とある幻想の異世界物語   作:キノ0421

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サブタイトルな訳ですが決して思いつかなかったとかではなくてだな!

とりあえず一話を投稿しますけど…

第2話は4日後に投稿予定です


1話

「ジン坊ちゃーん!新しい方を連れてきましたよー!」

 

ジン坊ちゃんと呼ばれる、ダボダボのローブに跳ねた髪の毛が特徴の少年。外門前の街道から来る黒ウサギは意気揚々とジンに連れて来た人達をみせる。

 

「おかえり、黒ウサギ。そちらの女性2人と男性ひとりが?」

 

クルリと振り返る黒ウサギ。

そしてカチンと固まる、そう本来なら女子2人と男子2人と小人1人がいるはずが、振り返った先には男子が1人足りなかった、そう逆廻十六夜が。

 

「…え、あれ?もう一人いませんでしたっけ?目つきが悪くて、口が悪くて、全身から"問題児!"ってオーラを放っている人が居たはずかなんですが」

 

「あぁ、十六夜君のこと?彼なら"ちょっと世界の果てを見てくるぜ"と言って駆け出していったわ。あっちの方に」

 

飛鳥が指を指すのは上空4000mからみえた断崖絶壁。

呆然とする黒ウサギは、ウサ耳を逆立てて3人に問いただす。

 

「な、なんで止めてくれなかったんですか!?」

 

「"止めてくれるなよ"と言われたもの」

 

「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

 

「"黒ウサギには言うなよ"と言われたから」

 

「嘘です、絶対嘘です!」

 

「十六夜の目がとてもワクワクしてたからつい止められなくて」

 

「ああいうのをギャップって言うんだろうな」

 

「あぁもう!実は面倒くさかっただけでしょう?」

 

「「「「うん」」」」

 

ガクリと倒れる黒ウサギ。新たな人材に胸を躍らせていた数時間前の自分が妬ましい、まさかこんな問題児しかいないなんて嫌がらせにも程がある。

 

「え、人形が喋った!?い、いえ、そんなことよりも大変です!世界の果てにはギフトゲームのため野放しにされている幻獣がいるはずです!」

 

「幻獣?」

 

「はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に世界の果て付近には強力なギフトを持ったものがいます。あれは人間では太刀打ち出来ません!」

 

「てことはペガサスとかもいるのか!?」

 

「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」

 

「ゲーム参加前にゲームオーバー?…斬新?」

 

「冗談を言ってる場合じゃありません!」

 

3人が冗談を言うのでジンは必死に事の重大さを訴えるが効果はなかった。

 

「はぁ…、私が問題児を捕まえに参ります。ジン坊ちゃんはこの御方達をご案内お願いしてもよろしいでしょうか?あの問題児には"箱庭の貴族"と謳われるウサギを馬鹿にしたことを骨の髄まで後悔させてやります!」

 

悲しみから立ち直った黒ウサギは怒りのオーラを全身から噴出させ、艶のある黒い髪を淡い緋色に染めていく。

外門めがけて空中高く飛び上がり外門脇にあった彫像を次々と駆け上がる。

 

 

「一刻程で戻ります!皆さんはゆっくりと箱庭ライフを御堪能ございませ!」

 

黒ウサギは淡い緋色の髪を戦慄かせ踏みしてた門柱に亀裂を入れる。弾丸のように飛び去り、あっという間に視界から消え去った。

 

「箱庭の兎は随分と速く跳べるのね、素直に感心するわ」

 

「ウサギ達は箱庭の創始者の眷属を力もそうですが、様々なギフトの他に特殊な権限も持ち合わせた貴種です」

 

「黒ウサギって速いな。なんか聖人と似てる」

 

ふと上条が呟く、聖人。それは上条の世界において絶大な力を持つ者達、絶大な身体能力にくわえ幸運ともはや何でもありの人達である。

 

「……聖人って何?」

 

「確か神の子だっけか、それと似た身体的特徴や魔術的記号を持つ人間だったかな」

 

「ちょ、ちょっと待ってください!貴方の世界には聖人が存在していたのですか!?」

 

ジンが慌てて聞きに入る、それもそのはず神の子などこの箱庭ですら珍しい。

 

「まぁな、つっても世界に20人くらいしか居ないらしいけど」

 

「どんな世界だったんですか…」

 

「そっちの話もきになるけど、とりあえず黒ウサギも堪能してって言ってたし、箱庭に入るとしましょう。エスコートは貴方がしてくれるのかしら?」

 

「え、あ、はい。コミュニティのリーダーをしているジン=ラッセルです。齢11になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。皆さんのお名前は?」

 

ジンが礼儀正しく自己紹介をする。飛鳥達はそれにならい一礼した。

 

「久遠飛鳥よ、そこで猫を抱えてるのが」

 

「春日部耀」

 

「俺が上条当麻、こっちはオティヌス。小さいけど人間だからな」

 

「さ、それじゃあ箱庭にはいりましょう。まずは軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

飛鳥はジンの手を取り胸を踊らせるような笑顔で箱庭の外門をくぐるのだった。

 

「……外から見たときは箱庭の内側なんて見えなかったのに」

 

都市を覆う天幕を上空から見た時、彼らに箱庭の街並みは見えなかっな。だというのに都市の空には太陽が現している。

 

「箱庭を覆う天幕は内側に入ると不可視になるんですよ。そもそもあの巨大な天幕は太陽を直接受けられない種族のために設置されていますから」

 

飛鳥は眉毛をピクリとあげ皮肉そうにいう。

 

「この都市には吸血鬼でも住んでいるのかしら?」

 

「え、いますけど」

 

「…そう」

 

「(吸血鬼か…、姫神が居なくてよかったぁ)」

 

何とも複雑そうにする飛鳥と神妙な顔をする上条達が居た。街を歩いていると噴水広場に目を向ける。そこには白く清潔感漂う洒落たカフェが幾つもあった。

 

「お勧めのお店はあるのかしら?」

 

「す、すいません。段取りは黒ウサギに任せていたので…、よかったらお好きな店を選んでください」

 

「それは太っ腹なことね」

 

5人と1匹は近くにあった6本の傷がある旗を掲げるカフェに座る。

 

「いらっしゃいませー!ご注文はどうしますか?」

 

注文をとるために元気よく猫耳の少女が飛び出てきた。

 

「えーと、紅茶を3つと、緑茶を1つ。あと軽食にこのティーセットのを4つ」

 

「あと出来たら人形サイズのコップも貰えないか?」

 

『ネコマンマを!』

 

猫であるはずの三毛猫が注文をする、普通の店ならここでスルーをされてしまう。が此処は箱庭そんな常識は通用しない。

 

「ティーセットを4つとおままごとセット1つとネコマンマ1つですね」

 

三毛猫の言葉は通じてしまう。

ん?と上条達は不可解そうに首を傾げる。対照的に耀はとても驚いていた。

 

「三毛猫の言葉、わかるの?」

 

「そりゃわかりますよー私は猫族なんですから。お歳のわりに随分と綺麗な毛並みの旦那さんですし、ここらちょっぴりサービスもさせてもらいますよー」

 

猫耳娘は長い尻尾をフリフリ揺らしながら店内に戻る、それを耀は嬉しそうに笑って三毛猫を撫でた。

 

「…箱庭ってすごいね、三毛猫。私以外に三毛猫の言葉が分かる人がいたよ」

 

『来てよかったなお嬢。』

 

「春日部さ、そうやって笑ってる方が良いな、無表情の時より全然いい」

 

「…そ、そう。あまりそういうの言われた事無いからわからない」

 

上条の言葉に頬を染める、普段無表情な耀にとって父以外に初めて笑顔を褒められて戸惑いながらも嬉しそうにする。

 

「ちょ、ちょっと待って、貴女もしかしてネコと会話ができるの?」

 

珍しく動揺している飛鳥に、耀はコクリと頷く。

 

「…うん、生きているなら誰とでも話は出来る」

 

「そりゃあスゲーな、てことは野鳥とかライオンとかでも話できるのか?」

 

「うん、きっと出来…るかな?ええと鳥とは話したことはあったけど…ペンギンがいけたからきっと大丈夫」

 

「ペンギン!?」

 

「う、うん。水族館で知り合ったり他にはイルカたちとも友達」

 

耀の言葉に皆が驚いた、なぜなら鳥ならまだ出会う機会が数多とあるがペンギンなどと会話してるとは思ってもいなかった。

 

「し、しかし全てとの種と会話が可能なら心強いギフトですね。この箱庭において幻獣との言語の壁は大きいですからね」

 

「確かに外国人と会話が出来ないだけで溝ができるからな」

 

「はい、箱庭の創始者の眷属である黒ウサギでも全ての種とコミュニケーションをとることは出来ないはずです」

 

「そう…、春日部さんは素敵な力があるのね、羨ましいわ」

飛鳥は空を見ながら何か恨むような目をしていた。

 

「久遠さんは?」

 

「飛鳥でいいわよ。よろしくね春日部さん」

 

「俺も気軽に上条でいいからな、よろしく」

 

「う、うん。飛鳥と上条はどんな力を持っているの?」

 

「私は酷いものよ。だって」

 

「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ"名無しの権兵衛"のリーダー、ジン君じゃあ無いですか」

 

品の無い上品ぶった声が人を呼ぶ。振り返ると2mを超えた巨体にピチピチのタキシードで包む変な男が居た。ジンは顔を顰めて男に返事をする。

 

「僕らのコミュニティは"ノーネーム"です。"フォレス・ガロ"のガルド=ガスパー」

 

「黙れ、この名無しめ」

 

ガルドと呼ばれる巨躯のガチムチタキシードは皆が座るテーブルに強引に割って入る、元々4人が座っていたのでガルドが割入り、かなり窮屈になっていた。

 

「失礼ですけど、同席を求めるならまず氏名を名乗ったのちに一言添えるのが礼儀ではないかしら?」

 

「おっと失礼、私はコミュニティ"六百六十六のケモノ"の傘下である」

 

「烏合の衆の」

 

「リーダーをしています、ってマテやゴラァ!誰が烏合の衆だ小僧!口謹めや小僧ォ…紳士である俺にも聞き逃せない言葉はあるんだぜ?」

 

ジンに横槍を入れられガルドは怒鳴り激変する。口は耳元まで大きく裂け、肉食獣のような牙とギョロリと剥かれた瞳が激しい怒りと共にジンを睨む。

 

「今やこの外門付近を荒らす獣にしか見えませんよ」

 

「ハッ、過去の栄光にすがってばかりの奴が。今、自分のコミュニティがどういう状況に置かれてんのか理解できんのか?このノーネーム風情が」

 

「ふ、2人とも分かったから口喧嘩は辞めてくれいないか?」

 

険悪な2人を遮るように会話に入り、上条はジンを宥める。

 

「す、すいません…つい熱くなってしまいした」

 

「事情はよくわからないけど、仲が悪いことは分かったわ。ねぇジン君、ガルドが指摘している、私達のコミュニティが置かれている状況を説明していただける?」

 

飛鳥が鋭く睨む、しかしそれはガルドではなくジンに向けられた物だった。

 

「そ、それは……わかりました、説明します。僕たちのコミュニティは数年前まではこの東区画の中でもかなり大きいコミュニティでした」

 

ジンは言葉に詰まるが、何とかこの状況を打破するため本当の事を語ることにした。

 

「あら、意外ね」

 

「もちろんリーダーは別人でしたけど。僕とは比べようがない位凄い人だったんです。人類最高の記録を持っていました。だけど…それがたった一夜で滅ぼされました。この箱庭の世界、最悪の天災によって」

 

ジンは涙を目に溜めながらも、辛いはずなのに言葉を言い続ける。

 

「天災…?そんなんで大きなコミュニティが潰れちまうのかよ?」

 

上条はそんなジンを見ていられなり、ましてや滅ぼされたとのことだ黙ってられるはずもない。

 

「いいえ、彼らは箱庭で唯一最大にして最悪の天災ー俗に"魔王"と呼ばれる者達です」

 

 

 




大田がホームラン!!

開幕スタメン期待やで!!

カンケイナイコトスイマセン

ではまた

誤字脱字等

文章のアドバイス

地の文の書き方とか随時受け付けております!

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