太郎がシャルをデュノア社からの呪縛から開放するために催したパーティーは大成功のうちに終了した。太郎とシャルは寮の部屋で各方面から送られてくる今回の件に関する結果報告に目を通していた。そんな中、デュノア社の開発部部長から送られてきた結果報告のメールを見ていた太郎が、そこに添付されていた画像を見て驚きのあまり声を出してしまった。
「これは凄い!・・・・しかし、これはシャルは見ない方が良いかもしれません」
「どうして?デュノア社の開発部長なら僕も話した事があるし見たいんだけど・・・・・」
「・・・・・うーん、かなり衝撃的な画像なので、覚悟して見て下さいね」
シャルの言葉に太郎は渋々といった感じでソレを見せた。
そこにはア〇顔ダブ〇ピー〇状態のジャック・デュノア、シャルの実父が写っていた。
「うわぁぁ・・・・・。流石にこれはキツイなぁ。こんな人間の血が自分に入ってると思ったら気持ち悪くなっちゃうよ」
シャルは実父の痴態を見て不快感を隠そうともせず、吐き捨てるように言った。ジャックをデュノア社の技術者に調〇させたのはシャル自身なのだが、そんな事は関係無かった。
「涎まで垂らしちゃって汚いなー。仮にも未だ社長なんだからもうちょっと・・・・・こう、何とかならなかったのかな」
シャルは大きな溜息をついた。それでもう画像には興味を無くしたのかメールの文章の方を読み始めた。そこにはシャルの父であるジャックとその妻を堕とす事に成功したという事と、今後は開発部の人間は全員シャルに忠誠を誓うという事が書かれていた。
「シャルは開発部の人達に好かれているみたいですね」
「うん、僕がテストパイロットをやっていた頃も父に隠れて助けてくれていた人もいたんだ」
シャルは照れくさそうに言った。IS学園に男装して転入する事になった時には世界の全てが自分の敵のような孤独感を感じていたが、味方はちゃんと存在していたのだ。
「それで、シャルはこれからはシャルルではなくシャルロットとして学園に所属する事になりますが、いつから女子生徒として通うんですか?」
「うーん。女性用の制服が用意され次第、改めてSHRで女性として自己紹介するつもりだから明後日位になるかな。楯無さんが急ぎで制服を用意してくれていて明日の午後には届くらしいから」
太郎の疑問にシャルは多分と前置きしつつ答えた。それと当初シャルは楯無の事を「楯無先輩」と呼んでいたのだが、楯無が堅苦し過ぎると駄々をこねて「楯無さん」と呼ぶ事になった。本当は「お姉ちゃん」と呼ばせたかったみたいだ。どうも楯無は未だ妹成分が足りないようだ。
「みんな驚くだろうなー。騙されたって怒る人もいるかも・・・・・」
「そこは問題無いでしょう。事情があったと先生の方からも説明してもらいますし、私の方でクラスメイトに根回しして置きますよ」
暗くなりかけたシャルを太郎がフォローする。
「太郎さんは優しいね。・・・・・・そう言えば、女だって分かったら寮の部屋も変わる事になるのかな。僕はこのままの方が良いんだけど」
「変わらなくても良いじゃないでしょうか。一夏も篠ノ之さんと同室ですし私達も問題ないと思いますよ」
入学時から一夏と箒は同室だが問題になっていないのだから自分とシャルも問題ないと太郎は言った。
そのあと大量の結果報告メールを確認していると時間が遅くなってしまった。明日も授業があるので2人はもう寝ることにした。
『マスター、シャルロットさんの盗撮はしない方が良いですよね?』
(ええ、彼女は私の仲間です。もし、撮りたいのなら本人の承諾を取ってからです)
太郎が横になったところで美星が話しかけてきた。
『私は彼女のフィギュアも作りたいのでそれも聞いてもらって良いですか?』
(もうフィギュア作りは美星さんの趣味ですね)
『趣味?・・・・・これが趣味と言う物なのでしょうか。私はフィギュアを作っている時、まるで自分がその人間になったような不思議な感覚に陥るのです。私はフュギュアを作りたいのではなく、その感覚の正体をはっきりさせたいだけなのかもしれません』
普段より饒舌に語る美星の言葉を太郎は深く考えていた。そして、ふと思った。美星は人になりたいのではないかと。それが正解かどうかは分からない。しかし、いつか美星に聞かなければならない時が来るだろうと太郎は思った。だが、それは今ではない。だから、太郎は話題を変える。
(・・・・・美星さんの事を楯無さんとシャルには機会を見て言おうと思います)
『危険ではないですか!?』
突然の太郎の言葉に美星は驚いた。美星の事を、具体的な意思の疎通が出来るISコアの存在が知られると下手をすれば研究の為にコアを解体されるか、実験材料にされる危険性があった。その為に今までは美星の存在を太郎は隠していたし、美星にもそう言っていた。
(彼女達は信頼できます。それに私個人の人脈も増えましたし、強力な手札も増えました。もう過度に警戒する必要も無いでしょう。私以外の人間との会話も美星さんの良い経験になると思います)
『・・・・・・マスターがそう言うのであれば』
美星はイマイチ納得していなかったが太郎の言葉を受け入れた。それと自分が作ってきたフュギュアのモデルと会話してみたいとも思った。なぜそう思うのかは美星自身説明出来ないが、それはとても楽しい事のように感じていた。おやすみと告げて眠りに落ちた太郎の呼吸を感じながら、美星はモデルとなった者達のデータを引っ張り出してきて眺めていた。その多くはフュギュアの制作過程で参考にした裸体の画像データであった。
読んでいただきありがとうございます。
忙しいです。かなり。
らめえええ丸城の頭おかしくなっちゃううう。
まあ、待つしか出来ない工程もあるので常に忙しいという訳でもないので極端に更新が遅くなる事はないですが。週3とか4くらいになると思います。
えっ、そんなに忙しいならこんなイカれた文章書いてんじゃねえって?
これが私のストレス発散ですから止められません。