ISー(変態)紳士が逝く   作:丸城成年

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 ドイツ軍中将、フォルカー・マテウスは窮地に立たされていた。フォルカーの前には全裸の太郎が仁王立ちしている。そして後ろは壁、逃げ場は何処にもない。基地へ太郎を招いた夜、フォルカーは突然太郎に襲われたのだ。


「もう逃げられませんよ」

「くっ、何故こんな事を?」


 フォルカーには太郎の考えている事など全く分からない。それが余計に恐怖を感じさせた。フォルカーもかつては精鋭と言っても過言ではない実力を持っていた。しかし、老いとデスクワークが彼から戦闘能力を奪ってしまった。眼前の太郎は、今の自分に勝てる相手ではないとフォルカーにも分かっていた。それでも最後の賭けに出る。

 拳銃を素早く抜き放ち、太郎へ向ける。しかし、太郎はそれを読んでいたのか、素早く間合いを詰めてフォルカーの手首に手刀を落とす。

 鋭い手刀にフォルカーは拳銃を取り落としてしまう。フォルカーは手首を押さえて後ずさる。


「頼む、なんでもするから命だけは助けてくれ」

「ん? 今なんでもするって言いましたね」
























などという展開はありません。


第108話 ヤマダ春のパンツ祭り

 シュヴァルツェ・ハーゼの隊員達への「貴方達を鍛え抜いてあげます」という太郎の宣言後、隊員達はサバイバル訓練などに使われている森の演習場へと連れて来られた。基地から近かったので、30分も掛からなかった。

 

 整列した隊員達の前に太郎が腕を組んで立つ。太郎が隊員達を見回すと彼女達はかなり緊張した様子で、どこか怯えている節すらあった。太郎はヴェンデル達を凹ました時に、少し厳しく言い過ぎたかなと心配したが、普通軍隊は厳しいものなので、あの位なら問題無いだろうと思い直した。

 

 ちなみに当のヴェンデル達もこの場に連れて来られている。ヴェンデルは意外と軽傷であった。軽い切れ痔になっただけなので今から行われる訓練にも強制参加である。ルッツも大きな怪我は無かったが、未だ意識が戻っていないので邪魔にならないよう、列から少し離れた場所に転がされている。

 

 

「それでは早速、今から始める訓練の説明をします」

 

 

 太郎の話を隊員達は固唾を呑んで聞いている。太郎に対する畏怖がそうさせているのだ。自分へ集中している隊員達の様子に、太郎は満足しつつ説明を始めた。

 

 

「良いですか。兵士の基本は走る事です」

 

「あの……走り込みなら先程もしていましたし、装備を持った状態での長距離走もしますよ」

 

 

 説明は始まったばかりだが、太郎へクラリッサが恐る恐る指摘した。しかし、そんな事は言われるまでも無く太郎も知っている。太郎は話にならないとばかりに、手で払うような仕草を見せた。

 

 

「それでは駄目です。ただ漫然と走っていて何の意味があるんですか。より実戦的、より必死でないと意味が無いんですよ」

 

 

 太郎の【実戦的】という言葉に、隊員達は震え上がる。太郎にとっての実戦がどれほど危険なものかを隊員達はもう知っている。つい先程ヴェンデルの身に降りかかった不幸は、彼女達の脳裏に刻み込まれていた。

 

 戦々恐々としている隊員達へ、ついに太郎が具体的な訓練内容を明かす。

 

 

「これから一時間、私が貴方達を追いかけます。貴方達は私から逃げてください。私に捕まり下着を奪われたら失格となり、下着は没収とします。これならば貴方達も少しは必死になるでしょう? 私としても犯る気が出ますし、一石二鳥です」

 

「それってセクハラなのでは……」

 

 

 整列していた隊員の中から、もっともな感想が漏れた。太郎は怖いが、誰が言ったか分からないと思って言ったのだろう。だが、そんなに太郎は甘くない。目をカッと見開き、正確に発言した隊員の方を向いた。隊員は完全に太郎と目が合ってしまい一瞬固まった後、震えながら目を逸らす事しか出来ない。

 

 

「貴方は実戦で敵にもそう言うんですか。セクハラです。止めて下さいと」

 

「い、いえ……でも敵が下着を奪う事なんて無いのでは?」

 

「そうですね。実戦なら下着どころか、それ以上のものを奪われますよ」

 

「うっ、そ、それは……」

 

 

 太郎の切り返しを聞いて、先程の隊員は反論出来ずに口篭ってしまう。そこへ太郎はさらに追い討ちをかける。

 

 

「貴方みたいな人が真っ先に捕虜となるんですよ。その後、くっ男になど屈するものか、などと言って一時間後にはダブルピースしながらオ○ンポには勝てなかったよ、と言う羽目になるんです」

 

「ダ、ダブルピースって??」

 

 

 ダブルピースの意味は分からないが、隊員も厳しい事を言われている事くらいは理解出来る。それ以上は反論しなかった。この時は他の隊員達もほぼ全員、太郎から目を逸らすだけで特に発言しなかった。

 

 そこで太郎は隊員達が全員訓練内容に納得したと判断して「それでは訓練を開始しましょう」と言った。しかし、今更文句を言い始める者がいた。

 

 

「なんで私がこんな下らない事をしなきゃなんねえーだよ」

 

 

 ティナ・ヴェンデル。先程へこまされたばかりなのに懲りない少女である。

 

 他の隊員達はその様子を見ながらもジリジリと太郎から距離をとろうとしている。下手な事をして目立っては命取りだと理解しているのだ。

 

 太郎は学習しないヴェンデルに呆れながら一歩一歩ゆっくりと彼女へ近付く。それに対してヴェンデルは、近付いてきた太郎の胸倉を掴み、頭突きをする様な勢いで引き寄せて思いきりメンチを切る。

 

 

「やんのか? さっきみたいにはイカねえぞ。ボケがっ!!!」

 

 

 いつの時代のチンピラであろうか。使い古された恫喝に太郎は呆れを通り越して、何処でこんな日本語を覚えたのだろうかと不思議に思った。しかし、その疑問を解決するより先にヤる事がある。折角獲物が逃げず、手の届く所にいるのだ。これぞ飛んで火にいる夏の虫である。

 

 太郎は目にも止まらぬスピードで屈む。ヴェンデルがTシャツを掴んでいた為、脱皮をするように脱げてしまう。

 

 

「ちょっ、テメー何す──────────」

 

 

 太郎の突然の行動に戸惑うヴェンデルだったが、太郎はそれを無視して両足タックルを仕掛けた。彼女の両足を抱え、一瞬持ち上げる。そして、太郎は片膝を地に着き、突き出した膝の上へヴェンデルを落とした。ちょうど手負いの尻が膝に当たる様に落とされ、ヴェンデルは目をむいた。所謂マンハッタンドロップという技である。

 

 

「あがっ!? fwじょふぁうえtくぉwtqjf」

 

 

 太郎は言葉にならない悲鳴を上げるヴェンデルを放してやる。するとヴェンデルはうつ伏せ状態で、尻を押さえて悶え苦しむ。懲りずに挑発したうえ、この姿である。ダサすぎる。清清しいまでのピエロだ。

 

 

「ぐぉぉぉぉぉぉぉ……」

 

 

 呻き声を漏らすヴェンデルであったが、他の隊員は助けるどころか蜘蛛の子を散らすが如く散り散りに逃げていった。逃げる機を窺っていたのだ。そう、太郎は既に訓練の開始を告げていたのだから、不用意に近付くなどもってのほかである。ヴェンデル以外の者達はそれを理解していたので、逃げるのも早かった。

 

 本来であればヴェンデルも仲間なので助けようとする者がいてもおかしくないのだが、今回は流石に見限られた。むしろ多くの隊員は、これに懲りて少しは大人しくなれば良いと考えて放置した。それとヴェンデルが囮として機能しているなら好都合だと考える少数派もいた。

 

 太郎は逃げる隊員達へチラリと目を向けたが、先にヴェンデルを仕留めておく事にした。悶絶しているヴェンデルから乱暴にブラを剥ぎ取り、さらにはズボンを脱がす。

 

 

「やめ、やめっいた、痛っ!?」

 

 

 バッシーン!!! 

 

 尻の痛みを堪えて抵抗を始めたヴェンデルだったが、太郎に尻を叩かれ再度悶絶する。その間に太郎はヴェンデルのパンツを奪い取った。少し血の付いたパンツを眺めて、太郎はヴェンデルへ哀れみの目を向けた。

 

 

「貴方くらいの年から痔なんて大変ですね」

 

「オメエーのせいだろっ!!」

 

 

 悪びれもせず、他人事のように言う太郎へ、ヴェンデルが怒りを露にする。そんなヴェンデルに太郎は軽く肩をすくめて見せた。

 

 

「その位の傷なんてツバでも付けておけば直……いや待って下さい。仕方がありませんね。私が舐めてあげましょう」

 

 

 乗り気ではないが仕方が無いな~という感じで太郎がヴェンデルへにじり寄る。

 

 

「来んなっ、コッチ来るんじゃねえええ」

 

 

 必死の形相でヴェンデルは地面の石や土を太郎へ投げつける。ヴェンデルもやっと太郎の恐ろしさを理解したようだ。その様子は太郎の嗜虐心を煽ったが、この訓練は一時間という制限時間がある。太郎は隊員達が逃げ去った森の奥へと視線を移す。この広い森の中を一時間で調べ尽くすのは太郎であっても簡単ではない。こんな所で遊んでいる時間は無いのだ。

 

 太郎はヴェンデルへの興味を抑え、狩りに集中する事にした。

 

 兎たちが逃げ惑う森の中。一人の狩人が逝く。

 

 




そう言えば黒兎隊の子たちは唾液に治療用のナノマシンが含まれているんですよね。
痔になったら私も舐めて貰いたいです(直球)

読んでいただきありがとうございます。

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