暗殺教室でも俺の青春はまちがっている。   作:sewashi

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“ガストロ”編です。
この回は出席番号が出るので、暗殺俺ガイル版のE組出席番号を表示します。

1番 赤羽 業
2番 磯貝 悠馬
3番 海老名 姫菜
4番 岡島 大河
5番 岡野 ひなた
6番 奥田 愛美
7番 片岡 メグ
8番 茅野 カエデ
9番 神崎 有希子
10番 木村 正義
11番 倉橋 陽菜乃
12番 潮田 渚
13番 菅谷 創介
14番 杉野 友人
15番 竹林 孝太郎
16番 千葉 龍之介
17番 寺阪 竜馬
18番 中村 莉桜
19番 狭間 綺羅々
20番 速水 凛香
21番 原 寿美鈴
22番 比企谷 八幡
23番 不破 優月
24番 前原 陽人
25番 三村 航輝
26番 村松 拓哉
27番 矢田 桃花
28番 吉田 大成
29番 自律思考固定砲台
30番 堀部 イトナ


四十七時間目 武器の時間

VIPフロア。潮田はあっという間に着替えた。

「着替えるのはえーな」

「う…」

「そのまま行けばよかったのに。暗殺者が女に化けるのは歴史上でもよくあるぞ」

「い、磯貝君まで!」

さらに赤羽が潮田の下半身を指差しながら……

「渚君。とるなら早い方が良いらしいよ。ホルモンとかの関係で」

「とらないよ!」

と言う。緊張感ねえな……

「その話は後にしてくれるか」

「……二度としません」

「だな、中村や海老名さんがいないと、こういった話は面白くならない」

「そういう意味じゃないよ!」

そんな潮田の女装談義をしているとホテルの警備員だけではなく、客個人の見張りが出てきた。

「強そうだな……」

「倒さなきゃ通れねーのは今までと同じだろうが」

菅谷が言うと、寺阪が言う。そして殺せんせーが言う。

「その通りです、寺阪君。そして倒すのは君が持ってる武器などが最適ですねぇ」

……寺阪が持ってる武器? すると寺阪は『透視能力でもあんのか』等言い出し、カバンのなかをごそごそとする。そして木村に言う……

「おい、なんとかあいつらをここまで誘い出してくれ」

木村はどうやって誘い出せばいいかわからず赤羽を頼る。そして行く。

『? ……何だボウズ』

『あっれェ~、脳みそ君がいないなァ~。こいつらは頭の中まで筋肉だし~。人の形してんじゃねーよ、豚肉共が……』

数秒後。

『『待てコラァ!!』』

ものすごい怒り声で木村を追いかける。

(おっし、今だ吉田!)

(おう!)

寺阪と吉田は見張りの男二人にタックルをして武器のスタンガンを首もとに当てて気絶させた。

「タコに電気を試そうと思って買っといたのよ。こんな形でお披露目になるとは思わなかったがよ」

「買っといたって、高かったでしょそれ」

「ん……最近ちょっと臨時収入あったもんでよ」

そういえばメイド喫茶行ったときシロから手伝った報酬もらったとか言ってたな……その金で買ったのか?

「いい武器です寺阪君。ですが、その二人の胸元を探ってみてください。ふくらみから察するに、もっといい武器が手に入るはずですよ」

殺せんせーの言葉通りに探ってみると、そこには本物の銃があった。

「そして千葉君、速水さん。この銃は君たちが持ちなさい。烏間先生はまだ精密な射撃ができる状態じゃない。今最もそれを使えるのは君たち二人です」

「私たちじゃなくて、比企谷君の方が上手く使えるんじゃ……」

速水が言う。おいおい。

「たしかに先程糸使いの手元を見事にエアガンでピンポイントに撃った比企谷君ですが、あれは外れても問題ないエアガンだからこその技術です。ですがこれはそんな曖昧な腕では扱えない。君たちだからこそできるのです」

殺せんせーはわかってる。しかし、二人の緊張はとけない。

俺らは実弾銃二丁を手に入れ、8階のコンサートホールへ向かった。すると……

「…………15、いや16匹か? 呼吸も若い。ほとんど十代半ば」

コンサートホールのステージの上で一人の男が言う。恐らく最後の殺し屋“ガストロ”とか言うやつだろう。

俺らは客席の後ろにバラけて隠れている。

「ここは完全防音、この銃は本物だ。いくら撃っても外には聞こえねえから、助けもこねえ。だから大人しく――」

 

ガンッ! パキッン!

 

“ガストロ”の手元を通って、銃弾が後ろのライトをひとつ壊す。速水が撃った弾だ。

「へっ、ボスの部下のピストルを奪ったのか。暗殺訓練を受けた中学生……はっ、なかなか上手ぇ仕事じゃねえか!」

“ガストロ”はスイッチを入れて照明をつける。逆光でステージが見えづらくなり――

 

ドンッ!

 

速水がいる、座席の間の狭い隙間を通して撃った。速水には当たらなかったが、速水は動けなくなった。

「一度発砲した敵の位地は絶対忘れねぇ、下で見張ってた3人の殺し屋は暗殺専門だが俺は違う。軍人上がりだ、この程度の一対多戦闘は何度もやってる」

つまりは敵の位地を把握する術は烏間先生並にあると言うことだ。すると……

「速水さんはそのまま待機! 今、撃たなかったのは懸命です千葉君! 君はまだ、敵に位置を知られていない! 先生が敵を見ながら指揮するので、ここぞというときまで待つんです!」

殺せんせーが最前列の座席に置かれて喋っていた。“ガストロ”は驚いて殺せんせーを撃つが完全防御形態なのでノーダメージ。

「熟練の銃手に中学生が挑むんです。このくらいの視覚ハンデはいいでしょう」

いや、そんな状態でどうやって指揮とんの?

「では木村君。5列左へダッシュ!」

殺せんせーの声が聞こえて木村は指示通り5列左へダッシュ。

なるほど。完全防御形態でも殺せんせーの無駄にいい嗅覚や聴覚はそのままで俺らの位置がわかるのか?

「寺坂君と吉田君はそれぞれ左右に3列! 視覚ができた! このスキに茅野さんは2列前進! カルマ君と不破さんは同時に右8! 磯貝君左に5!」

殺せんせーのシャッフルで俺らは移動。しかし、そんな風に声に出したら“ガストロ”に、覚えられるんじゃ……

「出席番号13番! 右に1で準備しつつそのまま待機! 5番と7番はイスの間から標的を撮影! 律さんを通して舞台上の様子を千葉君に伝達!」

なるほど。呼び方を変えれば相手も覚えづらくなる。

「ポニーテールは左前列へ前進! バイク好きも左前に2列進めます! ぼっちは右へ5!」

……ぼっちって、俺のこと? 俺は右へ5進んだ。

「最近、竹林君イチオシのメイド喫茶に興味本意で行ったらちょっとハマりそうで怖かった2人の内、会員カードを発行した方! 撹乱のために大きな音を立てる!」

「うるせー! なんで行ったの知ってんだテメー! つか、八幡も行っただろーが!」

やっぱりあのとき見えたネコミミメイド姿の黄色いタコ型生物は殺せんせーだったのか。

そんなことはどうでもよく、これでシャッフルはできたはず……

「さて、いよいよ狙撃です千葉君。次の先生の指示のあと、君のタイミングで撃ちなさい。速水さんは状況に合わせて彼の後をフォロー、敵の行動を封じることが目的です」

正直、千葉ともかく速水は冷静に狙撃が出来るとはあまり思えない。

「……が、その前に表情を出すことの少ない仕事人ふたりにアドバイスです。君達は今、ひどく緊張していますね。先生への狙撃を外したことで、自分達の腕に迷いを生じている。だからその銃も自分より比企谷君に持たせようとした。言い訳や弱音を吐かず、比企谷君と違いぼっちでもない君達は『あいつだったら大丈夫だろう』と勝手な信頼を押し付けられる事もあったでしょう。苦悩していても誰にも気づいてもらえない事もあったでしょう」

……殺せんせー。俺を慰めに使わないでください。

「でも大丈夫。君達はプレッシャーを1人で抱える必要はない。君達が外したときは人も銃もシャッフルしてクラス全員、誰が撃つかもわからない戦術に切り替えます。ここにいる皆が訓練と失敗を経験してるから出来る戦術です。君達の横には同じ経験を持つ仲間がいる。安心して引き金を引きなさい」

律を通して見ると“ガストロ”は出席番号13番のいる所を一番警戒している。

「では、いきますよ。出席番号13番! 立って狙撃!」

殺せんせーの指示と同時に“ガストロ”はその方向を撃つ。が、撃ったのは――

 

菅谷が作った人形だ。

 

出席番号13番は菅谷。千葉は16番。“ガストロ”にはわかるわけがない。

 

ドキュゥン!

 

千葉は撃つ。が……

「フ、ヘヘ。へへへ、外したな。これで二人目も場所が――」

そこまで言うと――

 

ゴッ!

 

「――!?」

――後ろにあった照明が倒れて“ガストロ”に当たる。

千葉は“ガストロ”本人も持っている銃を狙ったわけでもない。吊り照明の金具を狙ったのだ。

「……く……そが……」

 

ズギュッ!

 

「ふーっ、やぁっと当たった」

“ガストロ”の持っている銃を速水が打ち落とす。すると“ガストロ”はその場に倒れた。俺は寺坂、吉田と共にスマキにした。

これで後の大きな敵は黒幕のみ。

千葉と速水も自信を取り戻してなんとかよし。

 

武器の時間




次回、黒幕の時間。

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