とある幻想の異世界物語   作:キノ0421

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えー、前回投稿した7話ですが、あれを訂正して再投稿させていただきます。

すでに見た読者さん大変申し訳ありません

今後ともよろしくお願いします


7話

7話

 

上条達は"フォレス・ガロ"のコミュニティの居住区を向かう

 

「あ、皆さん!見えてきました…けど。」

 

黒ウサギは目を疑った。居住区が森のように生い茂っていたからだ。ツタの絡む門をさすりながら耀は呟く

 

「…。ジャングル?」

 

「虎の住むコミュニティだしな。おかしくはないだろ。」

 

「いや、おかしいです。此処は普通の居住区だったはず…、それにこの木々はまさか⁉︎」

 

ジンは木に手を当てる。その樹枝はまるで生き物のように脈を打つ。

 

「"鬼化"してる?まさか…。」

 

「ジン、ここに"契約書類"が貼ってあるぞ。」

 

上条は声をあげ指を指す。そこには羊皮紙があり、今回のゲーム内容が記されていた

 

『ギフトゲーム名"ハンティング"

 

・プレイヤー一覧

上条 当麻

春日部 耀

久遠 飛鳥

ジン=ラッセル

・クリア条件

ホストの本拠内に潜むガルド=ガスパーの討伐

・クリア方法

ホスト側が指定した特定の武具でのみ討伐可能。

指定武器以外は"契約"によってガルド=ガスパーを気付ける事は不可能。

・敗北条件

降参か、プレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

・指定武器

ゲームテリトリーにて配置。

宣誓

上記を尊重し、誇りと御旗の下"ノーネーム"はギフトゲームに参加します。

"フォレス・ガロ"印』

 

「ガルドの身をクリア条件に指定武器で打倒!?」

 

「こ、これはマズイです!」

 

ジンと黒ウサギは出された条件に驚く、それに疑問を持った上条が問いつめる

 

「そんなにまずいのか?ゲーム自体は簡単そうだけど。」

 

「確かにゲームの内容自体は簡単です。しかし問題はルールです。このルールだと飛鳥さんのギフトで彼を操る事も、耀さんのギフトで傷つける事も出来ない事になります!」

 

ギフトが効かない、その言葉に飛鳥は顔を顰める

 

「…どういうこと?」

 

「ギフトではなく"契約"によってその身を守っているのです。これでは神格でも手が出せません!彼は自分の命をクリア条件に組み込む事で御二人の力を克服したのです!」

 

上条は己の右手を見つめながら呟く

 

「じゃあ俺の右手でも…。」

 

「上条さんのギフトでもダメージは与えられても傷はつけれないと思います。」

 

呟きに対して黒ウサギは顔を俯かせながら答える。

 

「やっぱり俺の右手でも駄目なのか。それと何でオティヌスの名前が無いんだよ、ガルドの奴、書き忘れたのか?」

 

上条は自分の力が通用しないかもしれないと確認すると、契約書類にオティヌスの名前が無いので不思議に思った

 

「いや、それは私がギフト扱いになっているからだと思うぞ。」

 

「は?」

 

「流石にこの体で人間にまとわりつくには不便で邪魔だろう、ならいっそのことギフトカードになった方が効率がいい。」

 

突然の告白に驚く上条。あくまでオティヌスは人だと言ってきたのだが、彼女がギフトカードになるなんてことになったら、彼女は人間だ、なんて言えなくなってしまう

 

「つまりギフトカードになってサポートするんですか?」

 

「そのつもりだ。全く、都合の良いことだ。」

 

黒ウサギは何か知っているのかオティヌスをみつめる。それに答えるかの様にオティヌスは口元に笑みをうかべる。

これは彼女が考えたのだ、それを否定することなんて上条にはできなかった

 

「…じゃあ頼むぞ。オティヌス。」

 

「任せろ、人間。」

 

だから上条は、この元魔神に任せる。不満はいくらでもあるが上条は渋々頷く。頷く事が分かっていたのかオティヌスは上条にだけ笑顔を見せてギフトカードの中に入った

 

門を開けて突入する、光を遮るほどの木々はとても居住区があった所とは思えなかった。レンガの家は巨大な根により崩壊していた。既に人が通れる道は殆どなく、道を掻き分けながら進んでいく。いつ奇襲がくるか分からない中、警戒していた耀が呟く

 

「大丈夫。近くには誰もいない、匂いでわかる。」

 

「そんな事まで分かるんだな。」

 

「春日部さんは犬にもお友達が?」

 

「うん。20匹くらい。」

 

耀は獣の友人が多いほど強くなるため五感では十六夜以上にある

 

「詳しい位置はわかりますか?」

 

「それはわからない。でも風下にいるのに匂いがないのだから、何処かの建物に潜んでる可能性は高いと思う。」

 

「ではまず森を散策しましょう。」

 

4人は散策を始める、所々に家屋があるが枝や根に食い破れていた。とても昨日まで人が住んでいたとは思えなかった。たった一晩でここまでの森を作ったガルドに油断出来ない状況だった

 

「しかし何もないな。そっちは見つかったか?」

 

「いえ、何も見当たらないし。武器もヒントもないわ」

 

「春日部はどうだ?」

 

上条と飛鳥とジンは散策をしていたが、耀はギフトを使い高い樹に登っている

 

「見つけた。」

 

「本当か?!」

 

耀は樹から飛び降りレンガの残骸がある街路を指差す

 

「本拠の中にいる。影が見えただけだけど、目で確認した。」

 

耀の瞳は猛禽類をおもわせるような金色の瞳で指差す方向を見ていた

 

「流石だな、その力も頼りにするぜ。」

 

「鷹の友達もいるのね。けど春日部さんが居なくなって、友達は皆悲しんでるんじゃない?」

 

「そ、それを言われると少し辛い。」

 

「(友達か…、まぁ土御門の事だし、わかってくれるだろ。)」

飛鳥の言葉に耀は肩を落とすが、飛鳥は苦笑いし慰めるように叩く。そして4人は警戒しつつも本拠の館に向かう

 

 

 

 

「これが本拠の館か、随分と酷いものだな。」

 

館に着いたが、館の扉は取り払われ、窓ガラスは砕かれ、塗装もツタで剥がされていた

 

「ガルドは2階に居た。入っても大丈夫。

 

内装も家具も倒され壊れていた。ここまで酷いとある疑問が浮かぶ

 

「本当にこの森や舞台は彼が作ったのかしら?」

 

「…分かりません。けど舞台を作るのなら代理は頼めますから。…鬼化していたし、もしかして。」

 

ジンの最後の呟きは小声で、誰も聞いてはいなかった

ガルドは自身の自己顕示の為に建てた館を、ここまで壊すだろうか。

 

「森は虎のテリトリー。有利な舞台を用意したのは奇襲のため…でもなかった。それが理由なら隠れる意味がない。それに館を破壊する必要なんてない。」

 

「わからないわ。ただ普通じゃなそうだけど。」

 

今の状況に慎重になり、小さな違和感でさえも見過ごせなかった

 

「…俺が1人で行く。」

 

突然の上条の提案に皆が驚く、皆が揃っていて1人で行くなんて考えられてなかった

 

「ど、どうしてですか?僕だって足手まといには!」

 

「そうよ、いくらアイツにギフトが効かないからって、それは無いんじゃない?」

 

いきなりの提案にジンと飛鳥は憤っていた、飛鳥に関しては怒りすらあった

 

「皆で突っ込んでもしもの事があったら大変だろ?それに飛鳥だってギフトが無かったら普通の女の子なんだしさ。」

 

「なっ!?納得がいかないわ!」

 

「納得してくれ、ジンを守る奴も必要だしな。」

 

上条の言葉に反論しようにもバッサリ切られてしまい、飛鳥は唇を噛みしめる。ジンは置いていかれることが前提とされ俯いていた

 

「…私は普通じゃない。上条よりも力は強いから付いていく。」

 

耀は1人で進もうとする上条に詰め寄る

 

「無口でコミュ障なだけじゃねーか。それ以外は普通だよ。」

 

耀のおでこを指でつつく、突かれたことでよろめくが、それでも見つめ直す

 

「それでもついて行く。」

 

「大丈夫、偵察がてらヒントを探すだけだから。心配すんなって。じゃ俺は行くから留守番頼んだぞ!」

 

何とかしてついていこうとするが、上条は適当に理由をつけて走り2階に向かう、それを耀は見送るしかできなかった

 

「…バカ。」

 

2階に向かう途中、オティヌスがカードから元の姿に戻り肩に乗る。

 

「良かったのか、人間。」

 

「良かったんだよ。それにアイツは俺が殴らないと気がすまないからな。」

 

「お前がそれでいいのなら、もう何も言わないさ。」

 

オティヌスは色々言いたいことはあったが、しかし今の上条何を言っても無駄だと知っているので何も言わなかった

 

2階に着き周りを見ると大きな扉を見つける、上条は直感でガルドがいるとわかった

 

「ありがとう、っと此処にいるな。」

 

「みたいだな、さてと私はカードの中に戻るとするよ。」

 

「そうしてくれ、それじゃ行くぞ!」

 

戦闘になると邪魔になるのでオティヌスはカードの中に戻る、扉を開けると銀色の十字剣を背に虎の化け物が叫びをあげる

 

「ギ…GEEEEEEEYAAAAaaaaa‼︎‼︎‼︎」

 

 

 

その叫び声は一階で散策をしていた3人にも聞こえていた

 

「今の…ごめん、やっぱり私も行く。飛鳥とジンは退路をお願い。」

 

今の叫び声は普通じゃない、1人で行った上条が心配なのか耀も飛び出してしまった

 

「あっ、ちょっと!全くなんなのよ、もう!」

 

「クッ…。」

 

突然行ってしまった耀を止めることはできずにもどかしくなる飛鳥、ジンはというと何も出来ない自分に悔しさを感じていた

 

階段を上がる耀、見た限り普通の状態じゃないことなどわかっていた。だから耀は皆で行こうとした、だけど上条は1人で行しまう、言いたい事は色々とあった

 

「(やっぱり1人で行くのは駄目…!)」

 

 

 

 

ガルドと思わしき虎は地面を抉りながら突っ込んでくる。豪腕が上条に向け振るわれる。突然の攻撃だが上条はそれを横に飛び込み避ける

 

上条は傷はつけられなくても、ダメージが与えられるのならと殴りかかる

 

攻撃を完全に避けられたことによっ

てガルドは上条の攻撃を避けれずにあたる、しかし屈強な肉体を持つガルドにとっては軽かった

 

ガルドは反撃に噛みつこうと接近するが、また避けられる。思考能力がなくてもこのままだと埒があかないと気付き、ガルドは脚を使い部屋の壁を蹴り縦横無尽に動き回り攻撃する

 

突然、ガルドの動きが変わり戸惑う上条だが横からくる豪腕をなんとかしゃがみこんで避け、ガルドの顎を殴る。

スピードがついた分、今までよりもダメージが通ったのか動きが止まる

 

上条は動きの止まった隙を見て左手で銀色の十字剣を掴み、ガルドと対峙する

 

ジリジリ、とお互いに様子を見合い、静寂の時が流れる。それを破ったのはガルドでも上条でも無かった

 

「上条!」

 

春日部耀だった、しかし勢いよく扉を開けて飛び出して来たが耀の目の前にはガルドが居た

 

ガルドは迷わずに耀に攻撃するため跳躍する。避けられないと思い、目を瞑り腕を組んで防ごうとするが、衝撃が来ない。不思議に思い目を開けると

 

右手でガルドの豪腕を防いでいる上条当麻がいた。爪が腕に食い込んで血が絶え間なく出ている、上条は腕を払い左手で持つ十字剣で斬りかかるが避けられる

 

「か、かみじょ」

 

「待ってろって言っただろうが!!」

 

右手を押さえながらも怒鳴る、こうなっては右手はまともに使えない。左手にある剣は使い慣れないため当てられるかどうか怪しい

 

「とにかく今は、その剣で応戦するぞ。」

 

耀に無理やり剣を渡す、ガルドは上条に追撃するように腕を振るう。負傷しているはずの上条はギリギリの所で避ける、反撃として右手で殴ろうとするが、痛みで腕が上がらない。上条は反撃を諦め再び攻撃を避ける

 

耀は何とか2人の攻防に混ざろうとするが入れない、それもそのはずで戦闘が初めての耀にとって入れる訳もなかった。しかし剣を受け取り、唯一の攻撃手段を持っているのは耀だけ。自分が何とかしないといけない、隙を見て剣を刺そうとするが、もし上条に当たったらと思い踏み込めなかった

 

上条も避けるのには限界がある、腕を負傷し、反撃も出来ないでいたので防戦一方。しかも体力が何時まで続くかわからないでいた。耀が剣を使って攻撃を出来るように隙を作らないといけない。焦り始める上条、ガルドが噛みつこうと口を開き襲いかかる、上条はガルドの跳躍によって砕けた石を持ち、それを口に押し込んだ

 

ガルドは口に石を押し込まれるも噛み砕く、そしてまた上条に襲いかかる。耀は石を噛み砕く、その一瞬の隙を見逃さなかった。

 

ガルドの腹を突き刺し、引き抜く。そして脚の健を斬り払う。これであそこまでの跳躍とスピードはでなくなる

一気に畳み掛けようとするが、ガルドは駄々をこねる子供みたいに腕を振り回す。その姿は負けたくない、負けたくないと言っているかのようだった

 

「何でだよ…、お前だって大切な人に死なれる悲しみくらい知っているはずだろ。何で他人の大切な誰かを殺せるんだよ。お前が何かを守る為に必死こいてたかもしれない、だけど本当にそれしか無かったのかよ!いや他にもあったはずだろうが!」

 

ガルドは悲痛な叫びをしながら突進をしてくるが、今まで以上の速さもキレもない。そんなガルドの攻撃は当たるわけもなく、上条の右手が深く突き刺さる、右手で殴ったせいか出血が更に酷くなり、とうとう立っていられなくなったのか膝から崩れ落ちる

 

横から耀の声が聞こえるが、何を言っているのかわからないまま倒れる上条

 

 

 

 

 

ゲーム終了を告げるかのように、鬼化した木々が消えていった。それを見ていた十六夜と黒ウサギは走り出す

 

「おい、そんなに急ぐ必要あるかよ。」

 

「はい…!黒ウサギの聞き間違いじゃなければ、上条さんは右手は重傷をしていて出血も酷いようです…、それに上条さんはギフトを使っての直接治療は出来ないんですよ?」

 

2人は持ち前の足を生かし上条達の元に駆けつける

 

「黒ウサギ!こっちです、上条さんがかなり血を流しています。」

 

駆けつけると耀は上条を抱え黒ウサギに渡した

 

「私がコミュニティまで運びます!あそこなら治療器具が揃ってますから。皆様は十六夜さんと合流してから帰って来て下さい。」

 

「わかったよ。」

 

ジンは頷く、黒ウサギは上条を抱えると、右手に触れさせないように全速力で工房に向かう

 

「全く、無茶しすぎですよ、右手で触れないように固定させます。」

 

 

 

 


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