暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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わかばパーク編ラスト。


七十二時間目 リフォームの時間

あっという間に二週間が過ぎ、今日は園長の松方のおじいさんが戻ってくる日。

 

「なんということでしょう!!」

 

おじいさんの第一声。

そりゃそうだ。わかばパークは窮屈で貧弱だったオンボロ木造平屋から広くて頑丈でお洒落なログハウス風な多目的空間になっていたのだから……

「なんと……たった二週間で……」

そりゃ、驚くわな。聞くところによると松方のおじいさんは木造平屋がつぶれている可能性まで想定していたらしいし……

この新しくリフォームした多目的空間は律のコンピュータ計算で強度もカンペキ。もちろん母屋も新しい柱を補強している。

新たに出来た二階は二部屋に分かれており、ひとつは図書館。矢田や倉橋などの接待の得意な面子が近所をまわり読まなくなった子供向けの本を集めたり、俺らが子供の頃に読んでた本を持ってきたりなどしてかなりの量の本が集まった。

そしてもう一室は、室内遊技場。ネットやマットを入念に敷いて安全性を高めて雨などの腐食や錆びを防ぐために室内に。

さらには回転遊具と滑り台なども作った。

「じいさん、あの回転遊具覚えといてな」

そう、あの回転遊具には秘密がある。

次は職員室兼ガレージ。

このリフォームの最大の目玉商品。

 

俺らが壊してしまったおじいさんの自転車を技術班(堀部&吉田)によって改造した安全性が高く大積載量の電動アシスト付き三輪自転車だ。

『上の部屋の回転遊具が充電器と繋がっています。走行分の大半は遊具をこげばまかなえる計算です』

律が解説。つまりはたくさんの子供達がたくさん遊ぶほど園長のおじいさんが助かる仕組みだ。

なんという仕組みだろうか。

おじいさんの反応は……

 

「う……うまく出来すぎとる!!」

 

うん。普通はここまで出来ないよな……おじいさんも『手際よすぎて逆に気持ち悪い』等と言われた。……ちなみに自転車のベルにはおじいさんの思いでのこもった古い入れ歯を再利用。

「そんな匠な気遣いいらんし!」

そしておじいさんは言う。

「第一、ここで最も重要な労働は建築じゃない。子供達と心と心を通わせる事だ」

ごもっともだな……

「いくらモノを充実させても、おまえ達が子供達と心に寄り添えていなかったのなら、この二週間を働いたとは認めんぞ」

おじいさんは自転車のベルを『チィィン』とならしながら言う。そして――

「おーい、渚ー!!」

潮田の教え子。さくらちゃんが到着。その手には算数のテスト。

「ジャーン! なんとクラス二番!」

おお、潮田の授業の成果か……

「おまえの言う通り、算数のテストの時間だけ不意打ちで出席して、解き終わったら速攻で帰った」

「いじめっこもテストの最中じゃ手の出しようがなかったでしょ」

「うん、先生以外に誰にも行くこと言ってないしね。むしろあいつらは今回点数悪かったってさ、急に出てきた私を気にして集中力削がれたのかな」

「多分ね。自分の得意な一撃を相手の体勢が整う前に叩き込む。これが僕らの戦い方だよ、さくらちゃん」

一応言っておくが、今回俺はノータッチだ。けーちゃんの事でいっぱいいっぱいだったし。

「今回は算数しか教えられなかったけど、こんな風に一撃離脱を繰り返して学校で戦える武器を増やしていこう」

「だ、だったらこれからもたまには教えろよな」

潮田は一息ついて……

「もちろん」

ぱぁっ。とさくらちゃんの表情が明るくなった。

さらには――

「はーちゃん! 今日で最後って本当!?」

――けーちゃんが俺の元へ来た。

「はーちゃん。去年のクリスマス会以来、会えなくて寂しかった。また会えなくなっちゃうの……」

けーちゃんはちょっと涙目……チクショウ。

「ま、ちょっとこれから忙しくなって来ることが少なくなるだけだ。たまには来てやるよ……」

するとけーちゃんは――

「本当! ならやくそく!」

――小指を出してきたので指切りをした。潮田もまた来るみたいだし、仕方ねぇ……

その俺らを見たおじいさんは――

「……クソガキ共。文句のひとつも出てこんわ」

おじいさんはさくらちゃんとけーちゃんを撫でながら俺らに言う。

「もとより、お前らの秘密なんぞ興味はない。ワシの頭は自分の仕事で一杯だからな。おまえらもさっさと学校に戻らんか。大事な仕事があるんだろ?」

はい!と俺らは返事をして、俺らの二週間の特別授業は幕を下ろした。

 

そして――今日は二学期中間テスト前日だ。

テスト勉強禁止は解禁。

今日の一夜漬けにかかっている!




名簿の時間にあった裏設定。
八幡の暗殺俺ガイルバージョン。E組メンバー編。
赤羽→隣の席でたまに悪戯の助言をしている。
磯貝→去年は浅野や前原との違いがよくわかっておらず、共に『リア充爆発しろ』と影から思っていた。がE組に来て、貧乏や性格を知って反省した。
海老名さん→よく浅野とのカップリングを妄想され、ひいていた。
奥田→赤羽に騙されて怪しげな薬を作りそうになるのを止めている。会話が苦手で少し共感あり?
片岡→奉仕部時代。とある生徒から告白の依頼が!?
茅野→実は同じMAXコーヒーを愛すもの。
神崎→国語が同率になって以来、話しかけられてキョドる。
潮田→クラス当初、唯一名前を『ヒキタニ』と間違えていなかった。
杉野→一人野球の事情を知り、同情。
竹林→メイド喫茶にあれからよく連れていかれる。
千葉→目が隠れて見えないと目が腐っているで共感?
寺坂→なにかと理由つけてメイド喫茶巡りに連れていかれる。
前原→磯貝に申し訳ないが今度こそ『リア充爆発しろ』
村松→ラーメン屋の常連客。理由はクラスメイトだと言うとタダになるから……
矢田→去年、片岡に告白するのを手伝ってと依頼した張本人。戸部×海老名さんの二の舞と思い、由比ヶ浜と雪ノ下がなんとか思い違いだと告白を止めた。
その他のE組メンバー→去年は、こんな人いたっけ?と認識が曖昧だった。互いに。

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