暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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学園祭編。
二日目。


八十九時間目 縁の時間

学園祭二日目に入った。一日目は雪ノ下さんと潮田の客のユウジとやらや殺し屋達のお陰でそこそこの売り上げを出せたが、A組と比べると勝負にすらならない。そもそも今回の敵は浅野率いるA組だけじゃないからな……俺らは準備のためにE組校舎へ向かおうとすると……

「なんじゃこりゃ!?」

E組校舎のある裏山の山道に行列が出来ていた……どういうこと?

「ひ、比企谷君の言う通り、二日目にお客さんが流れてきたね……」

「いや、神崎。見る限り客は外部からの人ばっかりだぞ?」

よく見るとテレビ局までいる。いったい何が……

「大変! ネットで口コミが爆発的に広がっててさ」

「ネット……海老名さんのブログでの宣伝が予想以上に聞いてるのか?」

「いや、私のじゃなくて、昨日のお客さんの中に今人気のグルメブロガーが居たみたいで……」

不破と海老名さんと律の説明から言うと、昨日の潮田の客のユウジと言う男子は『ボンボンが行く!! 法田ユウジの食べ歩き日記』という金持ちのボンボンという自分の立場を利用し交通費や食事代などを金に任せたを食べ歩きと良いもの沢山食っていたお陰で舌も折り紙つきで大人気らしい。そのブログには最新の記事にこう書かれていた。

 

『椚ヶ丘の学園祭でメチャうまい店と出会いました。

詳しいメニューは次の記事で書くけど、人生観が変わりました。

不利な立地を逆手に取った自給自足の食材の数々!

「欠点や弱点を武器に変える」店で働く友達がそう言ってたのを聞いて、偉大な親の影に隠れて甘やかされ、どこかそれを後ろめたく思ってたのに自分が……なんかアホらしくなりました。

甘やかされた小遣いだって自分の武器。

皆の役に立ちゃいいので、開き直ってオススメ情報を発信します!

まずは人生観が変わる山の上の店。味わえるのはあと一日だけ!』

 

……と、恐らく『あと一日だけ』の言葉がこの人数の客を呼び寄せたようだ。さらに言えばこの法田と言う奴は有名なキャスターの息子らしいからテレビ局も話題に出来ると言うわけか……

こりゃ、来年再来年の為にもレシピ集でも作って残しておく必要があるな……いや、来年地球があるかもわからんが……

ひとまず開店準備をする。

そこからは、大変だった。

作っては運び、山に入って食材を探し、と大忙しだった。

さらには外部からの客ばかりではなく、杉野の伝の野球部の進藤達、土屋を中心とした前原の元カノ女子達。片岡に依存していた多川。モブ代表の田中、高田など、予想通り初日にA組で財布の中を絞られた奴等が流れてきた。

『うおおっ! うめぇ!』

『くっそ、昨日、A組で使いすぎなきゃ他のも食えたのに……』

このような言葉が少し聞こえた。

このままいけば勝てるかも。と思ったのもつかの間だった。

「大変です! どんぐり麺の在庫がもうすぐ無くなります!」

なんだと!? くそ、予想以上に売れたからな……

「残り時間はサイドメニューだけで粘ろうよ」

「山の奥へいけば在庫はまだありそうだぜ、ハァハァ」

それならなんとかなるか……と思いきや栗の置物に擬態している殺せんせーが言う。

「いえ、ここらで打ち止めにしましょう。これ以上の採れば山の生態系をも崩しかねません」

倉橋も近くで唸っている。確かにそうかもな……

「植物も、鳥も、魚も、菌類も、節足動物も、哺乳類も、あらゆる生物の行動が『縁』となって恵みになる。この学園祭で実感してくれたでしょうか、君達がどれほど多くの『縁』に恵まれて来たことか」

確かにな……客を思い返せばわかる。

「比企谷ですら、クラス外に縁があったからな」

「うるせぇよ!」

千葉に失礼なことを言われた。

「くっそ、勝ちたかったけどなー」

他の奴等も同意見だが、仕方ない。

『すみませ~ん、どんぐり麺の在庫が残りわずかなので、なくなり次第閉店しまーす。待ってくださったお客さま、申し訳ありませ~ん』

倉橋が外で並んでいたお客に誤り、村松達は残りの麺を調理にかかる。

そして最後の麺が売れ、俺らは片付けに入る。

すると……

『あ、すみません! 売り切れちゃって閉店なんです。ごめんなさい!……あっ』

外の矢田が誰か来た人に説明すると、その来た人物は……

「……母さん……」

潮田のかーちゃんだった。

潮田は、最後に残っていた山ぶどうジュースを持ってかーちゃんの元へ。

『あのー、やっぱりもう終わりですか……?』

そしてもう一人……

「……由比ヶ浜……」

が、来た。俺も山ぶどうジュースを持っていく。

「ほれ」

「あ、ありがとう」

由比ヶ浜は受け取り、静かに語る。

「小町ちゃん、話しちゃったんだよね。あたしの活動」

「ああ、失敗したらE組行きだぞ? わかってんのか?」

由比ヶ浜の答えは……

「……正直、そうなったらゆきのんと一緒に入れなくなる。そして辞めたらヒッキーと一緒じゃなくなる。でもヒッキーに戻るつもりがないなら……ううん、権利があっても進んでくれるかわからないけど、この活動そのものにこの学校が変わるきっかけになるかもしれない。その結果あたしがE組行きになったとしても、あたしは諦めない。去年奉仕部であたしはヒッキーやゆきのんを見てるだけだったから、絶対にこの活動を成功させて見せるよ。だから成功したらヒッキーは椚ヶ丘高校に来てよ」

俺は、こうとしか答えられなかった。

「まあ、がんばれよ」

「うん!」

由比ヶ浜は去っていった。

同様に潮田の方も話は終わったようだ。

「彼女が俺にささやいていたが、俺のヅラの事は黙っておくってどういうことだ」

あ、それはころすま先生の時に言ったやつ……

殺せんせーは逃げ出した。

「……『縁』かぁ」

「烏間先生はあのタコと関わったのが縁の尽きだね~」

そんな風に色々あったが、椚ヶ丘学園祭、俺らE組は3位として総合成績を残したのだった。




次回は……あのキャラがあんなことに!?
期待ほどほど。

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