IS実習の為、アリーナの更衣室に着替えに来ている太郎、一夏、シャルルの3人は急いで着替えていた。いや、着替えていたのは太郎と一夏だけだった。
遅刻のペナルティを恐れ、2人は急いで制服を脱いでいた。
「うわぁ・・・」
その様子を見ていたシャルルの口から声が漏れる。顔も赤くなっていた。
「それにしても太郎さんの体って凄いなー」
「ふふっ、鍛えているので当然です」
太郎は身長が180cmを超え、そのうえ筋肉質な体型である。最近激しい活動が多く、本格的な訓練もしている為に筋肉が増量された。脱ぐとなかなかの迫力があった。
太郎は上半身裸。一夏はパンツ姿でシャルルはその2人に挟まれるような位置関係だった。シャルルは何故か嫌そうな顔をしていた。そして、制服を脱ごうとしないシャルルを一夏が不思議に思い、半裸状態で近寄る。
「どうしたんだ?早く着替えないと遅刻するぞ」
「う、うん」
「そうですよ。遅刻すると織斑先生の愛の制裁を受けることになりますよ」
太郎もサイドチェストのポーズをしながらシャルルへ距離を詰める。その時、シャルルは涙ぐんだ状態でとても追い詰められた表情だった。
(いい
『あまり追い詰めても可哀想ですよ』
(まあ、そうですね。今はこの辺りで勘弁してあげましょう。・・・・あと、レギオンで隠し撮りしといてください)
『女性である証拠が撮れれば色々面白そうですね』
いつまでもこうしていては遅刻してしまう恐れがある。太郎は一旦、シャルルを追い込むのを止めた。
「一夏、私達も無駄口を叩いている暇があったら着替えましょう。本当に遅刻してしまいます」
「確かに。シャルルも急げよ」
太郎と一夏は自分の着替えを再開し、着替え終わってシャルルの方を見ると既に着替え終わっていた。
「シャルルは着替えるのが早いな」
「そ、そうかな。普通だよ・・・」
着替え終わった3人は小走りに第2グラウンドへ向かう。
(美星さん、決定的な瞬間は撮れましたか?)
『いえ、胸部にサポーターの様な物をしていて決定的な証拠とは言えません。しかし、マスターは女性と確信しているんですよね』
(ええ、抱き上げた感じで分かります。あんな男はいません。それにしても良い画は撮れませんでしたか)
太郎と美星の企みはここでは大した成果は挙げる事は出来なかった。残念がっている太郎に気付かず一夏はシャルルの事をジロジロと見ていた。
「シャルルのISスーツ、なんか着やすそうだな。どこの?」
「デュノア社製のオリジナルだよ。まあ、これはほとんどオーダーメイドなんだけどね」
「えっ、デュノアってシャルルも確かデュノアって名前だったよな」
「うん。父がデュノア社の社長なんだ。量産機ISのシェアは世界第3位の企業で、フランス国内なら一番大きなIS関連企業だと思うよ」
一夏はそれを聞いて納得していた。
「あー、やっぱりな。シャルルって何か気品というか育ちの良さがあるから納得だ」
「育ち・・・ね」
一夏の言葉にシャルルの表情が曇る。それを太郎は見逃さなかった。
(何かあるみたいですね)
『調べてみましょう』
(それにしてもフランス出身で男装をしていて、名前がシャルルとは随分と皮肉が効いていますね)
『どういうことですか?』
(かつてのフランスに男装の英雄がいまして、彼女のおかげで王位に就いたのがシャルル7世という王だったのです。しかし、ある戦いで敵の捕虜になってしまった彼女をシャルル7世は助けなかったのです)
『・・・どうなったのです?』
(彼女は最終的に火刑になりました。ただ今でも彼女はフランスで有数の歴史的英雄として扱われています)
『シャルル7世というのは不快ですね』
(何か見捨てる理由があったのかもしれませんが、私があの時代にいれば彼の事を串刺しにしたでしょう)
表情の曇ってしまったシャルルを見て一夏は自分が地雷を踏んでしまった事に気付いた。そこで話を逸らそうと太郎に話題を振る。
「そう言えば太郎さんのISスーツは何処なんですか?」
「
空気を読んだ太郎がポージングしながら冗談めかして聞いた。
「すごく・・・・良いです」
躍動する筋肉、それを邪魔しない最低限の布地。太郎のISスーツ姿を改めて見た一夏はそう言った。その横でシャルルが「金玉」という聞き慣れない単語に首を傾げていた。
「金玉ってそのISスーツの名前なの?」
「
「俺も次は金玉にしようかな。シャルルも一緒に変えないか?」
「うーん、僕の立場上、他社製品を使うのはちょっと・・・。金玉も気にはなるんだけど」
そうこうしているうちに3人は第2グラウンドに到着した。ぎりぎり遅刻ではなかった。
明日は投稿休みます。申し訳ありません。
シャルが大変ですね。彼女には幸せになってもらいたいです。
今日もお付き合いいただきありがとうございます。