暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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「死神」編ラスト。
クライマックス。
ちょいオリジナル設定? つけます。
今回で終わるとは思わなかった。


八十二時間目 決着の時間

「死神」を一泡ふかせるための作戦を進めていると、モニターに爆発が映る。すぐさま殺せんせーは烏間先生との通信トランシーバーに連絡。

「大丈夫ですか!? イリーナ先生も!」

すると烏間先生は――

『……俺はいいが、あいつは瓦礫の下だ』

なんだと!? しかも烏間先生は……

『……だが構ってるヒマはない。道を塞ぐ瓦礫をどかして「死神」を追う』

すると倉橋がトランシーバーに向かって叫ぶ。

「ダメ! どーして助けないの、烏間先生!」

『……倉橋さん。彼女なりに結果を求めて「死神」と組んだ。……その結果だ。責めもしないし助けもしない。一人前のプロならば自己責任だ』

本当に厳しいなオイ。言ったれ倉橋!

「プロとかどーでもいーよ! 15の私が言うのもなんだけど、ビッチ先生まだ二十歳だよ!?」

そういやそうだったな。てっきり平塚先生と同じアラサーくらいかと思っていた。

「経験豊富な大人なのにちょいちょい私たちより子供っぽいよね」

矢田が言う。たしかにそうなんだよな……

「たぶん、安心のない環境で育ったから、大人になる途中で大人のピースをいくつかはめそこなったんだよ」

『…………』

「助けてあげて、私達生徒が間違えたときも許してくれたように、ビッチ先生の事も」

『時間のロスで君達が死ぬぞ』

ああ、烏間先生の心配はそこか……

「大丈夫です。「死神」は目的を果たさずに戻ってきます。だから烏間先生はそこにいてください」

『……なにか、考えがあるようだな』

その通りです。すると烏間先生は……

『比企谷君に少し代わってもらえるか?』

ん? 俺に? 俺は殺せんせーからトランシーバーを受け取り、牢屋の隅に移動する。

「……代わりました」

『比企谷君。君は言ったね。けじめはつけろと』

「あ、はい」

たしかに言いましたけど……

『……俺にはまだ、その辺の返事はできん。全てが終わってから考える。君にだけは説明しておく。あとはそっちを奴と共に頼んだぞ!』

そう言って、烏間先生は通信を切った。

モニターが破壊されて、もう様子を伺うこともできないが、俺等は早急に作戦を実行する。

 

作戦を実行して数分後……

 

ババァン!

 

部屋の中心部に置いておいた、爆弾首輪がいくつか爆破した。「死神」が、俺等が牢屋にいないと思った証拠だ。

しかし、俺等は本当は……

 

超体育着の迷彩能力を使い、壁と同化しているのだ。

 

カメラに詳しい岡島が、強めの魚眼で歪んで見えづらいところを見つけて、そこに隠れたのだ。

俺は最初は迷彩能力を使って床と同化しようと考えていたのだが、それだと見つかると三村から助言があり、壁と同化することとなった。ちなみに殺せんせーは素っ裸で自前の迷彩。

ちなみに三段の肩車をしているため、重い。俺は一番下だし、上に乗っているのが杉野と神崎なのが不幸中の幸いかもしれないが……いや、杉野は重いですけど……

待つこと数分……

 

ドパァッン!

 

水になにかが落ちる音がした。

「上からの立坑ですねぇ。そして……烏間先生と「死神」です!」

ズーム目で見ていた。その姿はナメクジみたいだった。

とりあえず作戦は成功か……

俺等は肩車をやめる。モニターにも見えないので殺せんせーのズーム目による解説。

「「死神」がナイフを……あ、違う。次はワイヤーだ! 烏間先生、これをっ……おおすごい、避け様に返しの肘っ……あっ、ダメだ。ナイフを盾に……それをみて瞬時に蹴りに変えたけど……えーとえーと、ど、同時! なんか……なんかすごい闘いだー!!」

『何言ってるかサッパリだよ!』

ごもっともである。とりあえず、烏間先生対「死神」のラストバトルだ。

「心配せずとも、烏間先生はそう簡単に殺られません。「死神」の持つスキルはたしかに多彩。しかも全てが恐ろしく高度。いくら警戒しても彼の前では裏をかかれる。だから烏間先生は敢えて接近戦に持ち込んだ。場所も水とコンクリだけのシンプルな舞台。罠を仕込むヒマもない通常戦闘なら、烏間先生のスキルレベルは「死神」以上です」

殺せんせーは一時的にズーム目をやめて俺等に言う。

「烏間先生にイリーナ先生、彼等のようなエキスパートが君達を教えているからこそ、先生も退屈せずに殺される日々を遅れるのです」

そりゃそうだ。

「ただ、心配なのは、「死神」は、こんな状況でも、秘密兵器を隠し持っているだろう事」

殺せんせーはなにやら触手を一本、牢屋の鉄格子の間から出して、どこかへ向かわせている。そして他の触手にはトマトジュースが……何に使うの? そして殺せんせーはタイミングをみてトマトジュースを飲みだした。そのトマトジュースが触手をチューブのように伝っていく……飲み終わり殺せんせーは言う。

「「死神」のスキルには敵の血を吹き出させる技があります。その技を使ったタイミングを見切り、ジュースを触手から吹けば隙ができるハズです」

なるほど、烏間先生のサポートか……

「私と同じ空間にいるなら必ず守れると烏間先生に言いましたからねぇ……おや、烏間先生のパンチが炸裂しました。全生徒、全先生。クラスみんなでつかんだ勝利ですねぇ」

こうして烏間先生は「死神」を倒して、牢屋のリモコンを持って戻ってきた。

すると更なる問題が発生した。

「ぬぬ、何とか手は無いものか……こいつだけ閉じ込めたまま生徒を助ける方法は!」

ないと思います。

「考えても無駄ですねぇ、烏間先生。というか、閉じ込められているのが私一人なら出られますよ。こんな檻」

だよな……

「マッハまで加速して壁に体当たりしたり、音波放射でコンクリートを脆くしたり、触手エネルギーを集めて爆破させたりね。でも、生徒たちが一緒に閉じ込められているため、私はそれらの方法は出来ません。だから貴方に「死神」を倒してもらったんです」

烏間先生はしぶしぶ、牢屋を開けた。

そして、鶴田さん、園川さん、鵜飼さんを呼んで「死神」を捕らえ……なに? この骸骨顔?

「「死神」の素顔だ。変装スキルを高めるために顔の皮を剥いで捨てたらしい」

うげぇ!? グロッ!? そんなことしてまでスキルが欲しいのか!?

「顔潰してまでスキル求める心理がわかんねー」

吉田のいう通りだ。その理由も烏間先生が語る。

「幼い頃の経験だそうだ。親を殺した殺し屋の見事なスキルを目の当たりにして、ガラリと意識が変わったそうだ」

なんだよ、プロ野球選手の見事なプレーをみて野球始める子供理論。てか、こいつが最高の殺し屋って言ってたのに……ならそんな影響与えた殺し屋って何者だよ? ロヴロさんか? いや、なら斡旋していてもおかしくないが……

殺せんせーは語る。

「……影響を与えた者が愚かだったのです。これほどの才能ならば、本来もっと正しい道でつかえたはずなのに」

殺せんせーの言葉には今まで以上に重みがあった。

そして、もうひとつ、E組には問題が残っている。

 

コツン

 

小さな音がした。

「あ」

ビッチ先生が……こっそりと逃げようとしていた。

「てめー、ビッチ!」

「なに逃げよーとしてんだ、コラ!」

「ひぃぃ、耳のいい子達だこと!」

ビッチ先生は吉田と村松に捕まった。

「あーもー、好きなようにすりゃいいわ! 裏切ったんだから制裁受けてトーゼンよ! 男子は溜まりまくった日頃の獣欲を! 女子は私の美貌への日頃の嫉妬を! 思う存分、性的な暴力で発散すればいいじゃない!」

「発想がすさんでんなー」

「むしろそれを聞いてやりたくなってきたね」

やるなよ? 中村……

「いーから普段通り来いよ学校。何日もバッくれてねーでよ」

寺坂を始め、矢田、片岡、倉橋とビッチ先生の復帰を言う。

「殺す直前ま行ったのよ、あんたたちの事、過去に色々やって来たのよ、あんたたちが引くようなこと」

俺と竹林で言う。

「さっき俺も言われたが、今更らしいっすよ。それ」

「そうさ、裏切ったり、やばいことしたり、それでこそビッチじゃないか」

中村が決定打を言う。

「たかがビッチと学校生活楽しめないで、うちら何のために殺し屋兼中学生やってんのよ」

そして、烏間先生がビッチ先生の元へ……そして……一輪の花を出す。

「その花は、生徒からの借り物ではない。俺の意思で敵を倒して得たものだ……誕生日は、それなら良いか?」

ほぅ、烏間先生もいいこというな……『全てが終わってから考える』ってのはそういう意味か……

ビッチ先生の反応は……

「……はい」

いい雰囲気だ。倉橋は……

「……私がつばつけてたのに……」

と泣いていた。

俺は無線で烏間先生の言っていた事を思い出した。

「ああ、さっき無線で俺だけに『全てが終わってからけじめをつける』って言ってたのはそういう意味っすか?」

俺が小さく呟くと……周りにいた中村と岡島が……

「えぇ!? マジで!?」

「おっしゃっ! ビッチ先生のためにも殺るぜ!」

「にゅにゃぁ!? いい雰囲気でしたのに、先生は見せれないんですか!?」

殺せんせーは逃げ出そうとするが、その前に烏間先生に言う。

「烏間先生、いやらしい展開に入る前に一言」

「断じて入らん」

殺せんせーは俺等全員の頭に触手を置いて言う。

「今後、このような危険に生徒を決して巻き込みたくない。安心して殺し殺される環境作りを、防衛省に強く要求します」

烏間先生の反応は……

「……わかってる。打つ手は考えてある」

その日は解散となり、後日。

殺せんせーの手配書に、『暗殺によって生徒を巻き添えにした場合、賞金は支払われないものとする』という条項が加わり、俺等の命は、殺せんせーと賞金で守られた。賞金がでなきゃ殺ろうとはしないだろう。

かくして、最高の殺し屋「死神」との闘いは幕を閉じたのだった。




「死神」編、終結。
次回は進路編。
八幡の進路は……オリジナル強くなりそうです。
というか、もう別人だ!?
本当になんで、どうしてこうなった!?
それでも続けます。

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