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8話
"ノーネーム"本拠地の屋敷にある、上条の部屋で飛鳥は上条に問い詰めていた、その表情は一見笑顔だが目が笑っていなかった。上条は目を背けながら汗を流す
「…で、言いたいことはあるかしら?か み じ ょ う 君 」
「ナニモゴザイマセン。」
「…そう、なら反省しなさい。貴方がやってる事は、確かに立派だと思うわ。でもそれだと、仲間である意味がない。そこんところ覚えておいてね。」
「へーい。」
飛鳥は自分だけ置いてぼりにされた上に事にムカついていたが、反省するき無しの上条に呆れていた
「そういえばガルドはどうなった?」
「…死んだわ。」
「そっ…か。」
上条が倒れた後に耀が銀色の十字剣でガルドの心臓を刺し殺しゲームはクリアされた。上条もそれ以外の方法が無い事は分かっていたが悔しそうに俯く
「別に貴方が憤る事はないのよ。」
「あぁ。」
夜になり星が輝く夜空を窓から覗いていた。目を合わさないあたり無理しているのがわかったが何も言わない事にし部屋を後にする飛鳥
飛鳥の後ろにいた耀は申し訳無さそうにし謝る
「…ごめんなさい。」
「何で春日部が謝るんだよ?」
突然の謝罪にキョトンとする
「私のせいで怪我を。」
「はぁ?俺が勝手に突っ込んで怪我したんだから関係ねーよ。」
耀はガルドとの戦いに不用意に戦闘に混じり攻撃を庇われた時のことを気にしていた、しかし上条はそんな小さい事は気にもしていなかった
「でも」
「大丈夫だって、何も無いから。上条さんはもうピンピンしてるし!」
何か言おうとする耀だが、上条はそれを遮り、もう傷は平気と言わんばかりに腕を回す
「…ありがとう。」
そんな上条を見て、可笑しかったのか笑顔でお礼を言い部屋を出る、すると入れ違いで十六夜が入ってくる。あいも変わらない軽薄な笑みで歩み寄る
「で、本当の所はどうなんだ?」
「十六夜か…正直なところ痛くてしょうがないよ。」
十六夜に嘘をついてもバレると思い、仕方なく話しながら腕を抑える
「そっちじゃねぇよ。ガルドの事だ。」
しかし十六夜は怪我の事ではなく、ガルドを殺そうとしなかった事が気になる様だった
「…。」
「別に殺したくなかった。っていう美談は好きだぜ?だけど、それが可哀想だったからとか、同情したからだったら止めろ。理由がどうあれ命懸けのゲームを仕掛けたアイツに失礼だ。」
上条は無言で目を逸らす、十六夜は軽薄な笑みをやめ、殺意ある視線を上条に向ける。彼は命を懸けてまでゲームに挑んだガルドを多少なりとも評価していた。ただの外道かと思っていたが、そこまで出来るとは思っていなかったからだ。しかし上条の殺そうとしない姿勢に不快だった。話を聞く限り上条は右腕に傷を受けたがガルドを殺せる立場にあったのに、それをしなかった。怖気ついたのか知らないが十六夜にとって関係なかった
「別に…、俺はそんな事なんて考えてねぇよ。」
上条もそんな深い所までは考えておらず、ただガルドを救いたかった。ただそれだけだった。2人の間に気まずい空気が生まれる。しかし扉をノックする音がし、それを壊す。入ってきたのは黒ウサギだった、寝ていた上条を気遣ったのか、水を持ってきていた
「失礼します。上条さん具合の方はどうですか?」
「もう平気だよ、明日からでもギフトゲームは参加出来そうだ。」
心配する黒ウサギだが、上条は先程耀に見せたように腕を回す。黒ウサギはその姿を見て安心したのか胸を撫で下ろす
「なら良かったです…、しかし無茶はしすぎないで下さいよ!」
「わかってるよ。」
「「(絶対にわかってないな。)」」
今回のように無茶されては困るので注意するが、短い付き合いながらも上条当麻が素直に言う事を聞くとは思えなかった2人である
「ほう、そいつがオッレルスが呼んだという上条当麻か。」
3人は窓に振り向く、すると窓のガラスを叩き、にこやかに笑う金髪の少女が浮いていた。黒ウサギは飛び上がって驚き窓に駆け寄る
「レ、レティシア様!?」
「様はよせ、今の私は物と呼ばれる身分。"箱庭の貴族"ともあろうものが、物に敬意を払うとなっては笑われるぞ。」
黒ウサギが錠を開けると、レティシアと呼ばれた金髪の少女は苦笑しながらも上条の部屋に入る。美しい金色の髪をリボンで結び、紅いレザージャケットに拘束具を思わせるロングスカートを着た彼女は、黒ウサギの先輩とは思えない位に幼かった
「こんな場所からですまない。ジンには見つからずに黒ウサギや上条当麻と会ってみたかっだ。」
「そ、そうでしたか、すぐにお茶を入れるので少々お待ち下さい!」
久しぶりに"ノーネーム"の仲間である彼女と会えたことが嬉しかったのか、黒ウサギはスキップしながら茶室に向かう
上条はレティシアが、オッレルスを知っている事が気になったのかレティシアに質問する
「レティシア…、お前もオッレルスの知り合いなのか?」
「まぁな、といっても避けられていたがな。」
レティシアはまた苦笑いをしながら、窓を見る。十六夜からの奇妙な視線に気付き首を傾げる
「私の顔に何かついているか?」
「別に。前評判通りの美人…いや美少女か。単に目の保養に鑑賞してた。」
十六夜からしてみれば真剣に答えたが、レティシアはその回答が可笑しかったのか口元を押さえながら笑いを噛み殺し、上品に装った
「なるほど、君が十六夜か。白夜叉からは話は聞いている。しかし鑑賞するなら黒ウサギにしたまえ。あれは私とは違う可愛さがあるぞ。」
「あれは愛玩動物なんだから、弄ってナンボだろ、上条もそう思うだろ?」
「「否定しない。」」
「否定してください!」
「ほぅ、話がわかるじゃないか。」
紅茶のティーセットを持ってきた黒ウサギが怒りながら机に置く。愉快そうに笑みを浮かべるレティシアを椅子に座らせ、紅茶を注ぐ際も黒ウサギは不機嫌な顔をしていた
「分からないで下さい!レティシア様に比べると世の女性の殆どが鑑賞無価値になります!黒ウサギだって」
「いや、全く負けちゃいないぜ?違う方向性で美人なのは否定しねぇよ。それに好みでいえば黒ウサギの方が断然タイプだからな。」
「そ、そうですか。」
十六夜から不意打ちの言葉に頬とウサ耳をが紅くする
「なんだ2人は逢引の途中だったのか?」
「滅相もございません!どのようなご用件ですか?」
慌てて話題を戻す。レティシアは他人に所有されている身分。その彼女が主の命もなく来たという事は、相当のリスクを負ってこの場に来ているのだろう
「なに用件といっても新生コミュニティがどの程度の力をもっているのか、それを見に来たんだ。それと上条当麻には謝らないといけないな。私のせいで君を傷つけてしまったからな。」
その言葉に上条達は気付く、鬼化していた木々やガルドは彼女のものなだった。
「…そうか、お前が。」
「察しが良いな。」
上条は立ち上がりレティシアをまだ完治していない腕で叩く、黒ウサギは突然の事に驚き上条を止めようとするが十六夜は無言で抑えさせた
「ッ!ふふっ、叩かれても文句は言えないな。」
叩かれたレティシアは、痛そうに頬を押さえ俯く
「チゲェよ…。俺はただガルド=ガスパーに謝って欲しいだけだ。」
しかし上条は悲しそうな表情でレティシアに訴えかける
「何…?」
こんな事を言われると思ってもいなかったのか、キョトンとするが上条は言葉をやめない
「確かにアイツは外道だよ。だけど、それだけで死んでいい理由にはならねぇ!もし鬼化していなければ結末だって違ったはずだ!」
「…確かにアイツが送ってくるだけのことはあるということか。」
レティシアは驚きながらも納得する、オッレルスが何故この少年を送ってきた理由が。上条は再びベットに座り、十六夜が何か思ったのか呟く
「吸血鬼か…なるほど、だから金髪美少女設定なのか。」
「あぁ…。」
「は?」
「え?」
「いや、いい。流してくれ。」
十六夜は手を振り続きを促す、上条だけが頷いていた
「で、何でレティシアはあんな事したんだよ。」
「…黒ウサギ達が"ノーネーム"の再建すると聞いた時は、愚かな事をと憤り、そしてコミュニティを解散するように説得するためチャンスを得た時、ある事を聞いた。神格級のギフト保持者と、私の知り合いが送り出した者が、黒ウサギの同志としてコミュニティに参加したとな。」
黒ウサギの視線は上条と十六夜に移る、レティシアは恐らく白夜叉にでも聞いたのだろう
「そこで私は試したくなった。新人達が本当にコミュニティを救えるだけの人材かどうか。」
「結果は?」
黒ウサギは真剣な眼差しでに問う。レティシアは苦笑しながら首を振る
「ガルドでは当て馬にもならなかったよ。ゲームに参加した彼女達はまだまだ青い果実、君は怪我してるし判断に困る。…足を運んで来たはいいが、さて。私はお前達に何と言葉をかければいいのか。」
自分でも胸の内を理解できないのか苦笑する、上条はそんな彼女を見つめる
「違うな。レティシアは黒ウサギ達が自立した組織としてやっていける姿を見て安心したかったんだろ?」
「…あぁ、そうかもしれない。」
上条の言葉に頷く、レティシアの目的は達成されずに終わった、飛鳥や耀の才能は素晴らしい。しかしまだダイヤモンドの原石のように荒い。上条は庇った為とはいえ怪我している、これでは安心して託すにはいかない。
しかし上条はそんな彼女に対し笑みを浮かべる
「そんな不安、俺が無くしてやるよ。
「何?」
「俺と勝負しよう、レティシア。」
上条は立ち上がる、レティシアは一瞬唖然とするが、すぐに弾けるように笑い声を上げ、涙目になりながらも立ち上がる
「ふふ、面白い。それは思いつかなんだ。だが実にわかりやすい。あぁ、初めからそうしていればよかったなぁ。では試させてもらうよ、上条当麻。」
「ち、ちょっと御2人様?!」
「ルールはどうする?」
「時間があまりないからな、私の攻撃を全て受け切ったら君の勝ちでいい。」
「わかった。」
笑みを交わした2人は中庭に場所を移す、屋敷から20mほど離れた所で向かい合う
「もう話を聞いてください!」
「まぁ、いいじゃねぇか黒ウサギ。アイツと元魔王様の実力も見たかったしな。」
窓に身を乗せながら怒鳴る黒ウサギをあやす十六夜
「し、しかし!」
「いいから、見てろって。」
十六夜はニヤニヤしながら2人を見る、その顔はとても楽しそうだった
上条とレティシアは地と天に位置していた
「うげっ、空を飛ぶのかよ。」
「あぁ。なんだ、制空権を支配されるのは不満か?」
「別にいいけどさ。」
翼を広げ空を飛ぶレティシア、その手には金と紅と黒のコントラストで彩られているギフトカードを見た黒ウサギは蒼白になり叫ぶ
「レティシア様⁉︎そのギフトカードは」
「下がれ黒ウサギ。一方的とはいえ、これは決闘だぞ。」
ギフトカードが輝き、長柄の武具が顕現する。その武具は投擲用のランスへと姿を変え、掲げる
「ふっ!」
レティシアは呼吸を整え、翼を広げる。全身を使い槍を打ち出すと、その衝撃で空気中に視認できるほどの巨大な波紋が広がる。放たれた槍は一直線に上条に落下していく、流星の如く大気を揺らして舞い落ちる。レティシアは槍を再び顕現させ何度も放つ。普通の人間なら反応すら出来ないような速度の槍の雨を降らせる。槍を出しきりレティシアは肩で息をしながらも地上を見る。土煙を上げ上条が立っていた所は見えずにいた。終わったと確信し、レティシアはそのまま地上に降りた、あっさり勝負がついたことに溜息をつく。
「期待していたが、こんなものか。」
オッレルスが送ってきたので、もしかしてと思ったが、今の攻撃を防げないようでは話にならない。肩を落とし落胆し、屋敷に戻ろうとする
「誰が…こんなものだって?」
レティシアは振り向くと土煙が舞う中から現れたのは服に汚れているが、傷一つ無い上条当麻がいた
「あれを無傷で避けたのか…⁉︎」
苦笑が漏れる、オッレルスが送ってきた少年を期待外れなんて言った自分を恥じる。そして同時に安堵もする
「レティシア様!」
「く、黒ウサギ!何を!」
窓から飛び出た黒ウサギがレティシアの手に握られていたギフトカードを掠め取った
「ギフトネーム"純潔の吸血鬼"…やっぱり、ギフトネームが変わっている。鬼種は残っているものの、神格が残っていない。」
「っ…!」
さっと目を背けるレティシア。黒ウサギと同じく窓から歩み寄る十六夜は呆れたような表情をしていた
「なんだよ。もしかして元魔王のギフトは吸血鬼しか残ってねぇのか?」
「…はい。武具は多少残してありますが、自身の恩恵は。」
上条も服の誇りを払い落としながら近寄りながら肩を落とす
「そんな状態でも、あんなにヤバいのかよ…。」
「傷を一つも付けないで、よく言えるな。」
あの攻撃は今の状態の自分が出せる全力だった。それを無傷で避けられたのでため息をつく
「あれは俺が運よく避けれたにすぎねぇよ。」
「運良くか…。」
レティシアは運で避けたとは到底思えず、納得していなかった
「それはそうとレティシア様、詳しい話をきかせてもらえますか?」
「それは…。」
黒ウサギが話題を戻し詰め寄る、レティシアは口を閉ざしたまま俯く
「まぁ、あれだ。話があるならとりあえず屋敷に戻ろうぜ。」
「…そうですね。」
黒ウサギとレティシアは沈鬱そうに頷く。中庭から屋敷に戻ろうとするが異変が起きる。レティシアは顔を上げると同時に遠方から褐色の光が4人に差し込み、叫ぶ
「あの光…、ゴーゴンの威光⁉︎まずい、見つかった!」
ゴーゴンの威光と聞いただけで今まで黙っていたオティヌスが叫ぶ
「人間!」
「わかってる!」
上条も嫌な予感がしたのか、3人を庇う為に前に立ち塞がり右手を光の方向へと突き出す、するとガラスが壊れる音が鳴り響き光が消える
光が差し込んだ方角から、翼の生えた空駆ける靴を装着した騎士風の男達が大挙して押し寄せる
「ば、馬鹿な!石化の光を浴びたのに何故!?」
騎士の1人が驚くように叫ぶ。石化の光、つまりはゴーゴンの威光は光を浴びた者を石に変える。それを浴びておきながら誰も石化してないのだから驚くのも無理もない
「構わん!そのまま連行しろ!」
「しかし、これでは捕獲は厳しいかと!」
「だが連れて行かなければ我等の首が飛ぶぞ!」
指揮をしている騎士が強行しようとするが部下の一人がそれを止め、騎士達はどうしたらいいか混乱していた
「驚いた、ゴーゴンの威光を無効化したのか?」
レティシアは騎士達を無視し、ゴーゴンの威光を無効化した上条に驚愕していた
「まぁな、何ともないか?」
「お陰様でな、助かったよ。」
「しかしどうすればいいんこれ。」
石化を防いだのは良いが騎士達は空を飛んでいて、レティシアの反応から見るに彼女を所有しているコミュニティだと推測するが、こで下手に手を出すと、それこそ大事になる
「えぇい!無理矢理にでも連れ出せ!」
「ゴーゴンの威光を無効にしたとはいえ、たかが下層に本拠を構える"名無し"だ、我ら"ペルセウス"の敵ではない!」
騎士達のリーダーなのか、周りの騎士に指示をする。すると騎士の1人が周りの士気を上げようとする
しかし黒ウサギにとって、その発言は無視できずに激昂した
「こ、この…!不法侵入に加え、こちらに攻撃しようだなんて、非礼を詫びる一言もないのですが⁉︎」
激昂する黒ウサギを"ペルセウス"の男達は鼻で笑う
「ふん、下層の"名無し"に礼を尽くしては、それこそ我らの旗に傷が付くわ!身の程を知れ。」
「なっ…なんですって…!」
黒ウサギから勘忍袋が切れる音がする。レティシアを捕獲するために無差別に石化しようたしたり、コミュニティを侮辱され、黒ウサギの沸点は振りきれる
「フン。戦うというのか?」
「恥知らず共め、我らが御旗の下に成敗してくれるわ!」
「愚かな"名無し"など相手になるわけないだろうが!」
口々に罵る騎士達。彼らはゴーゴンの旗印を誇らしげに大きく掲げると、百は超えているであろう軍勢は陣形を取るように広がる。
しかし黒ウサギは今までに見せたことのない物騒な笑顔で罵り返す
「ふ、ふふ。いい度胸です!多少は名のあるギフトで武装しているようですが、そんなので強くなった気でいるのですか?」
「何⁉︎」
今度は騎士達は怒声をあげる。黒ウサギは黒髪を緋色に変え威嚇する。臨戦態勢になっている黒ウサギを上条は鎮めようとする
「黒ウサギも落ち着けって!」
「ありえない…ありえないですよ。落ち着く?えぇ、無理です。天真爛漫にして温厚篤実、献身の象徴とまで謳われた"月の兎"をこれほどまで怒らせるなんて!」
しかし黒ウサギはそれを無視し、ギフトカードを取り出し掲げると刹那、まるで雷鳴なような爆音が周囲一帯に鳴り響かせ、掲げた右手には閃光に輝く槍が顕現していた、それを見た兵士達がどよめく
「雷鳴と共に現れるギフト…、ま、まさかインドラの武具⁉︎そんな話はルイオス様から聞いてないぞ!」
「本物のはずがない!どうせ我らと同じレプリカだ!」
稲妻が走る槍を逆手に構える
「その目で真贋を見極められないのなら、その身で確かめるがいいでしょう!」
インドラの槍を黒ウサギは騎士達に向かって撃ちだそうすると、十六夜がウサ耳を引っ張る
「てい。」
「フギャ!」
するとすっぽ抜けたインドラの槍は雷鳴と共に騎士達とは違う方向に飛び、箱庭の天井に着弾する
「お ち つ け よ!白夜叉と問題を起こしてどうする、つか俺が我慢してやっているのに、1人でお楽しみとはどういう了見だオイ。」
「フギャア‼︎⁉︎って怒るところそこなんですか⁉︎」
十六夜はリズミカルにウサ耳を引っ張る、それを見ていた上条が呆れたように話しかける
「黒ウサギもじゃれていないで、これからどうするか考えないとだな。」
「これがじゃれているように見えますか⁉︎それより今はあの無礼者共に天誅を」
「アイツラなら帰ったぞ。」
「え?って逃げ足速すぎでしょう!」
衝撃の事実にびっくりしながらも空を見ると、騎士の軍団は綺麗さっぱり居なくなっていた。軍団の様子を見ていたレティシアは冷静に答える
「いや、ハデスの兜のレプリカで不可視になっているだけだ。」
「マジかよ。箱庭は広いな、空飛ぶ靴やハデスの兜なんて実在してるんだもんな。」
レティシアは"ペルセウス"に所有されていたのでギフトの詳細を知っていた、それに感慨深く頷く十六夜を黒ウサギは睨め付ける。このままだと険悪な雰囲気が立ち込めるので上条は黒ウサギを落ち着かせるため諭す
「黒ウサギも怒るのはわかるけど今はやめとけって。"ノーネーム"と"ペルセウス"で揉めたくないだろ?」
「そ、それはそうですが。」
「レティシアに詳しい話をしてもらいたい所だけど…これは使えるな。」
本来なら事の発端であるレティシアに色々聞きたい所だが、十六夜は何か思いついたのか軽薄な笑みを浮かべる
「他の連中も呼んで来い。上条はレティシアとお留守番だ。」
「何でだよ、俺も行くぞ?」
留守番と言われ不満なのか上条は十六夜に問いただす
「レティシアを護衛する奴が必要だからな。」
「レティシアも連れて行かないのか?」
何故レティシアも待機しなければならないのか気になり再び質問する
「こいつが来たら意味がねぇからな。」
詳細を言わない十六夜に、レティシアを守るという名目で上条も諦めさせる。するの今度は黒ウサギが質問する
「何処に行くんですか?」
「白夜叉の所だ。」
そういい十六夜と黒ウサギ、耀、飛鳥、ジンは白夜叉のいる"サウザンドアイズ"に向かう
留守番してろと言われた2人は上条の自室にいた、上条とレティシアはベットに座り並んでいた
「白夜叉から面白い奴だときいていたのだが、本当に面白いな。」
「面白いって、なんか酷くないか?」
レティシアは上品に片手で口を押さえながらも微笑する
「これでも褒めているんだぞ。私の攻撃をいとも容易く避けられたのは初めてだぞ。」
「容易くないからな⁉︎あんなの普通は死ぬからな⁉︎」
上条からしてみれば一発でも当たれない状況にいて、なんとか躱したのに、それを容易くと言われてはたまったものではなかった
「そう言われても説得力がないな。それにゴーゴンの威光も無効化していたな、あれはどうやった?」
「あぁ、俺はあらゆる異能…いやギフトを打ち消す事が出来るんだよ。」
「あらゆるギフトで打ち消すだと?」
打ち消すという言葉を聞き、手を顎に当てて考え込む
「あぁ、それが神のご加護であってもだ。」
「神の加護?それが本当なら凄いな。」
「まぁ、そのせいで上条さんは不幸なんだけどなぁ…。」
ベットに寝っころがり右手を見つめ溜息をつく、その様子を見ていたレティシアが笑う
「ふふ、本当面白いな。しかし黒ウサギ達が帰ってくるまで暇だな。」
暇を持て余す2人はいかに時間を潰すか考えた
「そうだ、君の話を聞かせてもらえないか?」
「あまり面白くはないぞ?」
「時間はあるしいいだろ。」
「それもそうか。あれは」
上条は身体を起こし自分の事を少し語りながら、黒ウサギ達の帰りを待つのだった