遅れた理由?
最後の夏休みを満喫してました(白目
それと艦これ×上条さんで何かかけないか考えていたらいつの間にやら…本当にすみません
春日部耀、久遠飛鳥、黒ウサギ、ジン=ラッセルと三毛猫。
計4人と1匹は収穫祭に向かい、本拠を後にした。
本拠に残った十六夜、レティシア、オティヌス、そして上条は手を振りそれを見送る。
姿が見えなくなると上条とレティシアは少し緊迫したような顔で十六夜を覗き込む。
「十六夜…本当に良かったのか?外門利権証を手に入れてまで勝ち取った順番を、こんなあっさり手放して…ヘッドホンなら私たちが」
「出てこねぇよ。これだけ捜して出てこないってことは、隠した本人にしかわからない場所にあるんだろう」
レティシアと上条の表情が一層緊迫する。
十六夜は肩を竦ませて苦笑いを浮かべる。
「俺が外したのは風呂に入っている時だけ。ヘッドホンが独りで何処かに行くはずがねぇだろう?」
「それは…しかし一体、誰が」
「……さぁ?状況だけでみたら一番怪しいのは春日部だったんだが…、アリバイがあるし、アイツはそういう事が出来る奴じゃない。そう判断したから、先に行かせたんだしな」
沈黙が続く、まさかコミュニティとして喜ばしい日にこんなとが起こると誰が予想したのか。上条はそんな空気を変えようとする。
「とりあえず朝飯にしないか?」
「そうだな。…そうだ、上条のいた時代の話を聞かせろよ。随分と面白いんだってな」
「別にいいけど、十六夜の話も聞かさてくれよ?こっちだけ話すのは不平等だしな」
ニヤリと軽薄な笑みを浮かべる。上条は参ったように苦笑いをする。
「レティシア、先に朝食の用意を頼むぜ。どうにも腹が減ってテンションが上がらねぇ。ついでに茶請けと良いお茶もだ」
レティシアはそんな2人を見て微笑み、裾を持ち上げる。
「承りました、主殿よ。今日の朝食はこの私が、腕によりをかけて作らせて頂きます」
茶目っけを込めて仰々しく一礼をする。その動きはとても綺麗で本職のメイドが見ても文句が言えないような動きだった。しかしそれが可笑しかったのか、十六夜と上条は共に声を高くして哄笑をあげて十六夜は食堂に向かい、上条はオティヌスを起こしに行った。
上条は自室に戻り、ミニチュアのベットに眠るオティヌスを起こそうとするが、珍しく起きており窓際に立っていた。
「オティヌス…どうしたんだ?」
「…あの不良は残るのか?」
「まぁな、ヘッドホンがないと落ち着かないらしい」
上条はオティヌスと同じく窓際に近寄り外を眺め、下での出来事をオティヌスに話す。
「人間は犯人が誰なのか気づいているのだろ?」
「……」
オティヌスの質問に黙る上条、沈黙は肯定と受け取ったのか話を続ける。
「恐らく…あの不良の事だ、それにも気づいているだろう」
上条は自分ですら、あの場での犯行をできたのが1匹しかいない事に気付いた。それなのに"あの"十六夜が気が付かないはずがない。
「十六夜は…気付いているなら何でそれを言わなかっんだろうな」
気付いているのなら何故言わないのか、聞いてみるにしても十六夜の事だ、はぐらかせるだろう。
「そんな事私にわかるわけがないだろ?」
「そうだけどさ」
「今この話をしても仕方ないだろ。…朝食もそろそろ出来るのだろう?」
窓から目を話は上条の肩に乗っかる、そのまま食堂に向かい朝食を摂った。
上条達は屋敷を出て農園の脇にの小道を進み、休憩所として設置される予定の場所でテーブルに腰をかけた。ティーセットを手提げ鞄から取り出して用意しているレティシアに、他所に十六夜は上条に問う。
「上条が居た所はどんな時代なんだ?」
「多分だけど俺の時代はこの中だと1番時代が進んでいると思う。もし春日部や十六夜みたいなのが居たのなら学園都市が放っておくわけないしな」
「学園都市?学校が県として独立でもしているのか?」
「いや…確か独立した教育機関だったな。人口の8割が学生で、最先端の科学技術が研究されたりしてるところだな。あと人為的に超能力も開発している」
ティーセットの準備が出来たレティシアは紅茶を注ぎ、茶請けである羊羹を皿に盛り椅子に座る。
超能力という単語に反応したのか十六夜は目を輝かすように上条に質問をする。
「超能力?何だよそれ、上条の時代スッゲェ面白そうじゃねぇか!そいつらは強いのか?」
「面白そうって…超能力にはレベルが6段階で設けられていて一番高くてLevel5そこから順に下がって、超能力がない人達はLevel0になる。上条さんもそのLevel0の1人。ここまでいいか?」
十六夜にはにわかに信じられなかった。神霊の恩恵を打ち消した右手を持っているのにも関わらず上条が、Level0という位置に入ること。
「ちょっとまて上条、その右手がありながらLevel0なのか」
「そうだけど?」
十六夜は少し沈黙し、上条に問いかける。
「上条の右手は異能を全部消すんだろ、なら超能力にとっては最強の盾になるんじゃないのか?それがLevel0ってのはおかしくないか?」
「俺の右手は少し特殊でLevelを測るテストみたいなものでは全く意味ないんだよ。だからLevel0、ちなみにLevel5になると1人で軍隊と戦える程の力を持つことが出来る。まぁLevel5のあいつらはLevelだけじゃ測れない強さがあるけどな」
十六夜は上条が言った事を聞き逃さなかった。上条の言葉にはまるで戦ったことあるような口ぶりで、その戦いに生き残ってるという事を。
「つまり上条はLevel5と戦ったことあるんだな?しかも勝っているときたか」
十六夜の問いかけにレティシアが代わりに答えてしまう。
「あぁ、確か一方通行という名前の…学園都市最強の超能力者を倒したと言っていたな」
「そ、それは俺だけの力じゃ」
「へぇ、つまりは上条が学園都市最強って事でいいんだな?」
上条は軽くたじろぐ、レティシアには軽くしか話していなかった。上条は一方通行を止めたとしか言ってないため、レティシアは一方通行を倒したと思い込んでいたようだ。
「一方通行に関しては俺が倒したというより、周りの人達の力もあったから勝てただけだよ」
「それでも上条が勝ったことには変わりないだろ?」
再び軽薄な笑みを浮かべ上条を見つめる。その眼は何処か挑戦的に、いつか戦ってみたいという感情が上条にも伝わってきた。
そんな視線を無視し上条の代わりにレティシアが話を進める。
「それだけじゃないぞ。当麻は他にも外部から来た魔術師のクーデターも倒したのだったな」
「魔術師⁉︎何だよそれ、上条のいた時代にはそんな奴らまで居たのかよ‼︎…何で俺の時代にはそんな面白そうな奴らが1人も居なかったんだよ」
十六夜は悪態をつきながら茶請けを頬張り紅茶を啜る。
「あとは…そうだな。イギリスという国の王女が起こしたクーデターを止めたともいってたな。」
オティヌスが上条に痛い視線を送る。熱心に上条の事を話していて気付かずにいて、十六夜も話に聞き入っているのかこちらの様子を伺うともしていない。
レティシアの話を聞くたびにオティヌスからの視線はより強烈になっていき、目線を合わせていないはずなのにヒシヒシと伝わってくる。上条はそんな視線に耐えられなかったのか話題を変えるためレティシアに話しかける。
「お、俺の話もいいけどさ!レティシアって元魔王なんだよな?てことゲームに負けて…その隷属させられていたのか?」
「むっ…。いや、私の主は今も昔も当麻達だけだ」
上条の質問の内容が気になったのか十六夜もレティシアに問いはじめる。
「けど魔王を倒せば条件次第で隷属させられると聞いたぞ。レティシアは違うのか?」
レティシアは納得したのか相槌を打つ。
「そうだな…話せば長くなる故にかいつまんで話すが、私が発動させた"主催者権限"はちょっとした暴走状態になっていてな。だからわたしは"ゲームクリアで倒された"のではなく"ゲームから切り離された"というのが正しいんだ」
「…じゃあその切り離された"主催者権限"はどうなった?」
「暴走したまま封印された。南側の…いや、何処に封印したかは聞いていない。まぁ封印を解くつもりもないしな」
そこで話を切ると、レティシアは再び十六夜に上条の話をする。レティシアはまるで自分のことのように自慢した話し方で話していた。その後は十六夜の過去話も聞き、自室に戻った。
部屋に戻ると上条の机には手紙がぽつんと置いてあり、オティヌスが肩から降り手紙の送り主を調べる。
「"サウザンドアイズ"からの手紙だ」
それだけ確認し上条に渡す。封を開け中にある文章を読み上げる。
「何が書いてあったんだ?」
「今から白夜叉の所に行くぞ」
上条は出掛けるとだけ手紙を残し"ノーネーム"を出て、"サウザンドアイズ"に向かう。
"サウザンドアイズ"の白夜叉の部屋には上条、オティヌス、ペスト、白夜叉が机を囲う。
「白夜叉、俺に用事ってどうしたんだ?」
「おんしに来てもらったのは他でもない。個人的に依頼したい事があっての」
白夜叉は煙管を灰皿に置き、上条を見つめる。2人が見つめあう。
「説明してくれるか?」
再び煙管に火を付けゆっくりと煙を吸う。
「南の収穫祭の話はもちろん知っておるよな?」
「あぁ、今朝方に春日部達が出発したし」
「その収穫祭でなにやら怪しい動きがあると聞いてな。おんしにはそれを調査して欲しい」
「不穏な動き?…まさか魔王が⁉︎」
上条の頭にはペストとのギフトゲームの思い出が蘇る。それは決して良い思い出ではない。沢山の人が傷ついた、あの時は相手がたった3人だったから被害が少なく済んだ。しかし次がそうなるとも限らない。
「まだ確定したわけでないがの。おんしには収穫祭で潜んでるであろう魔王の情報を探って欲しい」
「別にいいけど…それでも俺だけだと不安だな」
白夜叉は待ってましたと言わんばかりの満悦の笑みを浮かべる。
「安心せい、護衛なら居るだろ?おんしの目の前に」
上条はえ?目の前にいるペストを見る、ペストは頭を抱えながら息を吐いていた。
「…つまり私が上条を護衛すればいいのね。でもいいのかしら、情報を探るのなら隠密が基本よね?私、霊格は高いからすぐにバレると思うわよ?」
答えようとする上条の代わりに、オティヌスが答える。
「忘れたのか、人間の右手に触れるだけで恩恵は消されるのだぞ?」
「あっ、つまり上条に触れてる限りは私も霊格が消えちゃうのね」
「その分、恩恵も使えなくなるがな。貴様も少しは考えたらどうだ?」
「私の名前はペストよ、ペスト!行くなら早い方が良いでしょ?白夜叉お願いできる?」
白夜叉は手を叩く、それだけで見えない何かが変わる。
「うむ、ついたぞ。くれぐれも気を付けるのだぞ。それと十六夜とレティシアには誤魔化しておくから安心せい」
「…それは助かる」
そしてペストと上条は部屋を出る。
"サウザンドアイズ"の視点を出ると樹の根が網目模様に張り巡らせた地下都市に、清涼とした飛沫の舞う水舞台に上条とペストは降り立った。
「…凄いな」
「…えぇ。凄いわね」
「これが水樹なのか」
上条、ペスト、オティヌスは各々に感想を述べその圧倒的な大きさに目を奪わられてしまう。
上条達は此処に来た目的を忘れ水樹を眺めていた。
しかし突如として響き渡る激震にペストは尻餅をついてしまう。
「な、なに⁉︎何事よ⁉︎」
「ッ…‼︎この揺れ、ただの地震って訳じゃなさそうだな」
上条は周りを見渡しなにが起こったのか確認をすると、下の方では全身30尺もある巨人の軍隊が所構わずに暴れまわっているのが見えた。
「なっ⁉︎まさかもう魔王が…‼︎ペスト、下に運んでくれ!」
「…駄目ね、上条では相性が悪すぎる。此処は私1人で行くわ。見た所は魔王襲撃って様子でもなさそうだし、貴方は大人しく偵察でもしててちょうだい」
ペストはふわりと浮かび、巨人達の方に向かって降下していく。
「おいッ‼︎」
上条はペストを追いかけようと再び下を覗き込むと、見えたのは黒と白のストライプのパンツだった。
思わず目を逸らした先に見えたのは炎を翼を羽ばたかせて飛翔する、赤髪で褐色の肌、そして何より立派に育っている龍角をもつ女性が周りの巨人よりも小さいが、仮面の他に金属製の冠、笏、杖といった装身具を纏っていた。
褐色の女性はその3体の巨人と対等に渡りあっていた。
さらに視界の先の方では見知った鉄人形が雄叫びをあげ無双していた。
「DEEEEEEeeeeeEEEEEEN‼︎」
「あれはディーン⁉︎てことはあれは飛鳥で、その上空にいるのが春日部か…‼︎」
飛鳥と耀が巨人達と奮戦しているのを見てしまった上条は駆けつけるために下に続く水路を渡ろうとするがオティヌスに呼び止められる。
「落ち着け、お前が行ったとしても足手まといにしかならんぞ?」
「このまま見てる訳にもいかないだろ」
「話を聞け、前に夜叉に聞いたが、どうやら前に南の"階級支配者"が魔王の襲撃で討たれたらしい。その後魔王は討伐はしたが壊滅とまではいかなかったらしい。コイツ等はその残党だろうな。でだ、何か不自然に思わないか?」
オティヌスの問いに顔を俯かせて考える。
そして上条は何かに気付いたのか顔を上げてオティヌスに答える。
「…何でその残党が今になって襲ってきたのかって事か」
落ち着きを取り戻したのか上条は魔王でもないのに何故今になって襲ってきたのか、という疑問が浮かんだ。"アンダーウッド"の収穫祭だからといって、"階級支配者"が居なくとも南の主力コミュニティが集まる日に残党だけで襲うのは戦略に乏しい上条にだって分かる事だった。
そして頭の中にある可能性が出てくる。
「あの巨人達の後ろには魔王のバックアップがあって、アイツ等はそれを頼りにして攻め込んできたのか?」
「そういう事だろうな。なら私達のやる事は決まっているだろ?」
オティヌスの言いたい事がわかっているのか、軽く頷くがその表情は焦りが見えていた。
「だけど…」
上条は春日部達がいる方向に視線を向ける。そこでは未だに奮闘している姿がある。戦況は押してはいるものの、それで安心できてとは言えなかった。
「あの小娘達なら問題ないだろ。お前より遥かに強いからな。心配するだけ無駄だ。お前は今やるべき事をやれ」
「…わかった」
上条は顔を上げ空を見る、もう殆ど陽は沈みかけていた。
「すっごーい‼︎まるで戦争だね」
突然、嬉々とした大声が聞こえる。
声のする方向に振り向くと黒髪にノースリーブと黒いワンピースを着込み、腰にはジャケットを巻きつけ、さらに腰に下げている革のベルトには何本もの短刀を備えている少女が居た。
そう上条のすぐ隣に。
上条は思わず距離をとった、彼女の雰囲気から普通の人間ではないと確信する。
「…こんな所に居たら危ないよ」
上条はなるべく平常を保ちながら少女に話しかけた。
「別に私強いし。そういう君は不思議ね、霊格が存在してないもの。君の方こそ避難した方がいいんじゃない?」
「ちょっと気になる事があってな。それを確認したらすぐにでも逃げるさ」
「ふーん…」
少女は上条の体をジロジロと観察する。
上条も警戒しながらも少女を観察する。
刹那、琴線の弾く音が"アンダーウッド"に響き渡る。
「なっ…⁉︎」
一瞬にして一帯が濃霧に包まれる。
「ありゃりゃ、見えなくなっちゃった」
少女は戯けてはいるものの上条に対して全くの隙を作っておらず不気味でしょうがなかった。
「んー、これじゃつまんないなぁ。そろそろ戻らないと怒られそうだし、帰るかぁ」
少女は上条から離れる。
上条は霧のせいで姿を見失ってしまい、慌てて後を追いかけようとする。
「お、おい!」
「ばいばい、不幸そうなお兄ちゃん」
その言葉を最後に少女の気配を消える。そして隠れていたオティヌスが上条の肩に現れる。
「オティヌス、今の女の子どう思う?」
「怪しい。この一言に尽きる。あの小娘もお前がただの一般人だって事には気付いていたみたいだがな」
「…もしかしてあの子が?」
「今はわからないが、可能性ある」
消えた少女の事を考えていると上空から幾つもの獣達が雄叫びをあげていた。
「な、なんだ⁉︎」
雄叫びと共に突風が吹き、霧が薄くなる。
景色が徐々に見え始め、見えたのはいくつもの旋風だった。
そして霧が晴れた先にあったのは巨人族の死体だった。
「ッ…!春日部達は⁉︎」
「安心しろ。あそこにいる、2人とも無事だ」
オティヌスの指がさす方向には耀に、飛鳥、そして全身を血で染めている仮面の女性が何やら話していていた。
声を掛けるか迷う上条に、返り血はおろか、擦り傷すらないペストが上条の元へ戻ってきた。
「ただいま。ちゃんと残ってたわね、少し意外ね」
「…上条さんだって敵わない相手に突っ込んだりするほど無謀じゃないですことよ?」
上条の返答にペストとオティヌスは心の中でダウト!と叫ぶ。
上条は再び耀の方へ目を向けると、耀らしくない焦りと、不安の表情を浮かべ旋風を巻き起こし移動していた。
「春日部の表情…もしかして」
「あの娘がどうしたの?」
「ペスト、ノーネームが泊まっている宿舎ってわかるか?」
「わかる訳がないでしょ?私だってここに来たばかりだもの」
「ですよねぇ」
上条は飛鳥の方に視線を向ける、いきなり耀が飛び立ったものだから驚いているのと、旋風で尻もちをついていた。
「ペスト、俺を飛鳥の所まで運んでくれるか?」
「はいはい」
ペストは上条の両腕を抱え降りる、既にあちらこちらでは戦後処理なのか、巨人族の死体を片付ける獣達もいた。
「飛鳥!」
飛鳥は立ち上がりながら名前を呼ばれた方に視線を向ける、飛鳥からすればここに居る筈もない上条がペストと一緒に降りてきたのだから混乱するのも仕方なかった。
「上条君⁉︎何で貴方がここにいるのよ?それに後ろに居るのはペストじゃない⁉︎」
「後でちゃんと話すから、今は飛鳥達が泊まってる宿舎を教えてくれ」
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