ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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セシリアルート
失われた秘宝


 日が西の空へ沈んでから数時間、ここIS学園学生寮の生徒達もそろそろ就寝の時間。イギリスの代表候補生セシリアはベッドへ既に寝転がっていた。だが、彼女はすぐに眠るわけではない。いつもの日課が残っている。

 セシリアは使い古されてクタクタになっているISスーツを大切そうに持っていた。それはISスーツとしてはとても珍しい男性用のISスーツで、スポーツ用品メーカー金井玉島(かないたましま)製。マニアの間では金玉(かなたま)の愛称で親しまれるメーカーで太郎が愛用しているものだ。セシリアの持っているこれは、とある闇オークションで手に入れた太郎の使用済みISスーツである。

 セシリアは頭まで布団を被ると、ゴソゴソとナニかをし始める。布団の中からセシリアの押し殺すような声が漏れ出る。

 

☆☆☆

 

 

 拝啓、親愛なるお父様、お母さま、私は頭がおかしくなりそうです。

 最近ルームメイトのセシリアが毎晩ナニかしていて良く眠れません。ナニか、というかナニを致しているようです。色々聞こえてきて対応に困っています。今までは聞こえないふりをし続けてきましたが、そろそろ我慢の限界です。いっそ盗撮してY●uTubeにアップしてやろうかと、タイトルは「メシマズ国のIS代表候補生が●ナってみた」なんてのはどうでしょう。えっ、垢ban不可避? それはマズイ。

 下らない事を考えているうちに少し眠くなって……それにしてもホントにそろそろ何とかしないとな。

 

 

 目覚めると朝だった。時計を見て驚く。目覚ましで設定してあった時間より二十分程進んでいる。記憶には無いが、無意識のうちに鳴っている目覚ましを止めてしまったのかもしれない。これでは朝ご飯を食べる時間がほとんど無い。

 慌てて身支度しているとセシリアのベッドが視界に入る。ベッドには既にセシリアはおらず、恐らく食堂に行っているのだろう。

 

「まったく、起こしてくれても良いんじゃないかな。誰のせいで寝不足だと思ってんの」

 

 イライラしながら制服を着替える。その時、セシリアのベッドの上に小汚いISスーツを見つけた。まさかISスーツをネグリジェ扱いしているとも思えないが、それなら何故ベッドの上にあるのか。洗濯するつもりで出しておいて忘れていったのだろうか。手に取ってみると本当に汚い。

 ほんと、だらしない子ね。英国貴族の誇りだのなんだと普段から言っている割に抜けている。

 汚れたISスーツをつまんで自分の洗濯かごへ入れる。今日の放課後は練習機の予約が取れなかったし、溜まった洗濯物をまとめて洗濯するつもりなので、ついでにこれも洗ってしまおう。

 

「私ってお人好しだな~。まあ、ついでだしね」

 

◇◇◇

 

 専用機持ちの代表候補生達は、ほぼ毎日放課後は実機による訓練を行っている。専用機は操縦時間が長くなればなるほど経験が蓄積され、その性能をより多く引き出せるようになる。まさに成長するのだ。その為特別な理由が無い限り、専用機を持っている代表候補生達は一分一秒でも多く実機訓練をする。

 イギリスの代表候補生たるセシリアも例外ではない。親交のある専用機持ち達と今日も放課後は訓練に励んだ。そして、寮の自室へと帰って来ると、自分のベッドの上に畳まれたISスーツが目に入る。

 

「あら? わたくしとした事が仕舞い忘れていたのかしら」

 

 セシリアは太郎の使用済みISスーツを手に取る。そこで彼女は気付く。何か変だと。

 畳まれたISスーツはとても綺麗な状態だ。ハッとしたセシリアはISスーツを鼻に押し当て匂いを嗅ぐ。セシリアの鼻腔にほんのりと洗剤の匂いが広がる。

 

「ま、まさまさ、まさかかかかかっかか」

 

 ガチャっと扉が開く音がしてセシリアがそちらを振り返る。そこにはルームメイトのアリシアがいた。

 

「あれっ、セシリア帰ってたんだ? ああ、そのISスーツ汚れてたから洗っといたよ」

 

 アリシアの言葉にセシリアは愕然とする。セシリアも匂いを嗅いだ時点で、そうではないかとの考えがよぎっていた。しかし、改めて事実を突きつけられ、セシリアの思考はショート寸前。今すぐ会いたいっよ。

 セシリアは膝から崩れ落ちる。

 折角の使用済みISスーツが、折角の太郎の汗やらなんやらが付いたままのISスーツが。とても綺麗になってしまった。世界中の紳士淑女ならこう言うはずだ。それをあらうなんてとんでもない、と。未洗濯と洗濯済みの間には天と地、チ〇ポとイン〇ほどの差がある。

 大きすぎる心的ダメージはセシリアの理性を完全に失わせてしまった。

 

「あばばばばばばばばあばあばばばば、むしゃむしゃ」

 

 ゲロゲロゲロ。狂ったセシリアはISスーツを咀嚼(そしゃく)した後、ゲロを吐いて気を失ってしまった。

 その凶行を見せつけられたアリシアは呆然と立ち尽くすことしか出来なかった。

 

「なんなの……この状況?」




読んでいただきありがとうございます。

更新が随分止まってしまってすみませんでした。
しばらくの間、特殊な性癖にハマっていたのでこういうノーマル気味な下ネタが書けませんでした。大分戻って来たので週一ペースで逝けるように頑張ります。

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