Zestiria×Wizard 〜瞳にうつる希望〜 作:フジ
少し、メインで書いてる小説の気晴らしに数話で完結する程度の短編を書いてみたら、思いの外、捗ってしまいまして、投稿してみました。
本作品は、あくまで気晴らしであり、3話くらいで、『俺たちの戦いはこれからだ!』状態で区切るつもりで、長編化は未定となっていますのでご了承ください。
1話 始まりの始まり
かつて、魔法は科学と並ぶ学問であった。しかし文明の進歩と共にいつしか忘れ去られた。
時は流れ、現代。科学では解明できない恐怖を魔法で斬り払う1人の男がいた。
魔法の指輪『ウィザードリング』
今を生きる魔法使いは、その輝きを両手に宿し、『絶望』を『希望』に変える。
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「ふぃ〜、漸く落ち着いてきたなぁ」
頭上に広がる青い空をそのまま写したかのような美しく輝く大きな湖、そのほとりには個人による手製と思わしき白いブランコの残骸が横たわっている。それらを見つめる1人の青年は、その静かな安息を噛み締めるかのように言葉を発した。
「なぁ、コヨミ……あれから、もう随分経つけど、こっちも少しは平和になってきたよ。まぁ、少し前には妙な世界で通りすがりの仮面ライダーに出会ったり、戦極時代に跳ばされたり、バダンやら仮面ライダーの先輩達と戦うハメになったりと色々と忙しかったんだけどさ」
供えられた花に向けて、青年は過去を振り返りながら言葉を紡ぐ。まるで何かを懐かしむ様に、そこに居ない誰かに語りかける青年。しかし、その表情には悲しみは無く、穏やかであり、青年が過去に縛られているのではなく、今を生きる意志を持っている事を感じさせた。
「これ、新作のドーナッツ。店長曰く自信作だってさ。俺はプレーンシュガーしか食べる気無いからコヨミが食ってやってくれ」
そういって青年は『はんぐり〜』と書かれたピンクの紙袋を花の横に置く。そして、再び黙り込み景色を眺め始めた青年は、暫くすると、少し離れた位置に停めてあったバイクへ向けて歩き始めた。
「じゃあな、コヨミ。また、来るよ」
そう言うと青年はバイクに跨り、エンジンをかけ走り出そうとする。しかし、青年は自身の足元に何かが落ちている事に気付いた。
「なんだコレ? 虹色に光る石?」
掌に収まるサイズの球体。魔宝石を思わせる何処か神秘的な輝きを秘めたソレに青年は思わず手を伸ばす。
そして石に手が触れた瞬間……
「! ……ッ!」
青年の脳裏にセピア色の様々な光景が駆け巡る。
左手に光る紋章を掲げる男の姿。
まるで、ヨーロッパの昔話のような城と兵士達。
黒い巨大なドラゴン。
そして、獅子の顔を持つ怪人。
そして、様々な光景が駆け巡った後、石から強い輝きが溢れだし青年を包み込む。
「なんだコレ!? まさか、『アマダム』の魔宝石と同じ……ッ!?」
青年は過去に似たような経験をしたことがあるのか、その現象に身構える。
そして光が収まると、そこにはバイクに乗った青年の姿は無く。穏やかな湖の波音だけが響いていた。
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大陸有数の高山『霊峰 レイフォルク』の麓に広がる丘陵地帯『フォルクエン丘陵』を、1人の少女が歩いている。年齢は10代後半、金色の髪をサイドテールにしており前髪は大きく横に流れ、髪の先端が軽くカールしている特徴的な髪型をしている。容姿は整っており、美少女と呼んで差し支えなく、碧眼の目は真っ直ぐな意志を感じさせる。白とピンクを基調とした服に、外見には見合わない西洋の騎士が身につけるような籠手と具足、そして、身の丈以上の巨大な槍を装備しており、彼女が只の一般人ではないということを予想させる。
「グリフレット橋は、ある程度、復旧されているだろうか……『マーリンド』の状況の報告と『地の主』を祀る者の手配を早急に行わなければ……」
彼女が1人で丘陵地帯を歩いているのには理由がある。
彼女の身分はグリンウッド大陸を二分する王国の1つであるハイランド王国の王族の末裔にあたる王女なのだ。しかし、彼女の地位は決して高い物では無い。
彼女の母親は身分が低く彼女自身も王位継承権から最も遠い立場にあった。王族としても貴族としても彼女の扱いは良いとはいえない。
当の彼女も貴族としての生き方よりも、国の為、民の為に生きる騎士としての生き方を気に入っており、王族が私腹を肥やし、一方で止むことの無い災厄と戦乱に民が苦しむ自国の現状を嘆き、どうにかしようと独自に奔走していた。
しかし、真っ直ぐな生き方というのは必ずしも好意的にとられる訳ではない。ハイランドの政治の実権を握っている官僚達を始め貴族達にとって、彼女の言動は邪魔者以外の何物でも無く、彼女は貴族達から煙たがられ、何度も陰湿な嫌がらせを受けてきた。
それでも、彼女は諦めずに走り続けた。記録でしか見たことのない、信仰深く、穢れの無い立派な故郷を取り戻したいという、一心で……。
そして、彼女は災厄の時代を止める手掛かりを追い求めて、入り込んだ『アロダイトの森』で自身の夢の実現への手掛かりを掴む事となる。
探索中意識を失った彼女を助けた青年『スレイ』。彼との出会いが、彼女の夢を後押しした。彼女が幼少の頃から読んでいた本『天遺見聞録』。その本に記された、嘗て、人々が信仰していた存在『天族』。『天族』と交信し、人の身でその力を振るい災厄を祓う存在『導師』。誰もがお伽話としか思っていなかった其れ等が実在するものだと彼女は知ったのだ。
ハイランドの王都『レディレイク』で行われた『聖剣祭』にてスレイは、誰にも抜けなかった聖剣を抜き。伝承の通りに災厄を祓う救世主『導師』となった。『導師』となったスレイと彼女は『従士』の契約を結び、今まで目に見えず話すこともできなかった存在『天族』と人の心の『穢れ』が生み出す魔物『憑魔』の存在を知覚し『憑魔』を祓う力を得る。
そこから彼女の旅が始まった。『導師』であるスレイ達と共に、憑魔を浄化し人々を救う。それは、間違いなく彼女が目指した夢への第一歩だった。旅の中でレディレイクに溜まった穢れを祓う為の『加護』を復活させ、故郷も少しずつではあるが、変わり始めていた。自分達の地位の事しか頭にない俗物の大臣達の妨害もあったが、それでも、事態は確実に良い方向に進み始めている。そんな確信が彼女にはあった。
しかし……現実は彼女に厳しかった。大臣達による謀略により疫病の蔓延した町『学都マーリンド』への救援を言い渡された彼女。同行してくれたスレイ達と共に憑魔を浄化しマーリンドの『加護』の復活に成功した物の、その途中で彼女は『従士』の契約の副作用を知ってしまう。
彼女は『従士』としての適正『霊応力』が元々、高くなく、その反動が『導師』であるスレイに視力を奪うという形で降りかかっていたのだ。強力な憑魔との戦いの中で、それは余りにも大きな隙となる。結果、スレイ達のパーティーを危険に晒してしまう原因を作ってしまった彼女は責任を感じ、『従士』の契約を解除しスレイ達と別れる道を選ぶ。
天族の力をその身に宿す、圧倒的な力『神衣』を使うスレイを不調にすることを補えるだけの力が自分には無いのだということを、彼女は受け入れるしかなかったから……。
「スレイ達は、今頃どうしているだろうか……」
立ち止まり、その言葉を発した彼女の表情は暗い。当然だ。未練が無い筈が無い。彼女自身、もっとスレイ達と共に旅がしたかったのだ。しかし、責任感の強い彼女は仲間の身を危険に晒してまで無理矢理同行するなんて真似が出来るような性格をしていない。
「いや、弱気になってはダメだ! 私は国の為に私の出来ることをするんだ!」
自身に言い聞かせるように言い放ち。気を引き締め、再び歩みを進めようとした瞬間、彼女の前方で急に強い光の爆発がおこった。
「な、なんだ!?」
とっさに槍を構える少女。だが、光が収まった場所にいた者に彼女は目を丸くする。
「えぇ……ここ、どこ?」
「……え?」
間の抜けた声に対し、少女も間の抜けた声で返してしまう。
光が収まった場所には、先ほどまで影も形もなかった筈の青年がいた。髪は茶髪で顔は整っている。黒い革製の上着をシャツの上から着て、赤いズボンをはいており、二つの車輪のついた妙な乗り物にまたがっていた。
「き、君は……一体?」
事態についていけない少女は、混乱しながらも青年に声をかける。
「あー、今回は知り合いのソックリさんが出てくるって展開では無いのか……」
少女の言葉をスルーして青年が独り言を呟くが、少女にはその意味がわからない。
「な、何を言っているんだ、君は?」
そんな彼女の言葉に青年は、ハッとした表情となり慌てて謝罪をしてくる。
「あ、ゴメンゴメン。 いや、前に色々あってさ。ちょっと思いだしちゃって」
軽い調子で謝罪してきた青年に少女は、更に調子を崩される。
「い、いや大丈夫だ。気にしていないよ。それで、君は? 」
戸惑いながらも再び問い掛ける少女。そんな彼女に、青年はマイペースに答える。
「あー、こういう時は、まず自己紹介だよな。 俺は、晴人、操真 晴人だ」
またがっていた物からおりた青年は自己紹介を行う。
「ソーマ ハルト? それが君の名前なのか? 変わった名前だな」
「そうかな? まぁ、君は外国の子みたいだし、日本人の名前も変に感じるかもな。 あ、君たち風に言うならハルト ソーマになるのか? 」
明るい調子で名乗る青年。少女からすると、彼の言っていることはイマイチ理解しかねるのだが、名乗られたからには自分も名乗ろうとアリーシャは、疑問を一旦置いておく。
「ニホンジン? よくはわからないが、名乗られたからには私も、名乗っておこう。私はアリーシャ、アリーシャ・ディフダだ」
「あ、やっぱり外国の子じゃん。ってことは外国に跳ばされたの俺?」
名乗った少女、アリーシャに対して、青年、晴人は改めて疑問を口にするが、アリーシャには、やはり意味がわからない。
「すまないハルト、先程から君の言っていることの意味が、良くわからないんだ。ここは、グリンウッド大陸のハイランド領にある、フォルクエン丘陵という場所なのだが……」
その言葉に晴人の表情が驚きに染まる。
「え? グリ……何? なんか全く聞き覚えの無い大陸の名前が聞こえたんだけど?」
その言葉にアリーシャはますます、頭を抱えたくなった。
「大陸の名前を知らないなんて、君は本当に何処から……」
来たんだ? そう告げようとした途端、あたりに獣の雄叫びが響きわたった。
「……ッ! まさか『憑魔』!?」
あたりを見渡すアリーシャは、数体の獣と鳥が自分達を包囲していることに気付く。
『従士』の契約が切れたアリーシャの目にはそれらは只の動物にしか見えないが、旅の中で僅かに成長した彼女の霊応力が、その動物が普通でない事を彼女に告げる。
「(おそらくは、マーリンドに向かう際に戦った『マーモット』と『イーグル』か)……ハルト、済まないが私の後ろにいてくれるか」
真剣な彼女の声音に、状況についていけない晴人は戸惑う。
「えぇっと……どうゆう状況?」
「説明する時間がない、なんとか私が道を開くから君は隙を見て逃げてくれ」
そう言ったアリーシャは晴人返事を待たず、槍を構え獣の包囲を突破すべく囲みの薄い一点に踏み込んでいく。
「ハァッ!」
気合を込めた鋭い突きは襲い掛かってきた獣と鳥を容赦なく貫く。それが時間稼ぎにしかならないことはアリーシャは理解している。憑魔を祓うことができるのは導師の浄化の力のみだ。契約の切れた自分では追い返すのが限界だろう。
「(獣として視認できているということは少なくとも、下級の憑魔の筈だ。これならなんとか……)」
しかし無情にも彼女の希望は打ち砕かれる。
ゴォォォォ!
突如、上空から巨大な竜巻がアリーシャに襲い掛かったのだ。
「な!?」
なんとか、それを躱すアリーシャ。
「まさか、上級の憑魔!?」
下級の憑魔と違い、力の強い憑魔は人の目には竜巻などの姿で見える。強力な憑魔に不意打ちをくらい動揺したアリーシャの隙を突き、獣達が一斉に襲い掛かる。
「クッ!」
アリーシャが諦め目を閉じかけた瞬間……
ダダダダァン!
連続した炸裂音が鳴り響きアリーシャの背後から空気を切り裂き飛来した小さな何かが、まるで意志を持つかのようにアリーシャの体を避けて周囲の獣を撃ち抜いた。
「え?」
思わず戸惑い振り向いた彼女の瞳には、手に持った銀色に輝く何かをこちらに構える晴人が写った。
「一人で無茶するもんじゃないぜ、アリーシャちゃん」
「ハルト!? その武器は?」
「後で、説明するよ。まずは、あの馬鹿デカイ鳥を何とかしないと」
竜巻を見据えながら、そう言い放つ晴人の言葉にアリーシャは驚きの表情を浮かべる。
「み、見えるのか!? 『憑魔』が!?」
「ヒョウマ? 良くわからないけど、向こうはヤル気みたいだ」
アリーシャの目には晴人に向けて動き始めようとする竜巻が写る。
「無理だハルト!? 憑魔を祓うには浄化の力が必要なんだ! 早く逃げてくれ!」
晴人を止めようと叫ぶアリーシャ。だが、晴人は怯まない。
「生憎と、君を見捨てる気は無いし、こんな所で死ぬ気も無いよ」
彼はそう言って、いつの間にか右手にはめた指輪をベルトのバックルにかざす。
【ドライバーオン】
鳴り響いた声と共に晴人の腰に銀色のベルトが現れる。
「だから、とっとと…片づける!」
バックルの横にあるシフトレバーを操作し、バックル部の手のような意匠のハンドオーサーを左手様に切り替える。
【シャバドゥビタッチヘーンシーン! シャバドゥビタッチヘーンシーン!】
鳴り響く奇妙な呪文。
そして晴人は赤く輝く指輪をはめ顔の横に、指輪を見せつけるように構える。
「変身!」
力強く言い放ち指輪をベルトにかざすのと同時に、赤い魔法陣がハルトの真横に現れる。
【フレイム! プリーズ! ヒー!ヒー! ヒーヒーヒー!】
そして魔法陣が晴人を通過すると、そこには晴人の姿は無く、黒いローブを纏いルビーのように赤く輝く仮面とアーマーを身につけた戦士が佇んでいた。
「あれは『神衣』!? まさか、ハルト、君は『導師』なのか!?」
驚愕するアリーシャを他所に晴人は左手の指輪を再び見せつけるかのように構え、憑魔を見据えながら静かに告げる。
「さぁ、ショータイムだ!」
本作を書く経緯
TOZをプレイする
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アリーシャの不憫さや設定のガバガバっぷりに大ダメージ
↓
「膝に絶拳を受けてしまってな……」状態で崩れ落ちる
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アリーシャDLC無料化
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「なんだって! それは本当かい!?」とプレイする
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死体蹴りをくらう
↓
「馬場P! 絶対に許さねぇ!」カチドキィ!
↓
絶望で憑魔を通り越してファントムが生まれそうになる
↓
誰か希望の魔法使い呼んでこい
↓
火水風土の4属性
ドラゴン
負の感情によるモンスター化
アレ? これクロスオーバー、イケるんじゃね?
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