暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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オリジナル回です。


八十四時間目 相談の時間

進路相談が終わり、俺は帰ろうとすると……

「比企谷君。ちょっといいかな?」

……潮田に呼び止められた。なんだ?

「どうした?」

「ちょっと聞きたいことがあって……一緒に帰りながら話さない?」

「あ、ああ」

俺は、とりあえず潮田と帰ることになった。

 ……。

 …………。

 ………………。

帰り道、俺と潮田はとりあえず公園に来た。俺はMAXコーヒーを二本買って、一本を潮田にやる。

「ほれ、奢りだ」

「い、いいよ、払うよ」

「いいって。んで、なんだよ?」

「うん、今日の面談で……」

潮田の奴、まさか……

「殺し屋になりたいとでも言ったのか?」

「あ、いや、さすがになりたいとまでは……」

だか、似たようなところだろう。

「……たぶん、僕にはその才能がある。なら、なるべきかって聞いたよ」

聞いたのかよ……殺せんせーも流石に困っただろうな……

「ま、たしかに才能はあるだろな。殺せんせーの弱点を細かくメモにとったりして情報収集や観察。強敵や危険に笑顔で立ち向かう度胸。そりゃ殺し屋に向いた才能だ。だけどよ、潮田のそれには……」

「わかってる。殺せんせーにも言われた。僕の度胸や勇気には『自棄』も含まれてるって」

その通りだ。自分なんてどうなってもいい。どこかでそう思ってるから危険に笑顔で飛び込める。

「だから、比企谷君に相談しようと思ったんだ。君も同じように自棄を持ってるだろうから……」

たしかに、端からみたら俺も同じかも知れないが違う。

「それは違うだろ。俺はただ、自分がどうにかなっても誰も困らないからやっていた事だ。潮田は自分がどうにかなっても構わない。と思ってやってることだ。同じようで違う」

「どう違うの?」

「俺のは自己犠牲だが、潮田のは自己嫌悪だ。潮田は自分がどうなっても構わない。それは他人の為にする自己犠牲とは違い。自分の為にすることだ。それは自分が嫌いだからか、もしくは自分を何かしらの理由で大事に出来ないかでする行為だ。似ているようで、どこか仕方なくする自己犠牲と本当にどうなっても構わなくてやってる自己嫌悪とは違うんだよ」

俺が言うと、潮田は……

「……自分を……大切に出来ない……?」

なにか覚えがあるようだ。

「そうだ。潮田は俺が自己犠牲で殺せんせーの暗殺をしたとき言ったよな? 『気づいてないだけで悲しむ人がいるかも』って、潮田も実は気づいてないだけで、自分に対してそう思ってるのかもな……」

潮田は黙り混んでしまった……

「ま、まあ、殺せんせーも言ったんだろうが、潮田がその才能を身に付けた理由を探してみろ。思い当たる事があるんだろ?」

「……うん、一応ね……それじゃ、ありがとう」

「おう」

そういって、潮田は帰った。

潮田の才能を身に付けた理由……いったいなにがあったんだろうな……




次回は面談。

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