暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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八幡がどんどんらしくなくなっていく……
どうしてこうなった!?


八十一時間目 死闘の時間

烏間先生の宣言から、「死神」は部屋から出ていく。操作室へ向かったのだろう……

「烏間先生! トランシーバーをオンにして!」

烏間先生が向かうとビッチ先生は自分の爆弾の首輪をはずして言う。

「……フン、「死神」を倒そうなんて無謀ねぇ、確かにカラスマも人間離れしてるけど、「死神」はそれ以上。このタコですら簡単に捕らえたのよ」

確かにそうだ。つーか……

「ビッチ先生、あいつが俺等ごと殺すって知ってたのかよ」

「何でよ、仲間だと思ってたのに……」

前原と岡野が聞く。それに対して赤羽が……

「怖くなったんでしょ。プロだプロだ言ってたあんたが、ゆる~い学校生活で殺し屋感覚忘れかけてて」

「そういうことだ。ここいらで俺等殺して関係をリセットしてついでに人生もリセットしようとしてな」

するとビッチ先生は首輪を投げ捨てて言いはなった。

「何がわかるのよ。考えたこと無かったのよ! 自分がこんなフツーの世界で過ごせるなんて! 弟や妹みたいな子と楽しくしたり、恋愛のことで悩んだり」

そしてビッチ先生はうつむきながら言う。

「そんなの違う。私の世界はそんな眩しい世界じゃない」

俺は何となく共感した。俺もこんな風にクラスみんなでなんてことは忘れられるかハブられるかの2択だったが、E組で過ごして変わった。俺は悪くないと思ったが、ビッチ先生はダメだと思っている。

するとビッチ先生に「死神」から無線で連絡だ。どうやら烏間先生を背後から打てと言うことらしい。

「……わかったわ」

ビッチ先生は行った。そして殺せんせーが言う。

「流石は歴戦の殺し屋達です。『味方だと思っていた人が敵だった』それは先生の苦手とする環境の急激な変化ですが、彼女の演技はその変化を一切、私に悟らせなかった」

確かに殺せんせーならそれくらいは警戒していたかもしれないが、それでもなお、それに気づかせなかったビッチ先生がすごいのか……

「「死神」が設置していたモニターがすぐそこにありますね、断片的にですが、強者対強者の戦いが覗けそうです」

そして、モニターから烏間先生の様子を伺う。何やらドアの前で数秒とまり、開けた。

 

ドガァァッン!

 

爆破した。

「ち、思ったより強力だった……」

そして何事も無かったかのように、烏間先生は歩いてきた。

「……え、何が起こった。今」

「爆発に巻き込まれた烏間先生が、次の瞬間、何事もなく進んでいったぞ」

殺せんせーによる解説。

「烏間先生はドアノブをつかんだ瞬間にトラップの内容を見抜いたんです。この短時間で仕掛けられるものは爆薬であることも同時に理解し、時間短縮のためにあえてドアをそのまま開けて爆風と同じ早さで後ろに受け身をとったんですよ。ドアも盾となり烏間先生に爆発はほとんど届いてません」

『判断も行動もあの一瞬じゃできねーよ!』

ごもっともです。

そして次には――

『グルルッ……』

「犬……!?」

銃を持った犬が六匹……やべぇ……

「銃を撃てるように調教されたドーベルマン。あれだけの数をきっちり仕込んで使いこなすとは、「死神」の手腕ですねぇ」

つーか、やべぇだろ……だって……

『キャワアアアン!!!?』

烏間先生が笑顔になった。

その瞬間に犬共は恐怖の遠吠えをあげる。

『笑顔ひとつで抜けおった!!!』

「烏間先生、犬好きだからな……」

「そういう問題!?」

「ま、まあ、犬の気持ちも少しわかるわ。烏間先生の笑顔ちょー怖えーもん」

「だな、笑っていたシーンを思い出してみろ。半分は人間を襲っているときだぞ?」

『たしかに……』

「そう、普段は強い理性で押さえ込んでいますが、烏間先生の真価はその奥に潜む暴力的な野性! 彼もまた――」

殺せんせーがそこまで言うと、モニターの烏間先生は鉄骨に襲われたが受けとめ、さらに逆方向から矢が飛んできたが、それもキャッチ。

「――この暗殺教室に引き寄せられた、比類なき猛者なのです」

マジで怪物だなおい!

「そして「死神」という殺し屋もこの短時間であれだけの罠を仕込むとは知識・技術・機転全てが怪物レベル」

ちょ、待って。これって人類最強決定戦じゃね!?

いや、最強決定戦なら浅野理事長も混ぜろよ!? いや、そんな事言ってる場合でもないけど……

「そう、彼等は強い。それにこの牢屋もとても頑丈。対先生物質と金属とを組合せた二種の檻。液状化でも爆薬でも抜けれません」

ま、中にいるのが殺せんせーだけだったら壁に体当たりや触手エネルギーの爆破とかで出られるだろうが、俺等がいるからできねぇ。

「君達はどうしますか? 今この場で彼等や檻より強くなるか? それとも彼等にはかなわないと土俵を降りるか?」

去年までの俺なら土俵を降りてました。でも……

「両方とも違いますね、弱いなら弱いなりの戦法がある。いつもやってる暗殺の発想で戦うんです」

その通りだ。しかし、問題は方法だ。一番厄介なのはこの首輪だ。これを爆破されたら死んじまうから動けないわけで……ん?

「さっきビッチ先生が投げ捨てていった、首輪か……」

「比企谷、見せてくれ」

三村が言って、俺は渡す。

「俺等のと同じだよな? どうだイトナ?」

堀部は少しバラして調べる。

「通信回線は起爆命令と鍵解除の2チャンネルだけだ。簡単な構造だから乱暴に外しても起爆しないし奴にもバレない」

マジか!? そうとわかり、殺せんせーが俺等の首輪を次々と外していく。

「でも、首輪が外れても出られなきゃな……」

「いや、出られなくとも方法はある」

俺は三村と岡島に協力してもらい、「死神」に一泡ふかせる作戦を思い付いた。




次回はピースの時間。
八幡がどれだけらしくなくなってもこれからも投稿はしていくのでよろしくお願いします。

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