暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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まさかの川なんとかさん登場?


七十時間目 仕事の時間

「やめて! 騎士カルマ、もう誰も傷つけないで!」

「いやいや姫! この魔物を退治しないと王国の平和は戻りませんって」

騎士カルマは魔物リョーマを殴りながら言う。

「ね、眠れ。魔物よ!」

魔法使いマナミが魔物にハンカチを当てる。

「魔法使いのクロロホルムで魔物は無傷で眠ったのでした。化学の力でめでたしめでたし!」

いいのか? それで……

「はい、おもしろかったらはーくしゆー!」

ワーっと、子供たちは大喜び。

「茅野、子供ウケいいな」

体型が近いからだろ。うちの妹も子供ウケはいいほうだ。小町や茅野に直接言ったら殺されそうだが……

施設のなかで赤羽達がそんな劇をやっている間に力仕事班は施設のオンボロ平屋を裏山の木材で修繕作業。設計図は千葉が担当だが烏間先生の部下の鵜飼さんが建築士の資格を持っているので助言をくれる。強度等の計算は律が担当。

ボッチな俺も子供との会話は苦手なので力仕事班のハズだったのだが……

「はーちゃん、こっちこっち!」

「お、おう」

このけーちゃんと呼ばれる女の子に何故かなつかれてしまい、お遊戯班となってしまった。現在絶賛おいかけっこ中。つか、『はーちゃん』って……

……てか、この子どこかで見たことあるような気が……

ちなみに他のお遊戯班の面子は、どこからか迷い混んだ猫と共に遊んでいる倉橋。

ラジコン等で興味をひいてる堀部。

似顔描きをしている菅谷。

エロガキに抱きつかれてる矢田。

その矢田を子供達と共に視観している岡島だった。

「はーちゃん、頑張れよ~」

殺すぞ前原……ちなみに先程のとんがった女子、さくらちゃんは潮田がマンツーマンで勉強を教えている勉強班。

そんな風に、けーちゃんと鬼ごっこをしていると……

「ありゃりゃ」

倉橋達が可愛がっていた猫が木に登って降りられなくなった。

……それを見ていたさくらちゃんと潮田は……

「ホラ見なよ。勇気だして登ったらあのザマ、高い場所に行くほど危険になる。安全安心の地べたにいて何が悪いの?」

ごもっともだな……というか、地べたが安全安心とも限らんだろ……潮田は言う。

「さくらちゃん。あの木の上が学校だとして地べたの上をここだとするとね――」

それとほぼ同時に木村、岡島が構える。俺は木の下に子供が来ないように誘導。そして木村が――

「――お兄ちゃん達は皆……」

――岡島の協力のハイジャンプで木の上に跳ぶ。

「……地べたの上で力をつけたんだ」

木村はするすると木の上を動き、猫を助ける。

「木の上の人を見上げながら、木の上の人に見下ろされながら、高い所の怖さをいっぱい学んでから登り始めた。だからこそ高いところでも自在に動ける」

潮田は一息ついてさらに言う。

「それでも、いつのまにか高い所の怖さを忘れて地べたに落ちちゃう事もあるけど」

だな、今がまさにそれだ。さくらちゃんは『あんたら一体……』と驚いていた。いや、他の子もだが……

「施設で学ぼう。学校行くのは作戦を立ててからでいい。ここだけの秘密の勉強を教えてあげる」

……なんだろう……潮田は普通に言っているだけなのに、潮田が恐ろしく感じる……

「……怖い男だ」

「本人も無自覚でやっているのが恐ろしい」

前原と片岡も同じことを思ったようだった。

そして俺は――

「ねえねえ、はーちゃんも今のできるの?」

けーちゃんが聞いてきた。

「あ? ああ、でも真似したらダメだぞ? 俺らは特殊な訓練受けてるから大丈夫なんだ」

するとけーちゃんは……

「じゃあ、さーちゃんもできる?」

さーちゃん? 誰だよさーちゃん……

俺は『さあ、それはわからないな』と言って、けーちゃんとかくれんぼの続きを始めるのだった。

 

仕事の時間




次回は学習の時間。
おたのしみに。

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