ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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第3章 二人の転入生
第28話 どちらでも構わん!!


朝のSHR(ショートホームルーム)

 

「えええと、皆さん今日は嬉しいお知らせがあります。なんと転校生です」

 

 

「「「ええええええ!!!!」」」

 

 

 IS学園は普通の学校とは違う。期の途中に転校してくるなどあまり聞いた事が無い。真耶の言葉でクラス中から驚きの声があがる。

 

 

「では、入って来て下さい」

 

 

 真耶がそう言うと教室の扉が開いて金髪の小柄な人物が入って来た。

 

 騒がしかった教室が一瞬で静かになる。その光景に誰もが喋れないでいた。入って来た生徒は男であった。

 

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。みなさん、よろしくお願いします」

 

 

 転校生が自己紹介をして軽く頭を下げた。

 

 

「お・・とこ?」

 

「はい、こちらに僕と同じ男のIS操縦者がいるとの事で本国から転入してきました」

 

 

 誰かが漏らした一言に転校生は丁寧に答えた。

 

 中世的で整った顔立ち、柔らかな物腰、髪は濃い金色でそれを後ろで綺麗に束ねている。小柄だが【王子様】然とした第一印象をクラスの大部分に与えた。

 

 

「「「きゃあああああああーーー!!!!」」」

 

「おと・・・こ、おとこよおおお!!」

 

「かわいい王子さまああ!!!」

 

「山田代表や織斑君とは違うタイプだよ」

 

 

 凄まじい反応だ。しかし、それも無理からぬ事、それだけシャルルの見た目は魅力的だった。

 

 そして、太郎もまた熱心にシャルルの事を見ていた。

 

 

 

 柔らかそうな髪と肌。

 

 小柄な体。

 

 瑞々しい唇

 

 高く綺麗な声

 

 

 

(イけますよ)

 

『イけますか?』

 

 

 まさか太郎と美星がそんな不穏な会話をしているとは夢にも思わないシャルルは、女子生徒達の質問に丁寧に答えていた。

 

 

(むしろ、あの子は女性じゃないですか?)

 

『ヴェスパを完全起動して骨格などをサーチすれば分かると思いますが、何故そう思ったんですか』

 

(私の息子がそう囁くんですよ。まあ、間違っていても良いんですが)

 

 

 ギンギンである。囁くどころではない。絶叫していると言っても過言ではない。

 

 

「五月蝿いぞ、ヒヨッコ共。(さえず)るな」

 

 

 千冬の一言で騒がしかった教室は水を打ったかのように静まる。

 

「今日は2組と合同でIS実習を行う。着替えて第2グラウンドに集合だ。山田と織斑は同じ男であるし、クラスの代表と副代表なんだからデュノアの面倒を見てやれ。では解散」

 

 

 千冬の解散の一言で生徒達は直ぐに実習の準備を始める。シャルルが太郎と一夏の席に近付く。

 

 

「やあ、山田さんと織斑君、これからよろしっ」

 

「ああ、そういうのは後だ。直ぐに更衣室に行くぞ」

 

 

 挨拶しようとしていたシャルルを遮り一夏が立ち上がり、シャルルの手を引き教室から出る。それに太郎も付いて行く。

 

 

(一夏が強引に行きましたね。彼も狙っているんでしょうか)

 

『なかなか貪欲な人ですね』

 

 

 更衣室に向かいながら太郎と一夏は着替えについて説明する。

 

 

「女子が教室で着替える場合、私達は速やかにアリーナの更衣室に移動しなければなりません。私たちが教室に残っていると女子は着替えられませんし、アリーナの更衣室は遠いのでのんびりしていると私達は遅刻してしまいます」

 

「遅刻はやばいんだよ。ウチの担任は怖いから絶対遅刻はしないよう気を付けないと大変な事になるぜ」

 

 

 太郎と一夏の説明を聞いているシャルルが落ち着かない様子だった。それを一夏が察した。

 

 

「どうした?トイレか?」

 

「ち、ちがうよ・・・」

 

 

 シャルルが顔を赤くして否定した。

 

 

(その表情(かお)いただきです)

 

『一夏君はなかなか良い仕事をします』

 

 

 そんな事を言っていると進行方向に女子の集団が現れた。

 

 

「噂の転校生よ!」

 

「他の2人もいるわ」

 

「逃がすな!者共、であえー!であえええ!!!」

 

 

 ゾロゾロと女子が増えて来る。

 

 

「まずい、太郎さん、デュノア、一気に突破しよう!」

 

「そうですね。下手に構っていては遅刻してしまいます。行きますよ、デュノアさん」

 

「う、うん・・・」

 

 

 3人は包囲の薄い所から一気に突破し、全力で走り出す。しかし、距離が広がらない。太郎はもちろん、一夏も走るのは女子より早い。だが、ディノアは追ってくる女子達と大して変わらない早さだった。

 

 

「このままでは逃げ切れませんね。デュノアさん、ちょっと失礼」

 

「ええええっ!!!」

 

 

 太郎は一言断りを入れてシャルルを抱え上げてしまった。そして、人一人を抱えているとは思えない加速を見せた。3人に逃げられた女子達はその【お姫様抱っこ】を見ながら悔しがった。

 

 更衣室に着き、シャルルを降ろして3人は着替え始めた。

 

 

 

 

 

 

 

(美星さん、シャルルさんは女の子です。あと逝っ〇しまいました。どうしましょう)

 

『どうせISスーツは裸で着るんですから大きな問題は無いでしょう』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




読んでいただきありがとうございます。


明日か明後日は投稿を休むかもです。

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