ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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第74話 戦いは海に行く前から始まっている3

 太郎の目論見通りに事が進み、千冬の水着は最終的に太郎が選んだ物となった。そして、次に鈴の水着を選ぶ事になった。

 

 

「では先程と同じく、シャルの選んだ物から見ていきましょうか」

 

「ええっ、また僕から・・・・・」

 

 

 太郎の言葉にシャルは難色を示した。先程シャルが見せた千冬用の水着はかなりの低評価であった為である。誰かを先にして欲しいとシャルは思っていた。しかし、順番が最後より最初の方が気楽かと思い直した。

 

 

「あー、僕が選んだのはこれです」

 

 

 イマイチやる気のない感じでシャルが鈴に似合うだろうと考えて選んだ水着を出す。それはボーダー柄のキャミ型タンキニとベージュ色のショートパンツのセットである。これを見た鈴の反応は芳しいものではなかった。

 

 

「かわいいけど・・・・・これだと、ほら・・・・アレがね・・・胸がさ・・・」

 

 

 タンキニはタンクトップで胸からウエスト部分までが覆い隠される事により体のラインが分かり辛くなり、体型が少し寸胴っぽく見えてしまうという特徴がある。お腹の贅肉が少し気になる人の場合、それを隠せて良いのだが、貧乳の人が着るとさらに胸が目立たなくなる。

 

 自身の胸に貧弱さは鈴自身も分かっている。この水着では勝利を掴み取る事など出来ないと鈴は判断した。しかし、鈴とは逆の考えを持った者がいた。

 

 

「シャルのセンスには脱帽ですね。これは良い・・・・これイイいいいいいいでぇぇす!!!」

 

「えええっ、これの何処がそんなに良いのよ!?」

 

 

 興奮して叫ぶ太郎に、鈴は驚きの声を上げる。

 

 

「何を言っているんですか。これは貴方の強みを強化する素晴らしい水着ですよ」

 

「強みって・・・むしろちょっと寸胴っぽさが増して嫌なんだけど」

 

「はああああ?それが良いのでしょう?」

 

 

 太郎の言葉の意味が鈴には理解出来ない。「それが良い」ってどういう事なのかと、鈴の頭の中は疑問符でいっぱいだった。

 

 

「鈴さん、いいですか。貴方の1番の恋敵(ライバル)は篠ノ之さんですよね?」

 

「う、うん」

 

 

 鈴は太郎のあまりの勢いについ頷いてしまう。

 

 

「彼女とスタイルで競うつもりですか?」

 

「うぐっ・・・」

 

「篠ノ之さんのスタイルは超高校生級ですよ。パッドを1枚や2枚入れた所で勝負になりません」

 

 

 太郎から冷静かつ非情な現実を突きつけられる。そう、彼我の戦力差は圧倒的である。物量戦ならば鈴に勝ち目など無い。だが、太郎は何も鈴を貶めたいが為にこんな事を言っている訳では無い。

 

 

「しかし、安心してください。恋愛において勝敗を決する要素は胸の大きさだけではありません。幼児体型には幼児体型の魅力があります」

 

「よ、よう、幼児体型・・・・・」

 

 

 普段の鈴であれば激怒するような言葉である。しかし、鈴は太郎の異常に熱が入った言葉に圧倒されていた。それに悔しいが鈴自身、自覚のある内容だったので精神的ダメージはあったものの冷静さは失わなかった。そんな鈴へ太郎の力説は続く。

 

 

「このシャルの選んだ水着を鈴さんが着て迫れば・・・・・確実に背徳的な魅力を一夏は感じるはずです」

 

「・・・・・・でも肌の露出が少ない水着って男の人から見て、どうなの?」

 

 

 太郎の気迫に圧倒されつつも鈴が何とか反論する。しかし、それを聞いた太郎は首を横に振り、大きな溜息を吐いた。

 

 

「甘い、甘過ぎです。露出度が高ければ良いというものではありません。最初から見えているより、隠された状態から覗き見えたりする方がエロい事もあります」

 

 

 先程、千冬にスリングショットや紐を勧めた人間のセリフとは思えない太郎の言葉に、太郎と鈴以外の者達は苦笑いをしていた。それとは対照的に鈴はいたって真剣に太郎の言葉を検討し、疑問を投げ掛ける。

 

 

「覗き見えたりって言っても、そんなに都合良くいくの?」

 

「意図的に見せればいいじゃないですか」

 

「みみみみせ、見せるって」

 

 

 顔を真っ赤にして慌てる鈴に、太郎は落ち着かせるようにゆっくりと言い聞かせる。

 

「別に局部や胸を見せろと言っているわけではありません。水着に砂が入っちゃった~、とか言ってタンクトップの裾の部分を持ってパタパタとするんです。その際に胸まで見せる必要はありません。見えそうなだけで十分です。実質的にはお腹と脇腹の一部が見えるだけですが効果は抜群です」

 

「そ、そんなに効くの・・・・・」

 

「例え目を逸らそうとしても、絶対にチラ見してしまう。それが男の本能です」

 

「「おおおおぉぉぉ」」パチパチパチ

 

 

 太郎は議論の余地など無いと言わんばかりに断言した。するといつの間にか周囲に人が集まっており、その人達が太郎の言葉に感心した様で拍手をしていた。当初、この売り場に他の客はいなかったが、太郎達が話し込んでいるうちに状況は変わっていたようだ。そのうえ太郎があまりにも熱弁していた為、何事かと思った客達が集まって来てしまっていたのだ。

 

 

「えっ、何これ。どうなってるの!?」

 

 

 気付かない間に知らない人間に囲まれて鈴は驚いてしまう。しかし、太郎の方は平然と両手を上げ拍手に応えていた。困惑気味の鈴がどうしようかと考えていると、軽く肩を叩かれ後ろに振り向くと呆れた顔をした千冬がそこにいた。

 

 

「あの馬鹿は放っておけ。で、どうする。その水着で良いのか。良いのであればさっさと買ってこの場を離れるぞ。私や山田の正体がバレると騒ぎになりかねん」

 

「はい、これで・・・・・これで行きます」

 

 

 鈴の眼差しは覚悟を決めた、それだった。千冬はそれを確認すると次にラウラとシャルの方を見る。

 

 

「お前達はどうする?」

 

「僕は織斑先生用に選んだ水着と同じデザインの物を自分で着ようと思います。あのデザイン気に入っているので」

 

「私はパパの選んだ物を着ます」

 

 

 シャルとラウラ、それぞれ千冬の問いに答えた。シャルはともかく、ラウラは最初からそのつもりで今回の買い物に来ているので千冬としても予想通りの答えであった。

 

 

「山田っ!ラウラの分も既に選び終わっているのか?」

 

「ええ、問題なく」

 

「風紀的にも問題ないんだろうな?」

 

「大丈夫だと思いますよ。どんな水着かは当日になってからのお楽しみという事で、もう店員さんに包装して貰っています。ラウラさん、これを」

 

 

 買い物籠の底の方に隠した、プレゼント用に包装されている包みを太郎が取り出しラウラへと渡した。ラウラはそれを両手で抱え込むようにして喜んでいた。その様子に見て太郎も満足そうである。

 

 まだ会計を済ませていなかった商品をレジに持って行った際、太郎は千冬にボツとされたスリングショットと紐のサイズの違う物を一緒に会計し、別々にプレゼント用に包装するよう店員へ頼んだ。それを見ていた千冬達は、プレゼントされる相手へ同情した。あんな物をプレゼントされても、どうしようもないだろうと太郎以外の全員が思っていた。

 

 知名度の高い千冬や太郎の正体が集まっていた他の客にバレると厄介なので、会計を済ませると直ぐに店を出た。するとそこでセシリアと一夏の2人と鉢合わせした。

 

 

「一夏っ、それにセシリア・・・・2人で・・・まさかデート?」

 

 

 鈴が顔を青ざめさせながら恐る恐る聞く。まさか臨海学校で勝負をかけようと思っていた矢先に先を越されたのか。しかし、そんな事はなかった。

 

 

「そんな訳無いだろ。鈴、俺達は鈴達を追いかけて来たんだよ!」

 

「そうですわ。わたくしを仲間外れにするなんて酷いですわ!!!」

 

 

 怒るセシリア達に対し、鈴は逆に胸をホッと撫で下ろしていた。もし、この2人がデートでここへ来ていたのなら今日の買い物は何だったんだという話になってしまう。安心はしたものの、2人にどう言い訳をしようか悩んでしまう。水着の事は一夏に内緒にしたいので、他に良い言い訳が無いか鈴が考えていると太郎が鈴とセシリアの間に割って入ってきた。

 

 

「まあ、落ち着いてください。セシリアさんにプレゼントがあるんですよ。今度の臨海学校で着てもらおうと思って水着を買ったんですよ」

 

 

 太郎は笑顔で先程買ったプレゼント用の水着の1着をセシリアに渡した。突然の事にセシリアは数秒間呆然としていたが、状況を理解すると感激のあまり涙ぐんでしまう。

 

 

「ほ、本当に貰っていいんですの?今日の外出はこの為でしたの。わたくし何とお礼を言えば良いのか・・・・」

 

 

 かなり自分に都合良く解釈しているセシリアであったが、太郎もあえて訂正しようとも思わなかった。喜んでくれている様で何よりですと頷いている。

 

 それを見ていた千冬とシャルは「セシリア用だったの(か)!?」と叫びそうになる。スリングショットか紐のどちらなのかは分からないが止めるべきかと千冬は考えたが、ここまで喜んでいるのに今ここで水を差すのは躊躇われた。それに中身を見ればセシリアも臨海学校で着ようとは思わないだろうし、態々ここで注意しなくても問題ないかと考え直した。

 

 太郎がセシリアにプレゼントを渡した事で自分も貰えるのではと期待する者がいた。

 

 

「な、なあ、太郎さん。俺の分は・・・・・・・」

 

 

 期待に満ちた目で一夏が太郎を見ている。すると太郎は一夏の方に手を置き言った。

 

 

「男は黙って全裸です」

 

「そんな訳あるかっーーーーーーーーーー!!!」

 

 

 千冬が強烈な回し蹴りを太郎へと放つ。ガードはしたものの衝撃を殺せず太郎の上半身が横へブレた様に見えた。

 

 

「今のは危なかったですよ。ガードが遅れていたら大怪我してましたよ」

 

「大怪我程度なのか。残念だな。・・・・・・あと一夏、お前の水着は私が買っておいた」

 

 

 千冬が若干不穏な言葉を言いながら一夏へ買い物袋を投げ渡す。太郎の様にプレゼント用の包装はしていないが、他の者が気付かないうちに買っていたのだ。普段、表に出さないが千冬もブラコンな所がある。

 

 

「ち、千冬姉・・・・・・」

 

「臨海学校では周りは女だらけだ。まともな水着を用意していないと恥ずかしい思いをするぞ」

 

 

 千冬は照れ隠しでぶっきらぼうな物言いだったが、周囲の者にはそれが分かっていたので微笑ましいものを見る目で見ていた。




読んでいただきありがとうございます。





エ○ゲーをする時間が無い。メイドをカスタムりてえええええええええええええ。

アニメも今期は好きなのが多くて時間が削られまくりです。がっこうぐらしや監獄学園には刺激されます。主に股間が。

がっこうぐらしは、ほのぼの日常系の皮を被ったマジキチホラーで注目を集めていますが、私は8割方性的な目で見ています。みーくんがガーターベルトをしているのは私を誘っているに違いない。食糧難になったら、りーさんの○っぱい吸えばいいしね。


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