ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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第84 湯……そして天災の降臨

 

 消灯時間が近くなると、セシリア達は千冬によって自分達の部屋へと帰された。千冬自身は他の生徒達にも消灯時間前に自室へと戻るように告げる為、旅館内を巡回しに出掛けた。

 

 一気に人が減って、急に教員部屋の中が静かになる。一夏は疲れていたのか消灯時間前であるが既にうつらうつらしている。

 

 

「一夏、少し早いですが疲れているのなら、もう寝た方が良いですよ。明日は忙しくなります」

 

「……ん、そうっすね。じゃあ、お先に」

 

 

 太郎の言葉を受け、一夏は早々に布団へと入り眠ってしまう。太郎はしばらくの間、一夏が眠ったかどうか様子を見ていた。そして、本当に眠っている事を確認するとゆっくりと立ち上がり部屋から出て行く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 消灯間近になり、教師達が出歩いている生徒へ自分の部屋に帰るように言って回る僅かな時間。この僅かな時間こそ太郎にとっては自由に動ける貴重な時間であった。なにせ太郎は千冬と同室である。消灯後は完全に千冬の監視下へ置かれ、部屋から抜け出したりは出来ないだろう。

 

 太郎はこの貴重な時間に何を成すべきか。その答えを既に持っていた。何の躊躇(ためら)いもなく、ある場所へと太郎は急いだ。赤外線センサーや監視カメラから逃れる為に壁へ張り付き、地を這い、通気用ダクト内にも侵入して進み続ける。そして、ついに太郎は桃源郷に辿り着く。

 

 

「なかなかのセキュリティーでしたね。しかし、あらかじめ楯無さん経由で職員から防犯システムの情報を買っておいて正解でした」

 

 

 太郎が暖簾をくぐり脱衣所を抜け、扉を開く。もあっとした湯気が太郎を包んだ。

 

 太郎の目的地、それは浴場だったのだ。しかも、この浴場は太郎や一夏が使用していない方の浴場である。すなわち、本日の使用者は100パーセントうら若き女生徒と女教師達だけという事だ。

 

 太郎は最初に洗い場へと向かう。太郎は洗い場に着くと、各洗い場に置いてある小さなイスをじっと眺めた後、壊れ物を扱うかのような手付きで触れた。

 

 

「これに……これに先程まで裸の女生徒達が座って体を洗っていたんですね」

 

 

 うっとりとした表情でイスを眺めていた太郎の顔がイスへと近づいていく。撫で回し、頬擦りをし、最後は舐め回す。

 

 

「……ふう。さて、前菜はこれでお終いですね」

 

 

 最後までイスを味わい尽くした太郎は、次なる獲物へと近づいていく。それこそが今回太郎の第1目標である。

 

 太郎は浴槽の前で立ち止まり、静かに屈み込んだ。手を浴槽の中へ入れ、湯を掬う。

 

 

 

 

 

 

 

 

 風呂の本質とは湯だ。つまり、太郎が狙っていたのは【この湯】そのものであったのだ。

 

 

 

 

 

 

 太郎は手で掬った湯を顔の前へと移動させ、その香りを確かめる。そして、口へと運び(すす)った。舌の上で湯が踊る。

 

 

「香りは弱めですが、ほのかに甘みも感じます。温泉のわりにサラっとした飲み口も今回はプラスに働いてますね。85点と言った所でしょうか」

 

 

 テイスティングを終えた太郎は懐から水筒を取り出す。手早くそれに湯を入れると、日付を書いたラベルを貼り付けた。水筒を懐へ戻すと太郎は足早に立ち去る。本心では色々と楽しみたい所であったが、今は時間がない。消灯時間までに部屋へ戻っていないと千冬の鉄拳制裁を味わうハメになるかもしれない。何より今の行動がバレてしまい、戦利品を取り上げられてしまう事が恐ろしい。

 

 太郎は浴場に来た時とは違うルートを使って部屋へと急ぎ、無事消灯時間には間に合った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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 合宿2日目はIS各種装備の試験運用とデータ収集がメインとなる。専用機持ちは試作段階の専用兵装が各メーカーから送られて来ており、特に多忙を極める日となる。

 

 朝もそこそこ早い時間であったが、予定が詰まっているので生徒達はIS試験用の砂浜に集合させられていた。

 

 そこへ何の前触れも無く、巨大なニンジンが降って来た。

 

 

ズッガアアアアアンンンンンン

 

 

 突然の出来事に砂浜は騒然となる。地面が揺れるほどの衝撃に多くの生徒達はしゃがみ込む。そんな中、ラウラは咄嗟にISを展開し、太郎を庇う体勢をとった。

 

 

「たぶん警戒しなくても大丈夫ですよ」

 

 

 太郎は降って来たニンジンに心当たりがあるのか、ラウラを宥める様に言う。

 

 心当たりがあるのは太郎だけではなかった。千冬が砂浜に突き刺さったニンジンに近付き、強烈な蹴りをブチ込む。それも1発で終わらず、何発もブチ込み続ける。どうやらこのニンジンが何なのか分かっているようだ。

 

 

「このアホが試験用の砂浜に大穴空けるな!!!」

 

「イタっ、痛いって、ちーちゃん」

 

 

 バカっとニンジンが開き、中から1人の女性が飛び出してきた。その女性はいい年齢だというのにメルヘンチックな服装で、頭にはウサギ耳の様なアクセサリーを付けていた。全体的に肉付きが良く、特に胸は千冬より大きい。

 

 

「束、もう少し普通に出て来い」

 

「ほーい」

 

 

 千冬のお叱りに束は生返事をしている。砂浜にいた生徒達は最初、突然の出来事に唖然としていた。しかし、一部の生徒達は千冬の言葉からこの突然現れた女性の正体に気付き騒ぎ始めた。

 

 

「もしかして……」

「束って、確かIS開発者の名前じゃ……」

「でも篠ノ之博士って行方不明でしょ」

 

 

 ざわつく周囲を気にすることも無く束はニコニコと千冬と箒の方を見ていたが、一瞬だけ太郎の方へ視線を移した。その目は実験用モルモットを見る研究者のような目だった。

 

 その一瞬の視線に太郎は笑顔で応えた。太郎の方は束とは逆に噴火寸前の火山のような熱いものを目と股○に滾らせていた。

 

 

 




ホントは風呂については書かないつもりだったけど、急に少女汁が飲みたくなったので書きました。そのせいで中途半端な進行状態になってしまいました。少し書き直すかもしれません。

実はこの風呂の浴槽でヨーグルトを作るネタもやろうかと思いましたが、別のヨーグルトなら後でいくらでもブッかける機会があるので止めにしました。

読んで頂きありがとうございます。

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