第二話
更に暫く後、俺が入院してから一カ月ほど経った。
その間、進展したことは殆どない。
記憶は相変わらず戻らず、検査とカウンセリング漬けの生活が続く。
次元世界パンフレットは数日で飽きた……。基本似たような世界ばかりだし、一つの世界に何百何千という国家が連立している場合もある。その一つ一つに目を通す作業は、はっきり言って苦痛だった。見覚えのある世界は、それが果たして自分の世界なのか、それともさっき似たような世界をパンフで見たからなのかの判別もできなくなっていた。
ということで、現在リフレッシュと称して、パンフは埃を被せてある。
最近の興味はもっぱら自分の能力の探索である。そしてこの件に関しては少々以上に驚くべき事実が明らかになる……。
記憶喪失だと、自分が何が、どこまでできるのかが分からない。自分はナイフとフォークを使えるし、トイレにも行ける。じゃあそれ以外は? やってみなければ分からない。
病院内ではできることは限られる。外出は許可されていない。
まぁ、手頃のものでチャレンジしてみようと、まずはジャグリングからやってみることにした。理由は特にない。思いつきである。
湯呑みを五つほど持ち、中庭に出る。湯呑みを使うのは、手近にあり、手頃な大きさだったから。出来るだけ目立たない、隅の木陰で、ジャグリングを開始する。
すると、結構あっさり出来てしまった。三つ、四つ、五つと増やしていっても、自分の手は淀みなく対応し、湯呑みは華麗に宙を舞う。
もしかして自分はジャグラーだったのか? サーカス団の一員だったのではと想像を膨らます。
そこで、ふと我に返ると、辺りに結構な人数の見物客ができていた。客は当然この病院の入院患者。興味津々でこちらを見ている。
「兄ちゃん、すごいもんだねぇ。こんな見せもん初めて見たよ」
中の一人が褒めてくるので、つい調子に乗ってしまう。
「このぐらい余裕だよ。倍に増やしたっていいくらいだ」
その言葉に沸いた患者たちは、どこからともなく湯呑みを調達してくる。
「適当に、投げ込んでみて。一つずつね」
そう言って、周囲から放られる湯呑みをキャッチし、輪の中へ溶かしこんでいく。
その数が十を数えても、変わらず宙を舞い続ける湯呑みに、周囲は感嘆の息を漏らす。
さっきは冗談だったが、もしかしたら本当にサーカス団の一員だったのかも、と思い始めた。
その時には噂を聞きつけた患者によって、周囲にはちょっとした人だかりが形成されていた。入院患者というのは基本暇を持て余し、刺激に飢えている。
全く乱れない俺の手さばきに、ならばどこまでいけるのかと、当然のようにそういう流れになる。
一つずつ、増えていく湯呑み。全く乱れず、速度だけを上げていく腕。
湯呑みの数が二十を数えた瞬間、辺りに歓声が響き渡った。
自分も口を釣り上げる、が、この時に至って、俺は内心波一つ立たず、冷静だった。
俺の目は宙を舞う二十の湯呑みの動きを全て捉えており、キャッチする腕は目にもとまらぬ速さを維持しながらも、一ミリの狂いもなく動作を繰り返していた。これは明らかに非常識だ、という思いと、これぐらい出来て当然、という思いが同時に湧く。
――俺はジャグリングなんてしたことがないな。
そう、確信した。
自分のこの芸当は、圧倒的な動体視力と身体能力に任せたもので、訓練の果て習得した“技術”などではない、ということが理解出来てしまったのだ。
その後は、当然のように職員に騒ぎが見つかり、何をしているのか、と厳しい叱責の声が飛んでくることになった。
俺はコップを全てキャッチし、地面に綺麗に一列に並べると、まだ職員の視界に入らないうちに、散り散りになっていく患者に紛れ、その場を離れた。
病院のジムの使用許可を取ってくるべきだろうか……。自分の身体能力について、疑念を抱かずにはいられない出来事だった。
それから数日、未だに決めかねて院内をうろついていた。
ジムを使うとなると、現場を目撃される可能性が高い。先日の一件や、あれから他にもいくつか試した結果を鑑みるに、自分の身体能力はちょっと人外じみている。
それを周囲に見せつけることが正しいのかどうか、決めかねていた。
そんなこんなで唸りながらいると、自分の持つ端末に連絡が入ってるのに気付く。
来客あり、とのことだ。
部屋の前に来る。来客は既に中にいる――気配を感じる――二人だ。
ドアを開ける。
そこにいたのは予想通り二人――見覚えはない――の女性だった。正確には、一人の女性に一人の子供である。こちらを振り向いた。
「あ! お兄ちゃんだ!」
――と子供の方が声を上げ、駆けよってくる――いやそのままこちらに突っ込んできた。
避けるわけにもいかず、受け止めてやると、その子は嬉しそうにしがみついてきて、更に俺を混乱させる。
こちらを笑顔で見上げる子供――長い金髪を大きく左右でとめた、可愛らしい女の子――をまじまじと見返し、首を捻る。
――お兄ちゃん? 妹、じゃないよなあ。似てなさすぎる……。
困惑のままに奇妙なお見合い状態を続けていると、もう一人の女性――紫がかった黒の長髪を持つ美人。少々やつれて見える――が苦笑しながら近づいてくる。
「駄目よ、アリシア。そんないきなり、お兄さんに失礼なことしちゃ」
窘められた女の子は渋々といった態で、俺から離れていく。
「ごめんなさいね、この子ったら。あなたに会えるのが楽しみでしょうがなかったの。とにかく、まず自己紹介からさせてもらうわね。私はプレシア。プレシア・テスタロッサ。この子は娘の――」
「アリシアだよ! アリシア・テスタロッサ! よろしくね、お兄ちゃん!」
元気いっぱいに挨拶してくる娘に、微笑ましそうに見つめるその母親。
和む光景だが今はそんなことどうでもよくて……。
プレシアにアリシア。テスタロッサ親子。いつか聞いた、この人たちは確か――
「俺が気を失っている時に、一緒にいたっていう……」
正確には、なぜか俺が彼女たちの家に勝手に上がり込んでいて、残された娘と一緒に気を失っていたって話だったが。
「そうだよ。お兄ちゃんが私を助けてくれたんだよ」
「え?」
「アリシア、少し黙っていなさい。お兄さんが困っちゃうわ」
「助けた? 俺が、その子を?」
その言葉通り俺は困っていた。だが、とりあえず今伝えておかなければならないことがあるのに気付いた。
「あーその、そちらは私の事を知っておられる様子なんですが、実は私、今現在記憶喪失中でして、自分の名前すら思い出せないんです」
「えぇ……あなたの記憶の事は受付で聞きました。あまりのショックに、悔やみの言葉もないわ……その原因に、私が関わっているかも知れないとなると、尚更……。」
沈痛そうな面持ちで顔を伏せるプレシア・テスタロッサ。その横で、アリシア・テスタロッサも、習うように項垂れる――元気に跳ねまわっていた左右の髪束も一緒に萎れているのが面白い。
しかし――
「記憶喪失の……原因……?」
「そうなの。今日あなたに会いに来たのは、そのことについて話をするため。お礼と、謝罪をするため。そして出来ることなら、あなたの力になれないかと思って……」
「……とりあえず、座ってください。お茶だしますよ」
あの事故はとある新型の大型魔力駆動炉の暴走によって引き起こされたものだった。
私はその魔力炉の設計主任だった。問題は山積みで、仕事も辛く苦しかったが、このペースでならばスケジュール通りに運転が開始され、ミッドチルダを支える新たなエネルギー源が完成する予定だった。
そして全てが終われば、自分の人生を、娘のために使おう、と決心していた。
アリシアは優しく、聞きわけのいい子だった――いや、そうさせてしまった――から、寂しい生活を黙って我慢してくれているが、それを強いる生活ももうすぐ終わる。
夢と希望が、あった。
しかし、雲行きが怪しくなる。
ここに至って新たな問題が発生したのだ。上層部からの指示による人事異動、数か月の予定の繰り上げというもはやちゃぶ台をひっくり返すようなスケジュールの大幅変更。ここに至って会社についていけず、辞めていくスタッフ、その後始末。
そのような体制の元で完成した魔力炉――“完成”という言葉を鼻で笑う――は“予定通り”に運転が開始された。それがあの運命の日。
結果は見事に失敗だった。
魔力炉は始動から約30分後に暴走を開始。その時点でこのプロジェクトは失敗も同然だったが、そこまでなら想定の範囲内だった。暴走した駆動炉を事前に決められたマニュアル通りに停止すればよかったのだ。それが出来れば……。
出来なかった。
いくつもの安全装置や緊急停止プログラム、何重ものフェイルセーフがことごとく不発に終わり、結果魔力炉内で反応を起こしていた魔力素は、施設内どころかその外までも覆い尽くすことになる。
その魔力素は、有害だった。
「私たち社員は無事だった。遮断結界によって魔力素から完全に守られていた」
他の何も守れなかったのに、自分たちの身を守る術にだけは長けていた。
「ただアリシアは違った。あの日、施設の近くにある社宅で留守番をしていたアリシアは。家には万が一に備えた結界が張ってあったのだけれど、あの魔力素を防げるものではなかった」
すぐにでも駆けつけたかったが、周囲に強硬に止められ、行けなかった。狂乱状態だった。
防備を固めた部隊が周辺の調査、救助にかかるまで一時間要した。
その時点で私は絶望一色だった。あんな死の世界で一時間も放っておかれてアリシアが無事なはずがないと。
それでもただ祈り続けた――アリシアの無事を。それしか出来なかったのだが、そんな祈りすら、技術者としての自分が否定する――もう間に合わない、分かっているだろう、と。
そんな、身を裂くような時間が過ぎて行ったのだが、そこで一つの報告が入る。アリシアが無事だと、意識こそないが立派に生きていると。
奇跡だと思った――当時は本気でそう思った。
安堵によって脱力し、思わず人目も憚らず泣きだしてしまいそうになった――その直後、もう一つ謎の報告が知らせられた。
―― 一緒にいた男性も無事です。
―― 一緒にいた、男性……?
そんな人がいるはずない。アリシアはいつも家で一人で――山猫のリニスと一緒だが――過ごさなければならなかったのだ。その家に、男が……?
知り合いかどうか聞いてくる声に、そんな筈はないと無意識に答えながら……
正直な話、ここで私はものすごく、“いやな予感”を感じてしまった。
それに急かされ、アリシアが運び込まれた病院に向かった。
アリシアは有害な魔力素に長時間晒され続けたので、当初は隔離されて検査を受けなければならなかった。場合によっては数日かけて洗浄処置を受けることになるだろう。
しかし、アリシアは数時間検査を受けただけで――母親と言うことで特別にだが――面会を許してもらうことができた。
「いや、健康すぎるほどに健康です。あの状況で無事だったこともそうですが、体のどこにも、汚染の跡が全く見られない。驚くべきことです」
医者はそう語り、そしてそれは事実だった。
目の前のベッドで落ち着いて寝息を立てるアリシアは、どこもかしこも、全く無事だった。
私はベッドに突っ伏し、ひとしきり泣き続けると、ようやくまともに頭が働くようになってきた。そして、もっと早く思い至るべきことだったことに、ようやく気付いた。
これは、奇跡などではない。アリシアが助かったのは、そんな曖昧で不確かな理由ではなく、もっと明確な理由があったのだと。
そしてそれは、一緒に倒れていたと言う男性の手によるものだったのではないか。
その考えは、後日、確信に変わる。
翌日に目を覚ましたアリシアが、あのお兄ちゃんに助けてもらった――方法は分からないが――と声を大にして語ったこと。
そして事故の被害状況をまとめた資料を見た時――被害はかなり広範囲にわたっており、より遠くにいた人たちにも、死傷者が出ていたが、そんな中、明らかに致死量を超える濃度の魔力素の中、自宅にいたあの二人だけが無事だったこと。
「それが分かった時、一刻も早くあなたに会いに行くべきだと思ったわ。でも私はあの事故を起こした施設の技術責任者。この一カ月はどうしても時間が取れなかった。ようやく手が空いたのが今日だったのだけれど……あなたは記憶を失っていた」
「…………」
「あなたが記憶を失ったのは、あの事故が原因かもしれない……本当に、ごめんなさい。……そして、アリシアを助けてくれて、ありがとう」
涙ながらに頭を下げるテスタロッサさんから目をそらし、手元のコップを見つめる。お茶の表面に、反射した自分の顔が映っている。
正直、記憶喪失の原因が彼女の言う通り、その事故によるものであったとしても、それに対して思うことは、特になかった。子供――アリシアを、どうやってか助けたことに関しても同様である。言われても、思い返せない。
俺が興味があったのは自分の過去を知るための手掛かりがあるかどうかで、残念ながらテスタロッサさんの話からはそれが見つからなかった。
なぜ、そしてどうやってアリシアを助けたのか。気になるのはその部分だったのだ。
素直にそう言うと、テスタロッサさんは顔を上げ、悲しげに微笑んだ。
そんなことを言うのは、自分が記憶を失わせてしまったせいなのね、というように。
気まずい思いをしながらお茶を飲み干すと、ノックが聞こえてくる。
返事をすると、ドアが開き、いつもの医者と、アリシア――話しの間、外に出ていてもらった――が入ってきた。
「お母さん、お話、終わった?」
「……ええ、とりあえずはね。その方はお医者さんね」
「うん。お兄ちゃんに用があるんだって」
アリシアはトテトテと近寄ってきて、ベッドの俺の横に座り込んだ。
「…………」
親愛をこめた目でじーっと見つめられると、居心地が悪くてしょうがない。彼女が俺を慕う理由は分かったが、あいにく記憶にないのだ。
この場は逃げよう。
「あー、その、センセイ、何か用ですか。今日、検査ありましたっけ?」
「いや、予定は入ってないね。ただ、君に来客だと聞いたものでね。もしかしたらそれがきっかけで、記憶を取り戻すこともあるのではないかと思って、様子を見に来たんだよ」
「そうですか……態々。いや、残念ながらそんな気配はありません。全く……」
「あの、よろしいですか。彼の記憶に関して、何か進展はなかったのでしょうか?」
「え、あーっと……」
テスタロッサさんの質問に、医者は言い淀む。来客とは言え部外者に話すものか迷ったのだろう。……まぁ、隠すものでもないな。
「進展と呼べるようなものは、あいにく全く。連日検査とカウンセリング漬けですが、効果無しって所です」
「そう……」
何か考え込むテスタロッサさん。
「お兄ちゃんは、まだ退院できないの? 退院したらどうするの?」
「うーん、今のところその気配はないなぁ。記憶が戻らないと当てもないし。とりあえずもうしばらく病院生活だね」
それでいいんですよね、と医者に確認してみると、彼は大きく頷き、
「もちろん。快復していない患者を放り出すようなまねはしないよ。君は気にしなくていい」
という言葉を頂いた。そうなるだろう。
その後、医者は出ていき、テスタロッサ親子とは適当な世間話をして、その日は過ぎて行った。
「そろそろ君も、名前を決めないと不便だよねぇ……」
更に一週間経った頃、そんな話が医者から飛び出た。
ちなみに、もう言うまでもないことかもしれないが、記憶は欠片も戻っていない。身体能力に関しては、今は隠しておくことに決めた。退院してからでも計る機会はあるだろう。
「名前ですか。……そう言えばありませんでしたね」
病院にいる限り、俺に用のある人物は限られるので、名前が無くとも不自由を感じなかったのだ。
「ここまで進展がないというのは意外だったからね。そろそろ名無しの権兵衛を卒業してみないかね?」
「はぁ……。それって、勝手に決めていいんですか?」
「構わないだろう。あくまで便宜上の事だし。どうしても必要だと言うなら姓名判断の出来る人を呼ぶが」
そこまでする必要はないよなぁ、と部屋に戻り、端末を弄りながら考える。画面にはこの世界の一般的な名前のリストが表示されている。気に入ったものがあれば教えてくれとのことだ。
病院の人からは君、とかあなた、もしくは患者ナンバーで通っていたし、お兄ちゃんと呼ぶ例外もいるが、それはアリシア・テスタロッサ一人である。
そう言えばテスタロッサ親子だが、あれ以来ほぼ毎日、俺を訪ねてきている。念のためアリシアに検査を受けさせているという話だが、そのついでにしても律儀な話である。
「……うーん、マイクル、アーサー、ジェイムズ、オースン、ロバート……うーん」
どの名前もピンとこない……。多分どれ選んでも違和感感じるだろうな。
もう、適当に決めるか。こだわりがあるわけでも無し。
よし、姓、名を無作為に一つ選び出そう。それでいいだろう。
「一緒に、暮らさないか……?」
「ええ、あなたが良ければ是非。アリシアも喜ぶわ」
「お兄ちゃん、一緒に住もうよ!」
ある日、いつものように部屋を訪れたテスタロッサ親子から、驚きのお誘いを受けた。病院を出て、私たちと暮らさないか、という提案である。
「あなたが目を覚ましてから、もうしばらく経つわ。でも記憶はいっこうに戻らない。だったら一度病院から出て、違う空気を吸いに行ってみないかしら。いい刺激になると思うの」
「…………」
「いやなの……お兄ちゃん?」
「そういうわけじゃないんだけど……」
悲しそうに目を潤ませるアリシアに言葉を濁す。
正直、自分としてもこれ以上病院で治療を続けていても効果がなさそうだな、と思い始めていた。何せもうひと月以上経つのに、全く進展がないのだ。それに自身、入院生活に飽き飽きしていた。
そういう意味ではこの申し出は渡りに船と言える。
しかし――それでもやはり――記憶喪失の怪しい男と一緒に生活しようと言うのは、彼女たちにとってハードル高くないだろうか。テスタロッサさんは罪滅ぼしのつもりなのかもしれないけど……。
「そちらの、迷惑になりそうな気がするのですが」
「私は大丈夫だと思うわ。出会ってから一週間ちょっとだけれど、信頼できる人だと思う。アリシアもすごく懐いちゃっているしね」
肯定するようにじゃれついてくるアリシア。
「…………」
この一週間頻繁に会いに来ていたのは、その辺りの見極めがあったのだろう。俺も、彼女たちの事は不快に思ったりはしていないし、外の世界に対する興味も大きい。
「どうしても気になるというのなら、一時的でもいいわ。あなたがこちらの世界で暮らしていけるように、手伝いをさせてもらうわ」
――よし。そういうことなら、お言葉に甘えるみようか。
単なる恩返しのつもりだったなら断っただろうけど、彼女たちなりに俺の事を信頼できる、という根拠を見つけたというのなら、俺も断る理由はなかった。どうしても問題があるようなら出ていけばいいことだ。
「分かりました。その、そう言ってくれるのでしたら、これからよろしくお願いします」
喜び、跳ねまわるアリシアと、そんなに堅苦しくしなくてもいいと微笑むテスタロッサさん。
「改めて自己紹介を。俺の名前はアンドルー。アンドルー・アヴェンタです」
ここから新しい人生が始まるのだと、そんな予感がした。