ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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第六章「一寸先を照らす灯火 捜査編」

 

 こちらは、『ダンガンロンパQQ』の解説になります。

 本編を読了していることを前提に執筆しているため、本編についてのネタバレが多分に含まれています。

 まだ本編を読まれていない方はご注意ください。

 


 

 「はいどうもー!メガネのスペアは襟の裏!“超高校級の広報委員”の曽根崎弥一郎でーす!みんな久し振りー!さて、今回の解説編はボクが担当することになってるんだけども、みんな知ってるよね?解説編はいつも二人一組でやるもんだよね!だから今回もボクの他にもうひとり解説者が・・・っていうかスペシャルゲストがいます!じゃあゲストの方、自己紹介どうぞ!」

 

 「よう、みんな初めましてだな。“超高校級のハッカー”、引地佐知郎だ。弥一郎の先輩で同じ広報委員をやってて、今回は一緒に解説編をさせてもらうぜ。よろしくな」

 

 「わーい!先輩だ先輩だ先輩だー!引地先輩と解説編だー!」

 

 「落ち着けよ弥一郎。何をそんな楽しそうにしてんだよ」

 

 「そりゃ楽しそうにもしますよ!先輩と解説編ですよ!ボクずっと楽しみにしてたんですから!前に晴柳院サンとの解説編で袴田サンが出たときに、こりゃワンチャンあるぞ!ってずっと思ってたんですよ!」

 

 「ずいぶん前だなあ、それも。俺もこうしてまた弥一郎とゆっくり話す機会ができて嬉しいぜ」

 

 「まさかここで引地先輩が登場するなんて、きっと誰も想像しなかったですよ。みんなびっくりしてますよ」

 

 「そうだな」

 

 「だって本編じゃ名前が出て来ただけでろくな台詞の一つもなく、番外編や小話ではその影すら見せず、設定がないことが設定なんていうほぼモブキャラのためのフォローみたいなこと言われてた先輩が、こうやってガッツリ出番と台詞を貰えてるんですよ?嬉しくないわけないじゃないですか!」

 

 「・・・うぅん?弥一郎、お前、さり気なく俺のことディスってねえか?ていうかディスってるよな?」

 

 「とんでもないです!尊敬する先輩をディスるわけないじゃないですか!今回はボクが先輩を立てて、引地佐知郎はこんなにすごいんだぞ、っていうのをしっかりみんなに伝えますから」

 

 「そ、そうか?うん、じゃあまあよろしく頼む」

 

 「はい!なので先輩もリラックスしてくださいね。直前までどういうキャラで行けばいいか悩みに悩んで、結果器が広くて爽やかな面倒見いいお兄ちゃん属性の先輩キャラでいこうと決めたんですから、もっと肩の力抜かないと」

 

 「全部言うなよ!!やっぱお前俺のことディスってるだろ!っていうかナメてんだろ!?」

 

 「ナメるなんて、そんなわけないじゃないですか。ボクがどれくらい先輩のこと慕ってるか、本編読んでれば分かることですよ!これ読んでる皆思ってますよ。ザキソネは先輩思いの良き後輩だって」

 

 「いや、お前は自分が一番次男タイプだ。というか本編読んで清水に対する態度見ててそんな風に思うやついないだろ」

 

 「ううん、さすが先輩。やっぱりボクのことよく見てますね!」

 

 「当たり前だろ。っていうか全然変わらねえな、お前は。広報委員にいたときから毎日スクープスクープで、妙に勘が良くて生意気で、目が離せないやつだ」

 

 「先輩風吹かせてるところ悪いんですけど、まだみんなが先輩のことよく分かってないんですよ。その辺の話から始めていいですか?」

 

 「わざと俺の話の腰折ろうとしてるだろ。お前は俺がどう見られてほしいんだ」

 

 「そりゃ良き先輩ですよ。後輩思いで優しくて、ボクが何やっても笑って許してくれる懐のふかぁ〜い先輩!」

 

 「ただやりたい放題したいだけだろ!」

 


 

 「さて、解説編とはいえボクたちを含めて3組で六章全部とエピローグをやるから、1組が担当するパートは実はいつもよりちょっと短いんだ」

 

 「そうなのか」

 

 「だからいつものように、というかいつも以上に、本編以外の、重要でもなんでもない、本編とは全くこれっぽっちも関係がない脱線話を膨らませて文字数を稼ぐとするよ。先輩もなるべく無意味に長い言葉を使ったり冗長な構文を多用したりして文字数稼ぎに協力してくださいね」

 

 「みなまで言うなみなまで。こういうのは普通に話しててうっかり長くなるのが粋なんだろ。敢えてそうしたらそれこそ駄文になっちまうだろ」

 

 「南阿蘇水の生まれる里白水高原駅」

 

 「なんで急に日本一長い名前の駅言った?」

 

 「解説編ってこういうことですよ」

 

 「絶対違うだろ!」

 

 「いやあ、ボクもなんだか感覚忘れてるところがあるみたいです。ボクが前に解説編に登場したの、それこそ一番最初、トップバッターでしたから。あれからもう2年以上経ってるんですよ」

 

 「おお、そりゃ確かに長いな。2年もブランクがあったら感覚忘れるのも無理はない。そもそもこの解説編って、どういうコンセプトで始まったんだ?」

 

 「あ、いきなり本編とは全然違う方向に話を広げようとしてくれてる。よっ、さすが先輩!ナイスパス!」

 

 「ナイスパスだと思うならそのまま受け取れよ!なんで一回場外にボール捨てるんだよ!」

 

 「例えツッコミもイイ感じですよ」

 

 「やめろ恥ずかしい。いいから早く質問に答えろよ」

 

 「解説編のコンセプトですよね?これはまあ、名前のとおりお祭り企画なんですけど、何かしらの創作をしてると、完結後になってから、あそこはああしとけばよかったなあ、とか、この部分はこういう意味なんだけど伝わってるかなあ、とか感じることあるじゃないですか」

 

 「そうだな」

 

 「うちの作者もちょこちょこそういう情報は発信してたんですけど、どこで何を言ったか、何を言ってないか、どんどん分からなくなってくるんですよね」

 

 「そりゃあな。所詮小話だろ」

 

 「だから、だったらいっそのこと全部書く場を設けようということで、この解説編が始まりました」

 

 「完結から1年近く経ってからか。二作目も書いてる途中だったのに」

 

 「もうその二作目も終わっちゃいましたけどね」

 

 「イカレてる・・・よな?」

 

 「まあちょっと」

 

 「それで作者がスッキリするならいいけどよ。で、今回俺たちは何を解説していけばいいんだ」

 

 「六章の前半ですね。他の章と違って日常編はなくて、最初っから捜査編です。黒幕との最終裁判に向けて、合宿場の未開放スペースを全て捜査して、真相の手掛かりになる情報を片っ端から集めていくところです」

 

 「原作でもあったな、そういうシーン。ただ情報を集めるだけじゃないだろ?ここまで5回のコロシアイと学級裁判を生き残ってきたやつらなんだから、そういう決意とかを固めるシーンでもあるだろ」

 

 「そうですね。必然的に清水クン視点になっちゃいますけど、できれば清水クンの内面とかも解説していけたらと思います」

 

 「ちゃんとやればできるんじゃねーかよ。やれよ」

 

 「先輩こそできますか?本編では台詞もなかったのに、ボクらと温度差感じてたりしません?」

 

 「そこはちゃんと合わせるから余計なこと言わなくていいんだよ!だいたい、俺がこのパートに宛がわれたのだって、ここで俺の名前が出て来るからだろ」

 

 「ボクの広報委員の先輩とか、“超高校級のハッカー”がいるっていう情報は前から出てましたけどね。あ、ちなみにそのときは伏線でもなんでもないです。後から要素を拾っただけで、特に引地先輩の登場をここで盛り上げる意図とかなかったんで」

 

 「ああそうかい!!」

 


 

 「本編の解説に進む前に、もうちょっと引地先輩のこと話していいですか?」

 

 「もうだいたい言っただろ?“才能”と、名前と、弥一郎との関係性と・・・それくらいじゃね?」

 

 「まあまあ。設定がないのが設定とはいえ、そんな引地先輩のことも解説しておきたいんですよ。これも解説編の一部ですよ」

 

 「腹立つ後輩だなこいつ」

 

 「引地先輩の名前ですけど、変でしょ?」

 

 「曽根崎弥一郎に言われたかねえよ!」

 

 「ボクの名前はもうみんな何回も口に出してるから馴染んでますけど、引地先輩はそうじゃないじゃないですか」

 

 「それ言われたらなんも言えねえ」

 

 「ですからちゃんと説明しておきますね。引地先輩の名前は、不二咲千尋のアナグラムです。同じ情報系の“才能”ってことでね」

 

 「原作でも苗木と狛枝はアナグラムの関係になってるって言われてたもんな。あんな感じでなんか関係あんのか?」

 

 「特にないです。“才能”の系統が近いってこと以外なんにもないです。なんにも」

 

 「何もないことを強調すんな。ちょっとぐらい関係ねえのかよ」

 

 「ええ・・・もう、めんどくさいなあ。まあ声は同じでもいいんじゃないですか?」

 

 「悪くないな」

 

 「先輩自分のこと可愛いって思ってる節ありますもんね」

 

 「ねえよそんな節!設定がねえからってなんでもかんでも適当に乗せようとすんな!」

 

 「でも本当に先輩って設定ないじゃないですか。真面目な話」

 

 「急に真面目なトーンになったなオイ。テンションの乱気流がひどい」

 

 「え、なんですかその例えツッコミ」

 

 「やめろ恥ずかしい」

 

 「ですからね、ここでボクがひとつ、斬新な企画を持って来ました。これでこの解説編も大盛り上がりすること請け合いです!」

 

 「不安しかないけど一応聞くか。どんな企画だ?」

 

 「題して、『深層心理の底まで丸裸!引地先輩に100の質問』〜〜〜!!」

 

 「20年前に通り過ぎた企画じゃねえか!!下らねえより先にしょうもねえより先に懐かしいって思ったわ!!」

 

 「この前部屋の掃除してたら見つけたノートに書いてあって、逆にこれだ!って思ったんですよね」

 

 「逆にじゃねえかよ」

 

 「でもさすがに本当に100問やるわけにはいかないんで、ボクが選抜した5問でやってもらいます」

 

 「そこはちゃんと本来の企画に合わせるんだな」

 

 「では五月雨式に質問していきますので、ノンストップで答えていってくださいね!いきますよ!」

 

 「えっえっ」

 

 「Q.誕生日は?」

 

 「えっ、あっ、に、2月4日」

 

 「Q.お風呂に入ったらどこから洗う?」

 

 「一番くだらねえ質問すんな!えっと、鎖骨」

 

 「Q.最近聞いてる曲は?」

 

 「なんだその質問!?あー、あれだっ、夜に馳せる」

 

 「Q.魔法がひとつ使えるならどんな魔法?」

 

 「ウィンガーディアムレヴィオーサ」

 

 「Q.こんな希望ヶ峰学園は嫌だ。どんなの?」

 

 「隠蔽のために生徒を消す」

 

 「はい終了でーす!お疲れ様でしたー!」

 

 「本当にこの5問でいいのか!?もっとあっただろ聞くべきことが!」

 

 「ボクなりにめちゃめちゃ考えて絞ったんですよ。1枠余ったんで大喜利入れときましたけど」

 

 「20倍濃縮しといて余らすな!だいたい大喜利でもなんでもねえただの体験談じゃねえかよ!」

 

 「それは先輩のせいです。じゃあひとつずつ見ていきましょうか」

 

 「振り返ったところでなんにもならない情報がほとんどだったけどな・・・」

 

 「えっと誕生日が2月4日ですね。これはいいとして」

 

 「よかねえよ!唯一まともな情報らしい情報だわそれが!深掘れ!」

 

 「深掘れったって、誕生日の情報なんて、それ以上でもそれ以下でもないじゃないですか。あ、でも“製造日”の逆算なら──」

 

 「そうじゃねえよ!!やめろ気色悪い!!」

 

 「じゃあなんだっていうんですか」

 

 「QQメンバーの誕生日はちゃんと意味があって設定されたもんなんだろ。六章でもそれが重要な証拠になるじゃんか」

 

 「ああ、その話ですね」

 

 「普通にその話になるもんだと思ってた。ていうか自分で言うのも野暮ったいし、弥一郎から言ってくれよ」

 

 「それってお願いですか?それともおねだり?」

 

 「命令してもいいんだぞ」

 

 「怖いなあ。はいはい分かりましたよ。え〜っと、QQメンバーの誕生日は、誕生花とその花言葉から決まってますね。六章ではある人のその設定が活きてきますけど、それはもうちょっと後の話になるので今はしないでおきますね」

 

 「たとえば弥一郎の誕生日は1月28日。誕生花はキンギョソウで、花言葉は『おしゃべり』。ぴったりだな」

 

 「そうですね。で、引地先輩の誕生日、2月4日の誕生花はボケです」

 

 「ボケェ!?」

 

 「きれいな花ですよ。よく庭園樹として栽培されてますし、花は生薬や果実酒に利用されてます。名前とは裏腹に優秀な植物ですよ」

 

 「いや、まあそうか・・・ちょっと名前はアレだけど、まあ植物の名前だしな。そもそも、呆けってのはただの訛りだしな」

 

 「で、そのボケのボケボケな花言葉なんですけど」

 

 「やっぱいじってんじゃねえかオイ!!」

 

 「ボケの花言葉は『先駆者』です。基本、ひとつの花にはいくつかの花言葉があるものなんで、他にも『平凡』『妖精の輝き』『指導者』なんてのもありますけど、先輩にぴったりなのは『先駆者』ですね」

 

 「『先駆者』か。いい響きだな」

 

 「ボクらの先輩っていうのが、先輩の数少ないアイデンティティのひとつですもんね」

 

 「ことあるごとにか、この野郎」

 

 「これは別にコロシアイの先駆者ってわけじゃなくて、ボクらが最終的に行き着く結論に、先輩は一足先に近付いてたっていうことですね。希望ヶ峰学園に切り捨てられた先達と言ってもいいかも知れません」

 

 「やな先達だな。実際その通りだからなんも言えねえしよ」

 

 「誕生日の話はこんなところですかね。あとはもうどうでもいいですかね」

 

 「どうでもいい質問してんじゃんかやっぱ!」

 

 「どうでもいい質問だったし、答えも大して面白くなかったので」

 

 「やかましいわアホ後輩!」

 

 「次はもっと上手くやってくださいね、先輩」

 


 

 「弥一郎がふざけるせいで全然話が進まん。早いところ本編の解説しよう」

 

 「ふざけてるわけじゃないですよ。ただ、あんまりあっさり終わっちゃうと寂しいじゃないですか」

 

 「まあ物足りなくは感じられるかも知れないな」

 

 「そうじゃなくて、ボク、久し振りに先輩とこうしてお話してるんですよ?それなのに本編の解説だけしてはい終わり、なんて寂しいって言ってるんです。あんまり真剣に言うのは恥ずかしいから、ちょっと茶化しちゃったりもしますけど、ボク、先輩と話ができて嬉しいんですよ?」

 

 「そういうのは終わりが近付いてきてから言おうな。今だと取り繕ってるのバレバレだから」

 

 「ありゃ。やっぱバレちゃいました?」

 

 「どんだけお前と一緒に広報委員やってたと思ってんだよ。分かるわ」

 

 「う〜ん、清水クンだったら今のは悪態吐きながらも満更じゃない感じ出すんだけどなあ」

 

 「なんだかんだで清水とも仲良いよな。気が合ってるわけでもないんだけど、付き合いの長さで強引に仲良くなったというか」

 

 「一応、ボクそういうポジションのキャラクターとして作られたんで。清水クンを放置してたら主人公ムーブどころか普通のモブムーブすらしそうにないじゃないですか」

 

 「確かに、よく部屋で寝て過ごそうとしてたよな。寝るのが好きっていうより、他にすることがなかったって感じだ」

 

 「だからボクみたいなウザキャラが引っ張っていかないと何にもしないんですよ」

 

 「引っ張ってたなあ・・・シナリオ的にも物理的にも。お前のどこに人ひとり引っ張る力があったんだ」

 

 「ギャグ時空っていうのは便利なんですよ、先輩」

 

 「こいつ・・・!本編に出てない俺への当てつけか・・・!ギャグ時空もシリアス時空もない俺に対する嫌みか・・・!」

 

 「それは考え過ぎです」

 

 「六章が始まるにあたって、曽根崎の正体にまず焦点が当てられてるな。やっぱり記憶を取り戻してたけどそれを黙ってたことと、学園と何かあったって臭わせてたのはデカいな」

 

 「ここのボク超シリアスですね。ウケる」

 

 「自分の見せ場でウケてたらもう人間終わりだろ」

 

 「未来機関からの差し金で学園を監視する立場、て言ったらそうかも知れないけど、結局は先輩の任務の引継だからなあ。それに、その先輩だって未来機関のメンバーってわけじゃないし」

 

 「卒業生しか所属できない以上、現役の生徒がメンバーになるわけはねえからな。まあそういう形になってるだけで、実際にはメンバーもその差し金も同じようなもんだ。あ、モノクマが戻って来た」

 

 「ちょっとだけ情報を出して余計に正体をぼかすやつですね」

 

 「なんでここで全部言っちまわなかったんだ?」

 

 「そりゃ、もし黒幕に勝って学園に戻ることができても、ボクたち自身の問題は解決してないからですよ。それ以上の爆弾も抱えて帰ってきますし。だから学園がボクを消そうとしてきても、他のみんなを巻き込まないように、ボクなりに配慮したんです」

 

 「うちの作者って、やたら希望ヶ峰学園をどす黒い機関に描くよな。自分たちでスカウトした生徒を消すって、どうやったって隠蔽できないだろ」

 

 「それができちゃうのが希望ヶ峰学園なんですよねぇ〜」

 

 「こいつムカつくな」

 

 「全国から“超高校級”の“才能”を持った高校生を集められる集団なんですから、何ができてもおかしくないんですよ。そうした方が都合もいいですし」

 

 「まあそりゃそうだけどな。結局のところこの話って、希望ヶ峰学園がきちっと未来機関と連携とったり内部で話し合いとかを設けてりゃ起きなかったことだよな?大人の怠慢で子供が大勢死んでるぞ」

 

 「だからこれを見てる大人の皆さんは、ちゃんと子供たちに背中を見せて恥ずかしくない人生を送りましょうね!子供たちっていうのは大人の背中を見て大きくなるんです!あなたが望む望まないとにかかわらず、新しい子供たちがもうキミの後ろを歩いてるんです!」

 

 「どうしたどうした。オイどうした」

 

 「ボクたちはちょっと先で待ってます」

 

 「いつからお前は大人に対して上から物が言える立場になったんだよ」

 

 「少なくともあの希望ヶ峰学園の人たちよりはマシじゃないですか?袴田サンの件だって隠蔽しようとしてましたし」

 

 「ああ。あれな。それもあるし、清水を退学にさせられなかったのも、希望ヶ峰学園っていう名前に泥を塗りたくなかったからってのが一番でかいからな」

 

 「実際の高校でも退学処分なんて相当なことがない限りは下されないですからね。その可能性を仄めかされるだけでも、清水クンがどれだけややこしい人だったかは想像できるかと」

 

 「清水も大概タチ悪いが、お前もだぞ」

 

 「ボクがですかあ?そんなことないですよ。ボクだって問題児とされた理由、学園側の都合ですからね?」

 

 「でも合宿中の様子見てたら、いずれ別の形で問題児になってたように見えるぜ」

 

 「そこは大丈夫です。問題になるギリギリのところで止める、そういう駆け引きもジャーナリストには必要なスキルなんです。って、先輩に教えてもらいましたよ」

 

 「ギリギリで止まるのはほぼアウトだからな。一度はまだいいけど二度、三度とそれをやったらほぼアウトはマジアウトになる。それを分かっとけ」

 

 「あははっ、前と言ってること違うや。なんだそれ(センパイノコトバハタメニナルナア)」

 

 「口に出す言葉と心の中の言葉が逆だ!心の中でも棒読みってどういうことだ!」

 

 「さっすが先輩!人の心を読むメタ技術はいまだ健在ですね!」

 

 「ここはしっかりお前に教えた覚えがある」

 


 

 「最終裁判に向けた準備をするにあたって、改めて合宿場を全部見直す必要があるんだよな」

 

 「別に一箇所に証拠を集めておいてもよかったんですけど、やっぱり合宿場を歩き回れば、これまでの事件のことが思い起こされるじゃないですか。清水クンにはちょっと似合わないですけど、それでまた決意を固くするっていうためでもあるんですよね」

 

 「清水も言ってるように、今の段階じゃまだ生き残りメンバーはバラバラだからな。団結するためにはひとりひとりとの話し合いが必要だろ」

 

 「そんな清水クンだけど、まずは自分が黒幕に立ち向かう覚悟を決めるところからですね。食堂でモノクマと一対一で話し合います。実は清水クンってあんまりこういう感じにモノクマと接したこと少なかったんだけど、六章になって主人公力もあがってきたからなんかサマになってるね」

 

 「最初のファイルは学園の“才能”研究か。色んな創作論破や考察や、公式媒体からの情報供給のおかげで、どこからどこまでが公式設定かよく分からなくなってきちまった」

 

 「希望ヶ峰学園が、学園であると同時に“才能”を研究する機関だっていうのは公式設定だったはずですよ。確か」

 

 「ホレ見ろ。ちょっと自信ないだろ」

 

 「下手なこと言って余計なトラブル起こしたくないですからね。あくまでQQ内での設定だっていうことをここでもう一度言っておきますね」

 

 「“才能”の物質化。そんなことができたらどんだけいいか。自由に“才能”の付け外しができるようになったら、どんなことになるんだろうな」

 

 「ゴミを木に変える“才能”とか?」

 

 「その世界観の“才能”はサブ要素だろ。付け外しっていうか、増えたり減ったりはするけど」

 

 「清水クンにとって“才能”の話は地雷も地雷だから、これを最初に見つけるあたり清水クンってある意味持ってますよね〜」

 

 「あからさまにイラついてるな。お前どんだけ清水のこういう顔好きなんだよ」

 

 「良い音がする太鼓って叩きたくなるじゃないですか。清水クンのリアクションが面白いからついついいじめたくなっちゃうんですよね」

 

 「その分だけデカいしっぺ返しも食らってると思うが・・・まあ、お前がいいならいいけど」

 

 「まずは、希望ヶ峰学園が“才能”の物質化研究を行っている、てことを覚えておいてくださいね。これが全てのはじまりで、根幹になるから」

 

 「俺と曽根崎が未来機関から指示を受けて探ってたのも、その物質化研究についてだったからな」

 

 「その後に清水クンが出会ったのは、資料館で演奏をしてる穂谷サンだね。穂谷サンが楽器を演奏しに資料館に行ったことは分かってたはずなのに敢えてそこに行くって、清水クンも実は穂谷サンのことを心配してたり?」

 

 「まさか。寄宿舎から近くて行きやすかったからだろ」

 

 「相変わらずこの穂谷サン(バーサーカーモード)は何言ってるか分からないですね。一応会話が成り立ってるように見えて、微妙に噛み合ってないというか」

 

 「けどよくよく読んでみれば、穂谷だって鳥木が死んだことを受け止めはじめてて、しかも高慢に振る舞ってた自分を客観的に見始めてるようにも捉えられなくもないぞ」

 

 「なくもないこともなかったりしないですね」

 

 「どっちだ?」

 

 「なんだかんだで清水クンにモノクマファイルの在処のヒントを教えたりしてますから、結構協力的なんですよね。やっぱり鳥木クンのことを認められないと言いつつも、黒幕には一矢報いたいと思ってるんですかね」

 

 「誰かの殺意を思い起こさせる場所。つまるところ、今までコロシアイがあったところってことだよな」

 

 「清水クンの性格的に、他の主人公みたいに今まで死んでいった人たちに思いを馳せるっていうことはあんまりしないですからね。主人公らしいことをさせるための工夫です」

 

 「よくある最終決戦前の演出も、清水クンにやらせようとすると、ちょっと工夫とか説明が必要になるものなんです。困った主人公ですよね」

 

 「お前だってその工夫のひとつだろ」

 

 「実は・・・そうなんです。ボクも世界のカラクリの一部なんです」

 

 「そんな重大発表でもねえわ。ずっと前から言われてただろ」

 

 「清水クンを放っといたら何にもしないってことで、ボクが引っ張って行くっていうね。さっきも言いましたけど」

 

 「さすがに六章にもなれば清水も動かないわけにもいかないから、真面目に捜査してるな。2つめのモノクマファイルもゲットだ」

 

 「これはプランDの経過報告書ですね。ここで初めて先輩の名前が出ますよ!引地佐知郎が『ダンガンロンパQQ』に登場した瞬間です!」

 

 「まだ何者か全然分かってないけどな。それより、このプランDって薬を投与して感情を消す実験だろ」

 

 「はい。望月サンが被験者になっていた実験ですね。ここで名前を出すわけにはいかないので黒塗りにされています。あと、プランDのDはDrugのDです」

 

 「薬ってことだな。そのまんまだ」

 

 「適当につけると作者が名前を忘れるので」

 

 「ダメ作者が」

 

 「ちなみに1つめのファイルにもあった報告者の名前ですけど、原作キャラの名前の漢字それぞれを反対にさせたやつです。それぞれ誰を由来にしてるか、考えてみてね」

 

 「要するに、報告者の名前を反対にしていけばなるわけだからな」

 

 「AHー0625の方はなんか由来ありましたっけ?」

 

 「AHの方は忘れたな。なんだっけか」

 

 「ここでどっちも忘れてたらもう迷宮入りですよ。アホトキシンとかじゃないんですか?」

 

 「もうそれでいいよ。0625の方はちゃんと由来あるからな」

 

 「1÷16=0.625ですからね。なんで1÷16なのかは、QQを最後まで読んだ人なら分かるよね」

 

 「要するに薬の名前も報告者の名前も、実験の名前も大した由来はないわけだ」

 

 「ぶっちゃけその辺はどうでもいいことですからね。全ては、些事・・・」

 

 「肌白いやつが何言ってんだか」

 

 「あ、むつ浜サンだ」

 

 「とうとう清水もむつ浜呼びしてんな。すっかりお前の付けたあだ名が馴染んじまったみたいだ」

 

 「きちんと訂正するお決まりのやり取りも欠かさない、さすがむつ浜サンだね!」

 

 「ウチの作者こういうの好きだな」

 

 「こういうのが一個あると、単調な会話にリズムが生まれて良いんですよ。こういう設定があると便利ですよね〜」

 

 「設定・・・そうだな。設定があるといいよな」

 

 「いいですよ」

 

 「臆面もなく嫌みを言いやがって」

 

 「むつ浜サンが見つけてたモノクマファイルは、過去のコロシアイについての記述だよ。これも原作をプレイした人にとっては今更なことだから、さっくり振り返っていきますよ」

 

 「原作の被害者はともかくとして、クロの死因ははっきり描かれてなかったよな?」

 

 「しかもおしおき死ですから、めちゃくちゃな死因です。一応それらしい死因を書いたのを褒めてほしいくらいです」

 

 「誰にだよ。っていうか半分は脳機能の停止で済ませてるじゃねえか」

 

 「そっちは設定的に現実ではそうですから。しかも公式ではちゃんと生き返ってますしね」

 

 「まあよくあることだ。議論スクラムだって名前だけで想像して、結局かすりもしなかったし」

 

 「それよか先輩、ひとつ質問いいですか!?ずずいっと!」

 

 「近いな急に!ディスタンス取れや!」

 

 「原作2作目の死亡者リストに、七海さんの名前が無いのはなんでですか!?」

 

 「うるせえなあ!なんなんだ急に!」

 

 「なんでなんですかって」

 

 「ですかってって・・・。そりゃコロシアイで死んだやつのリストだからな。七海はコロシアイで死んだわけじゃない。原作で狛枝を殺したのは七海本人じゃなくてそのアルターエゴだから、リストにはない」

 

 「残酷なこと言うなあ。ひどいですよ先輩」

 

 「お前が言わせたんだろ!そのためか!ハメたな!」

 

 「読み終わった後の清水クンも、開口一番読まなきゃよかったって言ってますよ。読者の皆さんには既に分かり切ったことですから、そこまで感じなかったと思いますけど」

 

 「六浜はこのファイルから、QQのコロシアイの黒幕が江ノ島とか“超高校級の絶望”とも違うって読み取ったんだな。どこからどう読み取ったら分かるんだ」

 

 「それはまあ、六浜サンの“才能”がそういうことなんで。一応、モノクマの目的は既にぼんやりと明かしてますから、それと江ノ島サンじゃ方向性が違うって推察はできるようになってます」

 

 「六浜だったらそれ以上に色々と頭ン中で突き止めてそうだけどな。まったく便利な“才能”だ」

 

 「作者的にもすごく便利で助かってました!」

 

 「古部来も日頃からあれこれ考えて脳みそ酷使してるって設定だけど、六浜も大概じゃないのか」

 

 「その上、古部来クンより責任感が強いし常識的な感性も持ってるから、余計に負荷がかかってるかも知れないですね。誰かサンのせいで」

 

 「6割くらいはお前だ」

 

 「でも6章までしっかり耐えてきたんですから、むつ浜サンはやっぱりすごいなあ」

 

 「他人事みたいに言うなよ」

 

 「これまで見つけたファイルは六浜サンにきちんと渡して、情報共有も欠かさない。清水クンもしっかり連携が取れるようになってきたね」

 

 「さすがに5回もやってりゃ、情報共有をサボることは自分ひとりで裁判を叩くハメになるってことに気付いたか」

 

 「でも情報共有する相手が本当に信頼できる相手かどうかっていうところまで、考えてはなかったみたいですね。この場合は黒幕かも知れないってことです」

 

 「六浜が黒幕って可能性は考えなくていいと思うけどな。ここまでずっとコロシアイに反対し続けてきたし」

 

 「誰が黒幕でもおかしくないのが創作論破ですよ。序盤に死んだ人が黒幕だったり、全然関係ないキャラが黒幕だったり、そもそも黒幕なんかいなかったり」

 

 「色んなパターンがあるんだなあ」

 

 「これがイマドキ流行りの多様性です」

 

 「違う」

 

 「まあちょっとこの時点ではまだ足りないとは言え、清水クンも成長してるってことです」

 

 「確かに真人間に近付いてはいるっぽいけど、まだ全然だな。情報を集めるってんなら、六浜くらいの勘の良さは必要だ」

 

 「いやあ、勘の良さっていうかむつ浜サンの場合は論理だけど」

 

 「黒幕の意図を考えて大浴場のロビーだけを探索するってのはいい案だ。一口に黒幕の意図っつっても、普通はコロシアイをさせるってことまでで思考が止まる。最後の学級裁判を行うにあたって、単に情報を与えるだけじゃなくて捜査をさせることの意味まではなかなか意識が向かねえ」

 

 「それを平然とこなすのがむつ浜クオリティ。さすがにファイルの内容までは『予言』できないみたいだけど、ファイルの在処はぴったり的中させられてたね」

 

 「今度のファイルは“超高校級の問題児”についてだな。合宿場に押し込まれたやつらが抱える問題と卒業条件、つまりはこの合宿場から脱出する条件のことだ」

 

 「それぞれみんなの性格や境遇を考えたら、無茶苦茶なことが書いてあるっていうのは分かりますよね。もしかしたら学園側は、本気でボクたちの問題を解決するつもりなんてなかったのかも知れないですね。合宿場に押し込んだまま卒業を迎えさせて、学園に残った人たちとは別枠で卒業させるつもりだったのかも」

 

 「またあくどい解釈するなお前は。まあうちの希望ヶ峰学園ならあり得るってのが悲しいところだが」

 

 「希望ヶ峰学園とか未来機関とか、そういう大きな組織を悪っぽく書いとけば、色んなことに説明が付けやすいですから。人を拉致監禁してコロシアイをさせるのに、そういう大きな組織の力が関わってるってことにしとけば、細かいところ考えなくていいじゃないですか」

 

 「原作の黒幕は個人事業主だっただろ」

 

 「確定申告しそうな言い方しないでください」

 

 「ここで六浜が言ってるけど、清水より望月の方がよっぽど問題だよな。事情が分からない分、今の生き残りメンバーにとっては最大級の問題だ」

 

 「唯一、卒業条件が存在しない、つまり学園に帰る望みがないってことですもんね。そりゃ警戒しますよ」

 

 「場合によっちゃ黒幕って可能性も出てくる。実際、清水はかなり訝しんでるしな。六浜はそうでもなさそうだな?」

 

 「この時点で六浜サンは黒幕の可能性についていくらか考えてるから、今さらこのくらいで疑惑を深めるようなことはないんですよ。要するに、そうでなくても疑ってるってことです」

 

 「そういう言い方をすると六浜が人間不信みたいになるな」

 

 「信じるためには疑うって原作の人も言ってたじゃないですか。信じるっていうのは人の言葉って書くんですよ」

 

 「いや全然繋がってない」

 

 「そして疑うっていうのはヒに矢にマがあってその下が変なこういう・・・」

 

 「上手いこと説明できないんだったら言うなよ!」

 

 「ともかく疑うことは悪いことじゃないんです。悪いのは疑うことに囚われて信じることができずにいることです」

 

 「急にまともっ」

 

 「六浜サンは信じるために疑ってるから、ちゃんと最後にはみんなを信じられたんです。疑ってるとなかなかそれを忘れがちなんですよね〜」

 

 「お前はなんでそんな達観してものが言えるんだよ。お前は人を信じてたのか?」

 

 「少なくとも、最後に生き残ってたみんなのことは信じてましたよ。でなきゃ先輩のこととか、ボクの使命のこととか話すわけないじゃないですか」

 

 「お前のことだからなんか策略があるのかと」

 

 「ひどいなあ先輩。ボクみたいな素直でかわいい後輩つかまえて、策略とか謀略とか」

 

 「自分でよく言うな。素直でもねえしかわいくもねえ。生意気で天邪鬼で軽薄だろ」

 

 「ぴえん」

 

 「かわいくない」

 


 

 「望月サンと清水クンの間になにかあったと察しながらも何も言わなかったのが、六浜サン的な信頼の表れですね。この二人なら、好きなようにさせていいと思ったんでしょう」

 

 「結果的にそれが正解だったのかもな。ここで下手に問い詰めてたら清水は六浜か望月、どちらかからの信頼を失ってたはずだ」

 

 「逆に清水クンからはボクや望月サンへの信頼値がゴリゴリ減っていってる音がしますね!まあボクも望月サンも自分のことは何にも話してこなかったですから」

 

 「話せないなりの事情もあったけどな。ていうか自分のことを話さなかったっていうより、その割に清水のことはアホほど聞いたことが信頼失墜の原因でもあるけどな」

 

 「ボクも望月サンも、清水クンには興味津々だったからなあ。もしかしたら清水クンは、そういう星の下に生まれたのかも知れないですね。笹戸クンも清水クンには興味あったみたいですし」

 

 「全員ろくでもねえ。清水にとっちゃ最悪の星だな。ようやくここで自分のことを負け犬って言えるくらいには、客観的に自分を見られるようになってきたってのに」

 

 「“才能”を捨てたからこそ“才能”に人一倍こだわってる、ってことに気付けたんですね。六浜サンも言ってますけど、それに気付いた時点で負け犬じゃありませんよ。清水クンは負け犬なんかじゃなくて、ウジ虫の方が似合いますから」

 

 「生物としての等級が下がってる!んなこと言ってたらまた殴られるぞ」

 

 「ここにいれば安全ですもんね。ここなら言いたい放題言えますよ!」

 

 「普段から言いたい放題殴られ放題だろ」

 

 「そんな殴り放題の清水クンがボクのところにやって来ましたよ。また殴られちゃうのかな」

 

 「お前が余計なこと言わなけりゃな」

 

 「余計なことは言いませんよ。ていうか何も言うつもりありませんし」

 

 「確かに、捜査が始まる前にしてた話はモノクマにぶった切られて、その続きがまだだったな」

 

 「ボクの話を聞くってことは、希望ヶ峰学園を敵に回すこと。下手をすれば消えて無くなる、死ぬんじゃなくて存在が消える。ここで敢えて意味深に言ってるんじゃなくて、本当にそのまんまなんですよね」

 

 「存在が消えるとかオカルチックなこと言うな。存在というか、記録が抹消されるわけだ。記録が消えればそれから先はその存在を知る手立てがなくなる。つまりは存在の抹消だ」

 

 「さすが消された当人!説得力がありますねー!」

 

 「消されたよキレイにな!だから設定がねえとか言われんだチクショウ!」

 

 「やけくそですね」

 

 「未来機関からの差し金ってことがバレたら、自分とこの生徒だろうが容赦なく消すってのがウチの希望ヶ峰学園のスタイルだ。学園っていうか、旧学園派な」

 

 「学園の内部資料にだけは名前が出てたけど、実際の学園生活で引地先輩の名前を知る可能性があるのはボクや他の広報委員の人と話す人だけですからね。ボクが引地先輩から直々に後継を任されてなかったとしても、広報委員ってことで同じように合宿場にいた可能性はありますね」

 

 「っていうか、俺とお前以外の広報委員のメンバーなんかいるのか?」

 

 「決めてないんでいないですけど、二人ぼっちじゃおかしいのでいることにします。ピクトグラムで代用しておきましょう」

 

 「ナニングドラムだ」

 

 「だからボクがここで清水クンに何もかも話しちゃったら、清水クンもボクと同じように旧学園派から狙われる立場になるってことなんです。ボクは清水クンにそんなことはさせられないから、言わないでおいたんですよ」

 

 「まあ話したところで苦労を分担できるわけでもないし、清水にとってデメリットしかないからな。それでも、清水はお前に話してほしかったんだよ。信頼するには不安要素を排除するしかないからな」

 

 「それにしてもあれですね」

 

 「なんだよ」

 

 「ボクが清水クンにお決まりの質問をするこのシーンの前後、なんかこう・・・いかがわしい雰囲気がありますね」

 

 「自分で言うかそれ」

 

 「言いますよボクは。自分のイメージアップになることは気兼ねなくどんどこ言っていきますよ」

 

 「イメージアップ・・・なのかなあ・・・・」

 

 「ちなみにボクは清水クンのことも好きですけど、先輩のことも好きですからね!」

 

 「俺を巻き込むな!その目をやめろ!」

 

 「で、清水クンはちゃんとボクが期待したとおりの答えをしてくれました。ボクと一緒に死んでくれる?っていう質問は、ボクが先輩と一緒に死ななかったように、清水クンもボクが死ぬときに死なないでねって意味ですから」

 

 「そうだな。スパイってのは安全な仕事じゃねえから、とにかく仕事を引き継ぐことが大事だからな。もう終わってるやつに引きずられてくのはバカのやることだ。冷てえこと言うけど」

 

 「冷たいのは冷静だから、ですよ」

 

 「で、お前が持ってたこのプランSだけど、これはあれだよな。今回の黒幕に関するファイルだよな」

 

 「そうですね。これが本当に黒幕そのまんまです」

 

 「ちなみにさっきのプランDはDrugのDだろ。このSはなんのSだ?」

 

 「SimizuのSです」

 

 「清水の実験じゃねえだろ!?」

 

 「ていうか清水クンはまだ実験される前の段階でしたよ。ただのミスリです。そもそもこのSがSimizuのSだって思う人の方が少ないわけですから、無駄に勘が良い人を引っかけるための分かりやすい罠です。ま、清水クンが全くの無関係ってわけでもないんですが」

 

 「そうだな。黒幕と同じ“才能”持ちだし、後釜としてスカウトされわけだしな。本人にとっては屈辱的なことこの上ねえや」

 

 「実験の内容も、こんなことができるなら清水クンだって苦労しないよって内容ですよね」

 

 「こんなことができたらよっぽどいいけどなあ。もし清水が同じ実験されてたら、どうなってたと思うよ?」

 

 「耐えられてなかったでしょうね。なんだかんだ乗せられやすいですから、はじめはきちんとやりますけど、その内人間性が薄れていって黒幕と同じようになるか、途中で頭痛くなって投げ出しちゃうかですかね」

 

 「やめる理由軽っ」

 

 「あ、そんなどうでもいい話より、ボクの話が始まりましたよ!先輩正座!」

 

 「お、おう・・・ってなんで俺がお前の話を正座で聞かなきゃならねえんだよ!普通に聞くわ!」

 

 「一回ちゃんと乗ってくれるところが先輩の良い所ですね。清水クンは乗ってもくれないんですよ」

 

 「やめろ恥ずかしい」

 

 「この辺の希望ヶ峰学園の設定はQQの完全なオリジナルです。旧学園派と新学園派、同じ希望ヶ峰学園で“才能”の研究を重ねるけども、希望と絶望についての考え方が決定的に異なる二つの派閥。こんなのが同じ学園で睨み合ってるんじゃ、いい学園運営ができるはずもないですよね!あーやだやだ!」

 

 「気付かなきゃ別にそれでいいんだけどな。元を正せば、カムクライズルってのが根っこにあるわけだ。原作でも中心人物になってたし、ここまで尾を引かせても不自然じゃないくらいの影響力を持ってる良いキャラだよな」

 

 「5章の狛枝クンと笹戸クンの関係みたいな感じにちょっと近いかな?原作あっての創作論破なので、もう原作のみなさんのおんぶにだっこで・・・」

 

 「余計なこと言うなよ。ただでさえグレーゾーンの活動なのに、露骨に近付いていったらグレーが濃くなるだろ」

 

 「でもやっぱり、色んな創作論破を見ても、根っこに原作の事件や江ノ島盾子がいることはおおよそ共通してますよ。いくら共通の原作といえど、みんながみんなそこに行き着くっていうのは、原作できちんと強大な存在だっていう印象づけがされてる証拠じゃないですか。すごいですよね〜、絶対的ですよね〜」

 

 「ん〜、まあ、江ノ島が黒幕にいるコロシアイってシステムがほとんどを占めてるのと、その遠因の事件にも同じ黒幕が関わってるってなりゃ、そこ以外に拾うべき要素がないっても言えるんだが・・・」

 

 「求ム!江ノ島サン以外の絶対的な指導者!」

 

 「いらん!!絶対!!」

 


 

 「カムクライズルの話から、“才能”の物質化の話もしてますね。清水クンには耳が痛い話ですです」

 

 「ついさっき自分が“才能”にコンプレックス抱いてるって自覚したばっかりのやつにこんな話は、確かに耳が痛いどころじゃねえな。“才能”をモノとして扱えるようにする研究とか、そんなものがあったら清水はこんな風になってねえよと」

 

 「そんな研究も実現するわけがないんですけどね。黒幕はあくまで人が持ってる“才能”をコピーするだけ。何もないところから“才能”を得ることはできないですし、自分が持ってる“才能”を人に与えることもできない。つまり行き止まりなんですよね」

 

 「語ってるなあ〜。カムクライズルのこととか“才能”のこととか。お前、これガチで清水を自分の運命に巻き込むつもりじゃんか」

 

 「そりゃそうですよ。ハンパな説明じゃ清水クンは納得してくれないですし、この後の学級裁判で黒幕の正体に迫るなら、情報共有は必要ですからね」

 

 「清水が言うように、旧学園派に目を付けられた時点で、曽根崎の運命は決してた。俺と同じように、いずれ学園から消される運命にしかならねえ。巻き込んだ俺が聞くのもなんだけど、なんで絶望しなかったんだ?」

 

 「本編でも言ってるじゃないですか。人は希望と絶望だけじゃないんですよっ。ボクは先輩の希望を繋ぐ指名を背負った。それを投げ出すのは先輩の存在を永遠に捨て去ることになる。そんなことボクにはできないです。大好きな先輩をいなかったことにするなんてできるわけないじゃないですかあ!」

 

 「照れ隠しにデカい声出してんのバレバレだぞ。今更なんで急に照れることがあるんだよ」

 

 「自分が真剣に話してるところを客観的に見て解説するのは恥ずかしいですよ・・・」

 

 「おお、弥一郎もそんな顔ができるんだな。結構結構。この後の弥一郎は基本シリアスモードだからどんどん進めていこうじゃんか」

 

 「ボクが先輩を好きって言ってるんですよ?先輩は照れないんですか?」

 

 「んなもん今更だし、そんなんで照れてたら照れ疲れて死ぬ」

 

 「う〜ん、なんか悔しい」

 

 「合宿場捜査編もそろそろ後半だぞ。やっぱ清水には弥一郎がいねえとだな。ようやく本格的に最終裁判直前の雰囲気になってきた」

 

 「ちなみにここんところ、いつもの非日常編とかじゃなくて、決断編ってなってるんですよね。何の決断なんでしょう?」

 

 「分かってるくせに敢えて言うのかそれを」

 

 「だって、最終裁判に臨むにあたってみんながそれぞれ決断を下すのは分かるんですけど、それだったら前回の捜査編でも決断を下してる人はいましたし、何より今回の話ってそれだけで終わる話じゃないじゃないですか」

 

 「全部分かってるやつの言い方なんだよなあ。この決断編と、この後に別のやつらが解説する殺意編は、特定の登場人物についてのネーミングだ。この話の中で決断を下したのは、六浜な」

 

 「わあい!この後どうなっていくのは目が離せないですね!」

 

 「全部読んだ人しか読まねえんだってここは」

 

 「じゃあそのシーンまでもうちょっとってことで、お楽しみにしといてくださいね!画面の前のお前!!」

 

 「お前って言うな!読者さんだろうが!」

 

 「」m9(`・ω・´)ビシッ

 

 「指さすな!!」

 

 「これが第四の壁ドンです」

 

 「ただのメタ発言だろ。壁ドンすんな。解説しろ」

 

 「はい!解説!この倉庫でボクと清水クンで片付けをするシーン!」

 

 「合宿場にある黒幕の隠れ家の入口を探り当てるシーンだな」

 

 「前に清水クンが珍しく勘が良いところを見せてくれた、あの武器庫についてです。合宿場が希望ヶ峰学園の施設なら、武器庫なんて最初から置くわけがない。つまり黒幕が武器で何かを隠してるんだって推理。イイ線いってますよね!」

 

 「下手すりゃあの段階で黒幕の隠れ家を突き止めてたかも知れないってわけか。まあモノクマがそんなことさせるわけがねえけど」

 

 「ここで合宿場全体を監視してたはずなのに止めなかったってことは、この場所をいくら探索されても問題ねえと判断したってことか」

 

 「結構クリティカルな証拠もあったんですけどね。まあここにある証拠だけで黒幕の正体に辿り着けたかっていうと微妙なんですけどね。それこそ、六浜サンくらいの頭脳がないと」

 

 「まあ黒幕だし。とびきり難易度の謎でガードしてねえと倒し甲斐がないってもんだろ」

 

 「倒し甲斐搾取ですか?」

 

 「搾取してねえ!手応えの話をしてんだよ!」

 

 「その手応え設定がガバガバだったからあんなことになっちゃったんですけどねえ・・・。ま、黒幕も黒幕でなんだかんだボクたちに甘いところありますよね。結構色んな情報出してきてましたし」

 

 「地下への入口を見つけたところで、清水が他の生き残りを集めてきた。穂谷をどうしたか分からんが、取りあえず集められてる時点で、やっぱり人間的に成長してんだな」

 

 「そして階段を降りた先には、先輩が言うように黒幕の隠れ家がありました。地上の探索だけじゃ情報は全部揃わないようになってましたから、きっとここを見つけることは黒幕にとって想定の範囲内どころか、予定通りだったんでしょうね」

 

 「じゃあこの辺の資料も全部、見つかってしかるべきものってことか。ずいぶんと趣味の悪いこった」

 

 「ボクたち軽率に単独行動とってますよね。ボクもどうかしてたのかなあ」

 

 「黒幕が最終裁判を望んでるとはいえ、殺さない程度の罠があってもおかしくなかったからな。いよいよ黒幕の根城に潜り込めたことで、お前もちょっと興奮してたのかも知れねえな」

 

 「いやあ、ジャーナリストの性ってやつですかね?謎の正体が近付いてくると周りが見えなくなるっていうか、ちょっと都合良く考え過ぎちゃって軽率になっちゃうっていうか。ま、そのおかげでモノクマが飽きる前に全部の情報を集められたんです。結果オーライってやつじゃないですか?」

 

 「どこを結果とするかの判断が難しいところだなオイ」

 

 「ボクはボクの視点で話してますけど、物語は清水クンの視点で進んでくので清水クンが見つけたものから話していきますね。まず見つけたのは、資料室です」

 

 「ただの資料室だったらいいけど、最低最悪に悪趣味な資料室だなここ。黒幕は今まで、誰かが死ぬたんびにここでせっせとファイルの整理をしてたってことじゃんか」

 

 「正確にはその“才能”を完全に習得したら、ですね。生きてる限り“才能”は発揮され、磨かれ続けるんっで、実質死ぬまでですけど」

 

 「この藍弾結ってのは誰だ?」

 

 「新希望ヶ峰学園第4期生、“超高校級の仲人”藍弾結(アイビキユイ)サンですよ」

 

 「だから誰だよ!」

 

 「そのまんま、人と人との縁を結ぶことに長けた“才能”ですね。こんな人がいれば清水クンもぼっちにならずに済んだかも知れないですね・・・」

 

 「色々と言いたいことはあるんだが、そもそも弥一郎たちって何期生なんだ?このファイルがあるってことは、少なくとも4期生よりは後輩になってそうだな」

 

 「決めてませーん!」

 

 「あ、やっぱり」

 

 「だってそんな情報どうでもいいですし。たとえ80期生とか、原作の人たちと近い設定にしたとしても、旧学園と新学園で全然時代が違いますし。そんな設定には何の意味もないので決めてません!」

 

 「別にいいけどよ。そもそも合宿場にいたメンバーの間でもズレがあるだろ」

 

 「そうですね。合宿場では誕生日の順番も含めたら、晴柳院サンが最年少、アニーさんが最年長になります。その差は4歳です」

 

 「この部屋の描写からするに、この藍弾ってやつ以外にも黒幕のために“才能”のモデルにさせられたやつらが山ほどいたってことだよな」

 

 「このコロシアイだけじゃなく、学園生活でも同様のことが行われてたみたいですしね。この黒幕は何人の命の上に立ってるんでしょ」

 

 「どっかの釣り人が発狂しそうだな」

 

 「そうでなくてもSan値削れそうな内容ですよこれ。自分の人生がまるまる記録されてるわけですから。読んでてこんな気持ち悪いものないですよ」

 

 「おまけに死んだやつらには『済』の判子。人生は一冊の本なんていう喩え話もあるけど、実際にこうやって一冊にまとめられたのが夥しく並ぶと、寒気で凍死しそうだな」

 

 「“超高校級の希望”を生み出す過程で出て来た廃棄物みたいなものですから、本来は見てはいけないものなんですけどね。それを敢えてボクたちに発見させたのは、黒幕が本気でボクたちと勝負するつもりだったからですね」

 

 「前から思ってたんだけどよ、なんで黒幕は敢えて弥一郎たちと勝負しようと思ったんだろうな。単純に“才能”を学習することが目的なら、最後までコロシアイさせとけばいいじゃんか」

 

 「あくまで今回の黒幕は、過去のコロシアイを模倣しているに過ぎませんから。そこに黒幕本人の意思や考えはないんで、特に理由もなくこういうことができるんですよ。敢えて言えば、今までもこうだったからそうした、ってところですかね」

 

 「希望になるために絶望の真似するってか。冗談にしたって質が悪いこったな。“才能”を手に入れることってそんなに惨いことか?」

 

 「少なくとも努力と苦闘は必要ですね。希望ヶ峰学園も、黒幕に“才能”という名の希望を与えるためにあの手この手ですから。このファイルみたいに」

 

 「さっき見てきたプランDとプランSについてもちょっと書いてあるな。精神的エントロピーとか絶対適当だろ」

 

 「それっぽい言葉を並べとけばそれっぽく見えるんですよ」

 

 「それっぽい情報も大量に出て来てるしな」

 


 

 「前に先輩が言ってたとおり、ここから先は清水クンがそれぞれの人たちと話して最終裁判に臨む決心を着けさせるシーンですよ。ボクが大好きなシーンです」

 

 「過去最高に清水が主人公らしいことしてるシーンでもあるな。四章くらいからちょっとずつ主人公み増してきてたけど、ここら辺がマックス極まってんな」

 

 「最初に清水クンが出会ったのは、霊安室にいた望月サンです。望月サンはここで、みんなの死体を見てたんですね」

 

 「てっきり仲間の死体見てなんか思うところがあんのかと思ったら、今まで死体が消えてたことに何の疑問も抱かなかったことの反省ときたか。ブレねえな、望月は」

 

 「でもちょっと感情が芽生え始めてるようなこと言ってますよ。何も感じてないのか、っていう清水クンの言葉に、そう見えるか?って」

 

 「そう見えるだろうし、実際そうだろ?」

 

 「ぶっちゃけ今までのコロシアイ生活で感情が芽生えるくらいだったら、学園生活の中でも多少なりとも感情らしきものが生まれてるはずですから。でも物語の盛り上がり的には、ちょっとこういうこと言わせといた方がいいですよね」

 

 「身も蓋もねえこと言うなオイ。解説編だから別にいいんだけど、これ読んだ後にちゃんと本編面白く読めんのか?」

 

 「読めると思いますよ。たぶん。二度も読む人がいるか分かんないですけどもね」

 

 「いるだろそりゃ!いるだろ・・・いる、よな?」

 

 「いてほしいですね。ね?

 

 「フォントで圧をかけるな」

 

 「いやー、それにしてもこのシーンはもうすっかり完全にもちみずですね。望月サン、もうすっかり感情があるようなこと言ってますし、あとここ大事なこと言いますよこれ!清水クンの『なぜ研究するのか?なぜ疑問を抱くのか?』に対する答え!この台詞!はいここ!」

 

 「うるせえな!」

 

 「『好き』だから知りたい、知りたいから疑問を抱く。それでは不十分か?だってさ!」

 

 「楽しそうだなお前」

 

 「望月さんは自分が研究対象に抱く興味を、『好き』と表現してるんですよ!で、望月サンの研究対象は星ももちろんですけど、清水クンも含まれてるんです!第一章で言ってましたよね?清水クンを研究対象とするって!これってつまりそういうことですよね!?論理的に考えてそうですよね!?やっほう!!」

 

 「やっほうじゃねえようるせえな!テーブルの上に足乗せんな!」

 

 「たぶん望月サン自身も気付いてないし、清水クンも気付かないようにしてたのかな」

 

 「いや、普通にそれどころじゃねえからじゃねえの?っていうかここ霊安室だぞ」

 

 「世の中には死体とイチャイチャする人だっていますからね。死体に囲まれても甘々なスウィートハッスルタイムはあり得るんじゃないですか?」

 

 「お前それマジで言ってんのかよ・・・さすがにねえわ」

 

 「本気でヒかないでくださいよ」

 

 「清水も本気でヒいてるからちょうどいいだろ。いくらなんでももう一回死体を確認するとは思わなかった。やっぱ望月って感情ねえだろ」

 

 「感情ないのか肝が据わってるのか。まだどっちつかずな感じにしておきたいんですよ。でないと最後が盛り上がらないじゃないですか」

 

 「この辺のも全部が全部、あのラストへのフリだと思うと見てらんねえなぁ」

 

 「でもこのフリがあるから、ラストが際立つんです。これからますます清水クンが主人公ムーヴかましてくるんで、ちゃんと見てやりましょうよ!」

 

 「これでもかってくらい悪意が詰まってる」

 

 「望月サンとみんなの死体を確認した後は、二人で一緒に六浜サンが待つモニター室に向かいますね」

 

 「一緒っていうか望月が勝手についてきてるだけだし」

 

 「このモニター室は、名前のとおり合宿場のあらゆるところを監視するための部屋ですね。この場所が見つかるまでの間は黒幕が常駐してた場所でもあります」

 

 「操作ボタンが暗号の暗号になって、しかも指紋認証が必要って、徹底的に自分以外に操作させるつもりねえな」

 

 「そりゃここが乗っ取られたら一気に管理能力削がれますから。六浜サンがさらっと解読してるからそうでもなさそうに見えますけど、本来はどれが何のボタンなのかも分からないような造りになってますよ」

 

 「やっぱりここのシーンだけ見ても、六浜って規格外だな。生体認証は超えられない壁だとしても、それ以前の部分でも有象無象は十分弾けるセキュリティなんだけどな」

 

 「逆に、六浜サンがいたからここまで厳重にしたのかも知れないですね。もし古部来クンも一緒にここに来てたとしたら、生体認証もなんらかの形で突破しようとしてたかも」

 

 「さすがにそりゃねえだろ。少なくとも六浜はそれどころじゃなさそうだぞ」

 

 「また死んだ人たちのことを考えて自分を責めてますね。何回やるんでしょこの件」

 

 「くだりって言うな。こういう責任感が強いところが六浜らしさだろ。あんまり自分を責めすぎるのはこのコロシアイの中じゃ、逆に美徳でもなんでもなくなるんだけどな。精神的に不安定になりやすいってのは、何をしでかすか分からない危うさが伴う」

 

 「うーん、この後の展開を知ってると説得力が違いますね」

 

 「清水が指摘してるとおり、六浜みたいに何でも自分の責任だって考えることは、逆に周りのやつらの実力を侮ってるとも言える。守られることは必ずしもありがたいだけじゃないってことだ」

 

 「ボクなんかは守ってくれるなら最大限守ってもらうだけだけど、清水クンみたいなタイプはただ守られるのも癪に障るんだね。面倒臭い性格してるなあ」

 

 「でもまとめると大体そういうことだろ」

 

 「まあそうですね。六浜サンと口喧嘩したときにうっかり口滑らせて、その後なんか語ってますけど、要するに自分も頼って欲しいってことですね」

 

 「それを励ます感じじゃなくて、あくまで文句として言うってのが清水らいしな。六浜はちゃんとその意図を汲み取れたみたいだからいいけど、清水本人は自分が何言ってんのか分かってんのか?」

 

 「はっきりとじゃなくてもなんとなく分かってると思いますよ。あとここもボク好きなシーンなんですよね。過去(うしろ)ばっか見てねえで、未来(まえ)向けよ。重てえ荷物なら俺らが持ってやる。って!」

 

 「論うな〜。お前も大概いい性格してるよ」

 

 「これってたぶん漫画だったら、大ゴマでドーンと見せて、『はいここ名言出ましたよ!名言のシーンですよ!感動してね!』っていうのが見え透けるシーンですよね!ボクこういうの好き!知り合いがやってると思うと一入!」

 

 「言い方最悪だな。確かに漫画とかでそういうシーンあるけど。没入しててもコマのデカさで冷めるんだよな」

 

 「普段の清水クンのキャラからして、こんな言い回しするのって、相当テンション上がってたみたいですね。口喧嘩のせいか、最終裁判前の緊張か、それとも望月サンと六浜サンの前だからかっこつけたかったんですかね?」

 

 「なんだかんだ六浜ともいい雰囲気になってたもんなあ。前の解説編で、清水が六浜のこと好きかも知れないって雰囲気あったけど、実際のところどうなんだ?」

 

 「まあちょっと好きでしたでしょうね。なんだかんだ長い付き合いでしたし、吊り橋効果的な感じでそういう感情が芽生えることもあり得るでしょう」

 

 「それだったら六浜は古部来といい感じだったからなあ」

 

 「そこでも“才能”持ちに阻まれるのが清水クンらしいところですね。そんなこんなで六浜サンとも別れた後は、いよいよボクと出会いますよ!」

 

 「さっきの全部を弥一郎に聞かれてると思うとマジで恥ずかしいな。俺なら潔く自害する」

 

 「そんなに!?ボクそこまで悪いやつじゃないですって!」

 

 「どうだかな。細かい敬語の間違いまで指摘して死体蹴りするようなやつだってことは確かだぜ」

 

 「あれはだって清水クンがヘンな間違い方するから気になって・・・」

 

 「触れない優しさを知れお前は」

 

 「でも代わりに他の二部屋の情報も持って来ましたよ。それだけでも十分な働きじゃないですか?」

 

 「え。でも清水がそれぞれと話して裁判への決心つけさせる展開じゃなかったのか?」

 

 「ボクはそもそも決心ついてますし、穂谷サンは清水クンがまともに話ができる状態じゃないので、仕方ないですね」

 

 「その穂谷は、なぜか冷蔵室のドライアイスで火傷して文句言ってたわけか」

 

 「文句言うくらいなら触らなきゃいいのに」

 

 「重要な伏線だから書いとかなきゃしょうがねえんだ。逆にここくらいの段階で言っとかないと後出しになっちゃうし。ちょっと違和感覚えた人はいるかも知れねえけど、さすがに最終裁判で最後の最後のどんでん返しに関わってくるとは思わねえだろ」

 

 「あ、また清水クンと望月サンがいちゃついてる」

 

 「話を聞け!」

 

 「ボクと合流した後は、全員集めてミーティングですね。黒幕的には、ひととおりの情報は全員が共有しておいてもらった方がいいですから、捜査時間が今までと比べて異常に長く設定されてます」

 

 「そこでお前の話を聞くってことになったのか。結局ここまで引っ張ったのは、読者に対する引き以上の意味があんのか?」

 

 「話さないでおくに越したことはないですし、読者に対する引きで言ったら、もう清水クンに話した段階でバレてますから。単純にボクがみんなに気を遣っただけです」

 

 「知る権利は尊重するけどその責任は果たす、か。そうだな。知る権利だけ主張して責任を果たそうとしないやつもいるからな」

 

 「結果的に六浜サンは責任を果たし過ぎちゃったんですけどね!あははっ」

 

 「笑えねえわ!ていうか、六浜が事件を起こすことを決心したのって、お前の話を聞いたからじゃねえか?“超高校級の希望”はともかく、黒幕がどんなやつかってのはモノクマファイルからは分からねえじゃんか。お前の話を聞いた上でモノクマファイルの情報と照らし合わせて、あの結論に至ったんじゃねえのか?」

 

 「うーん、そうかも知れないですね。話したとき、六浜サンものすごく頭痛そうにしてましたし」

 

 「そりゃそうだろ!こんな話、むしろ清水があっさり受け入れた方が驚きだわ!」

 

 「なんなんですかね。六浜サンは真面目に受け止めすぎてああなっちゃったんだと思いますけど、清水クンは逆に途中から理解できてなくて受け入れられたんですかね」

 

 「受け入れたっていうか断片的に知っただけじゃねえのそれ」

 

 「望月サンはその事実に打ち拉がれるほどの感情をまだ持ってなくて、穂谷サン的には関係ないからどうでもよかったんじゃないですか?」

 

 「いや、この時の穂谷はまだ六浜の意図を知る前だろ。本気で最終裁判をこの後やらされるつもりだっただろうから、ここで聞き流すほどの胆力があったら俺はもう穂谷を尊敬する」

 

 「本編中では描かれてないですけど、この後ボクたちが解散して、夜になるまでに六浜サンが諸々の準備を進めたって感じですか。その途中で、穂谷サンが六浜サンを目撃して、その意図を知ると」

 

 「ページが切り替わったらもう夜で、六浜が清水を多目的ホールに呼び出すシーンだな。ここからが例のあのトリックか」

 

 「せっかくだからこのトリックの詳しい説明もしちゃいます?」

 

 「いや、それは次のやつらに任せよう。ちょうど一番詳しいやつもいるからな」

 

 「あ、そうなんですか?ていうか、次の組み合わせもう半分ネタバレしちゃってますけど、いいんですか?」

 

 「いいだろ。だってまだ2回目の解説してないの、清水と六浜と古部来と望月だぞ。どういう組み合わせになるかなんて、100人いたら100人同じ答えだろ」

 

 「QQ読んでる人って100人もいるのかなあ」

 

 「いるだろ!いる、だろ?いるよな?」

 

 「いますって。うん?てことはボクらは100回は死んでるわけですか?」

 

 「おいやめろ」

 


 

 「なんでいきなり化け猫委員長サンのパロディするかなここで」

 

 「物語シリーズにハマってた時期なんじゃねーの。知らんけど」

 

 「初っぱなからいきなり、清水クンに窓開けさせて、違和感マックスだよね。今更六浜サンが何か怪しげなことを仕掛けてくるってのも解せないから、ここは読者なりに色々解釈が分かれた場所だね」

 

 「まさかの六浜クロ展開?清水を黒幕と疑ってる?黒幕に対する何かしらの罠?色々あったよな。結局そのどれも違ったわけで、ドンピシャ当てられたやつはいなかったな」

 

 「正解はボクたち全員をクロにするためにボクたちを騙してた、でした〜!」

 

 「当たるわけねえだろ!当てられても困るけどよ!」

 

 「六浜サンは当ててましたよ」

 

 「だから六浜は別格なんだって。そういえば、この時点で黒幕の正体と清水の関係性に気付いていたような言い方してたぞ」

 

 「努力家は“才能”を獲得する“才能”たり得る、だから黒幕に対抗しうるのは同じ“才能”を持つ清水だけ、ってところか?そこまで期待して、こうやってガッツリ話してたりして」

 

 「そうなんですかね?そしたら六浜サンって、もしかしたら裁判の後にボクたちが黒幕に改めて直接対決を挑むことまで読んでたのかな?」

 

 「どうだかな。読んでたら自分が命懸けでやったことが無意味になるわけだから、そのための布石を打っておくだろ。まあ同じ“才能”だってことで何らかの切り札として見てた可能性はあると思うぜ」

 

 「実際、真相が分かってから最後まで六浜サンの策に最後まで抵抗してたのは清水クンだけでしたもんね」

 

 「その清水は六浜の意図にも気付かんと、またワーキャー怒鳴ってんぞ」

 

 「六浜サンが敢えて清水クンの地雷踏みに行ったからですね。裁判前に清水クンが抱え込んでたものを全部吐き出させたんですよ」

 

 「何の為にそんなことすんだ?別に最終裁判でだって、清水が“才能”にコンプレックス持ってることは関係ねえだろ」

 

 「結局のところ清水クンにとっては、ボクや望月サンや穂谷サンも自分とは住む世界が違う存在ですから。すっかり打ち解けてるようには見えてますけど、心の中では鬱憤が溜まってたりするんじゃないですか。だからそれもこれも全部自分にぶつけさせて、そしたらすっかり気分が晴れてみんなと協力して裁判に臨めるようになるじゃないですか」

 

 「いや、六浜の計画通りだったとしたらお前ら疑い合うだろ」

 

 「最終的に生き残れば儲けものだからそのくらいは」

 

 「アバウトだなオイ」

 

 「あ、モノクマが爆笑してますよ」

 

 「爆笑っていうとなんか賑やかだけど、この爆笑なんなんだろうな。黒幕って江ノ島の模倣してるだけのやつだろ。なんでここでひとりで笑ってんだ?」

 

 「ずっとモノクマの真似してて取れなくなっちゃったんじゃないですか?よくあるじゃないですか。モノマネし過ぎて取れなくなっちゃうこと」

 

 「いやねえけど」

 

 「こういう演出は多少の都合の良さを無視してでも入れる価値があるんですよ。だって、この流れでモノクマが笑うなんて思わないじゃないですか」

 

 「まあなあ。一応、六浜がしでかしてること以外は黒幕の思い通りとは言え、こんな笑い方はしねえわな」

 

 「しかもその流れで清水クンのモノローグに突入。さっきまで多目的ホールで六浜サンと話してた清水クンが、明らかに様子がおかしい独白をするんですよ。そんでもって死体発見アナウンス。もう感情のジェットコースターはノンストップですよ」

 

 「弥一郎、お前疲れてきてる?」

 

 「分かります?もういよいよラストだと思ってスパートかけたんですけど」

 

 「空回りしてんな。大事なところなのに」

 

 「終わりが見えてくるとなんか逆に気が抜けちゃうことってありますよね。だからあんなことになっちゃったのかな」

 

 「いや知らねえし」

 

 「ここで六浜サンの死に一番ショックを受けてるのが清水クンっていうのがまたね。本当に六浜サンと一緒にここから出るつもりだったから、誰かに殺されたと思って悔しくて堪らなかったんでしょうね」

 

 「ここから先は次のやつらの担当だからあんまり言わねえけど、マジで清水は主人公らしくなったよな。ちょっと荒っぽいけど、そんな主人公がいたっていい」

 

 「ですね。なんだかんだ言っても、ボクも清水クンはちゃんとした主人公だと思いますよ。奇を衒ったわけじゃないですけど、それまでになかったタイプだから主人公っぽくはなかったのは確かです。でも、コロシアイの中でちょっと違った形ですけど、みんなと絆を深めて、絶望せずに前へ進もうとし続けた。歴とした主人公です」

 

 「清水の微妙そうな顔が見える。主人公らしくなったとは思ってるけどな」

 

 「いや〜、ボクも育てた甲斐がありましたよ」

 

 「なんでお前が育てた面してんだよ」

 

 「判断が遅い!」

 

 「さすがにビンタまではしなかったか」

 

 「いくらボクでも先輩をしばいたりしませんって!」

 

 「いや、お前ならやりかねない。暴力的ってわけじゃねえが、ノリのためなら大概のことはできるイカレメガネだからな」

 

 「ボク清水クンと解説編してたっけ?」

 

 「お前のことを一番近くで一番長いこと見てきた俺が言うんだから間違いない。ていうか、これ読んでる人たちも同じようなこと考えてると思うぞ」

 

 「そうなのかなあ。ま、そういうイメージを持たれるくらいのキャリアがあるのは確かですね」

 

 「ちくしょう。また出番マウントとってきやがった。これに関しては何にも言えねえ」

 

 「ふっふっふ。自分が有利とみるや何回でも同じマウントをこすっていきますよ。そもそもボクが先輩に勝てることなんてそれくらいしかないんですからね

 

 「な、なんだそれ。なんか調子に乗ってるのかと思ったらシンプルに俺のことヨイショしてんじゃんか。まあなんだかんだで最後に後輩らしいところ見せるのが弥一郎っぽいな」

 

 「そうですかね?先輩のそういう器が大きいところもボクは好きですよ」

 

 「待て。なんで急にいちゃつきだした。一旦やめよう」

 

 「冷静になっちゃダメですよこういうとき」

 


 

 「さて、解説することも解説し終わったし、後はスパッとまとめるだけだな」

 

 「長いようで短かったような気がしますね。ボクはまだまだ喋り足りないです。それにちょうど本編もいいところじゃないですか」

 

 「一応俺たちが解説したところまでが、2016年に投稿した部分だったな。六浜はギリギリ年を越せなかった」

 

 「可哀想に・・・せめてあと一週間生き存えてたら美味しいお雑煮が食べられてたのに」

 

 「もっと期待するもんあるだろ」

 

 「一応六章の中ではキリのいいところですし、ここでまさかの六浜サン死亡の展開だから引きも十分ですし。可哀想ですけど、年をまたぐタイミングでってことで」

 

 「残りの捜査編と裁判編とラストで5ヶ月だろ。こうして見ると、最初の年から見て更新ペースぐんと落ちてるな」

 

 「作者の生活環境が一変した年でもありますからね。むしろこのときからずっとこうやって更新を続けてることを褒めて欲しいくらいですよ」

 

 「お疲れさん、作者」

 

 「ホントお疲れ様です。これを自分でこうやって書いてると思うと虚しいどころの騒ぎじゃないですけど、ホントにお疲れ様です」

 

 「言っていいことと悪いことがある」

 

 「人に言われない分、自分で発信してかなきゃいけないんです」

 

 「言われてるだろ十分!!失礼なこと言うな!!」

 

 「てな感じで、そろそろこの解説編もお開きにしたいと思うんですけど、先輩何か話し忘れたこととかあります?」

 

 「え!?そんな急に終わるのか!?話し忘れたことってったらねえけど・・・思ったより早く終わりそうで、なんか俺の印象は大丈夫かなって思いは胸の底にある」

 

 「う〜ん、こればっかりは本編に出てないですからどうしようもないですね。解説編でいくら爪痕残そうと躍起になっても、所詮は番外編ですから。ここでのインパクトなんてすぐに消えちゃいますよ」

 

 「そんな若手芸人みてえなパッションでやってねえわ!でもまあ、袴田のことを考えてみたら、確かにここで自由気ままにやったところで、結局は弥一郎とか晴柳院みたいな本編主要キャラの印象に巻き込まれるだけなんだよな」

 

 「袴田サンはまだ有栖川サンとの関係性があるので広がりが持てますけど、先輩はボクだけなんで、ボクが口を閉じてしまえば印象もへったくれもなくなりますよ」

 

 「お前が口を閉じるなんて縫い付けられても無理だろ」

 

 「頭縫われてもヘラヘラしてましたからね」

 

 「クソッ、上手いこと言われた」

 


 

 「さあ、そんなこんなでいよいよ本当に終わりが近付いてきましたよ。最後になりますけど、ボクはこうやって先輩と解説編できて、またゆっくり膝突き合わせてお話できて楽しかったです」

 

 「おう、なんだ急に。俺も散々設定がねえだなんだとバカにされてきたけど、まあ印象薄くて記憶には残らねえかも知れねえけど、こうやって一時、画面の前のみんなを楽しませることができたんだったらまあいいよ。もともと俺はこういう役が似合ってるってこったな」

 

 「縁の下の力持ち的な?」

 

 「そういうことだ」

 

 「ハッカーは後衛で前線の仲間を助ける、裏方的な“才能”ですからね。ボクたちが黒幕の正体に辿り付けたのも、先輩が命懸けで手に入れた情報のお陰でもありますから」

 

 「弥一郎たちがコロシアイに巻き込まれる遠因になったのも俺だけどな」

 

 「良い影響だけを残すなんてことはできないですから。みんなはどうか知らないですけど、ボクは先輩が先輩でよかったと思いますよ」

 

 「あーもうカワイイ後輩だなお前は!ちくしょう!」

 

 「だからこの後ご飯行きましょうね。先輩の奢りで」

 

 「しょうがねえなあもう」

 

 「じゃあボクたちはご飯行くんでこの辺で終わります!ここまで読んでくれてみんなありがとうね!」

 

 「みんな俺のことくれぐれも忘れないでくれよな・・・」

 

 「死ぬ前みたい」

 

 「もう死んだ後なんだよ」

 

 「はい、いい感じにオチたところで終わりましょうね。先輩から先に終わりの挨拶どぅーぞ」

 

 「なんで千鳥の寿司屋ネタの言い方」

 

 「どぅーぞ」

 

 「いまいちすっきりしねえ・・・ま、いいや。というわけで今回もつつがなく終わりだ。解説編も残り少ないけど、最後まで俺の後輩たちに付き合ってくれよな。今回のお相手は、“設定がないのが設定の男”、引地佐知郎と」

 

 「(あ、自分で言うんだそれ・・・)嘘“は”言わない広報委員、曽根崎弥一郎でした!そんじゃみんなバイバーイ!」

 

 「お粗末さんでしたっ、と」




今年最初の更新です。なんとか1月中に間に合わせることができました。
解説編もそろそろ終わりが見えてきましたが、三作目の製作はすこぶる予定通りで順調です。
なんの予定も立ててないので予定通りです。

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