ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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第7話 一日の終わりに

 楯無が帰っていった後、寮の部屋で一人になった太郎は部屋の片付けを始めた。片付けと言っても下着等の着替えしか個人の荷物は無かった。元々の持ち物のうち衣服以外は一切持ち込みを許可してもらえなかった為である。荷物の片付けは直ぐに終わった。

 

 荷物の片付けが済むと部屋の中を調べ始める。盗聴器や隠しカメラが設置されていると予想したからだ。結果は予想通りであった。合計で8個の盗聴器と隠しカメラが見つかった。しかし、あえて外したりせず隠しカメラのいくつかの位置を少しだけずらし死角を作った。

 

 取り急ぎやって置くべきことを全て終えた太郎は日課のランニングの為に服を脱ぎ始める。普段は全裸(靴下着用)でパンツを被った状態で行っているのだが、今日は特別な日なのでスペシャルな服装をすることに決めていた。

 

 とりいだしたるは使用済みのISスーツ。

 

 

 これは太郎が国の研究所への所属を了承する時に条件の一つとして提示したものである。ただ公式な書類には一切記載の無い条項であり担当者と太郎の間で内々に約束されたものである。このISスーツの元の持ち主は太郎が所属することになった研究所のテストパイロットで本人には無断で太郎に譲渡されている。

 

 彼女には定期的に新しいISスーツが支給されているのでその際に回収している。名目としてはスーツの損耗状態からデザインや素材の参考にすることになっている。

 

 使用済みのISスーツの股間部分に鼻を当て大きく息を吸い込む。何度か繰り返した後・・・・・着用した。

 

 

 ピッチピチである。元の持ち主は日本人女性としては平均より少し大きいくらいの体格である。それに対して太郎は身長183cm、体重90kgという体格である。脂肪はほとんどついていないがそれでも本来着るべきサイズはかなり違う。このISスーツが特別伸縮性に富んだ物であった為に無事だったが、通常のISスーツであれば破れていただろう。

 

 ISスーツを着用した太郎は窓を開け夜の校庭へと飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「今日は人生最高の日です」

 

 グラウンドを20周した後、校庭を隅々まで走って回った。余りの気分の良さについつい独り言を言ってしまう。IS学園への初登校。女神である織斑 千冬とメロンちゃんこと山田 真耶との再会。変態淑女セシリア・オルコットと学園最強の裸エプロン更識 楯無との出会い。そして専用機が用意されることになった。

 

 これほどの幸運に恵まれ、明日からもそれが続いていく。世界が自分を中心に回っているかのようだ。実際に片足を上げてクルクルと回転してみる。

 

 回る世界、激しく運動した為の疲労感もあり酔っ払ったかの様にふらつくが止まらない。

 

 狂った様に回りながら周囲を確認する。寮を出てから複数の視線を感じていた。校庭を走り回りながら監視カメラの位置をあらかた把握し、今監視者たちの存在も確認した。

 

(部屋に仕掛けられた盗聴器や隠しカメラといい、困ったストーカー達ですね)

 

 だが今日は兎に角気分が良い。覗きぐらいいくらでも許してしまう。

 

「いけない子達ですね。ですが今日は特別です。ご覧、私のパ・ド・ドゥを!!」

<注意・パ・ド・ドゥというのは元来男女2人が行うもので太郎は適当な事を言っています>

 

 

 監視者や監視カメラにアピールする様に激しく踊る。

 

 飛び跳ね

 

 回転し

 

 時には指先がそのまま何処かに飛んでいきそうなぐらに伸びやかに伸ばされる。

 

 汗が飛び散り

 

 やがて最高潮に達する。

 

 

 

 

 

 太郎は満足気に監視者達と近くにある監視カメラに手を振って部屋へと帰って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その一部始終を見る羽目になった監視者達と監視カメラの映像をチェックしていた警備の人間のほどんどがゲッソリとした表情になっていた。数名の例外は監視カメラの映像データをUSBメモリに コピーして持ち帰った。


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