ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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第32話 千冬の憂鬱

 屋上でセシリアのサンドイッチを食べ発狂し、箒と鈴にストンピングの嵐を浴びせられた一夏は保健室に運び込まれた。幸いな事に一夏はサンドイッチの後遺症も無く怪我も軽傷であった為、本格的な治療は必要としなかった。

 

 表面上、一夏の事を一生徒として扱うようにしている千冬も本当は気が気ではなかったが、特に入院したりする必要は無いと報告を受けて安心していた。しかし、その後に千冬は衝撃的な話を生徒から聞くことになる。

 

 放課後に千冬と真耶が職員室で明日の授業の打ち合わせをしていると、2人の受け持ちクラスの生徒である鷹月 静寐(しずね)布仏(のほとけ) 本音が相談したい事があると言って来た。だが、いざ相談の内容を聞こうと千冬と真耶がすると静寐(しずね)達は言いにくそうに口を噤んでしまう。

 

 

「どうした、相談したい事があるんだろう。内容を言ってもらわないとどうしようも無いぞ」

 

 

 千冬に促され静寐(しずね)達はその思い口を開く。

 

 

「あの、今日の昼休みに屋上で騒ぎが・・・・」

 

「ああ、報告は受けている。織斑がオルコットのサンドイッチを食べて保健室に運ばれたが容態は安定しているとのことだ」

 

 

 静寐の言葉に千冬と真耶は既にほぼ解決している話についての相談だったのかと、ほっと一安心していたが本題はここからだった。

 

 

「はい、その時に途中から私達もその現場を見ていたんです。織斑君が突然叫びだして、篠ノ之さんと2組の凰さんに蹴られていたんです。その時の織斑君の叫んでいた内容が・・・・ちょっと・・・アレだったので」

 

 

「鷹月さん、織斑君は何と言っていたんですか」

 

 

 真耶が恐る恐る聞いた。

 

 

「・・・・パンツは白だって叫んでました」

 

「あと白式は白+下着=最高という方程式の事って言ってたねー」

 

 

「「・・・・・・・・・・」」

 

 

 静寐と本音の告げた内容に千冬と真耶押し黙ってしまった。

 

 

「それと最後に山田代表とシャルル君の足に縋り付いて『やっぱり、男同士っていいな』って言っていました」

 

 

「そ、そんな馬鹿な・・・・・」

 

「お、お、おと、男同士とか、だめですよ」

 

 

 静寐の言ったトドメに千冬は呆然となり、真耶は頬を赤く染めていた。

 

 

「・・・鷹月、本当に一夏はそんな事を言ったのか?」

 

「はい、確かに言っていました。信じられないのは分かりますが、屋上には私達以外にも人がいたので確かめればハッキリすると思います。織斑君が・・・その・・・特殊な性癖を持っていると山田代表やシャルル君が危険じゃないかと思って相談に来たんです」

 

 

 千冬はあまりのショックに頭を抱えてしまった。

 

 千冬は数十秒間ずっとそのままだった。何かを考えているのか、それともショックで何も考えられない状態なのか。周囲の人間にその心中を推し量れる者はいなかった。そして、千冬本人に聞こうという神経の太い者もいなかった。その為、千冬本人が口を開くのを周囲の人間は待っていた。

 

 

「・・・・山田先生、今日から寮の部屋割りを変更してデュノアを一夏と同じ部屋にするという予定だったな」

 

「はい、そうなっています」

 

「デュノアが入る部屋は一夏ではなく山田の部屋に変更だ」

 

「・・・・分かりました」

 

 

 今の千冬は普段の凛々しい姿からは想像も出来ない位、憔悴した様子で真耶に指示を出した。学園では一夏の事をいつも【織斑】と呼んでいたのに、今は気が抜けているのか【一夏】と呼んでいた。

 

 

「あのー、織斑先生。大丈夫ですか?」

 

「問題ない。話はそれだけか?・・・・よし、では後の事は任せておけ」

 

 

 千冬のあんまりな姿に静寐は心配したが、千冬に問題ないと言い切られてしまうとそれ以上踏み込む事も出来ない。静寐と本音は一礼をして職員室から退室した。

 

 静寐と本音が職員室からいなくなると千冬はイスに座ったまま力なく俯いた。白く煤けて見える千冬に真耶は何とかフォローしようとする。

 

 

「元気出してください。最近では同姓婚を認めている国もありますから!!!」

 

「・・・・一夏が男と結婚するなどとふざけた事を抜かしたら雪片で斬る」

 

 

 輝きを失った虚ろな目で呟く千冬に真耶は震えあがる。

 

 

「ま、まだ彼がホ〇とは決まっていません。もしかしたら両方イケるのかもしれないじゃないですか。諦めるのはまだ早いですよ!!」

 

「しかし、『男同士っていいな』と言っていたらしいぞ」

 

「女は駄目と言っているわけではありません!一時の気の迷いかもしれません!!!」

 

「・・・・・そう・・・だな。まだ間に合うかも知れんな」

 

 

 真耶の励ましに勇気付けられたのか、それともただ見たくない厳しい現実から目を逸らしただけなのか千冬はとりあえず精神の平衡を取り戻した。・・・・かもしれない。

 

 




大切に育ててきた弟にホ〇疑惑!?

千冬にとっては辛いでしょうね。しかし、斬ってはいけません。

↓この子達も悲しみます。
┌(┌^o^)┐ホモォ


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この辺りから気が向いたら分岐させたバッドENDとか18禁で上げるかもしれません。

この前に23話の無修正を上げているので、そこに上げると思います。需要はあまり無いでしょうが、偶にはそういうのも書きたいので。ソッチに興味の無い人はスルーしてください。こちらの話に影響してくる物ではありませんから。

読んでいただいてありがとうございます。

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