美星 視点
ある日、整備室で工作用のマニピュレーターを使って「更識 簪」をモデルに等身大フィギュアを作っている時に、不意にパートナーである太郎が妙に真面目な顔で話しかけてきた。
「美星さんに言っておきたいことがあります」
『急にどうしたんですか?』
「美星さんは戦闘に関しては指示した事以外は干渉しませんよね?」
私は一瞬言葉に詰まってしまった。
『・・・・・・普通はそういうものでしょう。戦闘中のISの操作に下手な干渉をするとマイナスにしかならないと判断します』
「美星さんは【普通】ではないと思いますよ。特別優秀で、私の特別な存在です。貴方ならもっと自主的に色々な事が出来るんじゃないですか?」
なんと言っていいのか分からない。自分が勝手に何かをやっていいのか、自分に何が出来るのかキモチを整理出来ない。本来ISは操縦者が動かすものだ。コアである自分が勝手に動かすなどありえない。しかし、こちらの困惑などお構いなしに太郎は無茶を言う。
「美星さんがもし、必要だと思うことがあれば私の許可無しでもやってください」
『・・・・・上手くやれないかもしれません』
「その時は私がフォローしますよ。だから私の手が届かない部分は美星さんがフォローしてください」
呆れてしまう。太郎はありえない事を言っている。
『自分のISに上手くやれなくてもいい、自分がフォローするなんて言う操縦者は貴方位のものでしょう』
「それはそうでしょう。そもそもISと会話している操縦者が私だけみたいですからね」
本当にどうかしている。やはり頭がおかしいのではないか。
『そう言うことではないです。私は意味も無く失敗するリスクを負わなくてもいいと判断します』
「意味ならありますよ。失敗してもいいじゃないですか。貴方は成長出来るんですから、経験を積んで上手くやれる様になれば私にとってもプラスですし、逆に私が成長すれば美星さんにとってもプラスになります。どちらか一方の為だけの関係ではなく、互いに助け合う。それがパートナーというものですよ。美星さんは遠慮しすぎです」
分からない
分からない
分からない
「それに私自身、美星さんに頼られるのも悪くないんじゃないかと思っているんですよ。」
一つだけ確かな事がある。私は世界中のISコアの中で1番幸せだということだ。
『マスター、貴方が望むのであれば私は今この時よりその様に成りましょう。』
「マスターって大袈裟ですよ。美星さん」
大袈裟ではない私は生まれて初めて道具としてではなくパートナーとして、【私】である事を望まれている。
これに答えられないなら
この機械仕掛けの
紛い物の
心など存在する意味も価値もない。
今この時より私は山田 太郎のパートナー【美星】として生きよう。
私を構成するプログラムの中でもプロテクトされた重要な部分を強引に書き換えていく。
今日から私に対する最高権限者は私を作った篠ノ之 束から【私】自身に変わる。
そして、最優先する事項は私のパートナーにして主である【山田 太郎】とする。
申し訳ありません。お母様、これからは私は【私】の望んだ道を行きます。
それが貴方の望まない道だとしても、仮に貴方と敵対する道だったとしても、私はもう止まりません。
何故ならそれがかつて太郎が星のような輝きを感じると言ってくれた私の魂が、心が望んだ事だから。
綺麗な丸城は、好きですか?
今回は真面目な回です。
このお話にこういった内容は望まれてないかもしれませんんが、今後の展開上どうしても入れておく必要があったのでこの様になりました。
強化+強化フラグ+エンディングに向けてのフラグです。
来週からはまた紳士諸君の望む内容になっていく予定です。
「貴方が落としたのは、このパンツを被った丸城ですか?それとも全裸でリンボーダンスをしている丸城ですか?」
お読みいただきありがとうございます。