に南に封印されたと聞いていて、白夜叉の件もあり少しは警戒していたつもりだった…しかし捕らえれてしまった。

上空を見上げるとレティシアとローブを被っている人間と、黒ウサギと十六夜が交差するようにこちらに飛んできていた。

黒ウサギは着地するや否や上条に駆け寄ってくる。

 

「上条さん⁉︎大丈夫ですか⁉︎」

 

「ッ…俺は大丈夫だ。だけどレティシアが…俺のせいで」

 

とは言っているか上条だが背中からは血が止まることなく流れている。腹の傷も開いており、いつ出血多量で倒れてもおかしくはなかった。

 

「そんな事で不貞腐れるのもいいが、今はギフトゲームの時間だ。お前も見ただろ、あのふざけた"契約書類"の内容を。それに目の前にいるドでかいトカゲの姿がよ」

 

「……言っておくけど俺は」

 

「わかってる。レティシアを助けたいって言うんだろ?そんなのは当たり前だ、問題はそこじゃない」

 

十六夜はジッと"契約書類"を読む、勝利条件には魔王ドラキュラの殺害、レティシアの殺害

、残りは謎々ときた。

魔王ドラキュラはつまりレティシアの事を指しているため除外、レティシアの殺害はもちろん除外。

謎解きをする前に、稲光を放つ夜空。雷雲から姿を見せている巨龍に視線を向ける。

すると龍が雄叫びをあげ、鱗を散弾のように"アンダーウッド"へ撒き散らす。

 

「ッ⁉︎上条、黒ウサギ‼︎俺の後ろに隠れろ!」

 

散弾とおもえるようや鱗を十六夜は拳と足を使い後ろにいる仲間を守るため弾いていく。

しかし最強種はそれだけでは終わらせてくれない。

鱗は大蛇や、火トカゲ、5つ尾の大サソリに変幻していく。

上条達は魔獣達に囲まれるも、上条と十六夜は拳を、黒ウサギはギフトカードを、オティヌスはその頭脳で戦うために臨戦態勢に入る。

十六夜は周囲を見渡し、敵の数を把握し上条と黒ウサギに話しかける。

 

「オイ、此処は俺が片しておくから上条は本部に戻って治療を受けてもらえ。今の傷だと逆に足手まといだ。黒ウサギは上条を運んでやれ」

 

「…はい。わかりました、十六夜さんは…気をつけるほども無いですね」

 

「って勝手に話を進めるなよ。そもそもこれは俺が原因なんだから休む訳にはいかない」

 

「阿保。今にも倒れそうな奴が何いってんだ。それに原因なら俺も少し遊び過ぎたから共犯だ。いいからさっさと帰って怪我を治してから来い」

 

「…なぁ十六夜。お前って本当は」

 

続きの言葉を言おうとするが十六夜に止められてしまう。

 

「いいから行け。こちとらやる事は此処だけじゃねぇからな」

 

そしてもう話す事はないと言わんばかりに魔獣達に向かって、第三宇宙速度の拳を叩きつける。

こうなっては仕方ないと上条は諦め、黒ウサギに大人しく連れて帰ってもらった。

 

 

 

 

"アンダーウッド"収穫祭本陣営では大混乱に陥っていた。

巨人達の奇襲だけで手一杯だったのに、最強種の襲撃となれば指揮が乱れ、"龍角を持つ鷲獅子"のコミュニティ間での連携など出来るはずなかった。

黒ウサギは外からでもその状況が伝わっていた。彼女の耳のお陰もあり、サラが伝令から聞いた内容もしっかり聞いており窓からサラの部屋へ乗り込む。

 

「サラ様!ご無事でしたか!」

 

「黒ウサギ殿…いや、丁度いい。すぐ同士を集め帰郷の…その前に彼の治療が優先だな」

 

上条はというと黒ウサギの脇に抱えられていたが傷口をダイレクトに触られノックアウト寸前になっており、慌てて黒ウサギが上条を解放し、医務室へと運ばれていった。

治療自体はすぐに終わった、止血し包帯を巻く。今のこの状況ではこれが限界で、上条もそれでいいと言いサラ達の部屋に戻る。

その道中上条が廊下を通り、ふと窓を見た。

 

 

 

なんということでしょう巨人の頭がこっちまで近付いてきているではないか。

肩に乗っていたオティヌスはただそっと上条の襟に捕まる。

上条はただ走った。

 

「うぉぉぉぉぉぉ‼︎」

 

走る、サラの部屋を目指して走り飛び込む。

ドガシャャャンッ‼︎と盛大に窓を破壊。続いて響くのは大樹を揺らす激動と衝撃。

ホコリが上条に被さるもすぐに体を起こし、事故現場を見ながら叫ぶ。

 

「これ十六夜だろ⁉︎絶対にそうだ‼︎そうに違いない‼︎こんな出鱈目で馬鹿なことをする奴他に居てたまるかッ‼︎」

 

上条の叫びに肩に乗っていたオティヌスも忌々しい表情を隠さずに叫ぶ。

 

「全くだ…何処に地球どころか箱庭にだってこんな阿呆な事をするのは1人で充分だ‼︎服が汚れたじゃないか‼︎」

 

そういい帽子を脱ぎ埃と瓦礫を払う。

上条も一張羅の学生服を叩き埃を落とす。

怪我人である上条を心配してか黒ウサギが駆け寄ってくる。

 

「だ、大丈夫ですか?」

 

「あぁ…しかし十六夜の奴、やりたいことってこれかよ…」

 

上条はがっくりと肩を落とし項垂れる。

部屋にいたサラは戸惑いを隠せない表情のか上条に話し掛ける。

 

「待て…これは君達の仲間がやった事なのか?」

 

何が起こったのかわからない、そんな表情のサラ。真正面と隣にいる上条と黒ウサギは申し訳なさと、気まずそうな顔で答えた。

 

「多分ですけど。ただ、こんな無茶苦茶な事をするのは1人位しかいねぇよ。居て欲しくない」

 

「Yes…この巨人は恐らく、我々の同志のお馬鹿様が投げた者かと…」

 

「…投げた?」

 

思わずきき返すサラ。

しかし黒ウサギや上条からは訂正する声は上がらない。

半信半疑になりながらも瓦解した壁まで行き身を乗り出した。視界の先では巨人族と"龍角を持つ鷲獅子"連盟が未だ戦っていた。

"アンダーウッド"は全長500mという巨躯を誇る水樹。その中腹に位置する本陣営からは戦場を一望できる。

そこでサラは再び驚愕する。

ほんの数分前までは都市付近まで追い詰められていたはずの"龍角を持つ鷲獅子"の戦線が外門までの退路を確保して余るほど盛り返していたのだ。

それもたった1人の少年を先頭に据えて。

 

「まさか…あの少年が、巨人をここまで投げ飛ばしたというのか⁉︎」

 

サラはその馬鹿げた光景に声を荒げながら、十六夜の戦いっぷりに口を開けて絶句してしまう。

 

「黒ウサギ殿…」

 

「はいな、何でございましょう」

 

サラは倒壊した壁から戦場を一瞥し。

 

「何だ、アレは」

 

アレと、もはや本当に人間なのか疑っているサラは十六夜に対して指をさしていた。

 

「か、彼に関してはまた後程説明するとして…そらそろ審議決議が受理される時刻。黒ウサギがそれを知らせますので、サラ様は魔獣掃討作戦に加わって指揮を取ってください」

 

「う、うむ。心得た」

 

サラは額を拳で軽き意識を切り替える。

黒ウサギは白黒に彩られたギフトカードから"擬似神格・金剛杵"を取り出す。

黒ウサギの髪は光を放ちながら緋色に変わり、やがて燃えあがり始める。

ウサ耳を揺らしながら"アンダーウッド"全域に届くような声で宣言した。

 

「"審判権限"の発動が受理されました!只今から"SUN SYNCHRONOUS ORBIT in VAMPIRE KING"は一時休戦し審議決議。執り行います!プレイヤー側、ホスト側は共に交戦を中止し、速やかに交渉テーブルへ移行してください!繰り返し」

 

「GYEEEEEEEEEEYAAAAAAAAAaaaaaaaaEEEEEEEEEYYAAAAAAAAAaaaa‼︎‼︎」

 

その叫び声に上条と黒ウサギ達は耳を疑う。

黒ウサギが審議決議の宣言をしている最中、巨龍は雷雲を撒き散らし"アンダーウッド"へと急降下し始めた。身体を少しでも動かすだけで大気を絡め取る龍は100mを通過し突風を巻き起こした。

しかし最強種が起こす災害はただの突風程度で終わるはずもなく、"アンダーウッド"で戦っていた飛鳥、ジン、十六夜、ペストも、さらには巨人や魔獣も敵味方の関係なしに、その突風で空へと巻き込んで吹き飛ばす。

その暴威にサラは瞠目したまま固まってしまう。

 

「都市が…戦場が、すべて空に…!」

 

「サラ様危ないッ‼︎」

 

「出鱈目過ぎるだろ⁉︎」

 

暴風に吸い込まれそうになるサラの手を黒ウサギが握りしめる。

しかし上条はそうもいかなかった。

突然の暴風で何かに捕まろうとするが届かず外へと投げ出されてしまう。

 

「まずっ…」

 

「上条さんッ‼︎」

 

空へと堕ちていく、黒ウサギはサラを支えるので手一杯、ペストも戦場で空へと打ち上げられている。レティシアは連れ去られた、春日部も十六夜も此処には居ない。

十六夜みたいな身体能力がある訳でもなく、春日部みたいに飛べず、飛鳥みたいに命令して助かることも出来ない。

上条は右手に"幻想殺し"があるだけで普通の人間なのだ、どこかの超能力者に滅多打ちにされる訳でもなく、魔神に襲撃される訳でもなく。

ただ上条当麻は地面に頭を打ち付けて死のうとしている。

落下していく中でどうにかして生き残れないか考えるが何も思い浮かばない。

本格的に死を覚悟した上条は目を瞑る。

 

しかし死は来ない。

目を開ければ地面が、そこにはあった。しかしその距離は10mはあり、何秒まっても落ちる気配はなかった。

くどいようだが上条は普通の人間、飛べるはずが無い。

上条は頭が混乱し、辺りを見渡すがやはり誰もいない。

 

「全く…魔神を倒した英雄が墜落死とは笑えないぞ」

 

「えっと…オティヌス?」

 

声がしたのは上条の頭の後ろからだった、背中の方から何かに引っ張られている感覚があるが、捕まる場所など何処にもなかった。

そこである可能性が1つ。

 

「まさか…飛んでるのか?」

 

オティヌスが空を飛んで上条を滞空させている事だ。

 

「それ以外に何があると思う」

 

それをオティヌスは否定をしない。

しかし上条の記憶ではオティヌスは魔神の力を得ていても空を飛んでいた記憶は無く、ましてや"妖精化"を受け魔術もろくに使えないオティヌスが空を飛ぶ。そんな事が出来るとは上条には思えなかった。

 

「と、とりあえず下ろしてくれ…」

確認しようにも真後ろにいるオティヌスを見る事を出来ないので着地してから状況を整理するこもにした。

 

「…な…」

 

「な?」

 

「な……な…」

 

「…な?」

 

「……何かないのか⁉︎空を飛んでいるんだぞ⁉︎」

 

オティヌスの悲しみと怒りに満ちた怒号が上条の耳を襲う。

 

「空を飛んでいるというのに…リアクションが下ろしてくれ、とは何だ⁉︎」

 

「えぇ…。とりあえず下ろしてくれよ、このままいるのも割とシンドイからさ」

 

「クソッ…!これだから人間は…」

 

上条からのリアクションが予想以上に小さい事に苛立ちを隠せないオティヌスは上条を着地させると、その姿を見せる。

 

「…え」

 

言葉が詰まる。

上条が見たのはオティヌスの背中から薄い羽が4枚生えており、その姿はまるでファンタジーの世界にいる妖精そのものだった。

上条はその美しさに見惚れてしまう、オティヌスが人形みたいで美しいのもあるが、羽が生えた事により幻想的になりより美しく見えたのだろう。

 

「今度は無反応ときたか…流石の私でもキレるぞ」

 

オティヌスは先程から上条の反応がいまいち掴めないせいか軽く拗ねかけていた。

 

「あっ…い、いや…ど、どうしたんだよ⁉︎いつの間にその羽。まるで妖精みたい…だ……まさか」

 

「そのまさかだ。私にかけられた"妖精化"の呪いが箱庭にきてギフトになり文字通りに妖精となったのだろうな。まぁギフト名は少し違うがな」

 

「えっと…マジで?」

 

「マジだ」

 

上条は頭の中を整理するが、やはり"妖精化"を打たれたからといって本当に妖精になるとは夢にも思っておらずパンクしかける。

考えていると上の方から黒ウサギとサラが降りてくる。

 

「上条さんご無事ですか⁉︎」

 

「…黒ウサギには心配かけてばっかりだな…」

 

「お前が悪いんだろ」

 

「そうですよ。でも上条さんを心配してるのは私だけでは無いんですけどね。それでも!私からしたらちょっと無茶しすぎデス…」

 

既に上条は腹部を貫通したり、十六夜とレティシア(主に十六夜)から受けた傷、そして背中にナイフとボロボロだった。

次に黒ウサギは上条の近くにいるオティヌスに目を向ける。

 

「ってオティヌスさん⁉︎何ですか、そのお姿は⁉︎」

 

「…ギフトを使うとこの姿になるだけだ」

 

「確かに…オティヌスさんがギフトを使っているのは初めて見ましたけど…確か"旅路を終えしもの"でしたっけ?」

 

「それとはまた別のギフトだ。それよりこんな話をしている場合じゃないだろ?」

 

オティヌスに言われてか黒ウサギは何かを思い出し、天空を見上げる。

そこには落下する瓦礫や残骸。落下するサラの仲間たちと巨人族が悲鳴をあげているのを。

 

「そ、そうでした!皆様を助けに行かないと…‼︎行きましょうサラ様ッ!上条さんとオティヌスさんは医療部屋を大きくするように伝えてください!」

 

「急ごう、黒ウサギ殿!」

 

炎翼を放出したサラと黒ウサギは、落下する仲間たちの救出に向かう。

オティヌスは上条の肩に降りると羽が霧散していく。

そして黒ウサギの言われた通りに本部に戻るのであった。

 

 

 

 

 

"アンダーウッド"の緊急治療所。

上条により急遽用意された治療所には、怪我人が並べられていた。

家屋の6割が焼き払われため殆どの負傷者は雑魚寝の状態である。

巨龍が立ち去った後、分身である魔獣たちも消え去ったのだろう。

たった一度の暴風で"アンダーウッド"と巨人族が殲滅されそうになったのだ。

それだけの力をあの巨龍は秘めている、これが神々の箱庭において尚"最強"と称された種族。

身動き1つで参加者達の士気を砕いた真実は魔王として相応しいものだった。

そんな中、"ノーネーム"一同は無事を確かめ合うため治療所に足を運ぶ。

審判決議から半刻ほどで十六夜、飛鳥、上条とペストは合流出来たが春日部と連れ去られたレティシアの姿はなかった。

 

「…駄目だ。こんだけ探しても春日部が居ないとなると、レティシアみたいに何かあったとしか考えられないな」

 

「で、でも、春日部さんは空を飛べるのよ?無事だとは思うのだけど」

 

「逆だよ、お嬢様。上条の言ってる意味は春日部は空も飛べるし、五感も鋭い。なのにここに居ない、そんなのはおかしいってことだ」

 

十六夜も普段の軽薄な笑みも、軽い口調はなく、真剣な声音で説明をする。飛鳥は動揺を抑えようとするが隠しきれていなかった。

飛鳥は上条に確認するように顔を向ける。

 

「上条君…本当にあのレティシアが連れ去られたの?」

 

「あぁ。突然、ローブを被った奴が現れたと思ったら竪琴を奏でてレティシアがそのまま倒れて、俺は殴りかかろうとしたんだけど後ろからナイフを投げつけられて…そのままレティシアが…俺が傍に居たっていうのに…すまない」

 

「あっ…いや、別に上条君を責めるわけじゃないの」

 

気まずい雰囲気が漂う。

十六夜がそれに苛ついたのか、羊皮紙を取り出して渡そうとする。

 

「そしてこれがゲームがレティシア…"魔王ドラキュラ"の主催するゲームって訳だ」

 

飛鳥はそれを受け取り、読み上げるとその顔は次第に強張る。

 

「…出鱈目な内容ね」

 

「そうでもないさ。少なくともゲームとしては成立している。後は黒ウサギから何点か確認すれば」

 

と、そこで言葉を切る。

黒ウサギとジンが捜索から帰ってきたのだ。

 

「十六夜さん、上条さん、飛鳥さん!耀さんの行方がわかりました!」

 

「「本当(か)⁉︎」」

 

上条と飛鳥は大きな声を上げる、それは先程とは違って喜びの声も混じっていた。

 

「Yes…ですが、かなりマズイ事になっています」

 

そういい見せたのは、彼女の腕の中で眠る、重症の三毛猫だった。

その猫は間違いなく春日部の猫だった。

何があったのか上条達に知らないが、黒ウサギの表情と三毛猫の状態から事態の深刻さを悟る。

オティヌスも静かに目を閉じる、彼女はよく三毛猫とはスフィンクス同様にライバル関係でもあったため思う節もあるのだろう。

 

「……春日部に何があったんだ?」

 

上条がそう問いただすが、黒ウサギはより深刻な表情になり、ウサ耳を垂れさせて答える。

 

「目撃者によると耀さんは、魔獣に襲われた子供を助けようとして……魔獣とともに回収された子供を追いかけ空に上がっていったという事です」

 

全員が窓の外にある空を仰ぐ、その視線は遥か上空、巨龍と共に出現した古城に集まっていた。

 

「あの城に…春日部さん1人で⁉︎」

 

「…はい」

 

蒼白になる飛鳥。

十六夜も焦りを隠せず痛烈な舌打ちをする。

上条はただじっと古城を見ていた。

空を駆ける2人の同志を失い"ノーネーム"一同はただ歯がゆそうに空の古城を睨む。

 

 

 

その後、上条は夜になっても上空の古城を見上げていた。オティヌスもそれに付き添うように肩に座っていた。

目の前でレティシアを連れ去られ、知らない所では春日部が城に1人で行ったのだ、本当なら今すぐにでも城に乗り込みに行きたい気持ちに駆られる。

 

「オティヌス」

 

「何だ」

 

「…謎の方は解けたか?」

 

「誰に言っているんだ。…7割と言ったところだな。あとは城に乗り込めばわかるんだが…それはあの不良も同じだろう」

 

「…まず間違いなく白夜叉の言っていた連中が今回も関わっていると思う」

 

ローブを被り、竪琴を奏でていた謎の人物。さらには上条の後ろからナイフを投擲した人物。

最低でもこの2人がギフトゲームを引き起こした要因となる、そしてレティシアも言っていた、かつて"魔王ドラキュラ"だった頃の力はこの南側のどこかにあると。今回はそれが回収され、レティシアが来たのを知ると誘拐したわけだ。

 

「何もかもが急すぎる…だけど相手は俺の事も知らなかった、スパイがいる訳でもないってことか?」

 

「そこは今考えても仕方ないだろ、今はどうやって城に行き小娘の無事を確認し、あの吸血鬼を助ける方法を考えるべきだろうが」

 

「空ね…そういえば、あの姿は何なんだよ?」

 

あの姿、オティヌスが妖精化した事を聞くがオティヌスは少し沈黙したのちに自分のカードを見せた、そこには確かに2つ目のギフトがあった。

 

"魔神の成れの果て"とギフト名と言っていいのかすらわからないが、そう書かれていた。

それを見た上条は、そのままカードを返した。

 

「全く…皮肉なものだな。私を崩壊させた"妖精化"が、今では私の"恩恵"とはな…」

 

自分の姿を見渡し薄っすらと笑う。

 

「…お陰で俺は助かったけどな。それにそのギフトも込みで頼りにするしかないから、レティシアを…俺たちの仲間を誘拐した奴らを殴りに行くぞ」

 

上条は立ち上がり宿舎に戻る。

入り口に手をかけると再び天空に輝く浮かぶ城を見据える。

 




えーそれで今回からオティヌスちゃんが大妖精となりました!

賛否が強く出そうですけど…いいのかなぁ?
この話を書くときからオティヌスを妖精にしたいと思ってたしいいか!

他にもこんなオティヌスがみたいとありましたら活動報告に!

次回こそは早めに投稿できると信じて

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