暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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八幡が語られます。


八十時間目 人質の時間

俺らは全員捕まり、首に爆弾。手に手錠を付けられた。

「この牢屋はさっきと違って脱出不可能だ。練習台はもう結構、あとはもう人質でいればいいよ」

花屋の顔に「死神」はなり、俺らに言う。

裏切ったビッチ先生も俺らに手錠をつける。

そして赤羽が「死神」に言う。

「どんな方法で殺せんせーを殺ろうとしているか知らないけどさ、そう計算通りいくかね?」

「ん?」

「だってあんた、俺らの誰にも大したダメージ与えられなかったじゃん。超体育着の情報を知らなかったし、この計算違いが俺らじゃなくて殺せんせーに対してだったら、あんた速攻で返り討ちでやられるよ」

すると「死神」は愛想笑いをしながら言う。

「……で、結果はどうだ? 君らは牢屋にいるじゃないか。情報不足なんて当然、ましてやあの怪物は、どんな隠し能力を持っているか誰も知らない」

確かに、寺坂と潮田の自爆テロで『脱皮』。沖縄離島で『完全防御形態』という隠し能力をあきらかにした。まだ、更なる能力を持っていてもおかしくない。

「たとえどんなに情報不足でも結果を出す。それが世界一の殺し屋だよ」

そうだ。本来「死神」達に『人質にする』という目的がなければ俺らは見つかった時点で殺されてもおかしくは無かった。そして「死神」は――

「さて、次は烏間先生だ。誘い出して人質に取る」

なんだと!?

「彼ならば、君たちよりは、よい練習相手になるだろう。それに彼を捕らえておけば色々とメリットが多い。計画の下準備の仕上げだね」

烏間先生を捕らえる……「死神」ならできそうだから恐い……すると、牢屋近くのモニターに……

「「死神」さーん、あんたまた計算違いしたみたいよ」

……犬の格好をした殺せんせーとその殺せんせーをリードで繋いでつれている烏間先生の姿が映った。

「どうやら生徒の誰とも連絡がとれなくて戻ってきたみたいだな……」

烏間先生だけなら「死神」に勝てるか怪しいが殺せんせーと来たなら勝てるかも……ケイドロの時のように無敵コンビを結成すれば……

「……まいったな、かなり予定が狂ってしまった。仕方ないプラン16だ、イリーナ」

「ええ、私の出番ね」

やべぇ……あの二人はビッチ先生の裏切りを知らねぇ……

ビッチ先生と「死神」は階段を登っていった。

「くそ、やっぱり嫌われることを覚悟して、ビッチ先生が敵になるかもって言っとけば……」

俺は壁に頭をついて言うと――

「……比企谷君」

「神崎……?」

――神崎が話しかけてきた。その後ろに片岡と磯貝、竹林も……

「別に君のせいじゃないよ。むしろ、私たちがその可能性を微塵も考えなかった方が悪いし……」

「そうよ、というか。むしろそれを言って嫌われると思ってた事の方が私達はショックよ!」

「そうだぞ? 確かに普通の学級ならその発言は最低な奴に思うかもしれない。だけど……」

「ここは常に裏切りや最低行為。他にもいろんな異物に囲まれた暗殺教室さ、今更、裏切る可能性を口にしたって誰も誰の事も嫌いになんてなれないさ。君はビビりすぎなんだよ」

『『『このクラスの結束をナメんな!』』』

最後の台詞には何人もの奴がいった。

そうか、俺はただ、信じれば良かったんだな……ぼっち生活で信用を出来なくなった俺は、殺せんせーだけじゃなく、E組に手入れされてたってわけか……

そして、そんなことをしていると――

 

「にゅにゃあああああ!!?」 ボトンッ!

 

――殺せんせーが牢屋に落ちてきた!? 嘘だろ!?

そして「死神」、ビッチ先生、烏間先生が牢屋の前に来た。

「そこは洪水対策で国が造った地下水路。密かに僕のアジトと繋げておいた。地上にある操作室から合図を出せば近くの川から毎秒200トンの水が、この水路一杯に流れ込む」

確かに水は殺せんせーの弱点だが……

「その恐るべき水圧は君の体から自由を奪い、対先生物質の頑丈な檻に押し付けられ、ところてん状にバラバラになるって寸法さ」

なるほど……って、それはつまり!?

「生徒ごと殺す気か!?」

そういうことだ!? 今まで鷹岡やシロも殺ろうとしたが、ここまでハッキリと言った奴ははじめてだぞ!?

「イリーナ! お前それを知った上で……」

確かにそうだ。「死神」に協力した時点でその事は聞いていたハズだ。

「……プロとして結果優先で動いただけよ、あんたの望む通りでしょ」

ビッチ先生の顔には迷いがあるように見えた。すると殺せんせーは……

「ヌルフフフ、確かに厄介な対先生物質ですが、私の肉体はついにこれを克服しました」

マジか!? それはこの場では嬉しいが、今後的には厄介だ!?

「初めて見せますよ……私のとっておきの体内器官を!」

そう言って殺せんせーは……

 

ペロペロ……ペロペロ……

 

……檻を舌で舐めはじめた……

いや、その……

「「「確かに殺せんせーのベロ初めて見たけど!」」」

全員、納得がいかなかった。

「消化液でコーティングして造った舌です、こんな檻など半日もあれば溶かせます」

「「「半日じゃおせーよ!!」」」

当然「死神」は……

「そのペロペロ続けたら全員の首輪、爆破してくよ」

「えぇっ、そ、そんなァ!」

当たり前だろ……

というか、殺せんせーもあっさり捕まえてあと残っているのは烏間先生のみ……

さっきの「死神」の作戦なら、殺せんせーだけは完全防御形態になれば最悪死なないが、俺らはなすすべがない……

(小町~、お兄ちゃん。死んじゃうよ~)

そして「死神」は操作室へ向かおうとすると……

 

ガシッ

 

烏間先生が「死神」の肩を掴む。

「なんだい、この手は? 日本政府は僕の暗殺を止めるのかな? 確かに多少手荒だが、地球を救う最大のチャンスをみすみす逃せと言うのかな?」

確かに、烏間先生からみたら……というより防衛省の人が『生徒の命と引き換えなら殺せる場合は迷わず殺れ』と言う判断なら、俺らは抵抗できない……

が、烏間先生の判断は……

 

ゴッ!

 

「日本政府の見解を伝える。29人の命は地球よりも重い。それでもお前が彼等ごと殺すつもりならば、俺が止める」

カッケェ!

「言っておくぞ、イリーナ。プロってのはそんな気楽じゃないぞ」

とにかく烏間先生、勝ってくれ!




次回は死闘の時間。

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