さくらちゃん登場。
おじいさんに怪我をさせてしまった翌日。俺らはわかばパークという、おじいさんの経営する保育施設に来ていた。
なぜ、そんなところに居るかと言うと……
……。
…………。
………………。
「保育施設を経営なさっている松方さんです。まずはしっかりと謝りましょう」
俺らは『すみません』『ごめんなさい』『……した』と謝る。
「プロである以上、君達は責任ある一人前の人間だ。訓練中の過失には君たち自身が責任を持つべきです」
殺せんせーは言う。
「治療費ばかりは烏間先生に払ってもらう外ありませんが、慰謝料と仕事を休む分の損害は、君達が支払いましょう」
なるほど。そういうことか。
俺は理解したが、クラスの何人かはわかっていないようだった。
「要するにタダ働きです。この人の職場をクラス全員でカンペキに手伝いなさい」
そういうことだ。
「二週間後、松方さんが歩けるようになった時点で賠償ぶんの働きぶりが認められれば、今回の事は公表しないでくれるそうです」
そしておじいさんは言った。
「……ワシの所は大変だぞ、保育所から学童保育まで手広くやっとる。お前達につとまればいいがな」
……。
…………。
………………。
――と、言うことがあって現在。
「全く、何で私ら無関係の生徒まで連帯責任かねぇ」
子供達に髪を『まじょだー』と言われながら弄られる狭間が言う。寺坂は「面目ねぇ」と子供に噛みつかれながら言う。
「私達ももっちりとビンタされたよ」
「うん、全員平等に扱わないと不公平だからって」
原、海老名さん。すみません。岡島と木村が無関係組に謝る。
「ごめんよ~…」
「気にしないで、他人のケガとか予測できなかった私達も悪いし」
「そーね、私にも監督責任あるかもね。こいつらおもしろサーカス団の調教師として」
神崎と狭間が許してくれた。
てか、狭間はいつから寺坂グループのリーダーになったんだよ……
「ま、勉強なんて家でこっそりやればいい。E組の秘密を守るための二週間労働か、賞金に対する必要経費と思えば安いものさ」
「竹林……」
いいこと言うな~竹林は……ズボン下ろされてパンツまる見えじゃなけりゃな……
この施設は広さの割に子供の人数が多い。しかもヤンチャな奴が多いようだ。
そして――
「で、何やっていくれるわけ、おたくら? 大挙で押し掛けてくれちゃって、減った酸素分の仕事くらいはできるんでしょーねぇ」
――こんなとんがった子もいらっしゃる。
周りから聞くとこの子は入所五年の最年長者、不登校児、小学5年生、鬼屋敷さくらちゃんだそうだ。
鬼屋敷は箒を取って潮田に立ち向かうが――
ベキッ!
「ブゲェッ!?」
――床が抜けて落ちた。
この施設は正直E組校舎よりもオンボロだ。施設の先生曰く、修繕費が無いらしい。待機児童や不登校児が居れば片っ端から格安で預かるから職員も満足に雇えず園長……つまりはおじいさんが一番働いているそうだ。
俺らはどれだけ重要な戦力を潰したのかわかってきた。
「30人で二週間か……なんか色々できんじゃね?」
「できるできる」
そう言って、俺らは手分けして仕事にかかった。
次回は仕事内容編。