暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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八幡の進路……


八十三時間目 進路の時間

「死神」との激戦ものりきり、俺等は日常を取り戻す。そして、殺せんせーが次に行うのは……

「はい、本日は進路相談を行います」

……進路相談?

「君たちの中の誰かが先生を殺せれば、来年の進む道を決めなくてはいけません。ま、殺せないから無駄になるでしょうけどねぇ」

殺せんせーは緑のシマシマ模様に久々になりながら俺等に言う。

「一人一人、面談を行うのでこの用紙がかけた人から職員室へ来てください。もちろん、面談中の暗殺もアリですよ」

そう言って、殺せんせーは職員室へ行った。

進路ねぇ……

「地球破壊する超生物と何を相談しろってんだか……」

「手厚いんだか、ナメてるんだか……」

ごもっともだな……俺の進路は……

用紙には一番上に『志望校』その下に『職業 第一希望』『職業 第二希望』の欄がある。

俺は志望校に『総武高校』と書き、第一希望に『専業主夫』と書いた。第二希望には……

すると周りで……

「中村さん。なに人の進路歪めてるの……」

「渚ちゃーん、君に男の仕事は似合わんよ」

潮田の用紙には『志望校 女子高』『第一希望 ナース』『第二希望 メイド』と書かれていた。おいおい……

「渚君。卒業したらタイかモロッコ旅行行こうよ。今はタイの方が主流らしいよ」

卒業旅行の行き先にその二択なのは悪意があるな……

「なんでカルマ君は僕からとろうとするの!?」

そんな感じにいつも通りに中村と赤羽が潮田をいじっていると、意外な人から助けが出てきた。

「そうよ、二人とも。なに潮田君を女の子にしようとしてるの……」

「え、海老名さん……助けてくれるの……」

海老名さんだった。おお、海老名さんが助けるなんて珍し――

「潮田君の価値は男の娘だからこそあるんじゃない!」

――救いじゃなかった。

「って、違った!? いじる人が増えただけだった!?」

それを聞いた中村と赤羽は……

「「なんか深い言葉だ」」

「納得しないでよ!?」

まあいい、潮田の進路にアレが入ってないなら問題はない。俺は書けたが、先に書けた奴がまだ面談中なので待っていた。

「前原。これふざけてんの?『モテ系高校』『ジゴロ系会社員』『ヒモ系ニート』って……」

「い、いいじゃねーか、ネタだよネタ!」

岡野と前原。

「岡島君。第二希望の欄に書いてる『■■男優』の塗りつぶした所って……」

「ち、チゲぇよ!? ちげえからな!?」

茅野にドン引きされている岡島……岡島。お前は少し自重しろ。

「私はやっぱり研究の道へ進みたいって行ってきます。この毒コーラを言葉巧みに盛れたらいいな……」

「奥田さん。そのコーラにゴキブリの卵粉末にしたやつ入れてやろーよ!」

「あ、ならカマキリの卵もブレンドしよ、昆虫の中でも近縁種だから相性良いハズ」

赤羽と中村は手を組むと厄介だな……

そのような感じに奥田、原、狭間、菅谷と面談していき、俺は職員室に行った。

 

職員室に入ると、殺せんせーはミッフィーちゃんのような×の口に頬がだらんとむくみ、頭には角が生えて、額にラーメン屋のどんぶりみたいな絵が書かれていた。

「なにがあったんすか?」

「話すと長くなりますが、奥田さんの濃硫酸を飲んで酸っぱい顔になり、原さんの塩分多めのお弁当で肌がむくみ、狭間さんの呪いで髪が生えて、菅谷君に落書きをされました」

色々あったんすね……

「それで比企谷君の進路は……やっぱり専業主夫ですか……」

「働いたら負けの持論は変わらないので……」

「いえいえ、本当になりたいというなら先生は応援しますし、強力もしますよ。まずは原さんのように料理に掃除、洗濯などの家事技能をつけましょう」

去年の平塚先生なら『ふざけるな』と拳が飛んできた所だな。

「しかし比企谷君。先生は少し安心もしています。ぼっちを貫き通して、当初はクラスメイトからも忘れかけられていた君が、暗殺を通して隠蔽能力や観察能力、影からの支援や作戦立案で、今ではE組の誰もが認める仲間になった。「死神」と出会ったことで、君自身も皆さんとしっかりとした仲間になれたと自覚できたハズです。違いますか?」

それはその通りだ。

「確かに俺は、このクラスで繋がりが出来ました……俺は、ずっと、それをクラス替えや進学でリセットされるのが怖かったんすよ。人間関係なんて、そんな簡単にリセットされる。だったら最初からいらない。俺は、そうずっと思ってました。現に去年も半端に出来た関係は簡単に失った……だから俺は、そんな簡単にリセットされないような『本物』の存在が欲しかったんすよ……」

俺が言うと、殺せんせーは……

「ヌルフフフ、なるほど……確かにそうかも知れませんねぇ。でも比企谷君。この暗殺教室はもし、先生を殺すことに成功したならば、その繋がりは、そんな簡単にはリセットできない強い繋がりとなるでしょう。それは君の言う『本物』たるものになると先生が保証しますよ。まあ、先生は誰も殺せないので意味はないでしょうが……」

最後の一言で台無しだな……そして殺せんせーはにやけ顔でさらに……

「それと比企谷君。この第二希望の『教師』と言うのは……ヌルフフフ」

俺は、殺せんせーが余計な事を言う前に用意しておいた竹林特製火薬&対先生BB弾入りグレネードを殺せんせーのグラビアが入っている机の中に放り込んだ。

「にゅにゃあああ!? このグレネード、対先生素材が張ってある!?」

これで殺せんせーはグレネードに触れない。グラビアを見捨てるか殺せんせーが殺られるか選択だ。

 

……結果、殺せんせーのグラビアは塵となった。

 

職員室を出ると、次は赤羽の番だ。俺は教室に戻った。

 

「なによ、進路相談やってんの?」

赤羽が戻り、あとは潮田だけになると教室に入って来たのは……

「ビッチ先生」

「フツーの服だ」

矢田と倉橋が驚いている。俺も驚きだ。いつもの露出多めの服装ではなく、普通の服装なのだから……

「……何よ。やっぱりもっと露出が欲しいわけ?」

いや、ビッチ先生は隠したことでさらにエロさがましたが……

「……あ、サイズシールつきっぱなしだ」

気づかないふりしてやろうよ、それは……

すると……

 

ぴっ クシャッ

 

潮田が一瞬にして、ビッチ先生に気づかれることなく、サイズシールをとった。

潮田はそのまま、職員室に向かった。

……潮田の進路……まさかな……




次回は潮田と八幡が話します。

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