ダンガンロンパQQ   作:じゃん@論破

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(非)日常編4

 「おはようございます」

 「お、おはようございます・・・」

 

 晴柳院さんと穂谷さんの一件から一夜明け、私は食堂にて晴柳院さんをお待ちしておりました。順番ではこの日の朝食は、晴柳院さんのご担当と記憶していたので、先回りしていたのです。私が既にいることに、晴柳院さんは驚かれたご様子でした。目が赤いのは、寝起きに目を擦ったわけではありませんでしょう。お気の毒に、お夕飯も召し上がられなかったはずです。

 

 「あのっ・・・ど、ど、どうしてもういてはるんですか・・・?」

 「一つ、晴柳院さんにお話しなければならないことがございまして」

 「は、話?」

 「ええ。あまり他の方には聞かれたくないので、勝手ながら、今お話ししておこうと。時と場所を弁えず唐突な申し出になってしまい、大変申し訳ございません」

 「そ、そんな・・・とんでもない・・・・・・です」

 

 まずは一つ、深く頭を下げて晴柳院が気を悪くされないようにします。立ち上がった私に晴柳院さんはまたも驚かれておりました。あまり動くと余計な不安を与えてしまうようなので、なるべくこの場から動かないようにしなくては。私は今一度頭を上げ、襟を正します。

 

 「それで、お話いうのは?」

 「晴柳院さん。昨日の穂谷さんとの一件、大変悩まれたことと存じます」

 「えっ・・・あっ、いや・・・あれはうちが・・・。頓珍漢なことを言うてもうたせいで・・・」

 「いえ、晴柳院さんが穂谷さんのことをご心配なさっていることが強く伝わって参りました。こんな時にもかかわらず・・・いえ!こんな時だからこそのあのお優しいお言葉!私、感服いたしました!」

 「う、うちは別にそんな大したこと・・・それに、ほ、穂谷さんに・・・嫌われて・・・ううっ・・・」

 「ええ、昨日の彼女の、晴柳院さんに対する不遜な態度、辛辣な暴言、身勝手な絶縁宣告・・・枚挙に暇のないほどの失礼の数々!この鳥木平助、穂谷に代わって謝罪申し上げます!」

 「ふえ?」

 

 自然と自分の言葉に熱がこもっていくのが分かりました。朝から大きな声を出すべきではないと思いますが、いつの間にかなってしまっていたものを今更引っ込めたところで、微妙な空気になってしまうだけです。勢いのまま私は、晴柳院さんに向かってもう一度、深く、深く頭を下げました。

 

 「誠に、誠に申し訳ありませんでしたァッ!!」

 「へ・・・?え?え?」

 「この鳥木に免じて、どうか穂谷をお許しください!彼女にお情けを・・・どうかお願い致します!」

 

 以前、ここで古部来君が同じようなことをしていたのを思い出します。彼も穂谷さんと同様に晴柳院さんに厳しい言葉を浴びせ、後に自らの過ちを認めて、全員の前で謝罪したのでした。できることなら穂谷さんにも、ご自分で頭を下げていただきたかったのですが、今の彼女にそれができるとはとても思えません。

 

 「と、鳥木・・・さん?なにを・・・」

 「私の頭一つで、晴柳院さんのお心が晴れるなどと烏滸がましいことは申しません。ただどうか、今は穂谷を責めないでいただきたい。身勝手で都合の良いことを言うようですが、どうか・・・どうか一つ・・・」

 

 ここで共同生活を送る以上、不和や対立は絶対にあってはならないこと。私の謝罪などですべて丸く収まるとは思えませんが、せめて少しでも晴柳院さんのお気持ちを軽くすることができれば・・・穂谷さんが戻ってこられるような場を維持することができれば。

 頭を下げたままでは晴柳院さんのお顔色を伺うことはできませんが、晴柳院さんは怒るというより戸惑っていらっしゃるご様子でした。ですが私が頭を下げたまま動かずにいると、大きく深呼吸するような音が聞こえてきました。

 

 「あのぅ・・・あ、頭上げてください。うち別に、穂谷さんのこと悪く思ったりとかしてませんから」

 「えっ」

 「昨日のことは悲しいですけど・・・穂谷さんだけが悪いわけやありませんし・・・。そ、それに、うちがもっと頑張ればいい話ですから!穂谷さんが認めてくれるまで、なんべんでも頑張ればいいことですから!」

 

 私が抱いていた晴柳院さんのイメージでは、あんなに酷いことを言われたら晴柳院さんは深く落ち込まれて、自信を失ってしまう繊細な方だったのですが、いま目の前にいらっしゃる晴柳院さんは、とても気丈に振る舞われていて、無理をしていらっしゃるようにもお見受け致しません。

 

 「ゆ、許していただけると・・・?」

 「許すもなにも、うちが謝らなあかんくらいです。せやから鳥木さんも、謝るなんて止めてください。鳥木さんこそ、何も悪ないんですから」

 「ありがとうございます・・・あの、失礼ですが、昨日明尾さんや笹戸君がそう仰ったのですか?」

 「へ?」

 「あっ、いえ!す、すみません!あまりにも私の中の晴柳院さんのイメージと違い過ぎて、ご本人の言葉と素直に受け入れ難く、つい・・・わ、忘れてください!」

 

 私は一体何を言っているのやら・・・まるで晴柳院さんが自力で立ち直られることが不自然だというようではありませんか!そんな失礼なことを、なぜ私は言ってしまったのだ!晴柳院さん自身がご成長なさりあそばされていらっしゃったという解釈で良いではありませんか!いえそれは決してはじめの晴柳院さんが全く頼りにならなさそうでおわしませていただかれたということではなく!

 

 「半分は、お二人に言われたんです」

 「え」

 

 プチパニックになった私を、晴柳院さんはたった一言で宥められました。お二人に、というと、笹戸君と明尾さんのことでしょうか。ああ、やはりお一人で立ち直られたわけではなかったのですね。お夕飯も召し上がられなかったのですから、致し方ありますまい。

 

 「うちは自信がなさ過ぎるって、せやから陰陽師のやり方に縋ってて、“才能”に逃げ込んでるって、笹戸さんと明尾さんに言われたんです。穂谷さんはそんなうじうじしたうちが嫌やったんやと思います。だから、咄嗟にあんなおっきい声で・・・」

 「あ・・・ああ、なるほど。確かにあれはおまじないの類ではありませんでしたね」

 「うち、あんな風に陰陽道に頼らんと何か大きなことをするなんて初めてでした。いつも御守りとか霊具とかおまじないとかでなんとかしようとしてましたから・・・。まあ、失敗してもうたんですけど、でもなんだかもう一回頑張ろうって気になれたんです!やり方も言葉選びも作法もなんも分からんのですけど、違うやり方を試そうって思えるようになったんです!」

 「それは素晴らしい。あなたのようにお優しい方が、不撓不屈のお心を持たれるなんて、もう心配することは何もございませんね」

 「そんな・・・。あ、でも鳥木さん、またうちが失敗しても、謝ったりせんといてくださいね。うちは穂谷さんと、一対一でお話ししたいんです」

 「左様でございますね。この度はどうも、出過ぎたことをしてしまいまして、大変失礼致しました」

 

 私は改めて、晴柳院さんに頭を下げました。謝罪としてだけではなく、敬意を込めたお辞儀です。晴柳院さんは変わられた。私が思っている以上に、彼女は強く逞しく、そしてより一層優しくなられた。きっとその間には数々の苦難もありましたでしょうが、それを乗り越えて強くなられた晴柳院さんは、おそらく私などが心配することも必要ないでしょう。

 

 「あの・・・ついでに一つ聞いてもいいですか?」

 「はい?なんでしょうか」

 

 改まって晴柳院さんは、遠慮がちに人差し指を立てて仰いました。こうしたさり気なく幼い仕草が、明尾さんや笹戸君の庇護欲求を掻き立てているのでしょうか。これを無意識になさっていると思うと、案外侮りがたい方なのかも知れません。

 それを知ってか知らずか、晴柳院さんはやはり声を抑えて、内緒話でもするように私にご質問されました。

 

 「鳥木さんは、なんでそんなに穂谷さんのことを気に懸けてはるんですか?」

 「え・・・と仰いますと?」

 「いつも一緒にいて、ご飯作ってあげてたりして、さっきなんて全然関係ないのに代わりに謝ったり。なんか、単なる友達いうか・・・それよりもっと深い間柄とか・・・・・・えっと・・・あっ」

 「晴柳院さん?」

 

 いまいち質問の意図を理解しかねておりますと、晴柳院さんはなぜかどんどん声が萎んでいって、最後は何かお一人で納得されたように口を抑えられました。まるで言ってはいけないことを言ってしまったかのように。そして先ほどの私のように、プチパニックになって支離滅裂なことを仰り始めて、みるみるうちにお顔が紅潮されていきます。

 

 「ええっとぉ!そ、その!そんな、うち穂谷さんと鳥木さんのことに首突っ込むとかそういうわけと違うんですけどぉ!ちゃうんですちゃうんです!あの、単純に気になったいうか、別にそんな遠慮せんくてもええし・・・ああそういうこっちゃなくてえ!!」

 「あのぅ、何か勘違いをされていらっしゃるのでは?」

 「か、勘違い・・・?」

 「私と穂谷さんは、特別な関係ではございません。私が穂谷さんを深く信頼し、穂谷さんもまた私を信頼してくださっている。それだけのことです」

 「信頼しあってる・・・ほ、ほんまにそれだけなんですか?穂谷さんが誰かを信頼って・・・今は特に思えへんのですけど」

 「そうですね。では信頼、という言葉では言い表し得ない、別の関係なのでしょうか。信頼であり、友愛であり、尊敬であり・・・」

 「う、う〜ん?」

 

 まるで曽根崎君にからかわれている時の六浜さんのようです。晴柳院さんが考えていらっしゃることを察することは容易でした。まあ晴柳院さんも年頃の女性、同じ年代の男女が懇意の仲であると聞けば、多少は空想を膨らませてしまうのも致し方ありますまい。ですが私は、あくまで穂谷さんを一人の人間として尊敬しているのです。彼女が女性として魅力的であることはもちろんですが、それとこれとはお話が別。

 

 「で、でも分かりません。穂谷さんはここに来てからずっとあんな感じで、他の人とあんまり仲良くせんようにしてて・・・なんで鳥木さんだけ、そんなに仲良うなれたんですか?」

 「・・・そうですね。真意を知るのは穂谷さんご自身だけでございましょう。ですが私が知る限りでは、穂谷さんは“私とだけ仲を深めた”のではなく、“私にしか心を開けなかった”のではないでしょうか」

 「心を開けなかった?ど、どういうことですか?」

 「あまりご本人のいらっしゃらないところで言うのは憚られますが・・・」

 「ああ・・・あっ、いえ!う、うち、またそのうち穂谷さんを説得します!せやからその・・・バク転洗う家族的なことで!お願いします!」

 「敵を知り、己を知れば、百戦危うからず、ですか。仰らんとしていることは分かります。そういうことなら・・・」

 「そういうことなら、言うのですか?」

 「ッ!!」

 

 この合宿場に来てから、穂谷さんはあまり他の方とお喋りになる方ではございませんので、なんとなく皆様から孤立していらっしゃいました。ですが彼女がそれを悲しんでいられたわけではなく、むしろ心地よいとすら感じていたのです。そこまで他人との関わりを避ける彼女が、なぜ私にだけは心を開いてくださったのか。その理由は、私と彼女以外は知り得ないことで、理解し難いことだからです。だからこそ私は穂谷さんを理解できて、穂谷さんも私の気持ちを理解してくださった。

 これは決して彼女の名誉を傷付けるのではなく、晴柳院さんのため、ひいては穂谷さんご本人のために明かすのです。と私が言葉を並べる前に、食堂の入口から聞き慣れたお声が。

 

 「あっ・・・ほ、ほ、穂谷さん・・・!!」

 「一体、これはどういうことですか?なぜ貴方が、ここにいるのですか?」

 「それはっ・・・」

 「ち、ちゃうんです穂谷さん!これは鳥木さんがうちに・・・」

 「あら、この食堂には随分と声の大きい鼠がいるのですね。うるさくて鳥木君のお話が聞けませんわ」

 「穂谷さん!そんな言い方は・・・!」

 「ああ、失礼。気にしないでください、ただの独り言です」

 

 目の前にいらっしゃる晴柳院さんには一瞥もくれず、ただ私のことを射貫くような冷たい視線で睨んでおられました。私が晴柳院さんと二人で食堂にいたことも、余計に彼女の神経に障ってしまったのでしょう。それに加えてたったいま私が言おうとしていたことを、間違いなく穂谷さんも耳に入れておられたはず。彼女の、人に聞かれたくないことを言おうとしていたことを。

 

 「それより鳥木君。貴方、随分と頭の中がお花畑のようですね。鼠とお話するなんて、ここは海を潰して建てた夢の国ですか?」

 「・・・私は鼠となど話しておりません。私がお話していたのは、晴柳院命さんです」

 「まあ怖い。そんな強い声を出されると目眩がしてしまいそう。うっかり言ってはいけないことの一つでも溢してしまいそうですわ」

 「申し訳ございません。ですが私は晴柳院さんだけではなく、穂谷さんのことを思ってこそこれを」

 「私との約束を破って、ただで済むとお思いですか?この合宿場で信頼を失うことの意味が、分からないわけではないでしょう?」

 「私以外からの信頼を全て拒絶してきた貴女が言うセリフじゃないッ!!!」

 

 私はいつの間にか、大声を出していました。他でもない、穂谷さんに。彼女は相変わらず無表情を絶やさず、私に対して敵意の眼差しを向けておられました。晴柳院さんは私と穂谷さんの間に立っているのに絶えきれず隅に避難していらして、私は隔てるものなく穂谷さんと向かい合いました。

 

 「はあ・・・やってくれましたね。私に取り入るためか、はたまた孤立させるためか。分かりませんが、外堀を埋める作戦に出たわけですか。まったく、追い詰められた鼠ほど厄介なものはありませんね」

 「これは私の意思です。それに追い詰められているのは穂谷さん、貴女の方です」

 「そうですか。ですが私は自分の身は自分で守ります。こうなった以上、やはり誰かに守ってもらうというのは甘い考えと分かりました。取り返しのつかない事態になる前に分かって良かったですわ」

 「穂谷さん」

 

 涼しいお顔の穂谷さんは、そのまま私の横を過ぎてキッチンに入っていかれました。またご自分で朝食をお作りになるのでしょう。昨日のお夕飯の出来からして、今回もあまり適切な食事とは言えないものになることでしょう。しかし私が作って差し上げても、彼女が口を付けないことは分かり切っております。彼女はすっかり信頼を捨てました。私ですら、もうお側にいることは許してもらえないでしょう。

 穂谷さんはもう、疑うことを止めたのでしょう。常に誰かを疑い、怯え、危険に神経を研ぎ澄ませることに疲れてしまったのです。だから疑うことを止めたのです。誰も信じないという手段で。信じることがなければ、疑うこともない。疑うことがなければ、信じることもない。全てを割り切って、ただ孤独に生きることを決めたのです。ですが彼女の言う通り、いま分かって良かった。このままでは本当に取り返しの付かないことになってしまいます。その前に、なんとかしなければ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 資料館は実に静かだった。今日は穂谷が二階のグランドピアノを演奏する美しい音色も、曽根崎がせわしなくパソコンのキーボードを叩く小気味よい作業音も聞こえない。この資料館内にいるのは、私と望月だけだった。当然、望月は無駄口を叩く奴ではないし、私も無意味に世間話をするような柄ではない。先の事件の動機となった大量の本と、新たな動機として与えられたファイルやパソコンから得られた情報のまとめを前にすると、自然と無口になるものだ。

 曽根崎がパソコンを調べて得られた情報は、やはり希望ヶ峰学園についてのことばかりだった。学園の沿革、理念、学園長の言葉、過去の生徒会役員名簿、そして未だにロックのかかったよく分からないフォルダが一つ。これはまだ調べられそうにないな。私は生徒会役員名簿を見た。私たちの一つ前の代までの役員たちが、名前と“才能”、そして顔写真を並べている。

 

 「誰なのだろうな」

 「さあな」

 

 見当も付かない、というのはやめておいた。見当は付いている。いまこの合宿場で生存している9名の人間のうち、誰かが『裏切り者』だ。モノクマのことだからそれすらも嘘の可能性はあるが、希望ヶ峰学園が用意した資料というのは本当のようだ。だから奴が私たちを煽るために適当なことを言っていると済ませることもできない。妙に説得力があるのだ。15人もの問題児たちを、学園が完全放置するわけがない。問題を解決するには、必ず第三者的立場かつ大きな力が必要なのだ。それが難しい年代の私たちの抱える問題となれば、尚更のこと。

 

 「お前はどう思う?」

 「・・・『裏切り者』について現在判明していることは一つだ。動機として与えられたファイルの記述によれば、『裏切り者』は学園から信頼の置かれた、希望ヶ峰学園生徒会の役員であるとのことだ」

 「う、うむ。やはりそうなるか。しかし現在の希望ヶ峰学園生徒会は構成員が多い。学園から信頼を受けているということは、少なくとも六課役員以上の地位には就いているだろうが・・・」

 「それだけの影響力を持っていれば、学園内で顔を知らない者はほとんどいないだろうな」

 「そのはずなのだ」

 

 そう、それが問題なのだ。あのファイルをモノクマが弄ったという可能性は、もう既に考えるに値しない。故にあのファイルに書かれていたことは全て真実なのだろう。しかしそうなると、『裏切り者』について疑問が生じる。我々の中に紛れているという『裏切り者』は、生徒会役員だったという。学園において生徒会役員は、影響力も権力も大きく、そして卓越した“才能”を振るう能力もそこらの生徒とは一線を画す特殊な存在だ。故にたとえ興味がなくとも、その顔と名前くらいは誰でも知っているはずなのだ。況してやこの私がそれを忘れるはずがないのに。

 

 「どうしても・・・思い出せんのだ。我々の代の生徒会役員が・・・一人も」

 「実は私も同様だ。曽根崎弥一郎も覚えておらず、資料の類もなくなっていたらしい。六浜童琉、これは偶然と言えるか?」

 「そんなわけなかろう・・・!私とて自分の“才能”にプライドがある、曽根崎もそのはずだ。そんな私も曽根崎も覚えていない、関係する資料は昨年までのもの・・・明らかに作意がある」

 「おそらく清水翔らも同じだろう。我々は『裏切り者』の正体を、忘れてしまったということだ」

 「モノクマめ!やはり我々の記憶に何かをしたな・・・!この私が一度覚えたことを失念するなど、なんたる屈辱ッ!!」

 「・・・いよいよ三年という言葉も現実味を帯びてきたな。ここの生活の『初日』までの三年間の記憶だけを抜き取られたと考えていたが、どうやら他にも奪われたものがあるようだ」

 

 こんなことができるのは、この合宿場でただ一人、モノクマだけだ。私たちの記憶を奪い、ここに閉じ込め、コロシアイなどとふざけたことを強要する。それに一体何の意味があるというのだ。記憶を操作する技術など、取扱説明書を見れば誰もができるような簡単なものではないのだ。それを我々全員に、今まで意識すらしなかったほど整合性を持ってなど、三年どころか三十年あっても習得には足りん。モノクマとは一体何者なのだ。

 

 「ではどうやって『裏切り者』を見つければいい!我々は互いの学園での素性はろくに知らんのだぞ!一部の者は名前こそ知れどそれまで!」

 「不可能だろう。自白などするはずもないし、状況証拠から割り出そうにも学園の記憶まで奪われては、正確に判断できるとは言えん」

 「・・・存在が分かっていて、不安材料だと分かっていて、放置するより他にないというのか!!いま危険なのは『裏切り者』ではない!!『裏切り者』が誰か分からず疑い合う状態なのだ!!このままではいずれまた・・・!!」

 「お前が思うのならそうなのだろう。また殺人は起こる」

 「ッ!?」

 

 反論しようとした。私はそんな風に考えてはいない。しかし自分の発言を顧みれば、それ以外に私が何を言えようか。既に疑心暗鬼に陥っている者たちの顔が脳裏に浮かび、その結末まで鮮明に見えるようだ。

 つい激昂していたが途端に冷静になった。いや、血の気が引いたというのが正しい表現か。

 

 「“超高校級の予言者”であるお前がそうなると予想しているなら、ほぼ間違いなくそうなるのだろう?それが望ましいものか否かは関係ない。来るべき事態が分かっているなら、私も備えをしよう」

 「さ、殺人は・・・・・・起こさせない・・・!」

 「それは予言か?私には、お前の願望にしか聞こえないが」

 

 なぜ私は、起きない、と言えなかったのだろう。望月はきょとんとした顔で首を傾げる。予言と呼ばれた私の推測は、その時点で確定しているのだろうか。未来を変えることは、不可能なのか?望月はなぜそれを知って、人が死ぬ未来に恐怖しない。

 

 「私もお前の予言に賛成だ、六浜童琉。私には過去を見る力しかないので殺人が起きるかは分からないが・・・『裏切り者』が危険でないというのは理解する」

 「?」

 「一つの仮説が浮かんだのだ。是非お前の知恵を貸して欲しい」

 

 望月は冷静に、淡々と言う。そこには焦りも不安も高揚も歓喜も希望も絶望もない。純粋無垢な子供が母親に問うように、素朴なふりをした鋭利な言葉を投げる。

 

 「記憶を奪われたのは私たちだけなのだろうか」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 また夢を見た。この合宿場で見知った奴らと、覚えのねえやり取りをする夢だ。夢ん中でわけわかんねえことするなんて珍しいことでもなんでもねえが、いつも妙にリアルだった。言い回しから何気ない仕草の一つまで、まるで本物みてえだ。

 

 「『卒業』なァ」

 

 夢の中で度々出てくるこの言葉。言葉の意味は分かるが使い方の意味が分からん。俺たちはこの合宿場に閉じ込められてて卒業どころの話じゃねえっつうのに、まるで間近に迫ってるみてえに使われる。一体なんなんだ。

 

 「気にしすぎだな」

 

 あんまりやることがなさ過ぎておかしくなってるんだな。飯も食った、寝るのも飽きた、大浴場に行く気もねえし、資料館も穂谷や望月が居座ってて居心地が悪い。やることがなくてベッドの上にごろ寝してると、夢の内容を思い返すくらいしかやることがなくなるんだ。この俺が部屋から出ようなんて思う日が来るとはな。何もかも面倒くせえが暇すぎるのも参る。

 そういや昨日モノクマが大浴場のゲームを自由に出来るようにしたっつってたな。暇つぶしにはなるか・・・いや、あんな怪しげなもんあり得ねえな。やるだけでバカが余計に騒ぎそうだ。

 

 「ここから出る方法か・・・」

 

 このところそれどころじゃなくて忘れてたが、この合宿場から脱出する方法はどこかにねえか。いまさら秘密の抜け道とか言われてもうさんくせえが、倉庫に行きゃあ何か使えるもんでも転がってねえだろうか。暇だし行ってみるか。

 

 「よっ、と」

 

 部屋から出て廊下を歩く。ロッカーの中に居座ってるモノモノマシーンは寂しげに口を開けて、廊下の絨毯は乱れもなく大人しい。どいつもこいつも部屋にいんのか見当たらねえ。よく考えりゃあ、最初にいた奴らの内、七人も減ったんだ。物寂しくもなるか。

 乾いた無舗装の道を歩き、変わり映えしない湖を横目に見ながら、埃と錆と黴でできたようなクソボロい倉庫に着いた。ここに来るまでも誰もいねえなんて、珍しいこともあったもんだな。キィキィと鉄の扉はやかましく、相変わらず陽の光しか明かりがない倉庫内は、光の筋をくっきりと示す。懐中電灯の紐を鉄格子に括って固定すれば、両手で作業できるくらいにはなった。

 

 「けほっ、けほっ・・・ふぁっ、っだあくしょん!あ〜っ、あっしょい!ぐえっ、クソが」

 

 医務室からマスク持ってくりゃよかった。最近来てねえからここの埃っぽさ忘れてたぜちくしょう。さてと、何の考えもなしに来たが、調べるにしても土木庫は明尾が散々弄り倒しただろうし、パーティーグッズ庫は屋良井が利用し尽くした。後は、誰も弄ってねえのが一つだけ。一番奥にある、武器庫だ。見るからにヤバそうな武器が並んでるが、鍵の様子からしてもここに誰かが踏み込んだ形跡はない。

 

 「番号は確か・・・11037÷3だから・・・」

 

 モノクマに聞いた覚え方で数字を揃えると、鍵が耳障りな金属音を立てて開いた。一応誰かに見られると面倒くせえから、倉庫の扉は閉めとくことにした。真っ暗な中に懐中電灯の明かりだけが灯って、余計に後ろめたい感じがしてきたが、いまさら引き下がるのも癪だ。俺は武器庫に入った。

 改めて見ると、なんでこんなに武器があるのか分からねえくらい、品揃えが良い。だが日本刀やら斧ならともかく、鎖鎌だのヘンテコなナイフだの名前も分かんねえようなデケェ得物だの、こんなもん誰が使うんだ。よく見たら手裏剣まであるじゃねえか。

 

 「ここって希望ヶ峰学園の敷地だよな?武器っておかしいだろ」

 

 よく考えてみれば、希望ヶ峰学園がこんな武器を持ってるわけがねえし、あったとしてもこんな誰でも持ち出せるようなところに保管するわけがない。見たところ、どれもこれも古いもんじゃなさそうだ。手入れがされてるっつうよりは、まだ作られて日が浅いって感じだ。

 

 「ん・・・?」

 

 なんだ、この違和感。武器庫なんてもん自体が違和感の塊なんだが、それだけじゃねえ。なんかおかしいぞ。

 

 「俺たちがここに来たのって・・・」

 

 つい最近のことだ。だがそれは俺たちの記憶の話で、実際には三年が過ぎてるっつう話だ。その時点でこの合宿場が今のままだとしたら、この倉庫は三年前、たぶんそれよりずっと前からあったんだろう。つか造りがもう昭和とかの時代だ。

 

 「なのに武器は最近の物ばっか・・・」

 

 希望ヶ峰学園が武器を所有してるとしても、銃とか投網とか、もっと警察が持ってるようなもののはずだ。こんなもん持ってたらむしろ警察の世話になるはずだ。つまりこの武器は学園のものじゃない。モノクマが、俺たちがコロシアイしやすくなるよう用意したんだろう。ってことは、武器がここに持ってこられたのはつい最近、俺たちがここでコロシアイを強いられ始めるその前後。

 

 「違いすぎるな・・・」

 

 あまりに一致しない。この倉庫のこの区画が存在した時間と、武器がここに保管されている時間が。はじめっから武器庫だったなんて可能性はあり得ねえ、モノクマが持ってきたに決まってる。

 じゃあその前には何があったんだ?何も入ってないなら他の区画と同じ鍵をかける意味がねえ。必ずここには何かがあったんだ。

 

 「どこ行ったんだ?っつうか、なんでこの区画だけなんだ?」

 

 ここに保管してあった何かは、モノクマが武器と入れ替えたんだ。コロシアイを望むあいつなら当然やっておかしくない。けどなんで倉庫全部じゃなくて、この一区画しか入れ替えなかった?そんでここにあったもんはどこ行った?ここにある武器はどっから来たんだ?

 

 「まさか・・・」

 

 もしかしたらこの武器庫に元々あったもんは、俺たちに見せたらまずいものだったのか?コロシアイどころじゃなくなるような、それかモノクマにとって都合が悪くなるような何かが。そう考えると、もう一つここには他とは違うところがある。それも含めて考えたら・・・。

 

 「しーみずくん!なにしてるのー?」

 「ッ!」

 

 俺の思考を邪魔するように、あのムカつく声が聞こえてきた。自分でもびっくりするくらい考えることに集中してたのに、その一声で積み上げてた考えの全部が蹴り砕かれたようだ。声のする方を睨むと、倉庫に入る一歩手前で、モノクマが扉に片手を突きながらポーズを決めてた。余計に腹立つ。

 

 「消えろ」

 「なにもう、ご機嫌斜めだなあ!あ、もしかしてポーズ違った?こっちの方がよかった?」

 「話しかけんな今すぐ消えろ」

 「だが断る!」

 

 俺の言葉を無視して、モノクマは奇妙なポーズになって言い放った。なんなんだそれ。つうか俺は確かに扉閉めたはずだぞ。いつの間に開けたんだ。

 

 「いやー、いよいよ清水くんが誰かを殺す準備を整え始めたらしいから、楽しみになってさ!下馬評は最悪だったから今まで大人しくしてたのが意外だったんだよね」

 「ふざけんな。今さら殺しなんかするか」

 「えー?そうなの?つまんないなあ。誰にも見つからない今ならチャンスだと思ったのに」

 

 そう言ってモノクマは、分かりやすく不満そうな態度になる。俺がこのこから武器持ち出して誰かを殺したとして、裁判ですぐバレるに決まってる。凡人は“超高校級”には勝てねえんだよ。

 ふと、俺はチャンスって言葉に閃いた。そうだ、たった今こいつに聞けばいいことじゃねえか。この倉庫の謎を解くチャンスだ。

 

 「おいモノクマ、質問があるから答えろ」

 「牛若丸とチンギス=ハンが同一人物だってのは有名だけど、ボクはアレキサンダー大王も同一人物だと思うよ。奴はきっと人より長い時間を生きられる超人類だったんだよ。宇宙人よりはリアリティあると思わない?」

 「この武器庫にはもともと何があった。それは今どこにある」

 「完全なる無視ですか・・・そうですか。ワカメ頭なら話は聞いてくれたのに」

 「答えろ」

 

 こいつがくだらねえ話で有耶無耶にしちまう前に、全部明らかにしてやる。ここには絶対、何か秘密があるんだ。もしかしたらこの合宿場に関する秘密かも知れねえが・・・とにかくモノクマに吐かせる必要がある。

 

 「ったく揃いも揃ってボクに質問ばっかしやがって!んなもん答えろと言われてホイホイ答えられるかってんだ!答えて欲しかったら一千万円寄越せーーーッ!!」

 「ガキかテメェは。いいから言え」

 「あのねえ、何を勘違いしてるのか知らないけど、ここにオマエラが期待するようなものなんてないから!ボクが武器庫だっつったら武器庫なんだよ!それ以上でもそれ以下でもないの!」

 

 うるせえな、まともに答えやしねえしギャーギャー喚くしなんなんだよこいつ。テメェの態度そのものが、ここに何かあるって言ってるようなもんじゃねえか。けどこれ以上は聞き出せそうにねえな。それにこいつの声で誰かが来たら、余計な疑いかけられそうだ。ここで引き際をミスったら、それだけでやべえことになりそうだから、ここらで止めとくか。

 

 「分かった分かった。ここは武器庫なんだな。分かったよ」

 「あっそう。それで、うぷぷぷぷ、誰を殺すの?どうやって殺すの?いつ殺すの?」

 「殺さねえっつうんだよ。帰って寝る」

 「・・・か〜〜っ!つまんねー奴らだなホントに!いいよいいよ!つまんねーもん同士仲良くしてつまんねー付き合い方してつまんねー家庭作ってつまんねー最期迎えやがれ!はううっ!?な、なんてイヤな奴・・・!!」

 

 懐中電灯を解いてポケットにしまい、鍵を閉めて俺はモノクマを蹴らねえように気を付けながら倉庫を出た。喧しく俺の背中に喚くモノクマに中指を立ててやると、意外とすんなり黙った。こいつにこのジェスチャーが今さらどんだけ意味があるんだと思ったが、あいつの感性はやっぱりなかなか理解できねえな。

 それにしても、やっぱあの武器庫には何かがあるみてえだ。モノクマの監視下ではなかなか調べられねえかも知れねえが、幸いあそこには監視カメラがねえ。誰かがモノクマの気を引いてる内に調べられるかも知れねえな。あいつがあんだけ誤魔化すんだ。もしかしたらここから出る方法とかの手掛かりがあったりするかも知れねえ。そうしたら・・・。

 

 「た、助けてええええええええええええっ!!!」

 「ッ!?」

 

 寄宿舎に向かう俺の足取りは遅い。行きには空っぽだった頭に、倉庫で色んなことを詰め込んだからだ。そうやって考え事をしながらゆっくりゆっくり歩いてたせいで、こんな下らねえことに巻き込まれることになったんだな。

 何事かと思ったら、大浴場前の桟橋を曽根崎が走ってくる。靴のかかとを踏んでるせいで走りづらそうにして、髪も上着も乱れてネクタイが曲がってる。アホみたいに分かりやすく焦りを体現してるな。

 

 「なんだ曽根崎か」

 「あっ!し、清水クンちょうどよかった!助けて!」

 「喋るな喧しい。ひっつくな鬱陶しい」

 「いきなり全否定!?そ、そんなことより助けてよ!」

 「なんだよ」

 「こ、このままじゃボク殺されちゃうよ!」

 

 急になんだと思ったら、その一言で俺は固まった。殺されるって、こいつが?こんな明るい時間に、こんな大声で逃げ回ってる奴がか?冗談ってわけでもねえようだし、それにここでは殺しってのがない話じゃない。息切れしながら泣きそうな目で見てくる曽根崎に、俺は思わず緊張した。こいつの言うことが本当なら、大浴場にはこいつを殺そうとした誰かがいるってことになる。

 

 「お願いだから助けて!匿って!弁護して!」

 「落ち着けよ。殺されるってお前、逃げて来れてるじゃねえか」

 「いや、それが・・・」

 「そおおおおおおおおおおねざきいいいいいいいいいいいッ!!!!」

 「うわああああああああああああああッ!!!きたあああああああああああああッ!!!」

 「あん?」

 

 公衆の面前で殺しなんかしてどうなるか分からねえ奴がいるわけもねえから、ここまで逃げれば安全だろと思った。だがそいつは大浴場の扉をぶっ壊さんばかりに勢いよく開け、猪突猛進とばかりに曽根崎に突っ込んできた。何か違和感があんのは、普段の三つ編みを解いて長い黒髪をたなびかせてんのと、いつも被ってる茶色の帽子じゃなくてラーメン屋の大将みてえにタオルを頭に巻いていたからだな。

 

 「くらァ貴様!!わしから逃げるたあいい度胸じゃなあ!!!」

 「うひゃあああああっ!!ごめん明尾さん!!許して!!」

 「お、おいお前ら何やってんだ!!俺を巻き込むな!!」

 

 突撃してきた明尾を見て曽根崎は俺を盾にしやがった。そして突っ込んできた明尾から、俺を挟んで逃げ回り続け、明尾もそれにつられて俺の周りを回り始めた。コントかこいつら。バターになるまで回るつもりかよ。

 

 「そこ動くなよ清水ゥ!!!わしゃこいつは許しておけんのじゃ!!!」

 「助けて清水クン!!明尾さん取り押さえて!!あわよくば身代わりになって!!」

 「曽根崎ふざけんな!!」

 「待てコラ曽根崎いいいいいいいいいいいいいッ!!!」

 「いやだあああああああああああああッ!!」

 「ん」

 「えっ!?あだあっ!!?」

 

 ぐるぐる俺を軸に回るこいつらにいつまでも付き合ってられねえし、そもそも意味が分からねえまま文字通り巻き込まれるのは腹が立つ。だから曽根崎の足を引っ掛けてやると、顔面から倒れこんだ曽根崎がコースアウトした。明尾はそれにすぐさま飛びついてマウントをとった。こりゃすげえ迫力だ。

 

 「よォしナイスじゃ清水!!助かった!!」

 「いやなんなんだよお前らマジで」

 「清水クンの鬼!人でなし!性根腐りマン!変なアホ毛!」

 「明尾、殴っていいぞ」

 「ていっ」

 「あべし!」

 

 なんでこの状況で俺を敵に回すのか分からねえが、言われた分は返しとかねえとな。それよりも、何がどうなってこうなってんだ?どうも殺す殺されるなんて状況には見えねえが。

 

 「で、明尾。何したんだ。殺されるとか言ってたぞ」

 「ふんっ、場所が場所なら確かに死んでいたじゃろう!ただし社会的にな!」

 「はあ?」

 「こやつめ、あろうことか女子風呂を覗きおったんじゃ!!」

 「ギャーーーッ!!社会的に死ぬううううッ!!」

 「よし分かった。俺も殴る」

 「ひでぶ!」

 

 久し振りにキレちまったよ・・・。何事かと思ったら覗きか。くだらねえことで騒がせやがって、ふざけんなこのクソメガネ。っつうかよりにもよって明尾の風呂なんか覗いたのか。頭湧いてんな。

 

 「まったく、発情するのは思春期男子ならば仕方無かろうが、覗きを働くなど最低じゃぞ!わしがどれだけ普段から我慢していると・・・」

 「僻みなの!?」

 「やかましい!わしだけならともかく、晴柳院の心に傷を負わせおって!」

 「チビもいたのか。色々と業が深いな」

 「清水クンも何言ってんの!?」

 

 まあ曽根崎の性癖とかなんか鼻くそほどの興味もねえし、俺が関わっていい話題でもなさそうだ。俺は最後に曽根崎に軽蔑の視線を落としてから、さっさとその場を離れた。

 

 「あれっ!?清水クン殴らないの!?手も出されないって精神的にクるよこれ!!清水クン!!清水クーーーン!!」

 「これはこれは・・・語るに落ちるという奴じゃのう。こりゃあわしだけでは済まんようじゃ。六浜に突き出してしっかりこってり絞ってやらねばならんようじゃのう・・・!!」

 「た、たすけてえええええええええっ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『コロシアイ合宿生活』

生き残り人数:残り9人

 

  清水翔   六浜童琉   晴柳院命     明尾奈美

 

  望月藍  【石川彼方】 曽根崎弥一郎    笹戸優真

 

【有栖川薔薇】 穂谷円加  【飯出条治】 【古部来竜馬】

 

【屋良井照矢】 鳥木平助  【滝山大王】【アンジェリーナ】




書き方が変わってきて、前までの区分の仕方だと1ブロックが長くなってしまうようになってきました。ハーメルンにもページ機能が欲しいなあ。もしかしたらあるのかな。

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