暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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体育祭です。
オリジナルを入れつつ棒倒し開始直前までを投稿しようと思います。


六十六時間目 体育祭の時間

『宣誓! 我々選手一同はスポーツマンシップに則り正々堂々と闘うことを誓います。選手代表、浅野学秀』

浅野の宣誓で体育祭が始まる。俺らの棒倒しはラストなので、それまで作戦の見直しかと思えばそうもいかない。E組といえど個人競技には一度は参加しなければいけないルールなのだ。

「ヒッキー!」

……由比ヶ浜が現れた。

「なんだよ、由比ヶ浜」

「ヒッキーは何の競技に出るの?」

……俺の種目は……

「……借り物競争」

「へぇ、ちゃんと参加するんだ」

……どういう意味だ!

「っていうか、どうしてA組に挑戦状を叩きつけたりしたの? しかも浅野君、メチャやる気で外国人助っ人まで呼んじゃってるし!」

……本当に叩きつけたのは浅野なんだが由比ヶ浜に教えて連鎖的に理事長に知られたりでもしたら意味が無くなる……どうすれば……

すると……

「おい、八幡! 俺らの出る借り物競争が始まるぞ! 準備しろ!」

「お、おう」

堀部が俺を呼ぶ。寺坂たちが『八幡』と呼ぶため堀部もそう呼ぶようになっていた。

「あれ? あの人誰?」

ああ、由比ヶ浜は知らないか……まあ、律と違って堀部はいいか……

「あいつは堀部糸成。E組の転校生だ」

「転校生!? E組に!? 椚ヶ丘の転入試験ってメチャ難しいって聞いてたからE組レベルじゃ入学出来ないんじゃないの?」

クソ、由比ヶ浜の癖に面倒な……

「あー、正確にはずっと休学してたんだ。ちょっとした病気でな」

「へぇ、病気かぁ。どんな?」

頭から触手が生える。なんて言えるか!?

「脳に関係する病気だったと聞いてはいるが詳しくは知らん。この間完全に完治したらしくて復学したんだよ」

「あら、そうなの?」

そこへ第3者の声。

「……雪ノ下」

「驚いたわ。E組にそんな生徒がいたなんて」

「別に問題ないだろ?」

「ええ、問題はないわ。だけど浅野君にも転校生の事は教えた方がいいわよ。そっちはまだ何か隠している上にラジコンの盗聴器でこちらの作戦を筒抜けにしたんだから」

……っ!? 雪ノ下の奴、気づいてたのか!?

「盗聴の事は黙っててあげるけど、それでどうなるかは棒倒しの結果次第ね。去年のような不様な反則負けだけはやめて頂戴」

雪ノ下は行った。俺も借り物競争へ向かう。

 

よーい、スタート!

――の掛け声と共に俺は走り、借りるものの用紙をとる。書かれていたお題は……『たこ』

なんだよこのお題!? どこにあるんだよ!?

一瞬、殺せんせーを連れて行こうかとも思ったが国家機密を連れていくわけには……

「赤羽! お前、タコ持ってねえか?」

「ん? 持ってるけど?」

聞いといて何だが、何でもってんだよ!?

「いや~、殺せんせーへの嫌がらせの為にもう一匹買ってたのがこんなところで役立つとは……」

またやる気だったのかよ……俺は赤羽からタコを受け取りゴールイン。3位だった。

続けて堀部。お題は『賞味期限が近いもの』だったらしく、ビッチ先生を連れて行った。

……ある意味正解だった。

ゴールイン。3位。

なかなか1位になれないと思ったらE組のとりやすい位置の紙には難題が書かれているようだった。

ここまでやるか?

さらには徒競走でE組1の俊足、木村がトップだと……

『100メートルはA・B・C・D組がリードを許す苦しい展開! 負けるな我が校のエリート達!』

……E組がトップって言えよ。

だが、徒競走等のトラック競技は木村以外はトップをとれない。やはり暗殺訓練は陸上部等には敵わないらしい。しかし――

 

バグゥッ!

 

……パン食い競争参加の原。

「うおぉ、原さん、やべぇ! 足の遅さを帳消しにする正確無比なパン食い!」

こういう、普段はやらないような競争に活躍する。

『しかし、まだだ。間食しないとゴール出来ないルールだぞ!』

 

シュン、ゴクン!

 

「飲み物よ、パンは」

なんかかっけぇ!

なんでも原は訓練の日々で食欲が増したらしい。

他にも――

『ちょっと、前原! 今、変なとこ触ったでしょ! セクハラ!』

『あぁ!?』

『いや、なんであの二人、喧嘩しながらトップになんの!?』

――前原、岡野の二人三脚。茅野の障害物競争では――

「あのチビ、網抜けメッチャ速ぇ!」

「体に抵抗が無いからだ!」

――そんな失礼な評価でトップを獲得。

それでもアウェイ感はあるが、味方もきちんといる。観客席が近いのでなるべく目立たぬように殺せんせーが撮影をしている。

A組対D組の綱引き。

レディー……ゴッ……と言った瞬間……

 

どどどどどっ!

 

……とD組の連中がぶっ飛んだ。

浅野の作戦としては、ギリギリまで隠すのではなく、逆に先に見せつけて恐怖を与えて尚且つ本番でさらにドン底に落とす。

綱引きに出したのも棒倒しの直前の競争だからだろう。

そして観客とは白熱した勝負よりも圧倒的な虐殺の方が好む傾向がある。観客はあの外国人助っ人にぶっ飛されるのを楽しみにしているようだ。

浅野はそれがわかっていてこの場を作ったのだろう。

俺はあんなリーダーの言うこと聞くのは嫌だな。

 

そして棒倒しが始まるのだった。




次回は棒倒し本番です。

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